【完】転生したら禁忌の双子。後に悪魔。

桜 鴬

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⑨傾国美女をファサネイト。

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永き命を繋ぐ儀式を恙無く終え、晴れて人外の悪魔となったシャイン。

何故か起きたら人間界だった。しかし何故か、今だに外に出られない。

そう言えば、儀式の部屋からすっぽんぽんで飛んだのよ!しかも地上へ下りても、毎日毎日アブソルートが…。

「しつこい!もうやだ!私家出する!」

「・・・・・。まだ言うのか?ならいけ!スライム!捕獲しろ!」

「だからせめてお風呂に入らせてって言ってるの!」

「悪魔に風呂はいらん。」

「リラックス出来るの。精神的な問題なの!少しは休息させてよ。それよりねえ。このスライム剥がして!何でスライムが居るの!」

段々と薄い膜状になり、私の絶叫と共に身体を包んで行く。温かくなって来た?何だか気持ち良いかも?

「コクヨウのとこに居たのを分裂させて来た。シャイン専用の美容要員だ。スライムパックは、艶々スベスベ。泡風呂に温熱風呂を体験しながら、ボディマッサージは最高な筈だ。もっと欲しかったら更に分裂させるぞ?」

それは良いかも…。

でもそんなに要りません!

「兎も角外に出して!監禁は嫌だと言ってるわよね?」

・・・・・。

「返事は?」

・・・・・。

「なら私は1人でも外に出るわよ!」

「逃げるのか?」

そんな悲しげな顔しないでよ。私が酷い悪人みたいじゃ無い。

「私は逃げないわよ。貴方が私との約束を守ってくれる限りね。でもお願い。監禁だけは嫌。絶対に逃げないから部屋の外にだして。」

・・・・・。

・・・・・。

随分沈黙が長いわね。考え中なのかしら?

「仕方無い。では行きたくは無かったのだが…。城の舞踏会にでも行くか?1週間後の晩に招待されてるんだ。奥様もご一緒にとな。しかしやはり行きたく無いな…。王がシャインを見たがってるのが見え見えだからな。見せるのやだし、減りそうだ。やはり絶対に連れて行きたくないな。止めるか?」

ちょっと、そんなに行きたくないの?3回も言ったわよ。

アブソルートは人間界で遊ぶ時に不便が無い様にと、今居る国の爵位を保っている。しかも何と人間界でも公爵だ。この国の王の祖先に、若き頃のアブソルートの母が居るそうだ。

何でもお母さんは、人間に化けて遊んでた時、事故で記憶喪失になってしまった。その後騙され人買いに拐われ、買われた先で美人だからと後宮に献上された。後宮で国王を手始めに数多の王子を魅了し、国を混乱に貶めた。最終的に男児を1人生んだが、誰の子かも解らない。しかし確かに王族の血を引いている。

やがて国は1人の女性をめぐり、王族内で争いが勃発。母は国を混乱させた傾国美女として処刑された。処刑場で悪魔として息を吹き返し、漸く己が悪魔だった事を思い出した。そのまま人間界をトンズラした。王族はほぼ亡くなり血筋を絶やさぬ為にと、息子は処刑されなかった。残された息子は国の立て直しに奔走した。その功績を認められ、後に公爵となり、己の母の罪を償う為にと、生涯国の為に尽くした。息子は魔法に優れ少し長生きした位で、悪魔としての素質はほぼ継がなかった様だ。

アブソルートはその後、跡継ぎの居なくなった公爵家を、代々適当に回してるそうだ。

しかしお義母様凄いわ。傾国美女?しかも息子に後始末押し付けてトンズラよ。でも母が悪魔だとしったら、息子は困ったかもしれない。お義母様はまだ生きてらっしゃるのよね?え?お義父様も生きてるの?結婚式にはいらっしゃらなかったけど?ならご挨拶しなくちゃ!

