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第一章
25話 模擬作戦C班後半
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アリーナの中に入ると、言伝が待ち構えており彼女はルールの再確認を終えるとモニタールームへと消えていった。
「普通だったらその場にいる動物を使役するんだけど、今回は場所を明かせない上にバーチャル空間だから一匹だけ使役した動物を持ち込むように言われたんだ」
空間が作られていく中、きいは腕の中にいる黒い子猫の背中を撫でた。
「能力の制限がかかっちゃうから不利かもしれないけど、そこは臨機応変に対応してくれだってさー。無茶言うよね~」
「にゃー」
子猫はきいの言葉が分かっているのか、こくりときいに同情するように頷いた。
「猫ってさ、情報とか集めるのに一番適しているんだ。身体能力が高いからどこにでも潜り込めるし、すばしっこくて環境への適応能力もある……ってかなんか暗くないっ?」
きいが声を上げる。
「まさかとは思うけど……」
亮輔が汗を垂らした。
バーチャル空間が異様な変化を見せていた。今まで見たく、建物が出現しているわけではない。ただ暗くなっているだけだった。白の空間が黒に飲み込まれて行って、次第に近くにいるはずの互いの顔が認識できなくなり始める。
「ひとまずインカムをつけて。あとは手を繋いで離れないように……ってうわっ」
「何!?」
「体が飛ばされるよっ?」
「ーっ」
亮輔が一番近くにいたきいの手に触れようとしたその時ーふう達の体は宙に浮いた。そのまま磁石に引き寄せられるようにそれぞれ別々の方向に一直線に飛ばされる。
ー体の自由が利かない
ふうは何とか体を動かそうと試みるが、全身が固まって飛ばされるがままになる。
突然磁力が途切れたように引き寄せられる感覚が消えて宙に放り出された。ふうは地面に背中から落ちるのを回避する為に風を発生させて、その風に乗る。
ふうは状況を確認する為に周りを見渡した。しかし、何処を見渡しても黒い空間。仲間の姿も見えなければ、どこが地面なのかも分からない。
ー敵の姿は見えないけど、どこかに潜んでいるのは間違いない。ここが何処なのか分からない以上、下手に地面に降りるのも危険。優先すべきなのは全員一か所に集まること……
「みんな、聞こえる?」
ふうはインカムを通して仲間に問いかける。
『ああ、聞こえるよ』
『うん、声は問題なく聞こえる』
『暗すぎて何にも見えないよ~』
ひとまず仲間の声が正常に聞こえてきてふうは胸をなでおろす。
『まさか、真っ暗闇の中での作戦行動とはびっくりだ』
『一旦集合しないと。さっきのは、敵の能力だよね?』
きいの言葉にふうは頷く。
「うん。意図的に私達をバラバラにしたって感じがあるね」
『声を掛け合ってもいいけど、敵が潜んでいると考えたら下手に声を上げない方がいいかも~』
『それに、見えない中で動くのも危険だ。ただの暗闇じゃないかもしれない』
「ただ、あまり時間をかけるとまずいかも。敵が暗闇でも目が利く場合、私達は見えない敵と不利な戦いを強いられることになる」
『申し訳ないけど、俺はこの場から動けそうにないな。暗闇で動ける術は持っていない。この暗闇に目が慣れてくる可能性もなさそうだ』
『私も、動けないかも~』
ーインカムを通してしか、声が聞こえない。直ぐに行けるほど近い場所にはいない。
『ボクに任せて!この子が役に立つよ。猫は夜目が利くんだ。ボクはこの子と意識を共有して、猫目を使って情報をなるべく多く集める』
『ちょっと待て、藤江くん。意識を共有したら君の体は無防備な状態になるだろう?守ってくれる人がいなければ、危険だ』
『あはは、しんぱいしょーだなりょーくんは。少しくらいへーきだって!』
「きい。意識を共有したらすぐに魅輪くんを探して、自分の所に誘導して」
ふうは地面を探して、足をつけた。目をつぶって、風の流れに意識を集中させる。
『でも、そうしたら情報が……』
「まずは自分の安全を確保してから。情報を集めている途中できいが動けなくなったら意味が無い。迷ってる暇があったら、一刻も早く魅輪くんを見つけて情報を彼と、私達に頂戴」
お願いねとふうは優しい声色できいに告げる。
『……分かったよ、ふう。りょーくんを見つけてから、すぐに情報集めに入る』
諦めたようなため息と、柔らかい声がインカムに入ってきた。
「うん。花はそこを動かないで。私も風の動きである程度地形とか人の位置が分かるから、花の所に向かうね」
『わかった~』
会話を終えて、ふうは再び意識を集中させる。
【No.1014 コードネーム アネモス 常闇に凪ぐ飄風を呼びましょう】
全身で風の流れを感じる。
ー不自然な流れがあちこちにある。今動いているのは、きいだけ。一直線に目的をもって動いている人が一人。多分、これがきいだ。あとは彷徨うように動いている人が……1,2,3……。ん?一か所に集まっている?
