記者会見(c/w大好きな人)

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記者会見(c/w大好きな人)

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1:記者会見

  ぷるるるるる。

「はい田中です」

「オレオレ、カフェオレ」

「は?」

「カフェオレ。オレ、カフェオレ」

「なんなんだ!!!」

 記者会見。フラッシュの嵐。悲しいよな。とある島国の総理大臣が、オレオレカフェオレ詐欺をしてたなんてさ……!

 あまりに情けないよ。バカ丸出しじゃん。あー、情けなくて涙が出らあ。

 けど、情けないのは記者どもも同じさ。

 記者がしつこくしつこく質問する。ハイエナみたいなやっちゃ。他にすることねえのか。暇人が。(いやいや、それが記者の仕事だろ。否定しちゃ、かわいそうだよー)

「総理!なんでやったんですか!」

「お金に困って。パチンコに行きたくて」

「被害者に申し訳ないと思わないんですか!」

 総理はハンカチで汗を拭きながら、正直に答えた。うそはだいたいバレるからね。そりゃ、「申し訳なかったです」とうそをこけば、その場は丸く収まる。でも、うそにうそを重ねると不健全だから、総理は正直に答えたってわけさ。

「えっとそのう。30万、貧しいおばあちゃんから騙しとったときは胸が痛みましたが、二億円を金持ちババアから騙しとったときは、そうでもありませんでした……」

 確かに。不思議。

 でも、良い子は真似しちゃやだよ。詐欺は犯罪です。金額、関係ない。

 そういえば、筒井康隆が著作権フリーの本で、よれよれのお札はきれい、真新しいお札は汚い、そう感じるのはなぜ、みたいなことを書いてた。あれも不思議。

 今年の元旦に作者の父親が他界。生前、作者が低賃金に苦しんでるのを見た父親が、よれよれの千円札をくれた。年金少ないのに。

「返さなくていいからね」

「親父……」涙がポロポロ流れた。

「総理!総理!総理!おいカメラマン!オレはこっちからの方がかっこよく見えるんだ。きちんと撮れ。それにしても総理。4億円も何に使ったんですか。パチンコとか云わないでくださいよ」

「防衛費が足りてないので、足しにしました。下っぱ軍人の給料を上げて、国防が少し充実しました。真面目に戦ってくれるようになりました。今まではふざけてばかりだったので、負けてばかりでしたが、これからは勝てるようになります。残りは妻に巻き上げられました」

 フラッシュ!フラッシュ!フラッシュ!

 フレッシュ!(ちがう)

「おバカですね。詐欺で稼いだお金で、国を守っても、国民は納得しませんよ。総理。あなたはおバカです」

「くううう」

 総理はアパートに帰る。四畳半。風呂はない。外では、野良犬が不気味に吠えている。総理は悔しくて悔しくて、泣いた。わんわん泣いた。

「どいつもこいつも総理なめやがって」

 妻が、トカゲのスープを作りながら、ゲラゲラ笑った。

「一国の総理なのに情けないね、あなた」

「お前、もうブランドものを買うのをやめておくれよ」

「転職しなよ。もっと所得のいい仕事しなよ」

「いやだ。オレは内閣総理大臣という仕事に誇りを持ってるんだ。たとえ低賃金でも」

「そんなあなたも好き」

 妻が総理の頬っぺたにキスをした。総理は顔が赤くなる。なんだかんだゆうて、妻が好きなのだ。「飯食ったら、銭湯行くか」「いいわね」

 雨が降った。激しく。激しく悲しく切なく。

 ざああああああああ。

 Am7。

 総理は炎天下、道路工事をしていた。徳川埋蔵金が出てきた(うそ)

「ひいひい。疲れた」「おい総理。手を休めんな」「もうやだよう」「甘えんな」汗がだらだら流れる。総理の仕事だけでは食べていけない。生活のためだ。しょうがない。あまり肉体労働は好きではないけど、妻を悲しませてはいかん。妻にブランドもの買ってあげたい。総理は優しいのだ。「甘いだけじゃん。甘エビじゃん」

  誰だ、お前。

「別に。じゃあね!」

  走って行ってしまった。なんなんだ。

  まあ、いいや。さて。

 工事してる途中、腰が痛くなってきた。総理も歳だ。もうあかん。死ぬ。

「死んでたまるかーーーーっ」

 休憩。木陰は涼しい。風が吹いて、いい感じ。

 山ちゃんが総理におにぎりあげた。総理はトカゲの唐揚げをあげた。二人は仲良し。記者会見ごっこをする。したいから、する。当たり前だろーよ。へへっ。やるじゃん。

「総理!なぜ増税するのですか!」

「わからん。オレは頭が悪い。わからん、そんな難しいこと」

「増税をやめてください!」

「いいよ。その代わりキスして」

 山ちゃんは嫌がった。男同士だからね。

「総理!総理!なぜですか!」

「何が」

「総理!総理!総理!」山ちゃんがやかましい。総理はうんざり。山ちゃんの頭を竹刀で叩いた。「うわあああん。うわあああん」

「泣き声もやかましい」総理は耳をふさぐ。

 現場監督が、おい山ちゃん、総理、休憩終わりだぞとゆった。「はーい」

 炎天下。延々と。えんやこらと。

「がんばってるじゃん」

  だから、誰なんだよ、お前は。

「別に。じゃあね!」

  また走って行ってしまった。なんなんだよ。

 まあいいや。とにもかくにも、真面目が一番ってわけさ。

 総理は一万円もらった。ほんとは、8000円だけど、現場監督がおまけしてくれた。総理ががんばったからね。現場監督も味なことしやがる。

  総理は、トカゲの串焼き買って、アパートに帰った。

 いきなり妻が、総理の頭を竹刀で叩いた。「え?なに?」「可南子って誰よ!」げ。浮気がバレた。なぜだ?

 なぜバレた?

 総理は、なんと、可南子といろいろしていた。可南子って誰やねん。

 詳しくは、外務事務次官に聞いてくれ!

 外務事務次官は何でも知ってる。

 総理は、妻に土下座した。悲しいよね。情けないよね。まあ、別にいいよ。人生、長いからね。オールオッケー。

「キスしてくれたらゆるす。あたし欲求不満なの」

「わかった」

 総理は妻の唇を奪った。

 フラッシュ!フラッシュ!フラッシュ!

「うおいっ」総理が怒鳴ったら、カメラを持った雑誌カメラマンが、電柱から落ちた。アスファルトに激突。「痛い!」カメラは無事。自身を犠牲にして、商売道具を守った。さすが、プロ。

 雑誌に、キスしてる写真が載ってしまった。

 記者会見。

「総理!キスなんてしていいんですか!」

「いかんけど、ゆるして」

 作者は思う。妻だからいいのでは???

 やらしいけど!

 オレも、好きな女の子とキスしたいな!

「総理!どんなキスをしたのですか!」

「説明するのが難しい。すごいキスをしたよ」

「やってみてください」

「いやだ」

「生意気云わないでください!!!」

 記者が無礼をゆうから、総理はカッとなった。拳銃で、ぱんと、記者を撃った。「うきゃああああああ」

 くだらん!!

 真面目に書こう!!真面目が一番さ!!!

