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第54話 報告と会議
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「で、こんな時間までその女魔法使いと『よろしく』やっていたのか。帰りが遅いから心配していたんだぞ…?」
ベルモの村に帰って一連の報告をした所でクロニアに怒られた。『チャロアイトと話をつけて、今後の仕事の融通を付けてもらえる事になった』という旨の話をしたかっただけなのだが、ついうっかりチャロアイトの正体が女だと口を滑らせてしまった為に上記の様にツッコまれる事となった次第だ。
「一応ボクもこっそりお兄さんを追いかけていたんだけど、森に入ってすぐに見失っちゃったからねぇ…」
黙っていてもモンモンは出歯亀をしてくるだろうと踏んでいたから敢えて放置していたし、むしろ途中でクロニア達との連絡役が必要になった場合に使えると思っていたのだが、チャロアイトの魔術の結界はモンモンにはどうする事も出来なかったみたいだ。
まぁチャロアイトとよろしくやっていたのは事実ではあるのだが、開口一番に責められるのも信頼が無いみたいで面白くない。人を女と見れば手籠めにする様な破廉恥漢とでも思っているのか? 思っているんだろうなぁ。否定できないからなぁ……。
「それより大将、アタイの為に無茶な約束させられて来てないだろうねぇ…? ゴホッゴホッ…」
毒で内蔵を灼かれたベルモは本当に苦しそうだ。一言二言の発言ですら息も絶え絶えだ。
「それに魔法使いなんて本当に信じられますの? チャロアイトの高い実力はこの目で見ております。敵になった場合も想定して動いて下さいまし」
ティリティアは教義の関係上、どうしても『魔法使い』という点が引っ掛かるらしい。今まで敵対感情を抱いていた相手と同盟を組んだと言われてもにわかに信用出来ないのは俺も分かる。
「お前らに黙って話を進めたのは悪いと思っている。ただそこら辺は俺としても相手と十分に話し合った上でお互いに利害が一致したと判断したから了承したんだ。決して相手の色香に惑わされた訳では無いし、考え無しに動いたのではない事は理解して欲しい」
同盟の話を無断で決めてきたのと、新しい女とよろしくやっていたのは申し訳ないと思うが、総体的に悪い話ではないのだ。
そりゃまあ確かに罠を警戒する必要はあると思うが、チャロアイトは間違いなく俺に触れて聖剣の『魅了』が機能している。
確かにチャロアイトは『幻夢兵団』とか言う諜報組織に精神操作されている状態らしく、そのマインドコントロールが俺の聖剣の魅了よりも強力な可能性もゼロではない。
今は「お互いの利害が一致している」という理由で手を組んだ状態なので、いつその利害関係が崩れないとも限らないのだから『油断は禁物』な事に変わりはないよな。心に留めておく必要はあるな……。
「へぇ、あの厚ぼったいローブの中身は『色っぽいお姉さん』だったのかい? アタイらの中じゃ居ないタイプだもんねぇ? アタイは鬼族でガサツだし、クロニアはまだ『おぼこ』臭さが抜けないし、ティリティアは発育が止まっちまってるし、モンモンに至っては『女』ですらない… そりゃ新しい女に夢中にもなっちゃうかな…?」
ベルモが時折ゴホゴホと咳込みながらも長ったらしい嫌味を開陳する。身体も心配だし二重の意味で黙ってて欲しいが、意見は確かに的確すぎて返す言葉も無い。
ベルモの横でティリティアが「止まってなんかいませんわ!」と強弁するが、今は無視して良いだろう。
「ボクはお兄さんの決めた事だからゴチャゴチャ言うつもりは無いけど、あの偽イクチナさんはちょっと信用出来ないかなぁ…? 『女の勘』だけど…」
モンモンも話に乗ってくる。「お前は女じゃ無いじゃん」というツッコミはまた別にして、だ。
「一党の頭目はお前だ。私もお前の決定にあれこれ口を挟むつもりは無い。むしろチャロアイト氏の言う通り、本当に『王国の為』の活動であるならば、私とて力を貸すに吝かではない」
元々は治安維持で働いていたクロニアは、納得はしきらないが不承不承ながらも俺の決定には従うつもりの様だ。
形はどうあれクロニアが賛成してくれた事で、俺も話がしやすくなった。
「まぁ私も気分が乗らないだけで、『是が非でも嫌』という訳ではありません。ただ魔法使いは我々の倫理とは全く別の考えで動いています。本当に油断だけはなさらないで下さいまし…」
ティリティアも納得はしてないが理解はしてくれたらしい。残るはベルモだが…?
