日神ジャスティオージ外伝~Secret of Birth~

地方創聖プロジェクト

文字の大きさ
4 / 22

業火

しおりを挟む
(※ナレーション=大善の記憶。)

(本作品はフィクションです。シーンをイメージできるようほとんどの台詞の後尾にキャラクターの名前( )が記載されています。youtubeに無料公開中の1話と共にお楽しみいただくとさらに本小説をお楽しみいただけますので興味のある方は是非ともチェックしてみてくださいね。)

奴の、石上(いそのかみ)の銃弾が僕の右胸を貫いた。

真っ黒い影が見える。

そこに居合わせた人、全員を空間ごと捻じ曲げ喰らい尽くしてしまうような禍々しい影が揺らめいて見えていた。

笑っている・・・それとも泣いているのか。

もはやそんなこともわからなくなってきた。

それくらいその時の僕の意識、精神は憔悴しきっていた。

真っ赤に溢れ出した鮮血と、もはや”ヒト”ではなくなってしまった彼自身の背負う意識がその時の僕を殺した。

彼の涙の雫と共に僕の記憶は遠く遠い、はるか彼方へと飛んでいった。

だが、死ぬ前に一言やつ(石上)に勝利宣言させてもらいたい。

唯一僕が期待していた出来事が達成されたようだ。

だってほら・・・・・・・

「姉さん・・・・・・・じいちゃん・・・!・・・・・・これは、この姿は・・・・(テルヒコ)」

死にぞこないの私(僕)のかすんだ視線の先に、散らばった壁面鏡の中に映る姿。

ついに本当の意味で復元されたか・・・。

あの鏡が、ついにようやく。

「みんな・・・・・・・・・(テルヒコ)」

炎。血。夜の研究室は真っ赤な絵の具がぶちまけられたように虚しく沈んでいるかのようだった。

姿見に映る存在。

人間の姿からははるか遠い物となった自分の”カタチ”にうろたえているテルヒコ(孫)の姿が見える。

(ざ・・・まぁあみろッ)

血に咽ながらニタあっとほくそ笑む私の顔を無表情の冷徹な目で見つめる者たちがいた。

工作員部隊だろうか。小銃を持った不気味な仮面の奴らに私は声にならぬ声で高らかに勝利宣言していた

・・・しかし。

惜しいなあ。もっと目に強く、深く焼き付けておきたかった。

もっと僕の方からキミに、君たちに言い残しておきたいことなんて、山ほどあったんだから・・・。

テルヒコ、キミが死んだら・・・。うち(海家)はこれでほんとうにおしまいだ。

もう、なにもかもおしまいのようなものかもわからない。

だけれど、きっと信じてる。キミたちが奴らに打ち勝つことを、私は・・・。

黒い仮面(ペストマスクと思しきカラス面)を装着している石上は闇のなかにたたずむ本物のカラスのようであった。

「先生・・・・・逃げて、ください・・・ぐへああっ(研究生のひとり)」

教え子である学生たちを踏みつけその足音はこちらへと近づいてくる。

影の奥からすうっとぼやけて現れた、白いもう一つの仮面が・・・。

「まだ息があったんだねえ。ジジイ。(九尾の狐)」

その奥から・・・聞き覚えのあるもう一人の澄んだ女性の声がした。

彼女は・・・・・・。?!

?!!!!!!

どうして・・・。

ズガガガガガガガガガガガ

重く鈍い銃声と共に森の中に狂乱する獣のような声がこだました。

「じいちゃん・・・・俺は・・・・・・・・うぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!(テルヒコ)」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...