短編集

緋奈

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女神様の気まま旅

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前任者に「ついて行けなくなったら迷わず辞めるんだぞ?」と

言われたけど、この時は何言ってるだろう?と判らなかった。

それから30年経ったある日、女神様のところに行くと

「どこか遊びに行きたい」と地面に寝転がり手足をばたつかせ駄々を捏ね始めた。

ダメですと言うと収まらなくなりそうだから

「戻ってきてちゃんと仕事するならいいですよ」と言ったら

「準備してくる」と言い部屋を出て行ってしまった。

暫く待っていると銭湯と書かれたシャツとズボンという恰好で戻ってきた。

センスがない、女神が着るようなシャツじゃない。

「女神様だけ行かせると不安だからついて行きます」と言ったら、肉と書かれたシャツを渡された。

それを見てどこかでまともな服を買おうと決めた。

出かける前に、名前で呼ばないと変に思われるから名前で呼びなさいと言われたけど
女神様の補佐をする私が名前で呼ぶわけにはいかず、お嬢様と呼ぶことにした。

「それでどこに行くんですか?」と聞くと「大きな街を色々見てみたい」と
言うのでお城がある街を見て周ることにした。

「ここで待ってて」と言われ噴水のところに座って待っていると
見える範囲にある店で売ってる物全てを買い占めて戻ってきた。

「そんなに買ってどうするんですか?」

「持って帰って少しずつ食べるよ」

「そんなに食べたら太りますよ?」

「太らないもん」と言い泣き出した。

不謹慎だけどちょっと可愛い。

泣きやむのを待ち、次はどこに行くんですかと聞いたら

ダンジョンと言い出したので、行くことになった。

ダンジョンに入り、少し歩いたところで「罠がありますから不用意に触らないでくださいね」と
言ったけど返事がない。

振り返ると床に穴が開いていて女神様は居なかった。

仕方なく探しに行ったけど中々見つからず

やっと見つけたと思ったら火を起こし、何かの肉を串焼きにして焼いて食べていた。

「罠かもしれないから怪しい物に触らないでください」と言って
説教を始めたら、途中で「ねえ?」と話しかけられた。

「何ですか?話しはまだ終わってませんよ」と言うと

「お肉食べる?美味しいよ?」と言い串焼きを渡してきた。

これ以上説教しても無駄だと諦め、串焼きを食べてダンジョンを出た。

それからも山に行ってはドラゴンをペットとして連れてくる

森に行けば狼を捕まえてきて飼うと言い出す

雪山に行けば遭難したりとあちこちで問題を起こした。

気づけば出てきてから4年経っていた。

「女神様もう十分遊んだじゃないですか、戻って仕事しましょう?」と

言うと「まだ遊ぶ~」と言いどこかに行ってしまった。

何とか説得して仕事してもらうことは出来たんだけど

もうこれ以上女神様の補佐としてはやっていけないと思った。

かなりの間、振り回されて凄く疲れたのである。

ここにきて前任者の言ってたことが理解出来た。

私の前に補佐やってた人も同じ様に振り回されたんだろう。

そして私は補佐を辞した。





   ―完―
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