 撃たれた記者は血まみれになりながら怒った。鬼のような形相だ。「怖い。もっとニコニコしなよ」「やかましい。くされ外道が」

復讐だろうか。厳しい質問を総理に投げかけた。

「総理。総理はホモだとゆう噂がありますが本当ですか」

 総理は正直に答えた。嘘はだいたいバレるからさ。

「半分ほんとです。オレは男も女もいけます。かわいらしい女を抱きたいのはもちろんですが、カッコいい男子に抱かれたいと思うときもあります」

「恥ずかしくないんですか」

「恥ずかしくありません」

 記者はイライラする。なんなんだ。こいつ、総理のくせに、なめた口叩きやがって腹立たしい。と、総理の前まで歩き、総理の頭を竹刀で思いきり叩いた。総理は泣きそうだ。

 というわけで、総理は悲しみを吹き飛ばすために、変なダンスをした。「よっよっ。よよよい。総理っ。よよいよい。総理っ」

 愉快なダンス、いわゆる総理ダンスである。これには記者たちも大喜び。手を叩いてどよめいた。

 はっはっは。さすがは総理だな。大したエンターテイメント性だぜ。

 しかし。

 真面目な記者もいた。

 マジ太郎である。マジ太郎はあまりにあまりに真面目でユーモア感覚が乏しかった。だから、総理が、大事な記者会見で、踊るなんてふざけた行為をしたことがゆるせなかった。確かに、文学性は弱いね。わかるよ。

 マジ太郎は、総理の頭にマヨネーズをかけた。(それが、ふざけてる!!!気づいてないマジ太郎は、天然だな。)

「ふええん。いじめないで。マヨネーズやめてえ」「うるさい。ふざけるなら殺すぞ」

 総理は悔しくて悲しくて爆発しそうだ。何かいい方法はないか……!!

 ケチャップでマジ太郎の頭を攻撃するのも、一瞬考えた。しかしながら、似たことをするのは情けない。常にパイオニアでありたい総理。まあ、パイオツマニアでもあるけどさ。(それは今、関係ない。黙ってろ!)

 考え、考え、ついには頭から煙が出てきた。

「ううう苦しい……」総理は倒れた。

 本日の記者会見は終了。

 総理は明日、記者会見の続きがあるので、アパートで質疑応答の練習をした。

 妻が原稿を読む。「総理。徴用工問題について、どうお考えですか」

「そうですね」総理は、持論を展開する。長々としゃべった。

「大日本帝国は、白人とは違う植民地経営をとりました。白人は、植民地の民からしぼりとるだけしぼりとりましたが、大日本帝国は、半島を近代化させたくて、例えば、鉄道を敷いたり、植林したり、ダム作ったり、最新の稲作技術を導入したり、学校建てたり、身分制度を撤廃したり、戸籍作ったり、医療衛生を充実させたり、ありとあらゆることをしました。半島をはやく独立させたかったのです。ロシア(ソ連)の脅威があったから当たり前ですが。とはいっても、半島の民は、屈辱的でした。彼らには、大陸が親で、我が国が弟だという感覚が昔からあるのです。弟にそんなことされたら、腹立たしい。兄貴の立場ない。創氏改名なんて特にそうです。大日本帝国は、天皇の下にみな平等、という善意からそうしましたが、半島からしたら悪意しか感じない。わかるぜ、そこはわかるぜコノヤローっ!!!」

  つい熱くなってしまった。総理のところも、弟の方が収入がいいのだ。つい感情移入してしまった。

「……すみません。取り乱しました。ところが、半島はいまだに、独立できてない。徴用工問題なんてわかりやすい。いまだにカネくれカネくれと、ニートのように日本に、せびる。これではいけない。だから、私は、元徴用工に対する賠償金を支払う代わりに、例えば、かつての植民地経営で日本が半島に投入したスーパー・ビッグ・マネーを返済せえ、とゆってみようと思います。ほんとに支払ってもらうつもりはありません。そんなカネ、半島にはないです。北は、指導者層以外は貧乏。南は北に比べたら裕福ですが、我が国と同じく、非正規労働者の人口が半端ない。ギリギリ・ライフです。あくまで、半島の独立意識を喚起させるのが目的です。はやく半島を我が国から独立させないと。我が国も少子高齢化で、カネがあまりない。いつまでも半島に小遣いをあげることはできない。また、この独立に関しては、半島だけの問題ではない。我が国は我が国で、宗主国から軍事的に独立せねばならない。今、我が国の軍隊は、宗主国の子分です。宗主国が弱い国を侵略したいとき、今のままゆくと、先陣きって戦わねばなりません。そんなことになったら、なぜ、ご先祖さまたちが、自己を犠牲にしてまで、アジアを解放させたか、意味不明になります。宗主国の軍事基地を我が国から完全撤退させるか、あるいは、宗主国の本土に、我が国の軍事基地を設置するか、それくらいの存在にならねば、我が国もまた独立国家とは言えません。では具体的にどうすればよいか……難しい……また、半島といえば、従軍慰安婦問題もあります。これはよくわからない。難しいです。私はバカなので、しっかり理解してません。半島の人々の反感を買うかもわかりませんが、はっきり率直に言うと、従軍慰安婦制度は、当時の感覚でいえば、よい制度でした。戦場は強姦が横行しやすい。それを防ぐために慰安所を設置したのです。今でも、風俗には、ある一定の、性犯罪防止効果があるでしょう。よい面もあるのです。ヤクザに売られた最悪のパターンもありますが。同様に、従軍慰安婦の中には、ムリヤリ連れて来られた、かわいそうな女性もいましたが、待遇のいい職場を求めて自ら来た、プロの売春婦もいたのです。我が国でも、戦後まもなくは、かわいそうな宗主国の軍人を、我が国の女性が仕方なく相手してあげていました。いわゆる、パンパンです。差別用語ですが。無論、強姦もありました。あっ。なんだ、それは。あっくそっイライラしてきた。腹立たしい。あーっ。ムキーッ。勘弁ならん。我が国のか弱い女性をむりやりあいつら……くそっ、ぶっ殺すぞバカヤローっ!!」

  熱くなってしまった。総理の妻が、ばかでかい白人や黒人に強姦されてるのをつい想像してしまったのだ。総理は想像力が豊かだ。うむ。治安維持のためだったとはいえ、やはり、従軍慰安婦の制度には問題があった。

「……すみません。取り乱しました。今日、日本では、例えば、ポルノはどうでしょう。女性を傷つけるひどいパターンがたくさんあります。多くの女性がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられています。団鬼六の世界観じゃないですが、そりゃ好きでやってる人もいます。そりゃそうです。人間には性癖というものがあります。なかったら、ただのロボットです。しかし、大半はやむをえず、様々な理由から、仕方なくどうしようもなくやっています。そういう意味で、従軍慰安婦問題は、それらを反省する材料になりえます。とはいっても、不況になってから、男の精神は崩壊寸前。女を傷つけたくて傷つけたくてしょうがない。女は女であまりに貧困。カネがないと生活できない。ここを抜本的に見直さないと、ハードなポルノは減らない。減らしたくても減らない。そして、不況に関しては、まともなアイデアが出てないのが現状です。だからいまだに考えがまとまってません。うーん……。我々政府のやり方がまずいのは、もちろんです。当然です。我々政府は、不況対策と称して、労働の規制緩和を行い、経営者は労働者を好き勝手に使っていいとしてきました。無論、不況対策は名目で、単に真面目に仕事するのが、めんどくさかっただけです。結果、労働者が不当に扱われてきました。で、労働者の心が病んでしまいました。労働者はどうしていいかわからず、女子供を虐待するようになりました。あわてて、我々政府は、女子供を虐待してはいけないという政策をとるようにしました。なんだこりゃ。我々政府はアンポンタンの集まりか。いったい、何をしとるんだ。バカか。情けない。わざわざ、おもしろがって、あちらこちらを放火したくせに、自分の地位が危うくなるとわかるやいなや、あわてて消火活動に奔走してる。しかし、すでに時遅し。たくさんの家が燃えてなくなってる。バカだ。こんなバカな政府は外国にない。そして、問題は解決したのかといえば、そうでもない。虐待を受けてきた子どもは大人になり、当たり前ですが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでます。しかも、不況はまるで解決してません。むしろ、労働環境は年々悪化してます。どうしていいかわからず、自分がされてきたように、子どもを虐待してます。負の連鎖です。すべて、我々政府のせいです。我々政府が、めんどくさがって真面目に仕事してこなかったから、このような事態を招いてしまいました。もちろん、個人の責任もあります。個人の怠慢もあるはある。当たり前です。なかったら、ただのロボットです。人間には責任があります。自己責任はゼロではありません。当たり前のことです。しかしながら、それも5割です。あとの5割は、我々政府の責任です。当たり前です。我々政府はそのあたり、きちんと理解してるのでしょうか?  頭のいい、我々、政府に責任はない、悪いのはバカな国民だ、とか、ふざけたことを考えてないでしょうか。実を言いますと……ええい、白状しましょう。ウソはいずれバレます。私、内閣総理大臣を筆頭に、政府内はバカばかりです。愚鈍者の集まりです。まともなやつが一人もいない。だから、問題をきちんと理解できてないかもしれません。というより、できてません。できてたら、こんな国になりません。もっといい国になってます。漢字が読めない大臣もいますし……おっと、それは言ったらダメです。彼も毎日、小学生に混ざって、漢字練習してがんばってるのです……とはいえ、このままではダメです。何とかしなくては……何かしら対策を……ううう……いいアイデアが出ない……明晰な頭脳がほしい……」

