8 / 21
からくり屋敷
しおりを挟む
「2人とも止まって!」
先頭を走っていた明里ちゃんが急に立ち止まった。
そのまま近くにあった花瓶を取って、前方の床に投げつける。花瓶はゴロゴロと転がって壁に当たって止まった。
「明里ちゃん何してるの? 早く追いかけな……」
言い終わる前に床から突然槍が出てきて花瓶は粉々になった。
「なに!? なにこれ!? 少年を捕まえるだけじゃなかったの!? なんで罠なんてあるの?」
私は半泣きだというのに、高橋さんは落ち着いた顔で教えてくれた。さすが経験が違う。
「おそらく話にあったお屋敷の部分が忍者屋敷か武家屋敷にでも変わったんじゃないかしら。悪意ある変わり方も良くある事よ。多分先行してる若者達は夢中で走ってたから逃げ切れたのね。運がいいわ」
「よく気づいたね明里ちゃん」
「でしょでしょー? これが霊視の力ってわけですよ。ここだけやけに濃度が濃いから気付けてん」
「ほらほら早く追いかけるわよ……ってその必要は無いみたいね」
角を曲がってすぐに若者3人組が廊下横の障子越しに部屋を覗き込んでいた。
「あなた達、怪我はない?」
「う、うわぁぁぁ! って、あんたらは人間か?」
「えぇ。あなた達を助けにきたの。軽自動車で公園に来てたのはあなた達?」
「あ、あぁ、そうだ。ありがとう。助かる」
若者達はまだ私達を怪しんでいるけど、とりあえずは信じてくれたみたい。
助け、という言葉を聞いて安心した表情を浮かべている。
「あぁそうだ。助かりたかったらこれを飲んで。あなた達を多少は守ってくれるはずよ」
そう言って高橋さんが白くて丸い飴みたいなものを渡していた。
藁にもすがる思いなのか3人ともそれを大人しく飲んでくれたけど、あれはなんだろう?
ちょっと気になるけど質問は後回しだよね。今は目の前の事に集中しなくちゃ。
「ところでさっきからあなた達は何を覗いているのかしら」
「あれですよ。見てください」
言われて私も部屋を覗いてみた。薄暗い部屋だったけど、奥にかかっている掛け軸に誰かが隠れているのが見えた。
「すみません。あいつは見つけたんですけど俺たち誰が最初に部屋に入るかビビってしまって……」
「そかそかー。私に任せてよ。もみじはいつも通り3人を後ろに逃がしといてくれん?」
「えぇ分かったわ。じゃあ気をつけてね」
4人が安全に角をまわって、槍のところも抜けたのを確認して私はサムズアップした。
それを見た明里ちゃんが一瞬危険視で周りを確認して、部屋に入った瞬間に子供が自分で掛け軸から姿をあらわす。
見た目は完全に普通の子供。でもこの状況で薄笑いを浮かべているのを見ると、やっぱり人間じゃないってのが分かった。
よし、少年は見つけたしこれで全部元通り……でも周りは変なお屋敷のまま。
「障子に隠れているお姉さん、何をそんな勝ち誇った顔をしているの? 知らないの? 隠れんぼは捕まえるまで終わらないんだよ?」
子供がそう言った直後、明里ちゃんが部屋から大慌てで出てきた。明里ちゃんはギリギリで間に合った。巨体の武士が刀を振り下ろす前に。
「なんでっ……!」
「分からへん! 視界に入らないよう離れて隠れてたのか、急に召喚されたんか。さっきまで子供含めて反応は無かったのに! とりあえずみんな気をつけて!」
子供が肩に乗ったのを確認すると武士は私を追ってきた。もみじちゃん達はまだ十分離れられていないはず。
ここは私が頑張るところだよね!