「花!気を付けてっ」
ふうは足元に風を起こして体を浮かせると、敵だと思わしき三人が向かっている場所へと飛んでいった。
ーあの位置はきいが向かっていない方向。だとすると、敵が集まるとすれば花の所しかない
◇◇◇
ー全く周りが見えない。ここまで見えないと、怖い。私が使うつるの能力は地面に触れた場所から出すことができる。その後は自在に操れるけど、それは見えていることが前提だ。
『花!気を付けてっ』
ふうの焦った声がインカムから聞こえた。花は咄嗟にしゃがんで身を縮こませ、耳を澄ませる。複数の足音が確実に近づいて来るのが分かる。
ー敵からは私達が見えている?
花は地面に手をついて、敵襲に備える。
「何!?また、身体が……」
花の体が動かなくなった。先程と同じ様に磁石に引き付けられる感覚に陥る。抵抗しようとしても、身体が足音がする方に引き寄せられる。
金属が地面と擦れる音がした。
ーやられるっ
慌ててつるを出すが、何処にいるか分からない敵に当たることはない。
「花!」
突風が吹いた。桃色のツインテールが風に吸い寄せられるように上に巻き上がる。
ドサッと人が地面に叩きつけられる鈍い音がした。
「大丈夫?花」
花の手をふうが握った。花からはふうの姿は全く見えない。
「うん、ありがと~」
いつの間にか引き寄せられる感覚は無くなっていた。ふうの助けを借りて、花は立ち上がる。
「多分、きい達の所に一体。私達の所に三体敵がいる」
ふうはそう小声で言うと、花を抱き寄せた。
『ふうさん、蔓草さん。こっちは合流した!一体敵がいるけど、藤江君の体も無事だ』
「私達も合流したよ。多分、こっちには三体敵がいる」
『敵は全部で五体だよ。残りの一体は、遠くの方で息をひそめてる。ふう達の方にでっかい磁石を持っているやつがいる。多分そいつがボク達をバラバラにした犯人だ』
亮輔の作戦を聞いていると、再び風が吹いた。直後に耳元で風を切る音がする。
「花、こっちに向かってつるを出して!」
ふうは花の左手を掴むと花の手を斜め左後ろに誘導して方向を示した。花は地面に手をついて、言われた通りつるを出す。
「そこから12時の方向に2メートル!」
ふうの指示が飛んだ。花は言われた所につるを振り下ろした。何かが相殺される音がする。
「きい、そこからどんな能力を使っているか分かる?」
ふうはインカムに問いかける。
『ふうの右手側にエアカッターを使ってる敵、今はーちゃんが攻撃した先には泥団子みたいなのを飛ばす敵、ふたりの正面に磁石を持つ敵!』
「了解」
『二人とも、もう少し耐えられるか?』
亮輔の不安そうな声が花達の耳に届く。
「うん、大丈夫。君が考えてる、私達が一番輝ける最適な作戦を聞かせて」
ふうが優しい声色で亮輔を促す。
『きっと潜んでいるあいつがこの四体が暗闇でも俺達の姿を見えるようにしていると思うんだ。そいつを倒せば、圧倒的にこっちが有利になる。倒した後は、俺と蔓草さんは藤江くんの指示でふうさんのサポートをする』
『いっけー!!』
きいの声と、呻き声が聞こえた。
『猫ちゃんとりょーくんの連携で倒したよ!すぐにそっちに向かう!』
ふうの指示通りにつるを操作して攻撃を防いでいると、花達の方に向かってくる足音がはっきりと聞こえた。
「お待たせ、二人とも。今から藤江くんに半分猫と意識を共有してもらって指示を出してもらう。蔓草さんは、あの磁石使いを拘束して自由を奪ってくれ。俺はそいつを倒す」
