95 / 154
94 ふかふかの
しおりを挟む
華が浴室から出ると、シアが洗濯に出すといって華の服一式の入った籠を何処かへ持っていった。
翌日の出発時間は聞いていないが、もう夕方でそろそろ暗くなってくる頃だ。有り難いがこれから洗濯して乾くのだろうか。
『ハナさん、ハナさん、こっちに座って!』
ルナリアが華の濡れた髪のお手入れをさせてくれと言うので大人しくソファーに座って髪を拭かれている。
手元に寄せたカバンの中から本柘植の櫛を出しながら、今ルナリアが華の髪を乾かしている布が普通の布であることに気が付いた。浴室にあったのも大きめの手拭いだった。
(タオル地…パイル地って言うんだっけ?あれも言ったら作ってくれるのかな。ふかふかのタオルがあったらきっと凄く流行るよね)
タオル地があっても高価で普及していないのかもと一瞬考えたが、幸せな気分になれるふかふかのタオルのことを考えるとそれはないなと思う。
ふかふかのタオルがここに有れば、きっと大量に生産されて大量に消費されるだろう。大量は言い過ぎかもしれないが、高級住宅街のお屋敷の客間に置けないほどの高級品にはならないはずだ。
(言うだけ言ってみよう)
また言うだけ言って後はお任せする気満々な華は、ノートの新しいページにタオル地の絵を描いていく。
『それはなあに?不思議な絵ね?』
『これ』
何やらリボンを何種類も並べてスタンバイしているファーナが、華のお絵描きに気付いて聞いてくるが、ループをたくさん並べた謎の絵が何なのかさっぱり解らないようだった。
手拭いの言い方がそういえば分からないと、ルナリアの手元を指してこちらの言い方を教えて貰う。
『え、これ手拭い?』
華の絵と手拭いが結び付かない様子のファーナに、ルナリアから受け取った手拭いで解説する。解説といっても身ぶり手振りで布の裏と表で指をくるくるしただけだが。
『てぬぐい。ぬの。いと、ぴよぴよ出す。たくさん』
『布から糸をぴよぴよ?出すのね?』
『ぴよぴよ…』
『ほつれが沢山ある感じかしら』
いつの間にか戻って来たシアと、ルナリアも櫛で華の髪をとかしながら謎解きに参加している。
機織りの仕種をして布を織る言い方を教えて貰い、細い棒込みで織ってループを作る絵を描いていく。
例によって華はパイル地の織り方の細かいところは知らないし、それどころか機織りをしたこともないので、華の識る限りの情報を提示して後はお任せである。
『布を織る時に態とぴよぴよ糸が出るようにするのね?』
『ねえハナさん。これはなあに?』
ファーナが華の説明をまとめてくれたが、結局何についての説明かは解らない。
ただファーナとシアは、華が欲しい物、作って貰いたい物の説明なのだと知っているので真剣に聞いている。
『これはタオルです』
『たおる?』
『てぬぐい。ふかふか!ふわっふわ!』
『ふかふかで』
『ふわっふわな』
『手拭い…』
(((いいかも…!)))