怪力で建物の柱をもぎり取って、再び振り下ろされた刀を受け止める。反動で武士がよろめいた所で柱を投げつけた。
連続使用ですぐに疲れちゃうから、一瞬使っただけで力を解除する。不便だなぁ、この時間制限。
「優香ちゃん右によけて!」
明里ちゃんの声でとっさに右に移動すると、目の前を3つの青いモヤみたいな物が飛んでいった。
「なに今の!?」
「私の霊力。この目を使えば、簡単にだけど自分の霊力は操作出来るねん。だから私はこうやって使っとるよ!」
そう言うと明里ちゃんは手で銃みたいな形を作った。人差し指の先に少しずつさっきの青いモヤが集まって飛んでいった。
武士はジャンプで避けようとしたけど、最初の2発が少し軌道を変えて命中する。
3発目も追尾しようとしたけど追い切れず外れちゃったみたい。
それでも武士のまとっている甲冑に少し穴が空いたように見えた。
「すっごーい!」
「え、えへへっ便利やろ。にしてもコイツ固いなー。このままじゃ私達が疲れる方が先やで」
明里ちゃんの言った通り、私達は少しずつ後ろに押されていった。
後ろを振り返ると何かキラキラしたものが見える。あれは多分花瓶の破片。もうここまで来ちゃったんだ。
つまりあの角を曲がってすぐの所に……そうだ!
「明里ちゃん。すぐ後ろにさっきの花瓶の床があるよ!」
それだけ言うと分かってくれたみたい。明里ちゃんがうなづくのを見た私は再びその辺から柱をもぎって投げつけて、そこにすかさず霊力を撃ち込んでくれた事でよろめいた相手と少し距離が取れた。
すぐに後ろにダッシュして床を飛び越える。
しばらくして武士がノコノコとやってきた。呑気にも私達に向かって刀を振り下ろそうとした、その時。
ジャキーン!
槍が何本も武士の巨体を貫く。肩に乗っていた子供はとっさに向こう側に逃げようとした。
「ここまできて逃す訳ないでしょ」
右腕で何かを私の方に引き寄せるような動作をする。腕の力で生み出された強風に巻き込まれて少年は無事に私達の目の前に転がってきた。すかさず腕を掴んで捕まえる。
これで一見落着。ふと、ギギギという甲冑がすれるような音が聞こえた。
「危ない! 優香ちゃん!」
顔をあげると武士が最後の力を振り絞って刀を投げつけてくる所だった。
強風、怪力で何か盾を……いや、どっちも間に合わない!
私はとっさに目をつぶった。
先頭を走っていた明里ちゃんが急に立ち止まった。
そのまま近くにあった花瓶を取って、前方の床に投げつける。花瓶はゴロゴロと転がって壁に当たって止まった。
「明里ちゃん何してるの? 早く追いかけな……」
言い終わる前に床から突然槍が出てきて花瓶は粉々になった。
「なに!? なにこれ!? 少年を捕まえるだけじゃなかったの!? なんで罠なんてあるの?」
私は半泣きだというのに、高橋さんは落ち着いた顔で教えてくれた。さすが経験が違う。
「おそらく話にあったお屋敷の部分が忍者屋敷か武家屋敷にでも変わったんじゃないかしら。悪意ある変わり方も良くある事よ。多分先行してる若者達は夢中で走ってたから逃げ切れたのね。運がいいわ」
「よく気づいたね明里ちゃん」
「でしょでしょー? これが霊視の力ってわけですよ。ここだけやけに濃度が濃いから気付けてん」
「ほらほら早く追いかけるわよ……ってその必要は無いみたいね」
角を曲がってすぐに若者3人組が廊下横の障子越しに部屋を覗き込んでいた。
「あなた達、怪我はない?」
「う、うわぁぁぁ! って、あんたらは人間か?」
「えぇ。あなた達を助けにきたの。軽自動車で公園に来てたのはあなた達?」
「あ、あぁ、そうだ。ありがとう。助かる」
若者達はまだ私達を怪しんでいるけど、とりあえずは信じてくれたみたい。
助け、という言葉を聞いて安心した表情を浮かべている。
「あぁそうだ。助かりたかったらこれを飲んで。あなた達を多少は守ってくれるはずよ」
そう言って高橋さんが白くて丸い飴みたいなものを渡していた。
藁にもすがる思いなのか3人ともそれを大人しく飲んでくれたけど、あれはなんだろう?