 

  

 妻がぐーすか寝てる。しまった。退屈だったか???

 総理は妻に毛布をかけてあげた。「むにゃむにゃ。あなた、がんばって……」

 総理は原稿を読み直した。

 翌日、記者会見。

「総理!なにラーメンが好きですか?」

「担々麺……て、ええええええ。なに、その質問」

「担々麺のどうゆうところが魅力的ですか」

「いや、そんなことより徴用工……」

「そんなの視聴者は求めてません」

「そんなあ。せっかく、原稿書いたのに」

「やはりスープが決め手ですか?」

「そうだね。スープだよね。色がいいよね、食欲をそそる……て、んもう。なんなんだ?  朝鮮の話をしようよ」

「わかりました。キムチは好きですか?」

「好きです……て、ええええええ」

 総理は情けなくなってくる。そりゃ、総理は担々麺が大好きさ。キムチも大好きさ。でも、記者会見で話すようなテーマじゃねえだろう。

 総理は居酒屋でオレンジジュースを死ぬほど浴びた。

「ひっくひっく。バカヤロー」

「酔ったふりしてる!」店長は呆れ顔。

 総理はアルコールアレルギーだ。

 ぱしゃっ!

 酔っ払った大学生が、写真を撮った。「やったぜ。総理の写真ゲットひっく」

 総理は殴ろうとして、やめた。店長はほっとした。前、総理がキレて大暴れして、店をめちゃくちゃにしたのだ。

「おいガキ。オレの記者会見どうだったよ。いけてたか?」

「ひっく。そうっすねえ。担々麺とかどうでもいいと思いました。ひっくひっく」

「それは同意見だ。じゃあ、どんなんがいい?」

「やっぱ総理不倫、とかそういうのがいいっすねえ。ひっくひっく」

 可南子の顔が浮かぶ。

 可南子といろいろやってることをばらすか?

 うん。おもしろい記者会見になるかもわからん。国民はそうゆうのが大好きだ。

 総理はそう思った。テンションマックスになって、大学生の頭をビールびんで叩いた。「痛いいいいいいい」「ひゃっほー!」大学生の額から、血がぷしゅーと噴き出る。

 でも……オレンジジュースの酔いがさめて(?)やはりやめることにした。可南子はミニチュアダックス。動物愛護団体に虐待だと言われる。下手すりゃ、内閣総辞職だ。

 三好くんの家に行った。

「やあ総理」「可南子いるかい?」

 可南子がしっぽふって走ってきた。「総理久しぶり!可南子さびしかったよ!」

「ごめんごめん。お詫びに骨っこ」

「ありがとー可南子うれしい!」可南子が総理の顔をペロペロなめるから、びしょ濡れだ。

「オレ可南子と結婚したいなあ。でも妻に殺される」

「そうゆう問題ちゃうやん。可南子、犬だし」三好くんの言う通り。論点ずれとるぜ。

 可南子と散歩に出掛けた。

「総理といっしょ。楽しいな」

「ふふふ。オレもさ」

  愉快に歩いてたら、可南子がそわそわし始めた。

「総理、可南子うんちしたい」「ちょっと待って」袋をスタンバる。「いいよ」

 しばらくお待ちください。

「あー、ブリッたら、すっきりい」

「かわいらしいなあ!」総理は顔が赤くなる。純情なのか、頭がおかしいのか。

  まあ、後者だろうね!

 と。

 フラッシュ!フラッシュ!フラッシュ!

 また雑誌カメラマンだ。

 また雑誌に載った。【総理、謎のメスミニチュアダックスと密会。愛人か?】という見出し。雑誌も頭がおかしい。

 記者会見。

「総理。可南子さんとはどうゆう関係ですか」

「オレは可南子を愛してる」

「でも犬ですよ?」

「わかってる。そんなこと、わかってるよ!!」総理は泣きそうだ。

 なんなんだ。世の中、理不尽。愛して愛されてるのに結ばれない。

「奥さんはなんと?」

「バカにしてる。病院行けとゆうてる」

「奥さんはまともですね。ところで、奥さんと可南子さん、どちらを愛してるのですか?」

「どちらも愛してる」

「そんなの世間では通用しませんよ」

「うるせえ!」

 総理はぶちギレ。机に飛び乗り、マイクを蹴飛ばした。

 ゴリラみたいに、両手で胸を交互に叩いた。「うほうほうほーーーーー!」

 コマーシャル。

(著作権の関係から、削除)

 記者会見の続き。ボッコボコにされて、包帯ぐるぐる巻きの総理。

「では話題を変えましょう。虚数についてはどうお考えですか?」

「……すごいと思う。実数しかなかったら、ここまで科学は発展してない。最初に考えた数学者はバカにされたと思うけど、天才だ。双曲線的非ユークリッド幾何学なんて、もはや芸術の域。例えば、13。実数世界なら素数。しかしながら、虚数世界では、(2+3i)(2-3i)=4-(-9)というように……」

 読者が眠り始めた。

 展開がつまんないのだ!!!

  総理は、はやく家帰って、妻とゲームやりてえなあ……なんて思ってるし、読者が席を立ち始めた。もう終わるか。

  記者「まだ質問、山ほどあるーーーっ」

  いや、もう終わりだ。

  作者、わめく記者の頭をハンマーで叩く。「ぐげ」

  消灯。

  カーテンのすきまから、朝陽が射し込む。たけしは目を覚ました。「長え夢だったな……なんだよ、総理大臣が低賃金ってどうゆうことやねん。夢はいつも意味不明だ……」

  タバコに火をつける。たけしに、急に不安感が降りてきた。たまにあるのさ。オレはずっとずっとアルバイトなのか?  小説家にはなれないのか?

「わちちちち」

  たけしはたまに過度にネガティブになる。

  【結婚したい】

   ↓

  【所得が弱いからムリ】

   ↓

  【たまに死にたい】

   ↓

  【図書館に行く】

  図書館で、本を読んでると落ち着く。図書館は、鬱にキクのだ。ひたすら本に没頭してた。

  と、そのとき。

「先生。なに読んでるんですかー?」

  あっ。まるかちゃん。

  偶然、まるかちゃんに出会った。

  まるかちゃんは、たけしのアルバイトしてる塾に、昔、通っていたことがある。

「歴史の本。まるかちゃんは?」

「まるか、英検の勉強してます」

  がんばってるねえ!  けっこうけっこう!

