コード・エデン

かりん

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第一章 邂逅

廃棄コロニー

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目的の場所はかつては最先端の研究施設として栄えていたコロニー。

ここでは軍事技術やバイオテクノロジーの研究が行われ、多くの科学者が集まっていた。

しかし、ある時、施設内で原因不明の事故が発生。

実験が失敗し、その影響で施設全体が深刻なダメージを受け、最終的には閉鎖されることとなった。

その後、政府や企業はこのコロニーを放棄し、忘れ去られた場所となった。

今では廃墟と化し、宇宙の片隅にひっそりと存在する【死のコロニー】として知られている。

レグザ号は宇宙の暗闇を滑るように進んでいた。

「さて、お次は廃棄コロニーってわけか」

 操縦席に座るレグザが、航路を確認しながらつぶやく。

レイナは無言のまま、横のパネルでレグザ号の砲撃システムのチェックをしていた。

「レイナは廃棄コロニーって行ったことあるか?」

 レイナは少し考え、短く答える。

「……ない」

「まぁ、そりゃそうか。あんな場所、好き好んで行くヤツなんざいねぇもんな」

レグザは軽く笑いながら、座席を傾ける。

カティーシャから受けた依頼は、廃棄コロニーにある荷物の回収。

詳細は伏せられていたが、カティーシャの態度からして、ただの物資ではなさそうだった。

「なあレイナ、やっぱり気にならねえか? 何を運ぶのかって」

レイナはわずかに目を細める。

「……仕事だから」

「ったく、お前はほんとにブレねえな」

レグザは肩をすくめ、スロットルを軽く押し込む。

「まあ、何が待ってるかは着いてからのお楽しみってとこだな」

レグザは、星図を表示した端末をちらっと確認した後、ゆっくりと背もたれに体を預けた。

「よし、廃棄コロニーまでは結構な距離だし、オート操縦に切り替えよう」

レグザはコックピットの前方にある操作パネルを軽く叩き、艦の操縦系統に指示を送った。すると、レグザ号の操縦が自動モードに切り替わる。

レイナは、ただ無言で外の景色を眺めていた。

宇宙空間の静寂の中で、レグザの軽快な言葉が響く。

「じゃあ俺は少し寝るわ…」

レグザは腕を組み、リラックスした様子でシートに深く身を沈めた。

レイナはその言葉に返事をすることなく、黙って座っていたが、目を閉じて休むでもなく、ただ静かに目の前の広がる星々を眺め続けた。


_________



宇宙船は静かに進んでいった。

レグザはコックピットのシートでゆったりと体を預け、眠っていたが、その心地よさもつかの間、アラーム音が響いた。

「おっと、もうすぐだな」

レグザは目を開け、操作パネルに視線を向ける。

そこには廃棄コロニーの周辺に近づいていることを示す警告が表示されていた。

レイナは相変わらず無言で座っていたが、目を細めて、コックピットの窓から外を見つめた。

数時間にわたる航行の末、ついに廃棄コロニーがその姿を現す。

コロニーは暗闇の中でかすかな光を放ち、崩れた外壁やひび割れた建物が、長年の年月を感じさせる。

かつて栄華を誇った施設が今や無人で、静寂に包まれている。

レグザは操縦桿を調整しながら、コロニーの浮遊する残骸の中を慎重に進んでいった。

「着陸準備するぞ、用心しておけよ」

レグザが低い声で呟くと、レイナが静かに立ち上がり、コックピットの後ろへと向かう。

「さて、いよいよだな…レイナ、準備はいいか?」

レグザが振り向いて声をかけると、レイナは短く頷く。

レグザは再び外を見つめ、廃棄コロニーに接近する。

真っ暗な宇宙の中で、ただ一つの光点として浮かぶコロニーが、まるで沈黙を守っているようだった。

「到着したら、まずは慎重に探索だ。危険はどこにでも潜んでるからな」

レグザの言葉が、重く静かな空間に響く。船がゆっくりとコロニーに向かって進んでいく。

レグザ号が静かに廃棄コロニーの表面に接近し、荒れ果てた地面に向かってゆっくりと降下していった。

コロニーの周囲には、錆びついた構造物や崩れた壁が散乱しており、かつての活気を感じさせるものはどこにもなかった。

暗闇の中で微かな光を放つレグザ号の姿が、周囲の無人の廃墟にしっかりと対照的に浮かび上がる。

「着陸態勢、整った」

レグザが冷静に呟き、慎重に操縦桿を操作した。

宇宙船が低くなり、最後の微調整が施される。

「着陸するぞ」

船が着陸地点に近づくにつれ、コロニーの荒廃した姿がよりはっきりと見えてきた。

レグザが最後の調整を入れると、宇宙船は無音で地面に軽く着陸した。

レグザはシートから身を起こし、エンジンを静かに切る。

周囲の音がすべて消え、静寂が包み込む。

レイナはその動きを待っていたかのように、すぐにコックピットから出る準備をする。

レグザはハッチを開ける。

ハッチが開くと、冷たい空気とともに、無音の世界が広がった。

二人はタラップを下り廃棄コロニーの地面に降り立つ。

足元には崩れたパネルや鋭い金属の破片が散らばり、遠くには廃棄された機械の残骸がうっすらと見える。

薄い霧が地面を覆い、すべてが不気味に沈黙していた。

「ここが、廃棄コロニーか…」

レグザがつぶやくと、すぐに足を踏み出す。

レイナもその後に続き、音もなく地面を踏みしめながら、少し離れた場所にあるかすかな明かりを目指して歩き出した。

「気をつけろよ。何が待ってるか分からないからな」

レグザは軽い声で言いながらも、慎重に足を進めていった。
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