「アタイはもう戦力外だしアレコレ言うつもりは無いよ。それに今の話の原因は元を正せばアタイの不始末からだからね…」
…いや、それは違うぞベルモ。無理に突出した俺を助けようとしてベルモは重症を負った。俺のせいだし何とかしなきゃならないのは俺の仕事だ。
よし、大半が『消極的YES』ではあるが、とりあえず全員の同意を取り付けたぞ。
「それで? その魔道士様はいつ我々と合流するのだ? 一旦王都に帰ってからか?」
クロニアの質問に思わず固まってしまう。え? あれ? その辺の話をきちんとしていなかったかも知れないな。電話もSNSも無い世界で長距離の連絡を取り合う手段ってどうするんだ? まさか飛脚とか言わないよな…?
「あ~、チャロアイトは一度勇者達の元に戻ると言っていたから、もし俺達の一党に入るとしても、向こうの仕事が一段落ついてからだと思う… 多分…」
「なんだい、歯切れが悪いねぇ大将?」
だって連絡方法すら何も決めてないんだもん。今から勇者達の部屋に行くのも不自然だし、明日まで待つか……。
その時だった。俺の目の前に唐突に文字列が現れた。まるでARで表示されたかの様に何も無い所から青い文字が空間に出現したのだ。
それはこの世界の文字で書かれており、内容は以下の物であった。
《先ほどぶり。チャロアイトです。今、貴方に『念話』の術で要件を伝えています。理解されたなら目の前の文字に触れて下さい》
突然の事に一瞬固まってしまったが、どうやらチャロアイトの遠距離通信用の魔法らしい。俺の挙動不審な行動に周りのメンバーは怪訝な顔を見せている辺り、このメッセージは俺にしか見えていない様だな。
なんか、近未来SF作品とかで端末の画面を空間に投射して操作する場面とかあるけど、それにとても近い感覚だ。
俺は恐る恐る目の前の文字に触れる。物体に触れた感触は無かったが、俺の触れた文字は一瞬で掻き消え新たな文字列が現れた。
《王都に戻ってからの最初の任務を提示します。貴方には国王カーノ・バルジオン陛下との謁見を行って頂きます》
マジかよ……。
ベルモの村に帰って一連の報告をした所でクロニアに怒られた。『チャロアイトと話をつけて、今後の仕事の融通を付けてもらえる事になった』という旨の話をしたかっただけなのだが、ついうっかりチャロアイトの正体が女だと口を滑らせてしまった為に上記の様にツッコまれる事となった次第だ。
「一応ボクもこっそりお兄さんを追いかけていたんだけど、森に入ってすぐに見失っちゃったからねぇ…」
黙っていてもモンモンは出歯亀をしてくるだろうと踏んでいたから敢えて放置していたし、むしろ途中でクロニア達との連絡役が必要になった場合に使えると思っていたのだが、チャロアイトの魔術の結界はモンモンにはどうする事も出来なかったみたいだ。
まぁチャロアイトとよろしくやっていたのは事実ではあるのだが、開口一番に責められるのも信頼が無いみたいで面白くない。人を女と見れば手籠めにする様な破廉恥漢とでも思っているのか? 思っているんだろうなぁ。否定できないからなぁ……。
「それより大将、アタイの為に無茶な約束させられて来てないだろうねぇ…? ゴホッゴホッ…」
毒で内蔵を灼かれたベルモは本当に苦しそうだ。一言二言の発言ですら息も絶え絶えだ。
「それに魔法使いなんて本当に信じられますの? チャロアイトの高い実力はこの目で見ております。敵になった場合も想定して動いて下さいまし」
ティリティアは教義の関係上、どうしても『魔法使い』という点が引っ掛かるらしい。今まで敵対感情を抱いていた相手と同盟を組んだと言われてもにわかに信用出来ないのは俺も分かる。
「お前らに黙って話を進めたのは悪いと思っている。ただそこら辺は俺としても相手と十分に話し合った上でお互いに利害が一致したと判断したから了承したんだ。決して相手の色香に惑わされた訳では無いし、考え無しに動いたのではない事は理解して欲しい」
同盟の話を無断で決めてきたのと、新しい女とよろしくやっていたのは申し訳ないと思うが、総体的に悪い話ではないのだ。
そりゃまあ確かに罠を警戒する必要はあると思うが、チャロアイトは間違いなく俺に触れて聖剣の『魅了』が機能している。