「そしたら私は、魅輪くん達が連れてきた一体も含めた、残りの三体を倒せばいいんだね?」
「負担をかけるかもしれないけど、頼めるかな」
聞こえてきたのは申し訳なさそうな亮輔の声。
ー何だかりょーくんいっつも申し訳なさそうにしてるな~。
花が気になったのは、亮輔が何度も口にしている能力のこと。能力検査の時でさえも使おうとしなかった。エジャスターになる為には一定以上の強さの能力を持っていることが必要不可欠だ。能力を使わなければ、ここでは生き残れない。それでも尚頑なに使おうとしない理由……
きいは明らかに亮輔を気にしている。能力検査では同じ班だったから何か知っているのかも知れない。
花が気になったのはふうの言動。ふうは亮輔との関わりはないはずなのに、自然に彼が言いたくないことを言わなくていい様に、彼が花達に申し訳なさを感じない様に上手くフォローをいれていた。
「任せて。それが私の役割だから」
「ふうさんは空気の流れで敵の姿と攻撃が分かるんだよね?」
「うん。唯一攻撃が全く読めない磁石を持っている敵は君が倒してくれるんでしょう?だから大丈夫。ただ向こうが暗闇で何も見えなくなってるのなら、攻撃が読みにくくなるかも。そこはきいに任せるね」
暗闇の中から囁くような声が聞こえてくる。小声で話しているがはっきりと聞こえるのは四人が触れられるほどの距離にいるためだ。
敵の攻撃が突然止んだのは、暗闇で何も見えなくなったからだろうか。
「それじゃあ、それぞれ役割を全うしよう!」
おー!と小さく声を上げて花達は動き出した。
「普通だったらその場にいる動物を使役するんだけど、今回は場所を明かせない上にバーチャル空間だから一匹だけ使役した動物を持ち込むように言われたんだ」
空間が作られていく中、きいは腕の中にいる黒い子猫の背中を撫でた。
「能力の制限がかかっちゃうから不利かもしれないけど、そこは臨機応変に対応してくれだってさー。無茶言うよね~」
「にゃー」
子猫はきいの言葉が分かっているのか、こくりときいに同情するように頷いた。
「猫ってさ、情報とか集めるのに一番適しているんだ。身体能力が高いからどこにでも潜り込めるし、すばしっこくて環境への適応能力もある……ってかなんか暗くないっ?」
きいが声を上げる。
「まさかとは思うけど……」
亮輔が汗を垂らした。
バーチャル空間が異様な変化を見せていた。今まで見たく、建物が出現しているわけではない。ただ暗くなっているだけだった。白の空間が黒に飲み込まれて行って、次第に近くにいるはずの互いの顔が認識できなくなり始める。
「ひとまずインカムをつけて。あとは手を繋いで離れないように……ってうわっ」
「何!?」
「体が飛ばされるよっ?」
「ーっ」
亮輔が一番近くにいたきいの手に触れようとしたその時ーふう達の体は宙に浮いた。そのまま磁石に引き寄せられるようにそれぞれ別々の方向に一直線に飛ばされる。
ー体の自由が利かない
ふうは何とか体を動かそうと試みるが、全身が固まって飛ばされるがままになる。
突然磁力が途切れたように引き寄せられる感覚が消えて宙に放り出された。ふうは地面に背中から落ちるのを回避する為に風を発生させて、その風に乗る。
ふうは状況を確認する為に周りを見渡した。しかし、何処を見渡しても黒い空間。仲間の姿も見えなければ、どこが地面なのかも分からない。