  コケコッコウ!(さぶいっ)

「それじゃ先生」「う、うん」がんばってるまるかちゃんステキだな……て、いかんいかんいかん!

  とにもかくにもダメだ。当たり前だろーよ。まるかちゃんは子ども。オレは大人。

  たけしの恋人は小説。

  とある日の昼間、朝のアルバイトを終えて、休憩だ。マンガ喫茶に行く途中、マンガ喫茶の前。

「先生」またしても、偶然、まるかちゃんに会った。

「やあ。どこ行くの?」「服を買いに行くんですよー」

  まるかちゃんなら何着てもステキだよ……て、いかんいかんいかん。

「じゃあね」「それでは先生!」

  たけしの恋人は小説。

  夕方、バスに乗る。ラッシュアワーだ。

  と。

「先生」「まるかちゃん」

  またもや偶然、セーラー服姿のまるかちゃんに出会った。「久しぶりですねー」「う、うん。学校終わったのかい?」「はい」

  まるかちゃんと話してると楽しいな。一緒に飯食べに行きたいな……て、いかんいかんいかん。

  たけしの恋人は小説。

「まんじゅうあげるよ」「ありがとうございます!」「あっ潰れてる」「あははっ」

  夜。アルバイトを終えて、たけしはバス停でバスを待ってる。飛行機を待ってるわけではない。もし待ってたら、病院に行かねばなるまい。たまに飛行機で遠くに逃げたいときあるけど。「先生」

  またまた、まるかちゃん登場。

「喫茶店のバイトしてるんですよー」

「へえ。今度行ってみようかな」

「ぜひ!」

  がんばってるねえ!  けっこうけっこう!      

  コケコッコウ!(またやっちまった!)

「そこのソーセージマフィンおいしいんですよー」

「そうか。オレもはやく小説で稼いで、山ほど食べたいねえ」

「先生ならできますよ」

  まるかちゃん優しいな、ステキだな……て、いかんいかんいかん。

「小説がんばるぜ」「はい!がんばってください!」

  たけしの恋人は小説。 

  朝。バスを降りて、ふたり並んで歩く。雀がちゅんちゅら鳴いてる。

「バイト大変ですよー」「がんばってるねえ。コーヒーこぼさないようにね」「んもう。こぼしませんよー」「ごめんごめん」

  まるかちゃんがオレの服にコーヒーこぼしたら、拭いてくれるかな……て、いかんいかんいかん。妄想性人格障害!

  たけしの恋人は小説。

  ショッピングモールのフードコート。たけしは、ハンバーガー食べながら、男子生徒と宿題やってた。

「せんせー」遠くで、まるかちゃんが手を振ってる。友達と一緒さ。映画でも観に来たのかなー?

「かわいい女の子ですねー。先生」

「おい狙ってんのか。エロガキめ」

「なに言ってんすか!」

  オレのまるかちゃんに手を出したら承知しないぞ……て、いかんいかんいかん。別にオレのまるかちゃんじゃねえだろ。

  たけしの恋人は小説。

  ある日、たけしは仕事のストレスから、暗い顔をして歩いていた。どんよりしてた。

  とその瞬間。

  自転車に乗って、まるかちゃんが「せんせー!」と、走ってきた。

  ぱぁっと気持ちが明るくなった。まるかちゃん颯爽としてる。ステキだ……て、いかんいかんいかん。

  たけしの恋人は小説。

  はやくプロになって、まるかちゃんに本を買ってもらおう!!

  そのために、書いて読む。ひたすら小説に没頭する。

  ただそれだけさ。それしかねえ。当たり前だ。

  たけしはがんばるのさ。理由なんかないのさ。

  脳内で、緊急記者会見。

「たけしくん。あなたは、まるかちゃんが好きなんですか?」

「わかりません。しかしながら、まるかちゃんががんばってると、オレもがんばれます」

「それは恋では?」

「違うと思います」

「まるかちゃんが気になるとき、ありますか?」

「あります。まるかちゃん、英検合格したかなあとか」

「それだけですか」

「はい。それだけです」

 

  たけしの恋人は小説。

  文学的に生きるのだ!

  文学的に戦う!!!

  がんばれ、まるかちゃん。

  がんばれ、たけし。

  明日はきっとある。身体を壊さない程度に、奮闘しろ。時に、怠けるのも大事さ。過労死したら無意味、けど、腐るのはもっと無意味さ。戦う魂に神が宿ると誰かが云った。オレもそう思う。勝ち負け関係ねえ。戦うことが重要さ。

  野良犬がメロディアスに吠えた。こんな感じ。

A→F#m→A→C#m

D→Dm→A→A/E

A→F#m→A→C#m

D→Dm→A→A/A7

サビ

D→Dm→A→A/C#

D→Dm→G→G→E→E

  歌詞はまだない。これから、できる。これからのたけし次第さ。

  たけしのお袋からメール。今日はネギトロ丼だと。たけしは、「うやっほー!」とガッツポーズをとって叫んだ。

  とはいっても、最近、太ってきたから、歩こうかなと。家まで歩くと。バスには乗らないどこうと。ネギトロ丼をうまく食べる秘訣さ。

「ソーセージマフィン切れてるの?  お袋が朝飯に食べたいゆうてたが」

「ミックスピザにしなよ、先生。おいしいよ」

「そうするか……」

「じゃあまたね、まるかちゃん」「気をつけて、先生」たけしは、まるかちゃんがアルバイトする喫茶店を出た。暑い。汗がだらだら。夏だから当たり前だ。気持ちの問題かなと思い、「寒い」と試しにつぶやいてみたが、やはり暑い。「当たり前じゃん!」

  誰だ、お前。

「別に。じゃあね!」

  走ってどっかに行っちゃった。ほんと、誰なんだよ。んもう。

  まあ、いいか。

  歩く歩く歩く。たけしは令和の伊能忠敬さ。明日に向かって歩く。タオルで汗をぬぐって。ガムかみながら。時折、吹く風が気持ちいい。蝉が熱唱しとる。ちょっとしたロックンロール大会やな。ポール・マッカートニーもビックリだぜ。

  空が深いぜ。どこまでも落ちそうだ。オレたちの反逆は始まったばかりさ。

  覚悟しとけ、世界。めちゃくちゃに破壊して、よりよい世界を創造してやる。いつまでも黙っちゃいないぜ。陰鬱なんか吹き飛ばしてやる。絶望なんざ蹴散らしてやる。夢と希望を加速させるぜ。

  なあに。オレたちなら、やれるさ。当たり前だろーよ。オレたちはオレたちなんだ。できんわけがない。たけしは、真夏の太陽より熱く熱く燃えていた。暑苦しいほどだった。ぜんぜんクールビズじゃなかった。でも、いいのさ。理由なんか知らん。知ってたまるか、まるかちゃんバカヤロー!

  ダジャレかコノヤロー!

