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12. すれ違い

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そして昼食の時間がやってきた。
「蒼馬!どこで食べるっ?」
「そーだな…じゃあ…」

「蒼馬!」
「…翔?」
「えっ、翔って……」
「お昼食べよ!」

そうだった、お昼は翔との約束があった。忘れるとかまじで最低だな……でも今日は美咲を優先するべきだろう。と俺は判断した。

「翔、ごめん。今日は美咲と食べようと思ってたんだ」
「えっ、でもっ俺弁当作ってきたのに…」

「ねぇ美咲ちゃんだっけ?私たちとお昼食べない?」
「え、いいのっ?」
「えっ、うん…」
(加藤と食べたい訳じゃない?)

「蒼馬!お昼この子達と食べるね!」
「ああ……。美咲、」
俺は美咲の手を引いて耳打ちした。

『っ!』

「なんかされそうになったらすぐ俺のとこ来て」
「っ!うん、わかった!」

「ごめん翔、屋上行くか」
「……うん」

* * * * *

「…はい、お弁当」
「ありがとう。…やっぱ2人分作るの大変だった?」

明らかに翔の元気がない。
「いや、大丈夫…。蒼馬の好きな人って美咲ちゃんって子?」
「ん?違うよ、美咲は元カノ。」
「っ、好きだったって事だよな…」
「…まぁそうだな」

翔に最低な奴って思われるのが怖くて、本当の事が言えなかった。

「………そっか」
「翔、なんでそんな元気ないんだ?俺で良ければ話聞くよ?」
「…蒼馬には言いたくない」

(うわ、なんかめっちゃショックなんだけど)

「…そ」
「…」

(気まずすぎる…なんか話題…あっ)

「翔は最近どうなんだ?好きな子と」
「…もう、無理かもしれない」
「…告白とかしたのか?」
「…せっかく仲良くなれたのに、告白して気持ち悪がられたら、俺立ち直れない…」

(翔に告白されて、気持ち悪いとか思う奴なんているのか?)
「大丈夫だよ、そんな事絶対ないから」
「蒼馬にはわかんないよ!!」
「…」
「あっ……ごめん…」
「…弁当ありがと、教室戻ろ」

これ以上話したら、お互いのためにも駄目だと思い、教室に戻ろうと提案した。

「……うん」
「それからやっぱり弁当作らなくて大丈夫だから」
「っ、わかった…」

翔の弁当が食べられなくなるのは残念だが、これからも一緒にお昼を食べるのは難しいなと思った。
やっぱり俺と翔では住む世界が違ったのかも知れない。
今までの距離感が1番良かったのかも知れない…

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