【完結】回復魔法だけでも幸せになれますか?

笹乃笹世

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 原因は私。
 ……私ってば、未だにしぶとく侯爵家令嬢なんてものをやってるから……

 いくら金銭を対価にもらっていても、ご令嬢が創り出したものを“教会が取り上げた”という噂が出回るのを嫌った教会が、買取に難色を示したのだ。

 ……でもお母様たちの分の化粧水は作らなくてはいけなくてーー……
 その時の私の絶望した様子を不憫ふびんに思ったのか、アルバ枢機卿がジーノさんやエド様に話を通してくれた。
 そして、私が化粧水を作らなくてもよく、教会も噂を立てられないような方法を考え出してくれたのだ。

 その方法はこうだ。
 日本語ーーこの世界では古代宗教文字と言うらしいがーーが読める私にエド様が、聖者が書き残した書物に載っている品物を甦らせて欲しいと依頼ーーしたということにーーする。
 私は見事、甦らせる。
 エド様はその製法を教会に教えるーー……ここでなんらかの取引があったと匂わせる。
 なぜだか教会が代理店を立て、その店に独占販売させるーーという流れにするんだそうだ。

 結果として噂の的になりそうな方法ではあるが、教会も貴族も、裏での取引など日常茶飯事。
 ならば致命傷となるような噂にはならないだろうというのが、枢機卿やエド様たちの見立てだ。

 実際のところ、化粧水を売った純利益の半分以上が私の収入になるので、こちらに不満など全くない。
 残りの利益は、ほとんどを教会とバジーレ家で分け、お店にはちょっとだけ利益が出るような分売になっているらしい。

 私が苦労して作ったのに……? とか、教会とバジーレ家、丸儲けじゃない⁇ とか、色々言いたいことはあるけど……

 そもそもとしての建前は、私はエド様に依頼されてるだけの人なわけで、半分以上の売上とか破格もいいとこーーというかありえない金額なのだ。

 そして、全く知らなかったんだけど、聖者が創り出したものって、復元が出来ている出来ていないに関わらず、教会のものって扱いになっていて、当然のように教会の資金源。
 例え貴族だったとしても無断で手を出したら罪に問われる案件だったのだ……

 ーーまぁ、個人で楽しむ程度なら見て見ぬふりされるらしいんだけど、商売にするなら、犯罪行為になるとのことだった……

 ーーそうなって来ると、実際に作って販売までしてくれてる、代理店のモンティー商会がだいぶ損をしている気になるが、教会の代理店、しかも独占契約だなんて栄誉も栄誉らしく、おかみさんたちの顔に不満の影はまだ見えない。

 ーー気がついた時には、今の私って、遊んで暮らしても、化粧水や乳液が大量に確保できて、なおかつ売り上げがふところに舞い込んでくるってカラクリになっているの……
 え、ちょっろ。
 貴族の人生、ちょっろ。

 ーー……まぁ? 旧イルメラちゃんは貴族であったからこそ、入水自殺でもして人生からのログアウトを試みる予定だったほどに追い詰められたんですけどー。

 それに、だからといって治癒師を辞めるつもりなんてないし。
 師匠や先輩方はなんだかんだ面倒見がいいし、新人仲間たちとの関係も良好。
 ーーなにより、エド様級のイケメンが優しく接してしてくれる職場とか、こっちがいくらか払ってもおかしくないレベル……
 ーーイルメラ絶対にここを離れたりしない。
 なにがなんでもあの職場にしがみつく所存。
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