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午後のピークも過ぎ、テントに運ばれてくるケガ人や、治癒師を呼びにくる人も居なくなり、テントの中にはのんびりとした空気が漂い始めていた。
「おっ邪魔しまーす!」
そんな元気な声が聞こえ、振り返った先にはと共入ってきたのはニコニコと嬉しそうに笑っているセストさん。
そしてそんなセストさんを従えたエド様だった。
「エド様、セストさん、お待ちしていましたよ! ーー……ご飯ですか? 回復ですか⁇」
なんて新婚めいた冗談を口にして、勝手に“イケメンの新妻な私”気分を味わいつつ、笑顔で二人を出迎える。
ーー伝わらないって分かってるからこそ、安心して出来るんだけどねー。
「えっと……じゃあ、回復もお願いします!」
私の言葉に少し首をかしげたセストさんは、そう言いながらスッと手を差し出した。
「おいセスト……」
座る間も無く私に手を差し出したセストさん。
そんなセストさんを嗜めるように声をかけ、顔を顰めるエド様。
「いいじゃないですかー。 ……最近肩こりがひどくて……」
しかし嗜められたはずのセストさんは反省するそぶりも見せず、少し拗ねたように口を尖らせて、少し芝居じみた動作で肩をさすり、顔をしかめてみせた。
そんなセストさんにエド様は、呆れたように大きくて長いため息を吐いて見せた。
「ーーじゃ、チャチャっとやっちゃいましょうかー」
私はそんな二人のやりとりを見て、クスクス笑いながらセストさんの手を取った。
この二人って、元々が乳兄弟なもんだから、接し方がだいぶフランクなんだよねー。
いやー、イケメン同士が仲良くしてるじゃれ合ってるのを眺めていると、それだけで肌ツヤが良くなる気がする……
ーー私ってば回復使えちゃうけど、ここからしか摂取できない栄養素があると思っています……!
そんなことを思いながらセストさんに回復魔法をかけていく。
ーー肩こりは首や背中、腰……あとはアゴも原因になったはず……
その辺りのコリをほぐし、血行良くする、筋肉を緩めつつ回復させるイメージで。
「本当にイルメラ嬢は回復魔法の達人ですね?」
こんなものかな? と、手を離した瞬間に聞こえてきたお褒めの言葉に、私は再びセストさんの手を掴み直した。
「褒めてくださったので、おかわり入りまーす」
そう言った私に、同僚からはクスクスと笑う声が、師匠からは呆れたような苦笑が聞こえてきた。
「えっ?」
驚き目を丸くしているセストさんに追加の回復魔法をかけていく。
毛根元気! お肌はつるぴか、クマも全てなくなーれっ‼︎
「……そんなシステムが」
二度目の回復魔法を受けたセストさんが呆然と呟く。
回復魔法って言っても、二度目の場所は、悪くても少し疲弊している程度の場所なので、本当に少しの魔力で済む。
だから、私にそこまでの負担は無いのだ。
ーーそれに……
「こうするとチヤチヤ度が跳ね上がるんです」
「……だろうな?」
私の答えを聞いて、すでに椅子に座っていたエド様が、呆れたように肩をすくめた。
「……ったく、良いか? これは真似するなよ? これは力が豊富なお嬢にしか出来ない芸当だ。 いざって時に力が使えねえんじゃ話にならないんだからな」
師匠も呆れたように、新人と呼ばれる治癒師たちに釘を刺すように言っている。
ーー相変わらず、師匠は心配性だなー。
魔力なんか 結構使ったって、次の日には元通りになっちゃうのに……
ーーでも臨時で特例採用の私と違って、彼らは騎士団の正式な治癒師なわけだから、いざって時に備える心構えとか、そういうこと教えるのも必要なのかも?
……確かに、余計なトコ治しすぎて魔力無くなったんで、そのケガ治せません! とか絶対許されないだろうし……
「おっ邪魔しまーす!」
そんな元気な声が聞こえ、振り返った先にはと共入ってきたのはニコニコと嬉しそうに笑っているセストさん。
そしてそんなセストさんを従えたエド様だった。
「エド様、セストさん、お待ちしていましたよ! ーー……ご飯ですか? 回復ですか⁇」
なんて新婚めいた冗談を口にして、勝手に“イケメンの新妻な私”気分を味わいつつ、笑顔で二人を出迎える。
ーー伝わらないって分かってるからこそ、安心して出来るんだけどねー。
「えっと……じゃあ、回復もお願いします!」
私の言葉に少し首をかしげたセストさんは、そう言いながらスッと手を差し出した。
「おいセスト……」
座る間も無く私に手を差し出したセストさん。
そんなセストさんを嗜めるように声をかけ、顔を顰めるエド様。
「いいじゃないですかー。 ……最近肩こりがひどくて……」
しかし嗜められたはずのセストさんは反省するそぶりも見せず、少し拗ねたように口を尖らせて、少し芝居じみた動作で肩をさすり、顔をしかめてみせた。
そんなセストさんにエド様は、呆れたように大きくて長いため息を吐いて見せた。
「ーーじゃ、チャチャっとやっちゃいましょうかー」
私はそんな二人のやりとりを見て、クスクス笑いながらセストさんの手を取った。
この二人って、元々が乳兄弟なもんだから、接し方がだいぶフランクなんだよねー。
いやー、イケメン同士が仲良くしてるじゃれ合ってるのを眺めていると、それだけで肌ツヤが良くなる気がする……
ーー私ってば回復使えちゃうけど、ここからしか摂取できない栄養素があると思っています……!
そんなことを思いながらセストさんに回復魔法をかけていく。
ーー肩こりは首や背中、腰……あとはアゴも原因になったはず……
その辺りのコリをほぐし、血行良くする、筋肉を緩めつつ回復させるイメージで。
「本当にイルメラ嬢は回復魔法の達人ですね?」
こんなものかな? と、手を離した瞬間に聞こえてきたお褒めの言葉に、私は再びセストさんの手を掴み直した。
「褒めてくださったので、おかわり入りまーす」
そう言った私に、同僚からはクスクスと笑う声が、師匠からは呆れたような苦笑が聞こえてきた。
「えっ?」
驚き目を丸くしているセストさんに追加の回復魔法をかけていく。
毛根元気! お肌はつるぴか、クマも全てなくなーれっ‼︎
「……そんなシステムが」
二度目の回復魔法を受けたセストさんが呆然と呟く。
回復魔法って言っても、二度目の場所は、悪くても少し疲弊している程度の場所なので、本当に少しの魔力で済む。
だから、私にそこまでの負担は無いのだ。
ーーそれに……
「こうするとチヤチヤ度が跳ね上がるんです」
「……だろうな?」
私の答えを聞いて、すでに椅子に座っていたエド様が、呆れたように肩をすくめた。
「……ったく、良いか? これは真似するなよ? これは力が豊富なお嬢にしか出来ない芸当だ。 いざって時に力が使えねえんじゃ話にならないんだからな」
師匠も呆れたように、新人と呼ばれる治癒師たちに釘を刺すように言っている。
ーー相変わらず、師匠は心配性だなー。
魔力なんか 結構使ったって、次の日には元通りになっちゃうのに……
ーーでも臨時で特例採用の私と違って、彼らは騎士団の正式な治癒師なわけだから、いざって時に備える心構えとか、そういうこと教えるのも必要なのかも?
……確かに、余計なトコ治しすぎて魔力無くなったんで、そのケガ治せません! とか絶対許されないだろうし……
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