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真実1
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ーーー夢魔と龍がトモダチになって二週間。あれから何事もない。あったといえば一週間前に転校生がきたことぐらいだった。名前は狂崎神子。夢魔と同じ黒い髪だがショートカットだ。暗い雰囲気で謎めいた存在だが、神子の黒髪がさらにそれを引き立てている。夢魔に瓜二つなので、姉妹ではないかという噂も多々ある。あまりしゃべらないので、近寄りがたい。
夢魔と龍は、周りから見れば『付き合っている』というふうに見えるらしく、「いつ付き合ったの?」「きっかけは?」などとしょっちゅう聞かれる。そのため、本人たちもお互いに惹かれていくようになった。だが、夢魔には婚約者がいる。そのことを気遣ってなのか、龍は夢魔への思いを必死に押し殺していた。だが、龍の夢魔に対する態度は変わらなかった。
「夢魔~。弁当食おうぜ」
そう言って歩いてきたのは龍だった。それに気付いた夢魔は、「うん。待って、今行くから」と弁当の準備しながら言った。そして二人は教室を出た。
その日の放課後ーーー
「龍。私、寄るとこあるから先帰るわ」
友達と話す龍にそう言って、夢魔は立ち上がった。
「分かった。じゃあな。また明日」
龍はそう言って友達との話しに戻った。「うん」とだけ応えて夢魔は教室を出た。
そのとき二人は重要なこと忘れていたーーーー。
夢魔は一人校門を出て、学校の近くにあるスーパーへと向かっていた。この日はスーパーの特売日だったので、客が多い。レジも混んでいる。夢魔は急いで必要なものをかごに詰め込んで、レジへと向かった。
夢魔が帰った後、龍はしばらく友達と話していた。だが、少し小腹が空いてきたので、龍は早々に話しを切り上げ、スーパーに寄ることにした。
「おっ、夢魔。お前、スーパーに寄ってたのか?」
「悪い?今日は特売日なの。あなたも買い物に?」
(なんかこいつ、やけに機嫌悪いな。レジが並んでるからか?)
「ああ。少し小腹が空いてな」
龍が内心こんなことを思っているとは知らずに、夢魔は「へえ。」とだけ応える。
「それよりお前、一人暮らなんだろ?弁当じゃなくてちゃんと料理作れよ。」
夢魔の買い物かごを見ると、確かに弁当とインスタントラーメンが入っている。すると夢魔は、
「ごめん~。私、料理作れないの~。お母さんが料理教えてくれる前に死んだから」
と、笑って言った。だが、目が笑っていない。
(やっべ。地雷踏んだかも………。てか、目が全然笑ってないし!怖えぇよこいつ!)
と、龍が内心思っていると、隣のレジに目をやった夢魔が「あ………」といった。龍は気になってそちらを見てみた。するとそこには、転校生の狂崎神子がいた。
「あ、ねえ。知ってる?あの子、『神の子』って噂があるの」
夢魔が言うと、龍は「根拠は?」と言った。それに応えるように夢魔は言った。
「あの子の名前って、神様の『神』に、子供の『子』って書くでしょ?だから」
「そんなもんか?あ、レジ空いたぞ」
夢魔が説明していると、レジが空いたので、二人は早々に会計を済ませ、スーパーから出た。
帰る途中、たくさん話をしていた。すると、前方から、見覚えのある黒フードの男たちが歩いてきた。その様子はまるで『眠っている』また、『操られている』ようにも見える。それを見て、あの夢のことを思い出した夢魔は、とっさに「龍、逃げよう!」と言った。龍は「あ……夢の…………」と言って夢魔と一緒に走り出した。二人は逃げた。ずっと走り続けた。だが、相手も手強い。すぐに追いつかれてしまった。
「待って下さい。私は怪しい者ではありません」
と言って、夢魔の腕をつかむ和服のロン毛男。紫がかった長い、腰よりもある髪をポニーテールでまとめている。女っぽい顔つきだが、整っていて、女にも滅多にない美形で、まさに「イケメン」だ。
(いや、充分怪しいです!)
