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公爵家に舞い降りた天使
しおりを挟む「生まれましたわ!奥様!!」
「ああ、良かったわ。元気に生まれてきてくれたのね!」
お祝いムードに包まれる部屋。
ここは公爵家。
たった今、1人の少女が生まれた。
後に、悪役令嬢となる少女。
少女の名は────
「イベリス。この子はイベリス・アクアマリアよ。イベリスのように可憐で、心を惹きつける子になりますように。」
イベリス・アクアマリア。
イベリスの花言葉は、初恋の思い出、心を惹きつける、甘い誘惑、そして、
無関心
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「お嬢様、おはようございます……っ!!!」
私の顔を見て鼻血を出して倒れた侍女。
はあ、また代わるのね。
今日は暑かったから少しだけ頬を赤くしてただけなのに。
ホントに生きにくい世界。
ああ、でも、所謂人生イージーモードなのかしら?
私はイベリス・アクアマリア。
突然だけど私には前世の記憶というものがある。
私の前世は、役者さんだった。それも、数百年に一度の天才と言われるほどの。
実際は、本当の自分が嫌いで、相手にどう見えるかも計算し尽くしてその通りに振舞った結果、取り繕って自分以外の自分を創るのが上手くなっただけなんだけどね。
まあ、それは良いの。
それで、私は死んじゃったのよね。
死因は覚えてないけど。
私は綺麗に死ねたのかしら。
最期が汚い女優なんて、そんなの嫌じゃない?
そして私が転生したのは、イベリス・アクアマリア。
この子は、私が死ぬ前に出演が決まっていたドラマの登場人物。
そのドラマは原作が少女漫画でね、複数の男の子が1人の女の子を取り合う話なの。
イベリス・アクアマリアはその悪役。
主人公を苛め抜いて断罪されるのよね。
私が前世でやると決まっていた役は、主役の女の子。
ああ、良かったわ。逆ハーレムの主人公だなんて、気持ちが悪すぎて、毎晩吐く。絶対に。
その点では、イベリスになれて本当に嬉しい。
悪役って皆に嫌われるからね。
私、逆ハーレムもハーレムも嫌いなのよね。
まず主人公が嫌い。いろんな人を愛しているとか、平等に好きだから、選べないだなんて、バッカじゃないの?気持ち悪いわ。
でも、攻略対象?も嫌い。逆ハーレムのやつらは特に。とりあえず自意識過剰すぎなのよね。ただただキモい。そもそも立場を使って主人公を逃げれなくしてくるやつが嫌い。
台本読んだだけで鳥肌が凄くて、気持ち悪かったわ。この世の終わりかと思ったの。
まあ、そんなことどうでもいいわ。
私はイベリスになってからも、どうすればイベリスが1番美しく見えるかを研究したの。
だから、そうね。
私はどれだけ私の容姿が優れていなかろうと、自分を平均以上に魅せられる技術を持っていると自負しているわ。
不必要な謙遜は身を滅ぼすからね。
なんでこんな話をしたかって言うとね。
私、イベリスはね、絶世の美女なの。本当よ?
真っ白で雪のような肌。薔薇色で柔らかそうな唇。影を落とすほどの長くて多いまつ毛に縁取られた瞳は、とっても綺麗な桜色。絹のようにサラサラでつやつやな、腰までのびた長い髪は淡い水色。今はまだ少女だからスタイルは分からないけど、細くて触れたら折れてしまいそうな身体。
まあまだ絶世の美少女だけどね。
だからね、私を見ると皆倒れちゃうの。
私が巷でなんて呼ばれてるか知ってる?
公爵家に舞い降りた天使 、よ?
笑っちゃうわ。私が天使だなんて。
だから、私は天使を演じるの。
人とは一風変わった神秘を魅せるの。
神秘的に感じさせるコツは、儚げな印象を醸し出すこと。
目は伏し目がち。決して人を直視せずに。
口元には微笑みをたたえて。
自嘲するような笑みで、人を惹き付けるの。
そう、言うならば私は、なにかの咎を背負い下界に堕とされた悲劇の天使。
あら?まるで悪役令嬢みたいじゃない?
ふふ、意図せず悪役令嬢になるだなんて、イベリスは流石ね。
ああ、そうなると私は主人公をいじめたほうがいいのかしら?
いえ、必要ないわね。
天使は万人に平等だから。誰か1人を好いたり、嫌ったりはしない。
よし、これでいいわ。
私はイベリス・アクアマリア
公爵家に舞い降りた天使
全てを平等に愛して、全てを平等に憎み、全てに対して無関心な、非愛の天使
【生まれ落ちた時から、死ぬその時まで、私は私を演じよう】
あの日誓ったこの信条を誰にも悟らせない。
全ては大衆のために。
それだけが私の存在意義だから。
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