  その頃、核ミサイルが、たけしやまるかちゃんたちが住む町に向かっていた。当たり前だが、たけしたちはそのことを知らない。

  核ミサイルは、飛びながら叫ぶ。

「カミング・スーーーーーン!」

  映画の宣伝みたいさ。

  核ミサイルは孤独だった。オレはまだ死にたくない。日本に恨みはないから、やりたくもない。けど、半島の人々には、育ててもらった恩義がある。やらねばならん。

  心は、半島にも日本にも行けず、ひたすら孤独を漂っていた。

  泣いても笑っても、あと少しで、死ぬ。

  核ミサイルは……飛ぶ飛ぶ飛ぶ。

  まるかちゃんは忘れ物に気づいた。「先生。傘を忘れてる」店長に頼んで、早退。喫茶店を出た。たけしに、傘を届けようと。

「先生。待ってて」

  たけしは、歩きながら、まるかちゃんに頼まれてたマンガを渡すのを忘れてることに気づいて、戻った。

「まるかちゃん待ってろよ」

  たけしはまるかちゃんに向かって歩く。

  まるかちゃんはたけしに向かって自転車を飛ばす。

  核ミサイルはひたすら飛ぶ。

  どうなるんだ???

  途中、まるかちゃんが赤信号で止まってたら、黒人に腕をつかまれた。

「グヘヘヘヘ。イイトコ、イコウゼ」

「いやん。急いでるのに!」

  まるかちゃんはかわいらしいから、すぐからまれる。

  途中、たけしが歩いてたら、不良に捕まった。

「カネ出せや」

「ああもう!はやくまるかちゃんに会いたいのに!」

  たけしは蹴飛ばしたかったが、怖くてムリだよ。

  途中、核ミサイルが飛んでたら、鳥がおもしろがって追いかけてきた。

「待てー!」

「くそうぜえな!」

  やな鳥だよな。

  三人(二人と一基?)ともがんばってる。がんばってるけど、邪魔が入る。まるで、小説みたいだ。小説はすぐ邪魔が入る。入った方がおもしろいからだ。事件のない小説は退屈だ。

  まさしは、カーテンを閉めて、部屋で寝ていた。最近、徹夜が続いて、ごっつ眠かった。まさしは人気漫画家である。

  すると、窓ガラスが割れた。野球小僧たちのせいだ。野球ボールが、まさしの顔面に命中。

「いってえ!」

  また新たな事件が始まった。小説ってやつあ、ひどいもんだぜ。そんなに読者を楽しませたいのか?(まあ、売れたら贅沢できるけどさ)

  まるかちゃんは黒人を持ち上げた。

「ヒイイイ怖イイイイ」

  アスファルトに叩きつけた。

「痛イイイイ骨ガアアアア」

  まるかちゃんは力持ちだなあ!

  たけしは、素直にカネを支払う。はやくまるかちゃんに会いたい。いちいちアホの相手しとれん。

「もっとよこせ」

「なにい?」

  たけしはうんざりしてきた。

  核ミサイルの背中に鳥が座った。

「こりゃいいや。愉快」

「くっそうぜえ!」

  まさしは野球小僧たちを正座させた。

「せっかく寝てたのに!」

「ごめんなさい」

  う~ん!

  めんどくさくなってきたぞ!!!

  4つも書かんといかん。一個へらそう。

  まるかちゃんは、自転車をめちゃくちゃにこいで、飛ばした。

「先生、待ってて!」

  そしたら、間もなく、たけしを発見。

「あっ。まるかちゃん助けて!」

「あっ。先生に何してるの、あのヤンキー」

  まるかちゃんは自転車から降りた。

  まるかちゃんは不良を持ち上げた。

「ひいいいい怖いいいい」

  アスファルトに叩きつけた。

「痛いいいい骨がああああ」

「まるかちゃんありがとー」

「先生、傘」

「あっ。うん。ありがと。まるかちゃん、マンガ」

「ありがとー先生。えへへへ」

「ふふふふ」

  そのマンガを描いたまさしは、野球小僧たちを順番に叩いた。

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

  核ミサイルは、背中がかゆくなってきた。鳥が踊ってたからだ。

「くそうぜえな!!」

  あきらめた。というより、もうすぐ目的地だ。

「よっしゃ!突っ込むぜ」

「まるかちゃん。あれ、なんだろ?」

「流れ星かな?」

「まだ夕方だよ」

「漫画家のお兄ちゃん。あれ見て」

「なんだよ野球小僧」

「なんか飛んでくる」

「ほう」

  核ミサイルが、もうすぐ、たけしたちの町に突っ込むぜ。

「覚悟しやがれーーーーっ」

  と言いつつ、核ミサイルは……。

  直前になって悩む。いいのか?ほんとにいいのか?大丈夫か?ほんとに大丈夫か?

  半島の人々を喜ばせたい。日本がめちゃくちゃになれば、彼らは手を叩いてどよめく。ハッピーになる。彼らにはキムチをよく食わせてもらった。恩義がある。けど、日本の人々を悲しませたくない。お寿司が大好きな核ミサイル。実は、日本をめちゃくちゃにしたくない。悲しませたくない。

  葛藤。笑顔を増やすことが大切か。あるいは、悲劇をこれ以上、増やさないことが大切か。いや、ぶっちゃけ、キムチ・オア・お寿司!

  頭から煙が出る。わからない。さっぱりわからない。焦る。はやく、はやく結論を出さないと……!!

  小説でもあるやん?

  アートか、エンターテイメントか?

  アートを追求すると、作品に深みが増すけど、売れなくなる可能性がある。

  エンターテイメントを追求すると、売れるけど、作品が浅はかになる可能性がある。

  戦いである。このあたり、常に戦いである。

  明日に向かって、戦うしかない。

  オレはそう思う。

  核ミサイルも、似たようなもんだ。

  書くと核は似てるしね。ダジャレだけどね。

「くっそう。なんて難しいんだ……」

  オレ(作者)の台詞か、核ミサイルの台詞か、そこは読者諸氏に任せよう。

  核ミサイルを流れ星と勘違いした、まるかちゃんとたけしが手を合わせて、願い事をしてる。

「先生、なんて願い事しましたか?」

「小説家になれますようにって。まるかちゃんは?」

「えへへへ。内緒!」

「気になる!」

  パイナップル二丁目の沼さんはアルバイトだけど、がんばってた。低賃金、重労働、自己責任。たまに死にたいが、お客様の笑顔のためにがんばる。

  レジの話。今日、頭のおかしいクソババアが、「はやくやれバカ!」と怒鳴った。

  沼さんはお客様に迷惑をかけてはいけないと急いだら小銭を落としてしまった。クソババアは「はやくやるからだバカ!」と怒鳴った。

  なんとゆう理不尽!!!

  でも沼さんは負けない。頭の中で、数回、クソババアを殺したあと、家でレジ打ちの練習をした。シミュレーションした。はやく丁寧にやるには?

【はやくすると乱雑になりがち!】

【丁寧にやるとゆっくりになりがち!】

  うまくいかず、沼さんは頭の中でクソババアを持ち上げた。ゴミ箱に放り投げた。「ストライク!」

  ガッツポーズ。クソババアがわんわん泣いてる。頭の中で。「ごめんね」「殺すぞ小僧!」沼さんは、クソババアをまた持ち上げて、放り投げた。「ストライク!」頭の中で。

  きりないから寝た。

  沼さんは沙耶香に会いたい。会えない。苦しい。

  翌日、沼さんはアルバイトを終えて、外務省に行った。外務省では、どんちゃん騒ぎさ。外務大臣が裸で踊ってる。彼の尻を思い切り蹴飛ばす。「こんなことしてる場合か!仕事しろ!」「でも」「うるせえ黙れ!逆らうな!」

  沼さんは、外務省のやつらを正座させた。順番にビンタしていった。

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

「痛い!」

  ……疲れた。拳から血が出てきた。くそ痛い。もうやめだ。バカが多すぎる。喜んでるやつまでおる。どMか。きりがない。まったくこいつら、オレがいないとすぐに遊ぶ。腐ったやつらだ。まったく。

  沙耶香。

  沙耶香に会いたい。外務省なんかほんとはどうでもいい。沙耶香に会いたい。

  沙耶香。

  沙耶香をはねた自動車が憎い。ううう。沙耶香……沙耶香……。

「きっと会えるよ」

  え。誰だ?

