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39 次の約束
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蛇皮を売って現金を手に入れた華は、希望通り露店で塩(壺ごと)とナイフ、沢山の布と糸とついでに鋏を購入することが出来た。それでも残金は3千リーン以上。当初想定していた物々交換を考えると、これ以上はないほどの成果といえた。
その上、露店には出ていなかった斧鎌も絵を描くことで幌馬車から出して売って貰えたし、その際に一緒に出てきた鍬も買えた。
そして鍬を買った事でオマケとして小袋を渡された。
中を覗くと、種が入っている。
ぱっと見ただけでも3種類ほどあり、華は飛び上がって喜んだ。
『ありがとう!おばあちゃま!』
ファーナはもうでれっでれである。
何度もお礼を言って、太陽の位置と山の上を差して帰ろうとする華をしつこく引き留めようとするくらいには。
それどころか、頻りに華を幌馬車に乗せようとしている。いったい何処に連れていこうというのか。
『奥様、あまりしつこくすると嫌われますよ』
『また来たらいいんじゃないかな。ウロコもうちで買取りたいし。ハナ、また来るよ。何か欲しいものあるかな』
すっかり出発体制を整えた商隊のリーダーであるアレックスと話していたロイが、定番の脅し文句をいう。
自分も“おじいちゃま”とか呼んで貰いたいアルベルトは、次回の約束をしようと言い出した。
華としてもウロコが売れるなら買い取って貰いたい。それも、知らない町で知らないお店で売るよりも、自分のような小娘にも丁寧に接してくれるこの“おばあちゃま”のお店で買い取って貰えた方が安心だと思われた。
少し考えた華は、太陽を指差して、その指を西に沈ませ東から昇らせを5回、5日後を提案してみた。
『5日後ね!何か欲しいものがあれば持って来るわ。何か足りないものはない?』
(足りないもの…。服は自分で作るように布を買ったし、植物図鑑が欲しいけど読めないし…。…武器、かな。金属の)
華は自分の木槍を見せて、斧の金属部をコンコン叩いく。
それを見たロイはアルベルトに断って、カイが馭者をする幌馬車から槍を持ち出してきた。
『ハナ。これは槍だ。やり。ほら、柄が真っ二つに折れて俺たちには使えない。先も少し欠けているだろう?捨てる物で悪いがこれを持って行け』
槍はたしかにロイたちには短過ぎでも華には気持ち短め程度。少し振らせて貰うと、重さは逆に少し重いくらいで攻撃力が高そうだった。
『これをください』
露店でばっちり覚えた言葉でお金を払おうとすると、いらないと言われる。捨てる物だからと。
(でもこれ、鉄のところは鋳溶かして使うんじゃないかな)
華の身の回りではめぼしい鉄製品は供出されていて、そのほとんどを代用品で賄っていた。華としてはただで貰うわけにはいかないと思ったのだが、大事なことを忘れていることに気が付いた。
むしろファーナは何故言い出さなかったのか。
『ファーナさん、これ“鉛筆” です。やり、交換する、です』
華はなんとなく、ファーナは鉛筆が華に必要な物だと思ったから交換も買取りも言わなかったのではないかと思ったので、筆箱からコレクションのちび鉛筆を2本取り出した。
華は消耗品を使いきるのが好きだった。最後の最後まで有効利用すると達成感を味わえる。ちび鉛筆たちも華が字を書けるぎりぎりの大きさで、持つところが指の第一関節くらいしかないが、華が今まで使った全ての鉛筆を捨てられずに持ち歩いていたのだ。
華の大事なコレクションとは言え、こちらこそ本来捨てる物で申し訳ないと思いつつの2本。
『ハナ。これは大事な物ではないの?』
『捨てる物、悪い、です。ファーナさん、これ、欲しい、ない?』
『欲しいわ!はなっ、ありがとう!』
最後に物々交換をして華と商隊は別れた。
ファーナは何度も5日後の約束をして手を振っていた。
