26 / 69
二期 一章
アリサの怒
しおりを挟む
森に入って数分たった。未だに見渡す限りの草木と小型の魔物以外何も見つからない。
魔物はボアや、虫型のもので犯人ではないことは確かだ。そもそも下着外しやろうは魔物なのだろうか?そんな器用な真似をするやつなんているのか?こんなとこに…
「絶対見つけて懲らしめてやるんだから!」
まだプンプンと息巻いているお嬢様を尻目に、俺はスキルを確認していた。
アウトドアって何ができるんだろう。神化スキルに聞いてみよう。
『アウトドア LV1 簡単な野営。および簡単な道具の作成。』
お?簡単な道具?なにが作れるんだ?
『木製ナイフや木製の盾などの簡単な装備。トラップ。』
へえ、割と優良スキルじゃないのか?これは。
じゃあ勇気のスキルは何ができるんだ?
『勇気 はアレク・サンダー固有スキル。説明は無い。個人による。』
ていうことは、こっちのスキルは特別なやつみたいだな。まだまだ調べる必要が…
「いたわ!!」
一人で模索していると、どうやらそれらしいのが見つかったようで、アリサが叫んでいた。
「待ちなさい!!このっ!」
悪戦苦闘するアリサを見ながら、セリスがこちらに近寄ってきた。
「あれ、何に見えますぅ?」
恐らく魔物の事であろう。よく見て見る。
「そうだな、人…それも子供だな。」
「ですよねぇ…」
木々の間をスルスルと走って逃げている子供、にしか見えないな。しかし素早いなぁ…
「器用だな…」
「そうですねぇ…」
「二人とも感心してないで手伝ってよ!!」
…
……
………
「ちっ!捕まったか!」
あの後すぐ、三人で挟み込み、逃げ回る子供をなんとか捕まえた。先ほどの道に連れて行き、動けないように軽く抑えている。見た目からしてどうやら男の子のようだ。
「やっと捕まえたわよ!!このエロガキ!!」
ものすごい剣幕で叱りつけるアリサ、しかし、ホックごときでそんなに怒ることか?ちょっと沸点低すぎじゃ…
「早くパンツ返して!!」
前言撤回、このガキは悪い子です。
「パンツ盗まれてたのか…アリサ…じゃあ今お前…ノー」
「言わないで恥ずかしい!」
パンということかと、脳内で続ける。
「あんた服の上からどうやって盗んだのよ!」
アリサは少年に問い詰めるが、少年は反抗的な態度である。
「うるせえよ!お前!だいたいそんなちっぱいなのにブラとかしてんじゃねえよばーか!」
ブチ
いけない。人一人の命がなくなる可能性がある音がした。
「ぶっ殺す!」
「やっべ!」
鬼の形相で剣の鞘を振るアリサ、え、待ってこれやばい、これ俺ごといって痛あああああああああああ
思い切り振られた鞘は、少年をかばう形になった俺の横腹にクリーンヒットした。
「あ、ごめん。」
「ごめんじゃありませんよねぇええ!一旦落ち着いてネ!!!」
一部始終を見ていたセリスが治癒魔法をかけてくれた。ありがとうセリスぅ…
「落ち着いた?!」
「少し落ち着いたわ。」
俺を叩いてしまって少し発散したのか、落ち着いたアリサが目に入る。
俺はホッとしながら、優しく少年に聞く。
「ところで、君はなんでそんなことをしてるのかな?」
「…関係ねえよ…」
「……」スッ
アリサが鞘に手をかける。
「早く言ってくれないと、君もろとも俺も死んじゃうんだけど!!」
アリサが鞘を高く振り上げた。
「金がねえんだよ!!」
終わったと思った瞬間、少年が叫んだ。
「お金がないのと私の下着ってなんの関係があるのよ!!」
「高く売れるんだ…」
「買って売ればいいじゃない!!」
「女性が履いた後じゃないとダメなんだ…」
「え?なにそれ?古着をわざわざ欲しがるの?」
「わけわかんねえけど、そうだよ…」
二人の会話から察するに、そう言うフェチの人が恐らくそういうものを買い取っているのだろう。前の世界じゃそういう犯罪も多々あったが、こっちの世界じゃ珍しいんだろうな。
「なによ、その変態…」
「まあ、ということだから、これはもらっていいよな!」
少年は握っているパンツをひらひらさせていた。そんなことしたら…
「それとこれと話は別よ!」
ゴチン!!
