社不JDも化け物倒せば友達出来ますか!?

くずは

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からくり屋敷

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 「2人とも止まって!」
 
 先頭を走っていた明里ちゃんが急に立ち止まった。
 そのまま近くにあった花瓶を取って、前方の床に投げつける。花瓶はゴロゴロと転がって壁に当たって止まった。

「明里ちゃん何してるの? 早く追いかけな……」

 言い終わる前に床から突然槍が出てきて花瓶は粉々になった。

「なに!? なにこれ!? 少年を捕まえるだけじゃなかったの!? なんで罠なんてあるの?」

 私は半泣きだというのに、高橋さんは落ち着いた顔で教えてくれた。さすが経験が違う。

「おそらく話にあったお屋敷の部分が忍者屋敷か武家屋敷にでも変わったんじゃないかしら。悪意ある変わり方も良くある事よ。多分先行してる若者達は夢中で走ってたから逃げ切れたのね。運がいいわ」

「よく気づいたね明里ちゃん」
「でしょでしょー? これが霊視の力ってわけですよ。ここだけやけに濃度が濃いから気付けてん」
「ほらほら早く追いかけるわよ……ってその必要は無いみたいね」

 角を曲がってすぐに若者3人組が廊下横の障子越しに部屋を覗き込んでいた。

「あなた達、怪我はない?」
「う、うわぁぁぁ! って、あんたらは人間か?」
「えぇ。あなた達を助けにきたの。軽自動車で公園に来てたのはあなた達?」
「あ、あぁ、そうだ。ありがとう。助かる」

 若者達はまだ私達を怪しんでいるけど、とりあえずは信じてくれたみたい。
 助け、という言葉を聞いて安心した表情を浮かべている。

「あぁそうだ。助かりたかったらこれを飲んで。あなた達を多少は守ってくれるはずよ」

 そう言って高橋さんが白くて丸い飴みたいなものを渡していた。
 藁にもすがる思いなのか3人ともそれを大人しく飲んでくれたけど、あれはなんだろう?

 ちょっと気になるけど質問は後回しだよね。今は目の前の事に集中しなくちゃ。

「ところでさっきからあなた達は何を覗いているのかしら」
「あれですよ。見てください」

 言われて私も部屋を覗いてみた。薄暗い部屋だったけど、奥にかかっている掛け軸に誰かが隠れているのが見えた。

「すみません。あいつは見つけたんですけど俺たち誰が最初に部屋に入るかビビってしまって……」
「そかそかー。私に任せてよ。もみじはいつも通り3人を後ろに逃がしといてくれん?」
「えぇ分かったわ。じゃあ気をつけてね」

 4人が安全に角をまわって、槍のところも抜けたのを確認して私はサムズアップした。
 それを見た明里ちゃんが一瞬危険視で周りを確認して、部屋に入った瞬間に子供が自分で掛け軸から姿をあらわす。

 見た目は完全に普通の子供。でもこの状況で薄笑いを浮かべているのを見ると、やっぱり人間じゃないってのが分かった。
 よし、少年は見つけたしこれで全部元通り……でも周りは変なお屋敷のまま。

「障子に隠れているお姉さん、何をそんな勝ち誇った顔をしているの? 知らないの? 隠れんぼは捕まえるまで終わらないんだよ?」

 子供がそう言った直後、明里ちゃんが部屋から大慌てで出てきた。明里ちゃんはギリギリで間に合った。巨体の武士が刀を振り下ろす前に。

「なんでっ……!」
「分からへん! 視界に入らないよう離れて隠れてたのか、急に召喚されたんか。さっきまで子供含めて反応は無かったのに! とりあえずみんな気をつけて!」

 子供が肩に乗ったのを確認すると武士は私を追ってきた。もみじちゃん達はまだ十分離れられていないはず。
 ここは私が頑張るところだよね!

 怪力で建物の柱をもぎり取って、再び振り下ろされた刀を受け止める。反動で武士がよろめいた所で柱を投げつけた。
 連続使用ですぐに疲れちゃうから、一瞬使っただけで力を解除する。不便だなぁ、この時間制限。

「優香ちゃん右によけて!」

 明里ちゃんの声でとっさに右に移動すると、目の前を3つの青いモヤみたいな物が飛んでいった。

「なに今の!?」
「私の霊力。この目を使えば、簡単にだけど自分の霊力は操作出来るねん。だから私はこうやって使っとるよ!」

 そう言うと明里ちゃんは手で銃みたいな形を作った。人差し指の先に少しずつさっきの青いモヤが集まって飛んでいった。
 武士はジャンプで避けようとしたけど、最初の2発が少し軌道を変えて命中する。

 3発目も追尾しようとしたけど追い切れず外れちゃったみたい。
 それでも武士のまとっている甲冑に少し穴が空いたように見えた。

「すっごーい!」
「え、えへへっ便利やろ。にしてもコイツ固いなー。このままじゃ私達が疲れる方が先やで」

 明里ちゃんの言った通り、私達は少しずつ後ろに押されていった。
 後ろを振り返ると何かキラキラしたものが見える。あれは多分花瓶の破片。もうここまで来ちゃったんだ。

 つまりあの角を曲がってすぐの所に……そうだ!

「明里ちゃん。すぐ後ろにさっきの花瓶の床があるよ!」

 それだけ言うと分かってくれたみたい。明里ちゃんがうなづくのを見た私は再びその辺から柱をもぎって投げつけて、そこにすかさず霊力を撃ち込んでくれた事でよろめいた相手と少し距離が取れた。
 すぐに後ろにダッシュして床を飛び越える。

 しばらくして武士がノコノコとやってきた。呑気にも私達に向かって刀を振り下ろそうとした、その時。

 ジャキーン!

 槍が何本も武士の巨体を貫く。肩に乗っていた子供はとっさに向こう側に逃げようとした。

「ここまできて逃す訳ないでしょ」

 右腕で何かを私の方に引き寄せるような動作をする。腕の力で生み出された強風に巻き込まれて少年は無事に私達の目の前に転がってきた。すかさず腕を掴んで捕まえる。

 これで一見落着。ふと、ギギギという甲冑がすれるような音が聞こえた。

「危ない! 優香ちゃん!」

 顔をあげると武士が最後の力を振り絞って刀を投げつけてくる所だった。
 強風、怪力で何か盾を……いや、どっちも間に合わない!

 私はとっさに目をつぶった。
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