きっとあの商隊の行く方に町だか村だかがあるのだろう。護衛付きの立派な幌馬車が2台。もしかしたら大きな街かもしれない。
馬車で片道2日以内には確実に人里があることが分かった華は、手に入れた品を背負子で担いで山を登っていった。
その上、露店には出ていなかった斧鎌も絵を描くことで幌馬車から出して売って貰えたし、その際に一緒に出てきた鍬も買えた。
そして鍬を買った事でオマケとして小袋を渡された。
中を覗くと、種が入っている。
ぱっと見ただけでも3種類ほどあり、華は飛び上がって喜んだ。
『ありがとう!おばあちゃま!』
ファーナはもうでれっでれである。
何度もお礼を言って、太陽の位置と山の上を差して帰ろうとする華をしつこく引き留めようとするくらいには。
それどころか、頻りに華を幌馬車に乗せようとしている。いったい何処に連れていこうというのか。
『奥様、あまりしつこくすると嫌われますよ』
『また来たらいいんじゃないかな。ウロコもうちで買取りたいし。ハナ、また来るよ。何か欲しいものあるかな』
すっかり出発体制を整えた商隊のリーダーであるアレックスと話していたロイが、定番の脅し文句をいう。
自分も“おじいちゃま”とか呼んで貰いたいアルベルトは、次回の約束をしようと言い出した。
華としてもウロコが売れるなら買い取って貰いたい。それも、知らない町で知らないお店で売るよりも、自分のような小娘にも丁寧に接してくれるこの“おばあちゃま”のお店で買い取って貰えた方が安心だと思われた。
少し考えた華は、太陽を指差して、その指を西に沈ませ東から昇らせを5回、5日後を提案してみた。
『5日後ね!何か欲しいものがあれば持って来るわ。何か足りないものはない?』
(足りないもの…。服は自分で作るように布を買ったし、植物図鑑が欲しいけど読めないし…。…武器、かな。金属の)
華は自分の木槍を見せて、斧の金属部をコンコン叩いく。
それを見たロイはアルベルトに断って、カイが馭者をする幌馬車から槍を持ち出してきた。
『ハナ。これは槍だ。やり。ほら、柄が真っ二つに折れて俺たちには使えない。先も少し欠けているだろう?捨てる物で悪いがこれを持って行け』
槍はたしかにロイたちには短過ぎでも華には気持ち短め程度。少し振らせて貰うと、重さは逆に少し重いくらいで攻撃力が高そうだった。
『これをください』
露店でばっちり覚えた言葉でお金を払おうとすると、いらないと言われる。捨てる物だからと。
(でもこれ、鉄のところは鋳溶かして使うんじゃないかな)
華の身の回りではめぼしい鉄製品は供出されていて、そのほとんどを代用品で賄っていた。華としてはただで貰うわけにはいかないと思ったのだが、大事なことを忘れていることに気が付いた。
むしろファーナは何故言い出さなかったのか。
『ファーナさん、これ“鉛筆” です。やり、交換する、です』
華はなんとなく、ファーナは鉛筆が華に必要な物だと思ったから交換も買取りも言わなかったのではないかと思ったので、筆箱からコレクションのちび鉛筆を2本取り出した。
華は消耗品を使いきるのが好きだった。最後の最後まで有効利用すると達成感を味わえる。ちび鉛筆たちも華が字を書けるぎりぎりの大きさで、持つところが指の第一関節くらいしかないが、華が今まで使った全ての鉛筆を捨てられずに持ち歩いていたのだ。
華の大事なコレクションとは言え、こちらこそ本来捨てる物で申し訳ないと思いつつの2本。
『ハナ。これは大事な物ではないの?』
『捨てる物、悪い、です。ファーナさん、これ、欲しい、ない?』
『欲しいわ!はなっ、ありがとう!』
最後に物々交換をして華と商隊は別れた。
ファーナは何度も5日後の約束をして手を振っていた。
きっとあの商隊の行く方に町だか村だかがあるのだろう。護衛付きの立派な幌馬車が2台。もしかしたら大きな街かもしれない。
馬車で片道2日以内には確実に人里があることが分かった華は、手に入れた品を背負子で担いで山を登っていった。
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