絵と想像では何の為に布にわざわざほつれを作るのかが今一つ分からなかったが、華の擬音でふかふかでふわふわな手触りを想像したファーナ達。
ルナリアはこれが何に結び付くのか分かっていなかったが、商品開発を期待するシアの視線を受けるまでもなく、是非このタオルを作ろうと華に約束するファーナだった。
華がお茶をいただきながらルナリアとファーナに飾り立てられ、シアに言葉を教えて貰っていると、階下が賑やかになってきた。
『帰って来たみたいね』
『?』
シアが先程華がノートに書いたばかりの家系図を指して華に教えてくれる。
『ファーナとアルベルト。その子供ルナリア、夫、旦那のラインハルト。その息子、グレイル。騎士、23才』
『ファーナさん、かぞく。おかえり?』
さりげなくグレイルの情報を華に教えるシアだが、華にはファーナの家族ということ以外に気になる情報は無いようだった。
『行ってみる?』
グレイルの情報にまったく興味を示さない華に、改めて名前すら知られていないのだとグレイルを憐れんだファーナが、華を出迎えに誘ってみた。
『行きます!アルベルトさん、おかえり、する!』
翌日の出発時間は聞いていないが、もう夕方でそろそろ暗くなってくる頃だ。有り難いがこれから洗濯して乾くのだろうか。
『ハナさん、ハナさん、こっちに座って!』
ルナリアが華の濡れた髪のお手入れをさせてくれと言うので大人しくソファーに座って髪を拭かれている。
手元に寄せたカバンの中から本柘植の櫛を出しながら、今ルナリアが華の髪を乾かしている布が普通の布であることに気が付いた。浴室にあったのも大きめの手拭いだった。
(タオル地…パイル地って言うんだっけ?あれも言ったら作ってくれるのかな。ふかふかのタオルがあったらきっと凄く流行るよね)
タオル地があっても高価で普及していないのかもと一瞬考えたが、幸せな気分になれるふかふかのタオルのことを考えるとそれはないなと思う。
ふかふかのタオルがここに有れば、きっと大量に生産されて大量に消費されるだろう。大量は言い過ぎかもしれないが、高級住宅街のお屋敷の客間に置けないほどの高級品にはならないはずだ。
(言うだけ言ってみよう)
また言うだけ言って後はお任せする気満々な華は、ノートの新しいページにタオル地の絵を描いていく。
『それはなあに?不思議な絵ね?』
『これ』
何やらリボンを何種類も並べてスタンバイしているファーナが、華のお絵描きに気付いて聞いてくるが、ループをたくさん並べた謎の絵が何なのかさっぱり解らないようだった。
手拭いの言い方がそういえば分からないと、ルナリアの手元を指してこちらの言い方を教えて貰う。
『え、これ手拭い?』
華の絵と手拭いが結び付かない様子のファーナに、ルナリアから受け取った手拭いで解説する。解説といっても身ぶり手振りで布の裏と表で指をくるくるしただけだが。
『てぬぐい。ぬの。いと、ぴよぴよ出す。たくさん』
『布から糸をぴよぴよ?出すのね?』
『ぴよぴよ…』
『ほつれが沢山ある感じかしら』
いつの間にか戻って来たシアと、ルナリアも櫛で華の髪をとかしながら謎解きに参加している。
機織りの仕種をして布を織る言い方を教えて貰い、細い棒込みで織ってループを作る絵を描いていく。
例によって華はパイル地の織り方の細かいところは知らないし、それどころか機織りをしたこともないので、華の識る限りの情報を提示して後はお任せである。
『布を織る時に態とぴよぴよ糸が出るようにするのね?』
『ねえハナさん。これはなあに?』
ファーナが華の説明をまとめてくれたが、結局何についての説明かは解らない。
ただファーナとシアは、華が欲しい物、作って貰いたい物の説明なのだと知っているので真剣に聞いている。
『これはタオルです』
『たおる?』
『てぬぐい。ふかふか!ふわっふわ!』
『ふかふかで』
『ふわっふわな』
『手拭い…』
(((いいかも…!)))
絵と想像では何の為に布にわざわざほつれを作るのかが今一つ分からなかったが、華の擬音でふかふかでふわふわな手触りを想像したファーナ達。
ルナリアはこれが何に結び付くのか分かっていなかったが、商品開発を期待するシアの視線を受けるまでもなく、是非このタオルを作ろうと華に約束するファーナだった。
華がお茶をいただきながらルナリアとファーナに飾り立てられ、シアに言葉を教えて貰っていると、階下が賑やかになってきた。
『帰って来たみたいね』
『?』
シアが先程華がノートに書いたばかりの家系図を指して華に教えてくれる。
『ファーナとアルベルト。その子供ルナリア、夫、旦那のラインハルト。その息子、グレイル。騎士、23才』
『ファーナさん、かぞく。おかえり?』
さりげなくグレイルの情報を華に教えるシアだが、華にはファーナの家族ということ以外に気になる情報は無いようだった。
『行ってみる?』
グレイルの情報にまったく興味を示さない華に、改めて名前すら知られていないのだとグレイルを憐れんだファーナが、華を出迎えに誘ってみた。
『行きます!アルベルトさん、おかえり、する!』
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる