皿と餅

皿と餅

大きく重い皿がある 皿の上には餅がある
同じ森に生まれた二匹の兎 のろまな兎と賢い兎

はじめの内は同じくらいの餅が与えられた
そのうち賢い兎はたくさん欲しがった
賢い兎は欲張り兎 餅は沢山必要
のろまな兎はバカ兎 しくみというのが分からない

しくみは簡単 早く見つけて手に入れる
ぼおっとしてたら貰いは少ない
遠慮してたら貰いは少ない
どんどん賢い兎が餅をもっていく
よく見えないけど きっと餅は少なくなっている

そのうちきっと兎は皿を背負わなければならない
とてもとても大切な皿だから
大きくて重いけど大事な皿だから

のろまな兎はバカ兎
一人で背負う訳じゃないと思っていた

突然賢い兎が別の森へ行ってしまった
沢山の餅を手にして行ってしまった

そうなるかも知れないことは知っていた
知っていたけどこんなに突然とは思わなかった
のろまな兎はバカ兎

のろまな兎はバカ兎
皿をみながら肩を落とす
自分に背負えるだろうか いつまで背負うのだろうか

そうして自分はただ老いていくのだろうか

そうしてそのまま死んでいくのだろうか

沢山餅をもらった賢い兎はもう知らない森の兎
この皿はきっと背負いはしない

のろまな兎はバカ兎
のろまな兎はアホ兎
今さらやっとしくみを思い知る

結局この世はやったもん勝ち
押しの強い者 賢しい者 欲張りな者がいい目を見る

こんなことならば遠慮などしなければ良かった
こんな責任があるなら少しは威張っていれば良かった

今さら思い知ってなんになるだろう

結局この世はやったもん勝ち

のろま兎はバカ兎