ー敵の姿は見えないけど、どこかに潜んでいるのは間違いない。ここが何処なのか分からない以上、下手に地面に降りるのも危険。優先すべきなのは全員一か所に集まること……
「みんな、聞こえる?」
ふうはインカムを通して仲間に問いかける。
『ああ、聞こえるよ』
『うん、声は問題なく聞こえる』
『暗すぎて何にも見えないよ~』
ひとまず仲間の声が正常に聞こえてきてふうは胸をなでおろす。
『まさか、真っ暗闇の中での作戦行動とはびっくりだ』
『一旦集合しないと。さっきのは、敵の能力だよね?』
きいの言葉にふうは頷く。
「うん。意図的に私達をバラバラにしたって感じがあるね」
『声を掛け合ってもいいけど、敵が潜んでいると考えたら下手に声を上げない方がいいかも~』
『それに、見えない中で動くのも危険だ。ただの暗闇じゃないかもしれない』
「ただ、あまり時間をかけるとまずいかも。敵が暗闇でも目が利く場合、私達は見えない敵と不利な戦いを強いられることになる」
『申し訳ないけど、俺はこの場から動けそうにないな。暗闇で動ける術は持っていない。この暗闇に目が慣れてくる可能性もなさそうだ』
『私も、動けないかも~』
ーインカムを通してしか、声が聞こえない。直ぐに行けるほど近い場所にはいない。
『ボクに任せて!この子が役に立つよ。猫は夜目が利くんだ。ボクはこの子と意識を共有して、猫目を使って情報をなるべく多く集める』
『ちょっと待て、藤江くん。意識を共有したら君の体は無防備な状態になるだろう?守ってくれる人がいなければ、危険だ』
『あはは、しんぱいしょーだなりょーくんは。少しくらいへーきだって!』
「きい。意識を共有したらすぐに魅輪くんを探して、自分の所に誘導して」
ふうは地面を探して、足をつけた。目をつぶって、風の流れに意識を集中させる。
『でも、そうしたら情報が……』
「まずは自分の安全を確保してから。情報を集めている途中できいが動けなくなったら意味が無い。迷ってる暇があったら、一刻も早く魅輪くんを見つけて情報を彼と、私達に頂戴」
お願いねとふうは優しい声色できいに告げる。
『……分かったよ、ふう。りょーくんを見つけてから、すぐに情報集めに入る』
諦めたようなため息と、柔らかい声がインカムに入ってきた。
「うん。花はそこを動かないで。私も風の動きである程度地形とか人の位置が分かるから、花の所に向かうね」
『わかった~』
会話を終えて、ふうは再び意識を集中させる。
【No.1014 コードネーム アネモス 常闇に凪ぐ飄風を呼びましょう】
全身で風の流れを感じる。
ー不自然な流れがあちこちにある。今動いているのは、きいだけ。一直線に目的をもって動いている人が一人。多分、これがきいだ。あとは彷徨うように動いている人が……1,2,3……。ん?一か所に集まっている?
「花!気を付けてっ」
ふうは足元に風を起こして体を浮かせると、敵だと思わしき三人が向かっている場所へと飛んでいった。
ーあの位置はきいが向かっていない方向。だとすると、敵が集まるとすれば花の所しかない
◇◇◇
ー全く周りが見えない。ここまで見えないと、怖い。私が使うつるの能力は地面に触れた場所から出すことができる。その後は自在に操れるけど、それは見えていることが前提だ。
『花!気を付けてっ』
ふうの焦った声がインカムから聞こえた。花は咄嗟にしゃがんで身を縮こませ、耳を澄ませる。複数の足音が確実に近づいて来るのが分かる。
ー敵からは私達が見えている?