「別に。じゃあね!」

  走って行ってしまった。なんなんだ。変な子。

  ふと、窓の外を見ると。

「あっ流れ星だ」

  沼さんは、あわてて、世界が平和でありますように……と祈った。

  記者会見  完

2:大好きな人

 大好きな人が死んだ。

 オレは冷たい部屋の片隅で為すすべもなく、しくしく泣いている。

「なんでだよゥ。なんでだよゥ」

 嘆いてもどうにもならないのはわかっている。それでも嘆いてしまうから人間というのは実に厄介だ。

 もっとドライになれんもんかね? コンピューターみたいに。

 なれるわけがない。人間はコンピューターほど賢くないし、コンピューターほどバカじゃない。

 迷い苦しみ、ひねって転んで転がって、ぐるぐる回って。

 そういうもんだ元々。だけど、今日は何をする気にもならない。

 オレは大の字になり、ふてねした。今日は仕事ズル休みしてやろう。

「ん」

 何かの音が大きくなる。

 窓の外を見ると一台のヘリコプターがこっちに向かってくる。

「うわっ」

 ずがあああああああああああああん。

「うきゃあああああああああ」

 

 しばらくお待ちください。

 

「こちら報道局です。緊急ニュースが入りました。愛する人を失って途方に暮れていたたけし氏のアパートにヘリコプターが急に突っ込みました。繰り返し報道します。愛する人を失って」

 

「へへっ久しぶり。たけちゃん」

「げ。まるか」

 ヘリコプターから降りたその少女は紛れもなく、まるかその人だった。

「いったいぜんたい」

「へへへ。あたし、ヘリの免許とったんだ。びっくりした?」

「びっくりしたというか」

 オレは、部屋を占拠するヘリコプターを眺め、ため息が出た。買ったばかりの五十万円のエレキギターが完全に潰れてる。

 もちろん、大好きなあの子の遺影も粉々だ。

「お前なぁ。無神経なとこは全然変わってないね」

「てへっ不況の世の中、たけちゃんみたいに繊細だと生きてけないよ」

「もうっそれが無神経ちゅうんだよ」

 オレはむかついて、ヘリのボディにパンチした。

「硬ェ!!」

 オレはあまりの痛さに、ぴょんぴょん飛んだ。

 まるかは、はははと笑った後、お腹すいたなとぬかしやがる。ほれ、完全に無神経。部屋をめちゃくちゃにしておいて、よく言うよ。おー痛え。

「たけちゃんのスパゲッティ食べたいなぁ」

 まるかが上目使いでウインクする。

 オレはこれに昔から弱かったのだ。

「わかったよ。作るよ」

「やったぁ」

 

 CM

 ついに出ました、もじゃもじゃ饅頭!業界初です。饅頭に毛が生えています!非常に食べにくい。今なら大特価110円!!!

 

 オレとまるかはベッドの上で寝ていた。要するにまぁ何だ。やっちまったわけだね。うははははは。

 ヘリコプターはうまいこと部屋から出し、駐車場に停めた。部屋の掃除はまた今度しよう。

 オレは煙草に火をつけた。

「ふィ~。しかし、まるかのやつ、何で急にオレんとこに来たんだろう」

 たけしの隣で、まるかはぐーぐー寝ている。

「ま、いっかぁ」

 

 それから、すぐにわかった。まるかは家出したのだ。まるかのお父さんから電話があった。むちゃくちゃ怒っていた。

「たけしくん! 今すぐまるかを連れてきなさい!」

「はぁ」

 まるかの方を見ると、首を横に振っている。

 めんどくせえなぁ。

 まるかを正座させた。

「なんで家出したのよ」

「だって、お父さん、あたしを勝手に結婚させようとするんだもの」

 あ。そういうことね。よくある話だ。

 だからって、ヘリコプターで突っ込まれたオレの立場はどこにもない。

「しょうがないよ。お前の父さん、大会社の社長だもの」

「好きじゃない人と結婚するなんていや!」

 やれやれ。ガキだなぁ。こいつは。

「もうわかったよ。足くずしてよし」

「てへへへ。足しびれた~」

 無邪気に笑うまるか。この笑顔に昔から弱いんだよなぁ。怒る気が失せる。

 まぁとはいえ、大人としては、これでよしとはならない。何とか説得して、こいつを結婚させねばならぬ。あれほど、お父さんが怒ってるということはよほど大事な結婚なのだろう。会社の存続に関わるものかもしれぬ。大量の会社員を路頭に迷わすわけにはいかぬ。

 まるかには悪いが犠牲になってもらう。

「たけちゃーん。腹へったー」

 とはいえ、こいつはけっこう強情だから、無理矢理、家に戻すことは不可能だ。というより、戻したら、こいつ、また、オレんとこにヘリコプターで突っ込むかもしれぬ。それは絶対いや!

「うーむ。難しいなー」

「たけちゃーん。ハンバーグ作ってよー」

 うるさいなぁ。誰のために悩んでると思ってやがるんだ。

 ハンバーグを作りながら考える。

 というより、相手の男はどんなヤツなんだ。

 それにもよる。

 例えば、イケ面で優しくてファッションセンスがよくて。

 とかそういう男性ならまぁよし。

 政略結婚だから金持ちには違いないだろう。

 しかし、顔がドラえもんで、すぐに暴力を振るい、やたらに道路にタンを吐く男だったら……。

 それはまるかがかわいそうだ。

 オレは男に会いに行くことにした。

 とはいえ、まるかが教えてくれるわけない。どうしたものか。

 

 ある夜、寝ている時に、隣でまるかがうーんうーんとうなっていた。

 これは間違いない! 結婚相手が夢に現れたのだ!

 オレはチャンスだと思った。今、まるかの夢の中に入れば、男に会うことができる。

 オレは気を集中させた。

「まるか、まるか、まるか」

 呪文のように唱える。

「ええい!」

 その瞬間、オレはものすごい勢いで体ごと、まるかの頭の中に吸い込まれていった。

「わあああああ。新感覚ううううう」

 ストンと着地した。

「ほう。これがまるかの夢の中か」

 あたりをきょろきょろ見渡す。ちょうど目の前に、焼きそばの屋台があった。

 お腹がぐゥと鳴った。毎晩、まるかがオレの分まで食べちゃうので腹ぺコなのだ。

 オレは屋台に駆け寄った。

「おっちゃん。一個ちょうだい」

「あいよ!できたて今あげるからね。旨いぜえ?」

「やったぁ」

 オレはわくわくしながら、おっちゃんが焼きそばを焼く作業を眺める。いい匂い。すでに目的を見失ってるオレ。何しにきたんだっけ?オレ。

 まぁいい。焼きそばがこんなにおいしそうなんだもの。きっと大した用事じゃない。

「あいよ兄さん。お待ち」

「わぁ。すげえ」

 オレは目を輝かせる。こんな焼きそば見たことねえ。煙がもくもく。食欲を誘う。うーん。いい匂い。

 まず肉の量が普通の倍だ。

「おっちゃん。これ、何の肉?」

「へへっ気づいちまったか。そりゃ松阪牛さ」

 えええええええええええ。

 マジかよ!