ちょっと気になるけど質問は後回しだよね。今は目の前の事に集中しなくちゃ。
「ところでさっきからあなた達は何を覗いているのかしら」
「あれですよ。見てください」
言われて私も部屋を覗いてみた。薄暗い部屋だったけど、奥にかかっている掛け軸に誰かが隠れているのが見えた。
「すみません。あいつは見つけたんですけど俺たち誰が最初に部屋に入るかビビってしまって……」
「そかそかー。私に任せてよ。もみじはいつも通り3人を後ろに逃がしといてくれん?」
「えぇ分かったわ。じゃあ気をつけてね」
4人が安全に角をまわって、槍のところも抜けたのを確認して私はサムズアップした。
それを見た明里ちゃんが一瞬危険視で周りを確認して、部屋に入った瞬間に子供が自分で掛け軸から姿をあらわす。
見た目は完全に普通の子供。でもこの状況で薄笑いを浮かべているのを見ると、やっぱり人間じゃないってのが分かった。
よし、少年は見つけたしこれで全部元通り……でも周りは変なお屋敷のまま。
「障子に隠れているお姉さん、何をそんな勝ち誇った顔をしているの? 知らないの? 隠れんぼは捕まえるまで終わらないんだよ?」
子供がそう言った直後、明里ちゃんが部屋から大慌てで出てきた。明里ちゃんはギリギリで間に合った。巨体の武士が刀を振り下ろす前に。
「なんでっ……!」
「分からへん! 視界に入らないよう離れて隠れてたのか、急に召喚されたんか。さっきまで子供含めて反応は無かったのに! とりあえずみんな気をつけて!」
子供が肩に乗ったのを確認すると武士は私を追ってきた。もみじちゃん達はまだ十分離れられていないはず。
ここは私が頑張るところだよね!
怪力で建物の柱をもぎり取って、再び振り下ろされた刀を受け止める。反動で武士がよろめいた所で柱を投げつけた。
連続使用ですぐに疲れちゃうから、一瞬使っただけで力を解除する。不便だなぁ、この時間制限。
「優香ちゃん右によけて!」
明里ちゃんの声でとっさに右に移動すると、目の前を3つの青いモヤみたいな物が飛んでいった。
「なに今の!?」
「私の霊力。この目を使えば、簡単にだけど自分の霊力は操作出来るねん。だから私はこうやって使っとるよ!」
そう言うと明里ちゃんは手で銃みたいな形を作った。人差し指の先に少しずつさっきの青いモヤが集まって飛んでいった。
武士はジャンプで避けようとしたけど、最初の2発が少し軌道を変えて命中する。
3発目も追尾しようとしたけど追い切れず外れちゃったみたい。
それでも武士のまとっている甲冑に少し穴が空いたように見えた。
「すっごーい!」
「え、えへへっ便利やろ。にしてもコイツ固いなー。このままじゃ私達が疲れる方が先やで」
明里ちゃんの言った通り、私達は少しずつ後ろに押されていった。
後ろを振り返ると何かキラキラしたものが見える。あれは多分花瓶の破片。もうここまで来ちゃったんだ。
つまりあの角を曲がってすぐの所に……そうだ!
「明里ちゃん。すぐ後ろにさっきの花瓶の床があるよ!」
それだけ言うと分かってくれたみたい。明里ちゃんがうなづくのを見た私は再びその辺から柱をもぎって投げつけて、そこにすかさず霊力を撃ち込んでくれた事でよろめいた相手と少し距離が取れた。
すぐに後ろにダッシュして床を飛び越える。
しばらくして武士がノコノコとやってきた。呑気にも私達に向かって刀を振り下ろそうとした、その時。
ジャキーン!
槍が何本も武士の巨体を貫く。肩に乗っていた子供はとっさに向こう側に逃げようとした。
「ここまできて逃す訳ないでしょ」
右腕で何かを私の方に引き寄せるような動作をする。腕の力で生み出された強風に巻き込まれて少年は無事に私達の目の前に転がってきた。すかさず腕を掴んで捕まえる。
これで一見落着。ふと、ギギギという甲冑がすれるような音が聞こえた。
「危ない! 優香ちゃん!」
顔をあげると武士が最後の力を振り絞って刀を投げつけてくる所だった。
強風、怪力で何か盾を……いや、どっちも間に合わない!
私はとっさに目をつぶった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる