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陰陽術
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私は乃愛ちゃんみたいに長時間戦えない。だから一気に決めさせてもらうよ。
右腕を右から左に大きく一回転させて、最後に私の方に引き寄せる。これで強風が生まれたはず。狙いは、ビルの内側。
ここは繁華街だから道路が狭い。強風の圧力に耐えかねた左右のビルのガラスは、内側から粉々に砕け散った。
月明かりを反射したガラスの雨という、幻想的な光景に魅入られそうになる。でも人間を模した脆い敵には、景色を楽しんでいる暇は無かった。
精神衛生上ありがたい事にガラスが突き刺さると敵は消えていって、化け物に埋め尽くされていた道路が綺麗になった。
とはいえそれも一時的な事。少し走ると、すぐにどこからか現れた敵に足止めされる。
もう1回。さらに1回。
流石にそろそろ限界かも。このままじゃ疲労感で体が動かなくなっちゃう。そう思ってる間にも足がもつれて転んじゃった。
「大丈夫!?」
返事をしようにも、口から出るのは空気だけで声が出せない。
月はもう500mほど先。あと少しなのに。悔しいなぁ。
乃愛ちゃんが私の肩を支えてなんとか歩かせてくれているけど、敵の相手もしながらで辿り着くまで持ちそうにない。それにもう月は視界いっぱいに広がっている。
時間もあんまり残されてないかな。
「ごめん。私が十分に強くなかったせいで。ごめんなさい」
乃愛ちゃんが耳元で謝っているのが聞こえる。なんで謝るの? 私よりずっとずっと敵を倒してくれたのに。
「乃愛ちゃんは……よく……やってくれたよ。私は……感謝……してる」
「そっか。大丈夫。絶対元の世界に返してあげるから」
その会話のあと、乃愛ちゃんは少し元気を取り戻して周りの敵を一掃した。
もうすぐ私達の体に触れそうだった奴らが全部霧になる。おかげで助けが間に合った。
ババババババ
小さめな花火が爆発したような音が響く。20秒もすると、そこら中から聞こえていた怪異達の声は消えていた。
「おーい! まだ生きとるー?」
「ちょっと、もう少し聞き方があるでしょ。どうやら間に合ったみたいね」
この会話は。
轟音にビビって閉じてた目を開けると明里ちゃんと高橋さん。そして2人を囲むように5人の銃を持った兵士?たちがいた。
「こ、この人達はどこから」
「防衛省超常課の人達よ。こういう柔い相手には私達よりずっと頼りになるわ」
「そんな事より走れる? そこのお友達によると、脱出するまで終わりちゃうんやろ?」
そ、そうだった。安心感ですっかり終わった気分になってたよ。体が動くくらいには回復したから全速力で駆け抜ける。
ドアを開けると、そこは元のスーパーだった。
そこら中に警察の人が立っていて封鎖されてるみたい。
外からは「ガス漏れが発生しているので近づかないでくださーい」と拡声器で呼びかけているのが聞こえてくる。
「ここが今回の扉みたいですね。もう誰も残ってないから、およそ2時間もしたら勝手に消えると思います。毎回同じ事が起きるので多分自然発生した扉ではないかと……」
乃愛ちゃんは、さっそく内閣府の人から質問攻めにあっていた。
それから解放されたのを見て、私も彼女に気になっていた事を聞いてみた。
「ねぇ、なんでうちも知らない相手を知っていたの?」
「怪異……そっちは呼び方が違うのか。超常存在の事を知っているのは政府だけじゃないって事よ。あなた達も一部の超常物品を売ったりしてるじゃん。つまり取引相手もいるんだから他にも色々いるんだよ。ところで超常課の目的って?」
「えっと、人助け?」
「ちょっと違うよ。超常存在から社会を守る、でしょ。ちゃんと覚えとかないと怒られても知らないぞー」
そういえばそうだった。でも実際私がやってるのって人助けと何が違うんだろ。
こっから先は周りに聞かれたくないのか小声で答えてくれた。
「もちろん超常課が救助とかもしてるのは知ってる。でも基本的に扉からあいつらが溢れてくるのを防ぐのが第一優先。人助けは二の次。まぁずっと人手不足の業界だし仕方ないとは思うけどね」
確かにこれは他の人に聞かれたら困るね。周りの人みんな超常課だし……あれ、私はいいの?