 オレはがたがた足が震えた。

 まさか、ここで松阪牛が登場するとは。

「おっちゃん、ウソついてんじゃないだろうね」

「わしの目を見ろ。ウソをつく男の目か?」

 なんかウソっぽい。

 一口、肉を食ってみた。

「うめえええええ。マジ松阪牛だああああああ」

「ほれ見ろ」

 おっちゃんは腕を組んで、へへーんと得意げである。

「おっちゃん。こんなんして採算とれるのかよ」

「へっへ。今は不況だ。安くて旨いものを。それがうちのモットーだ」

「へえ」

 ばくばく食う。

「といってもね。うち、実は松阪牛を飼ってるから安いのは当たり前なの。見にくる?」

「ほんと?」

 オレはよだれが出てきた。

 焼きそばをあっという間に平らげ、オレはおっちゃんの後についていった。

 屋台から少し離れたところに、小さな牛小屋があった。

「あっ山本さん!」

「おい!吉田、隠せ!」

「あわわわわわ」

 うわぁ。すげえ。牛がしゃべってる。

 牛たちは急いで、おっちゃんの前に整列した。牛臭い。

「ん。お前ら。今、何を隠した」

「いや別に。えへへへ」

「怪しい。この野郎!」

 おっちゃんは、一匹の松阪牛に詰め寄った。

 すると、牛は、緊張して手からするりと、牌(パイ)を落とした。

「またお前らマージャンやってたのか」

「す、すいやせん」

 松阪牛たちはぺこぺことおっちゃんに頭を下げた。

「兄さん。かっこ悪いとこを見せちまったねえ。こいつらわしがいねえと、すぐに仕事をさぼって遊びやがる」

 松阪牛の仕事って何よ????

「おい。お前ら、ランニングに出かけるぞ」

「えええ」

「やだぁ」

「うるさい! さっさとジャージに着替えろ!」

 松阪牛たちはしぶしぶ、わらの下からジャージを取り出して着た。みんな体がでかいからはちきれそうだ。

「何でランニングするの?」

「はっは。いい肉になるにはね。寝てるだけじゃダメだ。運動せにゃあ」

 おっちゃんは自転車にまたがった。

「ようし。お前ら。行くぞ」

「ふえええい」

 気のない返事である。松阪牛たちはおっちゃんの後を追った。

 その後をオレはおっちゃんに借りた原付で追いかけた。

「ピッピッ」

「まっつざか」

「ピッピッ」

「ぎゅう。ぎゅう」

 おっちゃんの笛に合わせ、牛たちは掛け声をかけながら走る。尻尾でぺしんぺしんと自分の尻を叩いたりしてる。

 汗が流れ、実に牛臭い。

 いやぁ。しかし、学生時代を思い出すなぁ。あの頃はオレも四番のエースで、マネージャーはまるか。

 む。

 まるか???

 何か心に引っかかる。

 まるか??????

「ピッピッ」

「うまくて」

「ピッピッ」

「やすい」

 オレは原付にまたがりながら、うーむと悩む。まるか。はて。オレはまるかに何か用事があったのではないか。だって、こんなに気になるんだもの。何か用事があるに違いない。

 でも、全然思い出せない!

 オレは、腕を組んで、原付の上でうーんとうなっていたら、電柱に激突した。

 

 しばらくお待ちください。

 

 オレは目が覚めたら、部屋にいた。ちょっと不気味な部屋だ。壁も床もみな黒色でドクロのポスターやプロレスラーのポスターが貼ってある。よくわからんが、ヌンチャクや鉄アレイが床に転がってる。そんな部屋の黒い布団の中にオレはいた。窓の外が実にのどかな田園風景でギャップも甚だしい。

「うーん。誰かに助けられたのだな」

 黒いドアが開いた。

「あっまるか」

 まるかが、黒いお盆に黒いコーヒーカップを乗せて持っている。

 なぜか、黒い服を着てる。

「誰だ。まるかちゅうのは」

 え。まるかじゃないの????

「いや。まるかだろお前。知らんふりすんなよ」

「しつこいやつめ」

 まるかが、あっつあつのコーヒーをオレの顔にぶっかけた。

「あじいいいいいいいい」

 オレはベッドの上を転がりまわった。

「ぎゃははははは。おもろい。おもろい」

 まるかが手を叩いて喜んでいる。こいつ、こんなキャラだったっけ???

「なんでこんなことするんだよゥ」

「やかましいわボケ。助けてやったのに生意気な」

 こんなしゃべり方じゃないはずなのに。完全にキャラが変わってる。

「まるかじゃないつうなら、誰だよお前」

「それはこっちのセリフじゃい。お前こそ誰じゃい」

「オレはたけしだよ」

「オレは、まる夫だ」

 はぁ。なんじゃそれ。疲れる。

「わかったわかった。まる夫でいいよ」

 まるかじゃなかったまる夫はバカにされたと思って、黒い竹刀でオレをぶった。

「いてええええええええ」

「生意気なことをぬかすなガキめ」

 また黒いドアが開いた。

 オレは腰を抜かせた。

 オレが目の前にいる。

「え。オレ?ええええええええ」

「まる夫くん。だぁれ。この人」

「たけしというらしいぜ」

 なぜか、目の前にいたオレそっくりの男はおねえ言葉だ。しかも、服がピンク色でピンクのスカート。髪にはピンクのリボンまでしてる。実に気色が悪い。

「あのそのあの」

 オレは何と言ったらいいかわからない。

「き、君。誰???」

「あたし?あたし、たけみ」

 ううううう。名前までおねえだし、オレと被ってる。

「あの。まる夫さん(叩かれるのが怖いのですでにさん付けしてる)」

「なんじゃ」

「このお方とはどういう関係で?」

「ああ。たけみか。こいつはオレの彼氏や」

 お似合いのカップルだよ!!!

 でも、オレにそっくりなのですげえ複雑な気分。

 またまた黒いドアが開いた。出入りの多い部屋だな。

「あっ」

「親父っ」

 あ。まるかのお父さんやん。

「まるかっ」

「な、なんだよオレはまる夫だぜ」

「ふざけんな! まるか!」

 なんだ。やっぱりまるかやん。

「行くぞ! 来い!」

 まるかのお父さんがまるかまる夫どっちや。まぁそいつの腕をつかみ連れていこうとする。

「いやだ!絶対いやだ!」

「どういうこと?」

 オレはオレにそっくりなたけみに尋ねた。

「まる夫くん、結婚させられるかもしれないの」

「ふうん」

 たけみはまるかと結婚してるわけちゃうねや。

「どんな相手なの」

「それが……」

 たけみはオレに耳打ちした。

「ええっ。ダークラビット???」

「そうなのよ」

「誰それ」

 たけみはズコーーーーーーッとこけた。

「し、知らないのに驚いたの???」

「てへへ。申し訳ない。話の流れがそんな感じだったので。ダークラビットの説明してよ」

 そんなこと言ってるうちに、まるかまる夫どっちや。もういい。まるは、お父さんに耳を引っ張られて、外に出て駐車場に停めてあったヘリコプターに乗り込もうとしていた。

「やばいぞ。たけみ。飛んでいっちゃう」

「困ったわね。たけちゃん。飛びついて」

「お、おう」

 オレとたけみは、すでに飛びかかっているヘリコプターの足に捕まった。

 そのまま、ヘリコプターは上昇。

「うわああ。怖えええ」

「落ちたら絶対死ぬわよう」

 眼下に広がる家々はすでに米粒である。強い風。体がちぎれそう。

 その時、たけみの手がヘリの足から離れた。

「た、たけみいいいいいい」

「いやあああああああああ」

 しばらくして、民家の屋根を突き破る音が静かに聞こえる。おそらく、この高さなら即死であろう。

 オレは複雑でならない。なにしろ、たけみはおねえみたいなとこはあるが顔がオレにそっくりなのだ。オレが死んだような気にもなった。

 というより、オレももう限界だ。腕がちぎれる。手を離せばラクになる。しかし、それは死を意味する。

 オレは歯をくいしばり、冷や汗を流し、ヘリが下降するのをじっと待った。しかし、一向に下降する気配がない。

「もう駄目だ。限界だ。もう無理なんだ」

 とその時である。

 上の方で声がした。

 ??????

