私がロボって言うのは秘密です。そう言う設定にしなさいって博士が言ってた。

桐生琉駆

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プロローグ

私は腐女子

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 オトコ……?

 彼氏……?

 セフレ……?

 バカじゃない?

 そんなものいらない。


 女の子のことを『性的玩具』としか考えられない、顔と胸しか見ていないリアルのクソ男たちなんて私の人生に必要ない。奴らは私たちを人間では無く『物』として見ているのだ。可愛くて胸が大きい女の子がチヤホヤされる。こんな世の中、誰が考えてもおかしい。

 こんなことを言っていると『ブスのひがみ』と思われるかもしれないから、念のために言っておくが私は一般的に美人と言われる部類だ。しかも、超がつくほどの美人だ。……って、みんな私のこと『この、勘違い女が!』……なんて思ってる?

 もちろん私がそこまで言うのには、それなりの根拠があるからだ。
 例えば……私が原宿、渋谷に行くと、ほぼ確実に『モデル事務所からのスカウト』から声を掛けられる。しかも、複数人からだ。これでも勘違いだと言うの?

 まあ、こんなこと信じようが信じまいが、どうでもいいけどね。

 それに、月に何回も男子から告白されるのだけれど、正直リアルの恋愛には全くと言って良いほど興味無い。もっと言うなら面倒くさい。……私はスマホの中にいるイケメンたちに夢中だし、それで十分なのだ。

 彼らなら私のことを裏切ることはないし、元気づけてくれるし、都合の良い時だけ一緒にいてくれる。最高では無いか。

 --そう。
 私は俗に言う『BL好きの腐女子』と言うやつだ。後悔なんてしていない。

 なんて、偉そうなことを言っているけれど、私が腐女子であることは皆には『秘密』なのだ。一応、高校では主席でクラス委員長。自分で言うのも何だけど人望も厚い方だ。
 もちろん女子からもラブレターを貰うことも少なくない。

 そんな私の部屋は『一見』ピンクが基調で、クマさんのぬいぐるみ、もふもふの抱き枕、友達と映っている写真……普通の女子高生にありがちな可愛い部屋を『演出』している。

 まあ……頭の良い皆さんには察しがついていると思うけれど、私の部屋には、鍵付きクローゼットがある。
 そして、鍵付きクローゼットの中には……私の楽園、『BLワールド』が広がっているのだ。家族にも、いや、家族にこそ見せることのできない『腐女子のワンダーランド』が広がっている。

 誰にも決して見せることのできない私だけの世界。もちろん誰にも見られないようにクローゼットの鍵は肌身離さず持ち歩いている。

 さて、もう夜中の2時になってしまった。明日も学校だ。そろそろ寝ないとヤバいな。優等生の私が授業中に寝るなんてこと絶対にできない。絶対に。だ。


『コンコン……コンコン……』


 窓を叩く音がする。

 ……え?
 ここはマンションの『5階』だよっ?!
 ありえない!
 怖い!!

 き、気のせい……だよね?

『コンコン……コンコン……』

 聞き間違いじゃない。明らかに窓をノックする音だ。

 気のせいじゃなーーーい!!!
 やめてやめて!
 誰か助けて!!


『せーの。ガシャーーーーン!!』


 ぎゃああーーーー!!
 窓割ったーーーーー!!

 窓から一番離れたところに逃げる。怖い怖い怖い。

 お母さん助けて!
 何で来てくれないの?
 やばい!
 絶対ヤバいやつだこれ!!


「こんばんわー夜分すみませーんてへぺろ」


 恐々と顔を上げると私の前に女の子が立っていた。

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