花は地面に手をついて、敵襲に備える。
「何!?また、身体が……」
花の体が動かなくなった。先程と同じ様に磁石に引き付けられる感覚に陥る。抵抗しようとしても、身体が足音がする方に引き寄せられる。
金属が地面と擦れる音がした。
ーやられるっ
慌ててつるを出すが、何処にいるか分からない敵に当たることはない。
「花!」
突風が吹いた。桃色のツインテールが風に吸い寄せられるように上に巻き上がる。
ドサッと人が地面に叩きつけられる鈍い音がした。
「大丈夫?花」
花の手をふうが握った。花からはふうの姿は全く見えない。
「うん、ありがと~」
いつの間にか引き寄せられる感覚は無くなっていた。ふうの助けを借りて、花は立ち上がる。
「多分、きい達の所に一体。私達の所に三体敵がいる」
ふうはそう小声で言うと、花を抱き寄せた。
『ふうさん、蔓草さん。こっちは合流した!一体敵がいるけど、藤江君の体も無事だ』
「私達も合流したよ。多分、こっちには三体敵がいる」
『敵は全部で五体だよ。残りの一体は、遠くの方で息をひそめてる。ふう達の方にでっかい磁石を持っているやつがいる。多分そいつがボク達をバラバラにした犯人だ』
亮輔の作戦を聞いていると、再び風が吹いた。直後に耳元で風を切る音がする。
「花、こっちに向かってつるを出して!」
ふうは花の左手を掴むと花の手を斜め左後ろに誘導して方向を示した。花は地面に手をついて、言われた通りつるを出す。
「そこから12時の方向に2メートル!」
ふうの指示が飛んだ。花は言われた所につるを振り下ろした。何かが相殺される音がする。
「きい、そこからどんな能力を使っているか分かる?」
ふうはインカムに問いかける。
『ふうの右手側にエアカッターを使ってる敵、今はーちゃんが攻撃した先には泥団子みたいなのを飛ばす敵、ふたりの正面に磁石を持つ敵!』
「了解」
『二人とも、もう少し耐えられるか?』
亮輔の不安そうな声が花達の耳に届く。
「うん、大丈夫。君が考えてる、私達が一番輝ける最適な作戦を聞かせて」
ふうが優しい声色で亮輔を促す。
『きっと潜んでいるあいつがこの四体が暗闇でも俺達の姿を見えるようにしていると思うんだ。そいつを倒せば、圧倒的にこっちが有利になる。倒した後は、俺と蔓草さんは藤江くんの指示でふうさんのサポートをする』
『いっけー!!』
きいの声と、呻き声が聞こえた。
『猫ちゃんとりょーくんの連携で倒したよ!すぐにそっちに向かう!』
ふうの指示通りにつるを操作して攻撃を防いでいると、花達の方に向かってくる足音がはっきりと聞こえた。
「お待たせ、二人とも。今から藤江くんに半分猫と意識を共有してもらって指示を出してもらう。蔓草さんは、あの磁石使いを拘束して自由を奪ってくれ。俺はそいつを倒す」
「そしたら私は、魅輪くん達が連れてきた一体も含めた、残りの三体を倒せばいいんだね?」
「負担をかけるかもしれないけど、頼めるかな」
聞こえてきたのは申し訳なさそうな亮輔の声。
ー何だかりょーくんいっつも申し訳なさそうにしてるな~。
花が気になったのは、亮輔が何度も口にしている能力のこと。能力検査の時でさえも使おうとしなかった。エジャスターになる為には一定以上の強さの能力を持っていることが必要不可欠だ。能力を使わなければ、ここでは生き残れない。それでも尚頑なに使おうとしない理由……
きいは明らかに亮輔を気にしている。能力検査では同じ班だったから何か知っているのかも知れない。
花が気になったのはふうの言動。ふうは亮輔との関わりはないはずなのに、自然に彼が言いたくないことを言わなくていい様に、彼が花達に申し訳なさを感じない様に上手くフォローをいれていた。
「任せて。それが私の役割だから」
「ふうさんは空気の流れで敵の姿と攻撃が分かるんだよね?」
「うん。唯一攻撃が全く読めない磁石を持っている敵は君が倒してくれるんでしょう?だから大丈夫。ただ向こうが暗闇で何も見えなくなってるのなら、攻撃が読みにくくなるかも。そこはきいに任せるね」
暗闇の中から囁くような声が聞こえてくる。小声で話しているがはっきりと聞こえるのは四人が触れられるほどの距離にいるためだ。
敵の攻撃が突然止んだのは、暗闇で何も見えなくなったからだろうか。
「それじゃあ、それぞれ役割を全うしよう!」
おー!と小さく声を上げて花達は動き出した。
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