まぁバイトみたいなもんだし大丈夫って思ったのかな。
「でも運悪く巻き込まれた人が駆け込む場所は必要じゃん? そこで私達陰陽師の出番って訳。まぁ陰陽道を使う人の総称ってだけで組織がある訳でもないし、全然一枚岩じゃないけどね。超常課で働いてる人もいれば、霊能力者として活動してたりみんな自由気まま。私の場合は神社の娘だからやってるだけだし。だからその地域に根ざした噂や迷信は私達の方が詳しいの」
乃愛ちゃんはちょっと自慢気に締めくくった。納得したところで明里ちゃんと高橋さんがやって来た。
ところで今気づいたけど、2人はなんで大きなプラスチックバッグなんか持ってるんだろ。そういえばさっきの防衛省の人達も持ってた気がする。
「あぁこれ? 最初中間世界への入り方が分からなかったから、山本さんの行動をあれこれ真似たのよ。スマホ見ながらドアから出たり、同じ物を買って出てみたり」
銃を持った兵士達がそんなんを繰り返してるのを想像したらちょっとシュールで面白いかも。
「あれ? でも私、唐揚げなんて買ってないけど」
明里ちゃんの袋から覗いてるパックを指差した。15入りのファミリーパックみたいなやつが顔を覗かせている。
「あぁこれな。夜ご飯食べ損ねたから後で食べようと思って買ってん。みんなの分も……」
「あ、か、り? 次からは~もう少し真面目にやりましょう。ね?」
「は、はい。ワカリマシタ、もみじ様」
そっか。そういえば2人は自分の予定をすぐにキャンセルして駆けつけてくれたんだもんね。
スマホを見ると、もう1時近くになっていた。終電は無くなっちゃったかな。よし。一大イベントにチャレンジしちゃいますか。
右腕を右から左に大きく一回転させて、最後に私の方に引き寄せる。これで強風が生まれたはず。狙いは、ビルの内側。
ここは繁華街だから道路が狭い。強風の圧力に耐えかねた左右のビルのガラスは、内側から粉々に砕け散った。
月明かりを反射したガラスの雨という、幻想的な光景に魅入られそうになる。でも人間を模した脆い敵には、景色を楽しんでいる暇は無かった。
精神衛生上ありがたい事にガラスが突き刺さると敵は消えていって、化け物に埋め尽くされていた道路が綺麗になった。
とはいえそれも一時的な事。少し走ると、すぐにどこからか現れた敵に足止めされる。
もう1回。さらに1回。
流石にそろそろ限界かも。このままじゃ疲労感で体が動かなくなっちゃう。そう思ってる間にも足がもつれて転んじゃった。
「大丈夫!?」
返事をしようにも、口から出るのは空気だけで声が出せない。
月はもう500mほど先。あと少しなのに。悔しいなぁ。
乃愛ちゃんが私の肩を支えてなんとか歩かせてくれているけど、敵の相手もしながらで辿り着くまで持ちそうにない。それにもう月は視界いっぱいに広がっている。
時間もあんまり残されてないかな。
「ごめん。私が十分に強くなかったせいで。ごめんなさい」
乃愛ちゃんが耳元で謝っているのが聞こえる。なんで謝るの? 私よりずっとずっと敵を倒してくれたのに。
「乃愛ちゃんは……よく……やってくれたよ。私は……感謝……してる」
「そっか。大丈夫。絶対元の世界に返してあげるから」
その会話のあと、乃愛ちゃんは少し元気を取り戻して周りの敵を一掃した。
もうすぐ私達の体に触れそうだった奴らが全部霧になる。おかげで助けが間に合った。
ババババババ
小さめな花火が爆発したような音が響く。20秒もすると、そこら中から聞こえていた怪異達の声は消えていた。
「おーい! まだ生きとるー?」
「ちょっと、もう少し聞き方があるでしょ。どうやら間に合ったみたいね」