「いってぇ!あ!くそ!返せよ!」
「いやよ!ちょっと履いてくる!!」
そう言い放ってアリサは森へ入っていった。ちょっと見たい。
「にしても、お前、なんでそんなに金が欲しいんだ?」
「…ママの病気を治したいんだ…」
「病気…?」
「実は…」
そう言って話し始めた少年の話は、過酷で残酷なものであった。
エノシガに住んでいるらしいこの少年とその家族は、もともと貧困で慎ましく暮らしていたらしい。だがある日、父親が病にかかって死んでしまった。その病は流行病だったようで、母親にもうつってしまった。しかし薬を買う金がない。
これ以上家族を失いたくない一心で働いて稼いで、やっと薬が買える!と思った矢先、何者かによる薬の買占めで値上がり。どうしようもないと項垂れていたところ、金持ちそうなおっさんに話しかけられ、今の盗みの仕事をするに至ると…
「なるほど、そういうことね。」
いつの間にか戻ってきていたアリサが頷いていた。
「そうだよ!!だから早くパンツくれよ!」
「パンツはやれないけど、あなたの力になるわ。いいわよね二人とも?」
「いいですけどぅ、どうするんですか?」
「とりあえず、エノシガに向かわないことにはわからないわ!急ぎましょ!」
暗くなったり、叫んだり、元気になったり、おてんばな事で…
「ま、向かうとするか…」
だいぶ時間をくったが、まあ、アリサが元気になったし。スキルのことも少しわかったしよしとしよう。
しかし少年の家族が心配だ、急ぐとしよう。
魔物はボアや、虫型のもので犯人ではないことは確かだ。そもそも下着外しやろうは魔物なのだろうか?そんな器用な真似をするやつなんているのか?こんなとこに…
「絶対見つけて懲らしめてやるんだから!」
まだプンプンと息巻いているお嬢様を尻目に、俺はスキルを確認していた。
アウトドアって何ができるんだろう。神化スキルに聞いてみよう。
『アウトドア LV1 簡単な野営。および簡単な道具の作成。』
お?簡単な道具?なにが作れるんだ?
『木製ナイフや木製の盾などの簡単な装備。トラップ。』
へえ、割と優良スキルじゃないのか?これは。
じゃあ勇気のスキルは何ができるんだ?
『勇気 はアレク・サンダー固有スキル。説明は無い。個人による。』
ていうことは、こっちのスキルは特別なやつみたいだな。まだまだ調べる必要が…
「いたわ!!」
一人で模索していると、どうやらそれらしいのが見つかったようで、アリサが叫んでいた。
「待ちなさい!!このっ!」
悪戦苦闘するアリサを見ながら、セリスがこちらに近寄ってきた。
「あれ、何に見えますぅ?」
恐らく魔物の事であろう。よく見て見る。
「そうだな、人…それも子供だな。」
「ですよねぇ…」
木々の間をスルスルと走って逃げている子供、にしか見えないな。しかし素早いなぁ…
「器用だな…」
「そうですねぇ…」
「二人とも感心してないで手伝ってよ!!」
…
……
………
「ちっ!捕まったか!」
あの後すぐ、三人で挟み込み、逃げ回る子供をなんとか捕まえた。先ほどの道に連れて行き、動けないように軽く抑えている。見た目からしてどうやら男の子のようだ。
「やっと捕まえたわよ!!このエロガキ!!」
ものすごい剣幕で叱りつけるアリサ、しかし、ホックごときでそんなに怒ることか?ちょっと沸点低すぎじゃ…
「早くパンツ返して!!」
前言撤回、このガキは悪い子です。
「パンツ盗まれてたのか…アリサ…じゃあ今お前…ノー」
「言わないで恥ずかしい!」
パンということかと、脳内で続ける。
「あんた服の上からどうやって盗んだのよ!」
アリサは少年に問い詰めるが、少年は反抗的な態度である。
「うるせえよ!お前!だいたいそんなちっぱいなのにブラとかしてんじゃねえよばーか!」
ブチ
いけない。人一人の命がなくなる可能性がある音がした。
「ぶっ殺す!」
「やっべ!」
鬼の形相で剣の鞘を振るアリサ、え、待ってこれやばい、これ俺ごといって痛あああああああああああ
思い切り振られた鞘は、少年をかばう形になった俺の横腹にクリーンヒットした。
「あ、ごめん。」
「ごめんじゃありませんよねぇええ!一旦落ち着いてネ!!!」