確かにチャロアイトは『幻夢兵団』とか言う諜報組織に精神操作されている状態らしく、そのマインドコントロールが俺の聖剣の魅了よりも強力な可能性もゼロではない。
今は「お互いの利害が一致している」という理由で手を組んだ状態なので、いつその利害関係が崩れないとも限らないのだから『油断は禁物』な事に変わりはないよな。心に留めておく必要はあるな……。
「へぇ、あの厚ぼったいローブの中身は『色っぽいお姉さん』だったのかい? アタイらの中じゃ居ないタイプだもんねぇ? アタイは鬼族でガサツだし、クロニアはまだ『おぼこ』臭さが抜けないし、ティリティアは発育が止まっちまってるし、モンモンに至っては『女』ですらない… そりゃ新しい女に夢中にもなっちゃうかな…?」
ベルモが時折ゴホゴホと咳込みながらも長ったらしい嫌味を開陳する。身体も心配だし二重の意味で黙ってて欲しいが、意見は確かに的確すぎて返す言葉も無い。
ベルモの横でティリティアが「止まってなんかいませんわ!」と強弁するが、今は無視して良いだろう。
「ボクはお兄さんの決めた事だからゴチャゴチャ言うつもりは無いけど、あの偽イクチナさんはちょっと信用出来ないかなぁ…? 『女の勘』だけど…」
モンモンも話に乗ってくる。「お前は女じゃ無いじゃん」というツッコミはまた別にして、だ。
「一党の頭目はお前だ。私もお前の決定にあれこれ口を挟むつもりは無い。むしろチャロアイト氏の言う通り、本当に『王国の為』の活動であるならば、私とて力を貸すに吝かではない」
元々は治安維持で働いていたクロニアは、納得はしきらないが不承不承ながらも俺の決定には従うつもりの様だ。
形はどうあれクロニアが賛成してくれた事で、俺も話がしやすくなった。
「まぁ私も気分が乗らないだけで、『是が非でも嫌』という訳ではありません。ただ魔法使いは我々の倫理とは全く別の考えで動いています。本当に油断だけはなさらないで下さいまし…」
ティリティアも納得はしてないが理解はしてくれたらしい。残るはベルモだが…?
「アタイはもう戦力外だしアレコレ言うつもりは無いよ。それに今の話の原因は元を正せばアタイの不始末からだからね…」
…いや、それは違うぞベルモ。無理に突出した俺を助けようとしてベルモは重症を負った。俺のせいだし何とかしなきゃならないのは俺の仕事だ。
よし、大半が『消極的YES』ではあるが、とりあえず全員の同意を取り付けたぞ。
「それで? その魔道士様はいつ我々と合流するのだ? 一旦王都に帰ってからか?」
クロニアの質問に思わず固まってしまう。え? あれ? その辺の話をきちんとしていなかったかも知れないな。電話もSNSも無い世界で長距離の連絡を取り合う手段ってどうするんだ? まさか飛脚とか言わないよな…?
「あ~、チャロアイトは一度勇者達の元に戻ると言っていたから、もし俺達の一党に入るとしても、向こうの仕事が一段落ついてからだと思う… 多分…」
「なんだい、歯切れが悪いねぇ大将?」
だって連絡方法すら何も決めてないんだもん。今から勇者達の部屋に行くのも不自然だし、明日まで待つか……。
その時だった。俺の目の前に唐突に文字列が現れた。まるでARで表示されたかの様に何も無い所から青い文字が空間に出現したのだ。
それはこの世界の文字で書かれており、内容は以下の物であった。
《先ほどぶり。チャロアイトです。今、貴方に『念話』の術で要件を伝えています。理解されたなら目の前の文字に触れて下さい》
突然の事に一瞬固まってしまったが、どうやらチャロアイトの遠距離通信用の魔法らしい。俺の挙動不審な行動に周りのメンバーは怪訝な顔を見せている辺り、このメッセージは俺にしか見えていない様だな。
なんか、近未来SF作品とかで端末の画面を空間に投射して操作する場面とかあるけど、それにとても近い感覚だ。
俺は恐る恐る目の前の文字に触れる。物体に触れた感触は無かったが、俺の触れた文字は一瞬で掻き消え新たな文字列が現れた。
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