「待ってくださいよ!」

「もう待てない!印刷所の人だって徹夜で待ってんねん!」

 おお。この声は。作者と編集者。

 あっとオレは思った。これは原稿の中だ。となれば、原稿の外に作者がいるのは当たり前の話ではないか。

 オレは大声でわめいた。

「助けてええええええええええええ」

「? 何だ。大崎さん。何か聞こえましたか」

「おい。原稿用紙から声がするぞ。行ってみよう」

 オレはしつこく叫び続けた。

「ここだあああ。ここだよおおおお。助けてえええええええ」

 作者と編集者は原稿の中を覗いて驚く。

「おい。主人公、大ピンチやないか」

「これはまずい。主人公がヘリから落ちてしまえば話が終わってしまう。何とかしないと」

「うぬうう。油断してた。口論してるすきにキャラが勝手に動き始めたのだ」

 青い空を突き破り、大きな腕が四本飛び出す。 

「おい。捕まれ。早く」

「落ちるぞ」

 オレは一生懸命、大きな腕に腕を伸ばした。

 その瞬間、あっけなく、本当にあっけなく、するりと落下。

「うわあああああああああああああ」

 落下。う

  落下。わ

   落下。あ

    落下。あ

     落下。あ

      落下。あ

       落下。あ

        落下。!

 屋根を突き破る。

 湯船に着水。

 背中を洗いながら、びっくりしてるじいさん。指さしてる素っ裸のちびっこ。

 つまり、ここは銭湯!

「つめてぇ!」

 オレは水風呂から飛び出す。

 あーあ。服びしょびしょや。へーっくしょん。

 男の子がちっこいち(ピー!)ん(ピー!)ち(ピー!)んを揺らせながら、オレに言った。

「たけしさんだぁ。ホンモノのたけしさんだぁ」

 え。オレのこと知ってるのか。

「オレのこと知ってるの?」

「ぼく、エブリスタで『大好きな人』読みましたよ。最後、まるかちゃん、ダークラビットと結婚してしまってかわいそうでしたね」

 な、なにいいいいいいいいい。

 ま、ま、まさか、オレがもたもたしてるすきに小説が終わってしまったというのか。

 こいつはまずい。

「坊や。ダークラビットとまるかはどこにいるんだい?」

「え。たけしさん知らないの。あ。そうか。たけしさん、ダークラビットに殺されたものね」

 なにいいいいいいいい。そういう展開いいいいいい????

「あれ。でも、今いるたけしさんは一体。あ。そうか。小説の話だから本当に死んだわけじゃないのかな。確かに映画で登場人物が死んでも俳優が実際に死ぬわけじゃないものな」

「そんなことはどうでもいい!坊主!質問に答えろ!」

「う、うん。魔法の城に二人で住んでるよ」

「へーっくしょん」

「たけしさん。着替えていった方がいいよ」

「お、おう」

 その頃、まるかは、魔法の城の最上階にあるベッドルーム。ピンクいベッドの上で、ダークラビットに迫られていた。

「ぐっふっふ。いいだろ。いいだろ」

「いや! 近寄らないで! 変態!」

 ダークラビットは、気の強いおなごじゃなぁそんなこともまたええなぁと思い、ニヤニヤしていた。

 まるかは家に帰りたくて帰りたくてたまらない。大好きなお笑い番組がやる時間だ。

「ぐっふっふ。太もも。太もも」

 まるかはムカついてきて、ポケットにしまっておいた痴漢撃退用のビリビリするやつを取り出し、ダークラビットに当てた。

 びりびりびりびり。

「むぎゃ。むぎゃ。むぎゃああああああああああ」

 ダークラビットは衝撃のあまり、ベッドの下へ転げ落ち、失神した。

 

 ここは、ダークラビットの夢の中。

「うーん。どこだここは。あ。そうか。まるかちゃんにビリビリやられて、それで」

 見渡すと、野原の真ん中。そこには若い男がいる。

 男が叫んだ。

「まるかを返せ!」

 え。こいつ、まるかちゃんと関係あるヤツか?

「そんなこと言ったって、わし、何が何やら」

 

「しらばっくれる気か。こいつ」

 オレは叫んだ。いつの間にか、どういう経緯かようわからんが目の前にダークラビットがいる。なぜか、野原の真ん中。いや、まだ名前を聞いとらんのでわからんけど、見た目がうさぎなので間違いない。

 それにしても、メタボリックなうさぎだなぁ。長い耳以外、ブタだぞ。

 オレはポケットにしまっておいたビリビリするヤツを取り出した。

 お。ダークラビットのやつ、ビビってる。ふん。大したことねえな。くそブタめ。

 オレはダークラビットにビリビリするヤツを向けた。

 びりびりびりびり。

「うぎゃああああああああああ」

 ダークラビットは倒れた。

 

 またまたダークラビットの夢の中。

「うーん。頭くらくらする」

 なんだかあたりが暗い。夜なのか。

 前を見る。よーっく目を凝らして見ると、さっきの男。

「またか!」

 

「何やこいつ。不死身か」

 オレはもうたじたじだ。また、シチュエーションが変わってる。もう野原じゃない。でも暗くてどこかようわからへん。しかも、ビリビリが全然効いてない。くそう。どうしたらええんや。

 そうこうしてるうちに、ダークラビットがオレに向かってものすごいスピードで直進し、体当たり。

 オレは崖から落ちた。ええっ。そんなとこで戦ってたのか。

「うわあああああああああ」

 海に着水するかと思ったら、トランポリンに着地。

 跳ね上がった。

「うわああああああああああ」

 また、目の前にダークラビット。

 また、落下。「うわああああああ」

 崖の上とトランポリンを行ったり来たり。

 しまいには、ダークラビットが退屈になってきてケータイをいじり始めた。

「ぐふふふ。まるかちゃん。かわいいなぁ」

 待受けをまるかにしてけつかる。

 ダークラビットの後ろで、編集の大崎さんが腕時計を見ながら大声で叫ぶ。

「あと、少しですよ。落とせるんですか!」

 ダークラビットは、わしに聞かれても知らんがなとケータイを見ながらため息をつく。「まるかちゃんのバニーガール姿、萌える」

 一方で、オレは相変わらず、上へ行ったり下へ行ったりの繰り返し。

「き、き、気持ちわるううううううううい」

 まったくもう! 作者は何しとんだ!

 あとで読者に聞いた話だと、作者は気分転換にパチンコに行っていたのだそうだ。仕事をさぼって。

 神も仏もないのか!!

 とその時。

 ずがああああああああああああん。

 暗闇を突き破って、ヘリコプターが突っ込んだ。ま、まさか……。

「まるか!」

「うわああああああああ」

「あーれー」

 大崎さんとダークラビットは抱き合いながら、崖から落ちた。

「ほれ。たけちゃん」

 まるかが手を伸ばす。トランポリンから飛び上がったオレは手を伸ばし、まるかの手をしっかり握った。

 そして、ヘリの中に持ち上げられた。

「え。まるか。どこから来たの」

「そんなことどうでもいいでしょ。ほれ。たけちゃん。あたしにしっかり捕まって」

「う、うん。あ。おっぱい触っちゃった」

「いやん!」

 まるかはヘリを加速させた。

「わああああ。どこ行くのおおおおお」

「あ。光が見えてきた」

 ずがああああああああああん。

 

 パソコン(あるいはスマホ)の画面を突き破る音。

 

  大好きな人  完

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