一部始終を見ていたセリスが治癒魔法をかけてくれた。ありがとうセリスぅ…
「落ち着いた?!」
「少し落ち着いたわ。」
俺を叩いてしまって少し発散したのか、落ち着いたアリサが目に入る。
俺はホッとしながら、優しく少年に聞く。
「ところで、君はなんでそんなことをしてるのかな?」
「…関係ねえよ…」
「……」スッ
アリサが鞘に手をかける。
「早く言ってくれないと、君もろとも俺も死んじゃうんだけど!!」
アリサが鞘を高く振り上げた。
「金がねえんだよ!!」
終わったと思った瞬間、少年が叫んだ。
「お金がないのと私の下着ってなんの関係があるのよ!!」
「高く売れるんだ…」
「買って売ればいいじゃない!!」
「女性が履いた後じゃないとダメなんだ…」
「え?なにそれ?古着をわざわざ欲しがるの?」
「わけわかんねえけど、そうだよ…」
二人の会話から察するに、そう言うフェチの人が恐らくそういうものを買い取っているのだろう。前の世界じゃそういう犯罪も多々あったが、こっちの世界じゃ珍しいんだろうな。
「なによ、その変態…」
「まあ、ということだから、これはもらっていいよな!」
少年は握っているパンツをひらひらさせていた。そんなことしたら…
「それとこれと話は別よ!」
ゴチン!!
「いってぇ!あ!くそ!返せよ!」
「いやよ!ちょっと履いてくる!!」
そう言い放ってアリサは森へ入っていった。ちょっと見たい。
「にしても、お前、なんでそんなに金が欲しいんだ?」
「…ママの病気を治したいんだ…」
「病気…?」
「実は…」
そう言って話し始めた少年の話は、過酷で残酷なものであった。
エノシガに住んでいるらしいこの少年とその家族は、もともと貧困で慎ましく暮らしていたらしい。だがある日、父親が病にかかって死んでしまった。その病は流行病だったようで、母親にもうつってしまった。しかし薬を買う金がない。
これ以上家族を失いたくない一心で働いて稼いで、やっと薬が買える!と思った矢先、何者かによる薬の買占めで値上がり。どうしようもないと項垂れていたところ、金持ちそうなおっさんに話しかけられ、今の盗みの仕事をするに至ると…
「なるほど、そういうことね。」
いつの間にか戻ってきていたアリサが頷いていた。
「そうだよ!!だから早くパンツくれよ!」
「パンツはやれないけど、あなたの力になるわ。いいわよね二人とも?」
「いいですけどぅ、どうするんですか?」
「とりあえず、エノシガに向かわないことにはわからないわ!急ぎましょ!」
暗くなったり、叫んだり、元気になったり、おてんばな事で…
「ま、向かうとするか…」
だいぶ時間をくったが、まあ、アリサが元気になったし。スキルのことも少しわかったしよしとしよう。
しかし少年の家族が心配だ、急ぐとしよう。
0
あなたにおすすめの小説
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート
みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。
唯一の武器は、腰につけた工具袋——
…って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!?
戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。
土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!?
「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」
今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY!
建築×育児×チート×ギャル
“腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる!
腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる