最強天使の俺、日本で迷子になり高校生男子に懐かれ大混乱【改訂版】

エイト∞

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最強天使、無双執事にいじられる(その2)

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『蒼くんに魔法を見られたかもしれぬが、ブルーベリーファームのドルチェピザも、遊お手製のもやしラーメンも美味だった。今日も良き一日だった』

 風呂を上がった俺は、遊の部屋で布団を敷き、ごろんと寝転びバレットにメッセージを送信。やや強がりな文面である。フハハ。いや、笑ってる場合か。

 スマホがオーロラ色に煌めく。おや、もう返事が届いたか。

『サミュエル様。日記めいた、もっとも返信に困るメッセージをありがとうございます』

 礼を言っているが、言っていない。俺はスマホを耳にあて、電話をかけた。揺らぐ光が窓ガラスに反射し、部屋中が虹色の星屑で満ちていく。車内で蒼くんが目にした光景も、きっとこれに似た輝きだっただろう。
 遊と隣の蒼くんの部屋は、ベランダで繋がっている。遊はよくカーテンを閉めるのを忘れ、そのまま寝てしまいがちだ。今も開け放たれたままである。つまりは、蒼くんにもこの光が漏れて届いているかもしれず——。
 
「……サミュエル様」 
「やあ、バレット! 今日のドルチェピザは——」
「あくまで予想でございますが、蒼様は魔法を目撃された可能性が高いかと」

 ギクッ!

「や、やはりそう思うか?」
「ええ。『やあ、バレット!』などとおっしゃってる場合ではないかと」

 ぐふぉっ!ボディーブローが今日も効く。俺はやれやれと、自分に呆れ首を左右に振った。

「蒼くんのことだ。混乱を招くことはないだろうが、俺としたことが失態をしでかしたな……」
「サミュエル様。ブルーベリーに心酔しんすいなさり、注意散漫でらしたのでは?」

 図星である。そして、今日のバレットはいつもに増してパンチ力が強い。食の恨みがいまだに晴れぬであろう彼に、ゴマをすろうではないか。

「バレットよ。お前がお手製の宇都宮餃子を食べたがっていると、遊に伝えておこう」
「ッ!! 急になんのお話でございますか!? 休暇中はそちらへ伺えませんゆえ、結構でございます!!」
「ははは。もやしラーメンを食べていたら、ふと餃子を思い出したのだ」
「……ちなみに、もやしの生産量は栃木が全国トップでございます」

 バレットも、すっかり栃木推しである。もやしの統計データまで押さえている執事など聞いたことがない。もはや観光大使か?

「サミュエル様。当初は戸惑いのご連絡ばかりでいらっしゃいましたが、いまや栃木の暮らしにもすっかり慣れたご様子で。私も安堵しておりますよ」
「バレット……」

 なんだかんだで、愛のある男だ。長年バディを組んでいて、こういう優しさがこたえる。俺は微笑み、手のひらをそっと胸にあてた。ふんわりと心が温まっていく。

「……そして時折、『ブルーベリーのように甘酸っぱい恋』などという、寒さで震えあがるセリフを皆様からスルーされるお姿もまた、最強天使らしからぬ愛らしさが溢れていて、よろしいかと存じます」 

 よりにもよって、一番見られたくないシーンを見られていた件。

 ——タンッ!タタタンッ!タンタンッ!

 階段を上がってくる足音。不規則でやけに騒がしい。これは遊だな?
 
「サミュエルさあーんっ!!」

 バアァアンッ!とドアを開けるや否や、遊が部屋に飛び込んできた。

「あっ!」

 遊は慌てて俺に駆け寄ると、オーロラ色に瞬くスマホを自分の耳にくっつけた。

「もしもーし! バレットさんですか!?」
「え? ええ、バレットでございま——」
「バレットさんもさ、サミュエルさんと同じくらいカッコいいんですよね!?」
「!!!」
「あれっ? もしもし?」
「…………」

 ——プツッ。

 切れた。ノイズではない。おそらく、遊の勢いと突然の称賛に、バレットは何も言えなかったのだろう。リムレスの眼鏡を細い指で持ち上げ、動揺するツンデレ執事の姿が目に浮かぶ。
 
「なんだあ。もっとちゃんと話したかったなあ!」
「バレットが遊の手作り餃子を食べたがっていたぞ?」
「えっ、そうなの?」

 再びスマホがオーロラ色に瞬く。ははは。どれどれ、照れ隠しのメッセージか?

『サミュエル様、おやすみなさいませ。無邪気な遊様の声に、私もブルーベリーのように甘酸っぱい恋を思い出しました』

 ……その傷をえぐるでない、バレットよ。



 ——続く——

 読んでくださりありがとうございます!次は12月20日の夜に更新します!現在、描写を丁寧に再構成し、新しいストーリーも頑張って書いてます(笑)12月末~1月末までは、毎日更新します!応援よろしくお願いします^^
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