「あ…。たぶん父母も、舞踏会には出席するだろう。顔も知らぬのは不味いな。」

「何故?舞踏会で紹介してくれたら良いじゃない。」

「父母は今人間界に住んでる。その際の身分は、隣国の辺境伯爵なんだ。あっちは母と同時に、父が遊んだ国だ。流石に王は子孫では無いがな。因みにシャインは、人間界では父母の子となってる。」

難しいわね。つまりどう言う事?

「この国の公爵で有る私が、隣国の辺境伯のご令嬢を娶った。私の一目惚れで、令嬢が成人するまで待って居た。こんな感じだ。つまりシャインの夫がこの国の公爵である私。シャインは隣国の辺境伯爵の娘。その辺境伯爵夫妻は、実は悪魔で私の実の両親。因みに本来この国の公爵で有る私の両親は、私の幼少時に事故で死んだことになってる。」

「もう!何でそんな大事な設定を教えてくれないのよ!」

「我々の蜜月中に、シャインに教える間など無かっただろう?」

ニヤリと笑うな!別の事は熱心に教えたくせに!

「では舞踏会に行く事で決定だ。父母には前日にでも此方に来て貰う。1泊して貰い一緒に登城して貰おう。ではシャイン?外出の代償を戴こうか?」

・・・・・。

「イヤ!私の愛を代償だと言うの?」

「違う!すまん。それは言葉のあやだ。父母が来ると、多分日中は母上にシャインを取られる。夜は父上に何とか抑えて貰うが…。」

お義母様ってそんなに怖いのかしら?

「シャインは大丈夫だ。母上は女の子が欲しくて仕方無かったのだ。ただ私が日中シャインとイチャつけないのが辛い。」

・・・・・。

ふぅ…。

もう仕方無いわね。重なる肌の温もりが気持ち良い…。このまま眠れたら最高なのだけどね…。

*****

「こらバカ息子!可愛い娘を抱き潰すな!もう朝だ!いい加減に起きろ!」

ひえっ!誰?部屋の中に響く声。部屋のカーテンが全開にされ、射し込む陽射しに目が痛い。そんな寝惚け眼の私を覗き込む女性。

もしかしなくても…。やだ!

「傾国美女のお義母様!?」

「ピンポーン。結婚式に行けなくてごめんなさいね。ちょっとスタンビートが来ちゃって退治に出てたの。久々の大量殺戮スカッとしたわよ。シャインちゃんは、もしかしなくても結婚後ずっとなのかしら?」

ずっとの意味に気付き、恥ずかしくて慌ててベッドから起き上がろうとする。しかしアイタタタ…。身体中が痛くて起き上がれない。

「・・・・・。やっぱりね。我が家の男共は兎に角しつこいのよ。後で良い薬をあげる。キスするふりして飲ませれば即寝よ。ほら!お前はいい加減に起きろ!」

・・・・・。

「母上…。相変わらずで…。しかし昨日の今朝では早すぎます。父上の姿も無し。ならば父上は勿論…。」

「中庭にドラゴン放って格闘中よ。ほら、ギャラリーの歓声が聞こえるわ。貴殿方への結婚祝いですって。私が既に素材の加工や売却は手配したわ。シャインちゃんは、出来上がりを楽しみにしててね。」

私の?しかもドラゴン?

「ほらほら早くしないとドラゴンが死んじゃうわ。折角生け捕りにしてきたのよ。スタンビートのボスで苦労したんだから。」

「良く言いますね。母上なら呪文1発。父上なら剣で一突きでしょうに。」

「私達は今は人間なの。業に入れば業に従え。敏腕魔法使いと、凄腕脳筋剣士よ。有り得ない力を振るう訳無いじゃない。生かさず殺さずは難しいのよ。シャインちゃんも、魔法使い系よね。私張り切って教えちゃう。」

何だか楽しそうなお義母様で一安心かも。クリーンにヒールだっけ。早速唱えてみたら、スッキリ楽になりました。着替えは…。アブソルートの視線の先のクローゼットを開ける。

・・・・・。

普段着は無いのでしょうか?しかもセクシードレスばかりなのは何故?

