13番目の神様

きついマン

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二期 一章

アリサの怒

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 森に入って数分たった。未だに見渡す限りの草木と小型の魔物以外何も見つからない。
 魔物はボアや、虫型のもので犯人ではないことは確かだ。そもそも下着外しやろうは魔物なのだろうか?そんな器用な真似をするやつなんているのか?こんなとこに…

「絶対見つけて懲らしめてやるんだから!」

 まだプンプンと息巻いているお嬢様を尻目に、俺はスキルを確認していた。

 アウトドアって何ができるんだろう。神化スキルに聞いてみよう。

『アウトドア LV1 簡単な野営。および簡単な道具の作成。』

 お?簡単な道具?なにが作れるんだ?

『木製ナイフや木製の盾などの簡単な装備。トラップ。』

 へえ、割と優良スキルじゃないのか?これは。

 じゃあ勇気のスキルは何ができるんだ?

『勇気 はアレク・サンダー固有スキル。説明は無い。個人による。』

 ていうことは、こっちのスキルは特別なやつみたいだな。まだまだ調べる必要が…

「いたわ!!」

 一人で模索していると、どうやらそれらしいのが見つかったようで、アリサが叫んでいた。

「待ちなさい!!このっ!」

 悪戦苦闘するアリサを見ながら、セリスがこちらに近寄ってきた。

「あれ、何に見えますぅ?」

 恐らく魔物の事であろう。よく見て見る。

「そうだな、人…それも子供だな。」

「ですよねぇ…」

 木々の間をスルスルと走って逃げている子供、にしか見えないな。しかし素早いなぁ…

「器用だな…」

「そうですねぇ…」

「二人とも感心してないで手伝ってよ!!」


……
………

「ちっ!捕まったか!」

 あの後すぐ、三人で挟み込み、逃げ回る子供をなんとか捕まえた。先ほどの道に連れて行き、動けないように軽く抑えている。見た目からしてどうやら男の子のようだ。

「やっと捕まえたわよ!!このエロガキ!!」

 ものすごい剣幕で叱りつけるアリサ、しかし、ホックごときでそんなに怒ることか?ちょっと沸点低すぎじゃ…

「早くパンツ返して!!」

 前言撤回、このガキは悪い子です。

「パンツ盗まれてたのか…アリサ…じゃあ今お前…ノー」

「言わないで恥ずかしい!」

 パンということかと、脳内で続ける。

「あんた服の上からどうやって盗んだのよ!」

 アリサは少年に問い詰めるが、少年は反抗的な態度である。

「うるせえよ!お前!だいたいそんなちっぱいなのにブラとかしてんじゃねえよばーか!」

 ブチ

 いけない。人一人の命がなくなる可能性がある音がした。

「ぶっ殺す!」

「やっべ!」

 鬼の形相で剣の鞘を振るアリサ、え、待ってこれやばい、これ俺ごといって痛あああああああああああ

 思い切り振られた鞘は、少年をかばう形になった俺の横腹にクリーンヒットした。

「あ、ごめん。」

「ごめんじゃありませんよねぇええ!一旦落ち着いてネ!!!」

 一部始終を見ていたセリスが治癒魔法をかけてくれた。ありがとうセリスぅ…

「落ち着いた?!」

「少し落ち着いたわ。」

 俺を叩いてしまって少し発散したのか、落ち着いたアリサが目に入る。
 俺はホッとしながら、優しく少年に聞く。

「ところで、君はなんでそんなことをしてるのかな?」

「…関係ねえよ…」

「……」スッ

 アリサが鞘に手をかける。

「早く言ってくれないと、君もろとも俺も死んじゃうんだけど!!」

 アリサが鞘を高く振り上げた。

「金がねえんだよ!!」

 終わったと思った瞬間、少年が叫んだ。

「お金がないのと私の下着ってなんの関係があるのよ!!」

「高く売れるんだ…」

「買って売ればいいじゃない!!」

「女性が履いた後じゃないとダメなんだ…」

「え?なにそれ?古着をわざわざ欲しがるの?」

「わけわかんねえけど、そうだよ…」

 二人の会話から察するに、そう言うフェチの人が恐らくそういうものを買い取っているのだろう。前の世界じゃそういう犯罪も多々あったが、こっちの世界じゃ珍しいんだろうな。

「なによ、その変態…」

「まあ、ということだから、これはもらっていいよな!」

 少年は握っているパンツをひらひらさせていた。そんなことしたら…

「それとこれと話は別よ!」

ゴチン!!

「いってぇ!あ!くそ!返せよ!」

「いやよ!ちょっと履いてくる!!」

 そう言い放ってアリサは森へ入っていった。ちょっと見たい。

「にしても、お前、なんでそんなに金が欲しいんだ?」

「…ママの病気を治したいんだ…」

「病気…?」

「実は…」

 そう言って話し始めた少年の話は、過酷で残酷なものであった。
 エノシガに住んでいるらしいこの少年とその家族は、もともと貧困で慎ましく暮らしていたらしい。だがある日、父親が病にかかって死んでしまった。その病は流行病だったようで、母親にもうつってしまった。しかし薬を買う金がない。
 これ以上家族を失いたくない一心で働いて稼いで、やっと薬が買える!と思った矢先、何者かによる薬の買占めで値上がり。どうしようもないと項垂れていたところ、金持ちそうなおっさんに話しかけられ、今の盗みの仕事をするに至ると…

「なるほど、そういうことね。」

 いつの間にか戻ってきていたアリサが頷いていた。

「そうだよ!!だから早くパンツくれよ!」

「パンツはやれないけど、あなたの力になるわ。いいわよね二人とも?」

「いいですけどぅ、どうするんですか?」

「とりあえず、エノシガに向かわないことにはわからないわ!急ぎましょ!」

 暗くなったり、叫んだり、元気になったり、おてんばな事で…

「ま、向かうとするか…」

 だいぶ時間をくったが、まあ、アリサが元気になったし。スキルのことも少しわかったしよしとしよう。

 しかし少年の家族が心配だ、急ぐとしよう。
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