この会話は。
轟音にビビって閉じてた目を開けると明里ちゃんと高橋さん。そして2人を囲むように5人の銃を持った兵士?たちがいた。
「こ、この人達はどこから」
「防衛省超常課の人達よ。こういう柔い相手には私達よりずっと頼りになるわ」
「そんな事より走れる? そこのお友達によると、脱出するまで終わりちゃうんやろ?」
そ、そうだった。安心感ですっかり終わった気分になってたよ。体が動くくらいには回復したから全速力で駆け抜ける。
ドアを開けると、そこは元のスーパーだった。
そこら中に警察の人が立っていて封鎖されてるみたい。
外からは「ガス漏れが発生しているので近づかないでくださーい」と拡声器で呼びかけているのが聞こえてくる。
「ここが今回の扉みたいですね。もう誰も残ってないから、およそ2時間もしたら勝手に消えると思います。毎回同じ事が起きるので多分自然発生した扉ではないかと……」
乃愛ちゃんは、さっそく内閣府の人から質問攻めにあっていた。
それから解放されたのを見て、私も彼女に気になっていた事を聞いてみた。
「ねぇ、なんでうちも知らない相手を知っていたの?」
「怪異……そっちは呼び方が違うのか。超常存在の事を知っているのは政府だけじゃないって事よ。あなた達も一部の超常物品を売ったりしてるじゃん。つまり取引相手もいるんだから他にも色々いるんだよ。ところで超常課の目的って?」
「えっと、人助け?」
「ちょっと違うよ。超常存在から社会を守る、でしょ。ちゃんと覚えとかないと怒られても知らないぞー」
そういえばそうだった。でも実際私がやってるのって人助けと何が違うんだろ。
こっから先は周りに聞かれたくないのか小声で答えてくれた。
「もちろん超常課が救助とかもしてるのは知ってる。でも基本的に扉からあいつらが溢れてくるのを防ぐのが第一優先。人助けは二の次。まぁずっと人手不足の業界だし仕方ないとは思うけどね」
確かにこれは他の人に聞かれたら困るね。周りの人みんな超常課だし……あれ、私はいいの?
まぁバイトみたいなもんだし大丈夫って思ったのかな。
「でも運悪く巻き込まれた人が駆け込む場所は必要じゃん? そこで私達陰陽師の出番って訳。まぁ陰陽道を使う人の総称ってだけで組織がある訳でもないし、全然一枚岩じゃないけどね。超常課で働いてる人もいれば、霊能力者として活動してたりみんな自由気まま。私の場合は神社の娘だからやってるだけだし。だからその地域に根ざした噂や迷信は私達の方が詳しいの」
乃愛ちゃんはちょっと自慢気に締めくくった。納得したところで明里ちゃんと高橋さんがやって来た。
ところで今気づいたけど、2人はなんで大きなプラスチックバッグなんか持ってるんだろ。そういえばさっきの防衛省の人達も持ってた気がする。
「あぁこれ? 最初中間世界への入り方が分からなかったから、山本さんの行動をあれこれ真似たのよ。スマホ見ながらドアから出たり、同じ物を買って出てみたり」
銃を持った兵士達がそんなんを繰り返してるのを想像したらちょっとシュールで面白いかも。
「あれ? でも私、唐揚げなんて買ってないけど」
明里ちゃんの袋から覗いてるパックを指差した。15入りのファミリーパックみたいなやつが顔を覗かせている。
「あぁこれな。夜ご飯食べ損ねたから後で食べようと思って買ってん。みんなの分も……」
「あ、か、り? 次からは~もう少し真面目にやりましょう。ね?」
「は、はい。ワカリマシタ、もみじ様」
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