「あらあら。やはり男はダメね。自分の好みで誂えちゃう。確かにこれ等も良いけど、普段着では無いわよね。午前中は仕立て屋を呼びましょう。普段着もだけど、特にパーティードレスよ。際どけりゃ良い訳じゃない。絶対領域なの。特にシャインちゃんには初々しさを残さなきゃ!何よこのドレス!アブソルートは他の男に見せたい訳?こんなの下品過ぎるわよ。」

「いや。見せたくはない。正直、部屋から出したくない位だ。だが…。」

「ならこのドレスは全て直すわよ!良いわね!」

「シャインは妖艶だぞ?露出しても美しいと思うが…。」

「妖艶さの中に有る可憐さと初々しさよ!見える様で見えない。成熟する一歩手前の少女の美しさなの。こう言うドレスはこの先幾らでも着れる。新婚の一時は短いんだから!」

「はいはい。母上にお任せしますよ。だからこそこんなに早く来たのでしょ?但し夜は返して下さいよ。」

大丈夫よ!と、バンバンとアブソルートの背中を叩く。痛そう…。

「それにね。ちょっと問題も有るの。だからシャインちゃんを特訓するの。母からの愛のムチよ。」

私は辺境伯爵令嬢として、恥ずかしくない様にと特訓する事になる。私は赤子から結婚間際まで、悪魔の国で伯爵令嬢として暮らしていた。その為礼儀作法等の基本は大丈夫。しかし辺境伯爵令嬢としては、魔法や体術が出来ないとダメらしい。

?????

人間界での貴族令嬢に、それらが必要なの?悪魔の世界は力こそが正義。力は美しさにも比例する。つまり力なき者には、誰も従わない。私も落ち着いたら、力の制御を教わる予定だった。

「シャインなら大丈夫ですよ。教えなくても魔法が使えてる。体だってかなり鍛えてるぞ。辛い過去だろうが、それらがシャインを強くしたんだ。」

私は前世で、小学生の頃から新聞配達をしていた。両親には良く手を上げられた。少しでも強くなろうと、自転車を使う距離も徒歩でこなした。ボクシングをしてると言う配達のおじさん達と、毎朝トレーニングしながら働いてた。

「そうね。それらが全て貴女の力になってる。でもまだまだ力が眠ってる。それを引き出せば、魔法は詠唱なしで行ける筈。それに武器を持った事は無いでしょ?この世界では扱えた方が良いわ。我々は長生きなの。退屈しない様に色々楽しまなきゃ。」

「楽しみなら私が!」

「貴方の教える楽しみは室内遊技だけじゃ無い。それに強くなれば、シャインはますます美しくなるわ。貴方も嬉しいじゃない。」

アブソルートもお義母様には勝てないのね。私は舞踏会までの約1週間を、魔法と剣の特訓に明け暮れた。

お義父様の倒したドラゴンの素材で、私の戦闘服一式が作られプレゼントされた。これいつ使うの?

魔物を狩りに行くの?

まんまファンタジーね。

でも私が?

何故こんな事に…。

まあ楽しいから良いや!長ーい生なんだもの。どんな事でもやってやろうじゃ無い。遊び心が必要よね。

だって私は悪魔だもの。

アブソルートが側に居てくれる限り、私はこの世界で生き続ける。

「愛してるわ。」

「私もだ。」

「「親の前でイチャつくな!暑苦しい!!」」

*****

お義母様。お義父様。有難うございます。出来ればずっと居て下さい。

もっと沢山の事を教えて下さい。

毎日が本当に楽しいんです。

「私は楽しくない!シャイン不足だ!帰ったら覚悟しとけよ!」

嫌でーす。何事も程々が良いのよ。

*****
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