コード・エデン

かりん

文字の大きさ
2 / 17
第一章 邂逅

惑星777(トリプルセブン)

しおりを挟む
二人の目的地は宇宙の辺境に浮かぶ巨大コロニー、777(トリプルセブン)

そこは銀河中の富裕層とギャンブラーが集う、欲望と金が渦巻く惑星型スペースコロニーだった。

コロニー全体が巨大なカジノ都市となっており、ネオンが輝く摩天楼が立ち並ぶ。煌びやかなライトと電子広告が夜空のような人工天井を照らし、昼夜の区別を曖昧にしている。

表向きは合法のカジノや娯楽施設が軒を連ねているが、裏では違法賭博、密輸、買収が横行し、あらゆる犯罪者や闇の取引が暗躍している。

コロニーの中心には、銀河でも屈指の規模を誇る「セブンス・パレス」がそびえ立つ。これはトリプルセブン最大のカジノであり、政財界の大物から裏社会のボスまでが集う権力と金の象徴だった。

ここでは、運だけでは生き残れない。
知恵、度胸、策略――すべてを駆使しなければ、あっという間に食い物にされる。

レイナとレグザの目的地は、そんな混沌とした惑星だった。

宇宙船内、トリプルセブンへの航行中。

レグザが操縦桿を握りながら気楽な調子で口を開く。

「そういや、お前トリプルセブンに行ったことあるか?」

副操縦席のレイナは目を閉じたまま、わずかにまぶたを動かす。

「……何回か」

レグザが片眉を上げ、興味深そうに笑う。

「へぇ、仕事で?」

「……そう」

「で、どうだった?」

レイナは一瞬沈黙し、淡々と答える。

「……騒がしい」

レグザは吹き出すように笑い、肩をすくめる。

「はは、そりゃそうだ。金持ちどもがギャンブルに明け暮れてる場所だからな。お前みたいなのには合わねぇか」

レイナは無言のまま、再び目を閉じる。

「そういや、お前ギャンブルとかやったことあるのか?」

レイナは目を閉じたまま答える。

「……ない」

レグザがニヤッと笑う。

「だろうな。お前、賭け事とか興味ねぇだろ」

「……興味ない」

「だよな。ま、俺も大勝負はしねぇけどよ」

レグザは片手をひらひらと動かしながら、軽い口調で続ける。

「負ける勝負はしねぇってのがコツだな」

レイナは何も答えない。

ただ静かに目を閉じたまま、船の振動を感じている。

レグザはそんな彼女をチラッと見て、ふっと笑う。

久々に会話が続いたのが嬉しいのか、口元が緩んでいる。

「久々にお前とこうやって話した気がするな」

レイナは特に反応しないが、レグザは気にする様子もなく、相変わらず楽しそうに操縦を続ける。

宇宙船はそのまま、惑星トリプルセブンへと進んでいった。

_________


宇宙船がゆっくりと金持ちの集まるトリプルセブンの港へ降下していく。

周囲には整然としたビル群が立ち並び、地上では豪華な衣服を纏った人々が行き交い、明るい音楽と楽しげな笑い声が響いていた。

船のランプが点灯し、ハッチが開く。

「ふぅ~、やっぱり都会の空気は違うな!」

レグザが腕を組んで辺りを見回し、満足そうに鼻を鳴らす。

その横で、レイナは足を踏み出したものの、人混みと喧騒に顔をしかめた。

「……騒がしい」

「ははっ、お前はどこ行ってもそう言うな」

レグザは肩をすくめると、軽快な足取りで歩き出した。

レイナも黙ってついていく。

コロニーの通りは活気に溢れ、通りには屋台や露店が並び、高級そうな飲食店やブティックが連なっている。

すれ違う人々は二人のことを一瞥し、特にレイナの黒いコート姿に一瞬目を留めるが、すぐに視線を外していく。

「お、いい匂いがするな」

レグザが足を止め、屋台を見つめる。鉄板の上で何かが焼かれ、香ばしい煙が立ち上っていた。

店主が愛想よくレグザに声をかける。

「お兄ちゃん、いい嗅覚してるね! ここの名物だよ、食ってくかい?」

「そりゃいいな! じゃあ二つ――」

言いかけて、レグザはちらりとレイナを見る。

「……いらない」

レイナはそっけなく答えるが、レグザは苦笑して一つだけ注文した。

「お前も少しは楽しめよ」

言いながら、ひと口食べる。

しばらく歩いた後、レイナが無言で横目でレグザの食べかけを見ていることに気づくと、レグザはにやりと笑い、残りを差し出した。

「本当にいらねぇのか?」

レイナは黙ってそれを受け取り、小さく一口かじる。

しかし特に感想もなく、黙々と食べ終えた。

「……お前、もうちょいリアクションってもんがだな……」

レグザは呆れながらも楽しそうに笑い、二人は依頼主の待つ屋敷へと向かった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...