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第五話
しおりを挟む目が覚めてからリハビリを頑張った結果、一カ月たった今日漸く退院できる事になった。祐未が会計を終えて玄関に行くとお世話になったお医者さんや看護師さん達、美村さんもいて病院て知り合った患者さん達もたくさんの人達が俺の退院を喜んでくれた。
「お世話になりました!」
病院の人達に挨拶をして車に乗る、電車通勤だったので休みの日にしか乗らないが国産のワンボックスカーが愛車だ。祐未が運転してきてくれたがお世辞にも上手いとは言えない運転なので何とか自分で運転できないかと思う。ただ今の身長では前が見えないから上げ底でギリ見えるかな……
「なあ、ちょっと何処か寄っていかないか?」
「駄目よ、貴方まだ病み上がりでしょ?とりあえず家に帰って休んでてよ。そうね、明日買い物に行きましょ、貴方の服とか揃えなきゃいけないし。明日だったら休みだし美奈と翔太も一緒に行けるわよ。」
「はいはい……」
やっと退院できて羽根を伸ばそうと思ったけどここは大人しく祐未の言うことを聞くことにした、まあ急がなくても暇だしな。
「あ……なた…貴方……」
「んあっ?」
「ほら、着いたわよ。よく寝てたわ、ふふ……」
いつの間にか寝ていたらしい、祐未に起こされ窓の外を見ると車は止まっていて我が家のガレージの中だ。睡い眼を擦りながら車を出ると半年振りの我が家だった。
市街の南の方、もう10分もすると他の市になる外れに家はある。5年前に中古の一戸建てを買った、まだ建ったばかりで綺麗だったので気になって不動産屋に前の人の事を聞くと教えて貰えなかった、まあ守秘義務があるからだろうがその謎は噂話とかが好きそうな近所の人が教えてくれた。普通の仲良さそうな三人家族だったが、ある時父親と娘に子供が出来たらしい。まあ所謂近親相姦だったみたいで夫婦は離婚し娘は母親に引き取られたが子供は既に五カ月で堕ろせなかったらしく何処かで子供を産んだとか……
まあ家はそんな事はないだろうし俺もこんな身体になっちまったから大丈夫だろうけど気をつけないとな……
「ただいまぁ……」
玄関に入ると半年前と変わらない家だ、まあカレンダーや小物とかは変わってるが懐かしさが浸みてきた。年取ったかな、俺……
「ここが貴方の部屋よ、とりあえず昼ご飯にするからこれに着替えてね。」
「あれ?これって……」
その部屋は物置に使われてた部屋で綺麗に片付けられてて如何にも女の子の部屋って感じだ。祐未と美奈がやってくれたんだろうな、それからそこにあった着替えは……
「これって美奈のお下がりじゃね?」
「そうよ、明日買いに行くけど貴方が女の服は嫌だって文句ばっかり言うから買いに行けなかったのよ、下着だけは流石に新しいのを買ってきたから。」
う、何も言えない……大体今着てるのだって女子服が嫌だからって翔太が小さい頃着てたシャツとズボンだからな。下着もグ○ゼのシャツとブリーフだし……
「じゃあ昼ご飯の用意をするから着替えてね。」
戸惑っている俺を置いて祐未は部屋を出て行く、仕方なく下着から手に取ると黄色のキャミソールと女子の白パンツだった。しかも小学生とか女児が履くようなのだった。キャラとかのプリントがされてないだけましか……
「はあ……」
溜息をつきながら全裸になりキャミとパンツを履く、次は……
「なんでよりによって……」
用意されてたのは水色のワンピースだった、これは確か美奈が小学3年ぐらいに着てたやつじゃ……
悔しいけどピッタリだった、ちょっとヘコむなぁ……
「おーい、着替えたぞ~」
「は~い、じゃあご飯にしましょ……って、貴方!」
「えっ!?な、なんだよ??」
急に怒鳴られてビックリした、祐未に怒られるのは何年ぶりかな……
「ショーツの中にワンピースが入ってて丸見えじゃない!気がつかなかったの?」
え?いくら何でもそんな間違いするわけが……
「あっ!?ま、マジかよ?ボケちまったのかな、俺……」
「それから!何その言葉遣い?もう貴方は女の子なんだからちゃんと女の子っぽく喋らなくちゃ駄目でしょ?」
「え~……まだ学校とか行かないんだし大丈夫だろ、その時になったらちゃんとやるからさ。」
「ダメ!今から直しておかないと直ぐには治らないわよ、わかった?」
怖いよ、祐未……まあ一理あるかもだから言うことを聞くか、ホント母親だな……
「ふぁ~い……」
せっかく退院してきたと思ったらまた勉強かよ、女の子になるのって大変だなあ……
応援ありがとうございます!
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続きが楽しみです
ありがとうございます、
感想が嬉しくて急ピッチで続きを書いてますのでもう暫くお待ちください。