内心こんなことを思いつつ、夢魔は恐る恐る聞いた。
「じゃあ、あなたは誰?」
「私はあなたの婚約者です」
夢魔と龍は目を見開いた。ーーなぜ私(夢魔)の婚約者がここに!?ーー夢魔と龍は同時に思った。そして、和服のロン毛男は続ける。
「本当に怪しい者ではありません。どうか逃げないで下さい。あなた方に、全てを教えるために来ました。あ、私は桂木 秀魔といいます。とにかく、話は私の屋敷で。皆さん、待ちくたびれていますよ」
夢魔たちは迷った。見るから怪しい黒フードの男たちを従わせながら、「私は怪しくありません」なんていっても信じがたい。だが、男がいう『全て』とはなんだろう。ーーー知りたい。ーーーそう思った夢魔はもう頷いていた。それを見た龍も頷いていた。
「では、向かいましょう。…………電柱に隠れている人。あなたもですよ?ーーさあ。ついてきて下さい」
そう言った男の背中を、三人はついていった。三人目。それはーーーー狂崎神子だった。
夢魔と龍は、周りから見れば『付き合っている』というふうに見えるらしく、「いつ付き合ったの?」「きっかけは?」などとしょっちゅう聞かれる。そのため、本人たちもお互いに惹かれていくようになった。だが、夢魔には婚約者がいる。そのことを気遣ってなのか、龍は夢魔への思いを必死に押し殺していた。だが、龍の夢魔に対する態度は変わらなかった。
「夢魔~。弁当食おうぜ」
そう言って歩いてきたのは龍だった。それに気付いた夢魔は、「うん。待って、今行くから」と弁当の準備しながら言った。そして二人は教室を出た。
その日の放課後ーーー
「龍。私、寄るとこあるから先帰るわ」
友達と話す龍にそう言って、夢魔は立ち上がった。
「分かった。じゃあな。また明日」
龍はそう言って友達との話しに戻った。「うん」とだけ応えて夢魔は教室を出た。
そのとき二人は重要なこと忘れていたーーーー。
夢魔は一人校門を出て、学校の近くにあるスーパーへと向かっていた。この日はスーパーの特売日だったので、客が多い。レジも混んでいる。夢魔は急いで必要なものをかごに詰め込んで、レジへと向かった。
夢魔が帰った後、龍はしばらく友達と話していた。だが、少し小腹が空いてきたので、龍は早々に話しを切り上げ、スーパーに寄ることにした。
「おっ、夢魔。お前、スーパーに寄ってたのか?」
「悪い?今日は特売日なの。あなたも買い物に?」
(なんかこいつ、やけに機嫌悪いな。レジが並んでるからか?)
「ああ。少し小腹が空いてな」
龍が内心こんなことを思っているとは知らずに、夢魔は「へえ。」とだけ応える。
「それよりお前、一人暮らなんだろ?弁当じゃなくてちゃんと料理作れよ。」
夢魔の買い物かごを見ると、確かに弁当とインスタントラーメンが入っている。すると夢魔は、
「ごめん~。私、料理作れないの~。お母さんが料理教えてくれる前に死んだから」
と、笑って言った。だが、目が笑っていない。
(やっべ。地雷踏んだかも………。てか、目が全然笑ってないし!怖えぇよこいつ!)
と、龍が内心思っていると、隣のレジに目をやった夢魔が「あ………」といった。龍は気になってそちらを見てみた。するとそこには、転校生の狂崎神子がいた。
「あ、ねえ。知ってる?あの子、『神の子』って噂があるの」
夢魔が言うと、龍は「根拠は?」と言った。それに応えるように夢魔は言った。
「あの子の名前って、神様の『神』に、子供の『子』って書くでしょ?だから」
「そんなもんか?あ、レジ空いたぞ」
夢魔が説明していると、レジが空いたので、二人は早々に会計を済ませ、スーパーから出た。
帰る途中、たくさん話をしていた。すると、前方から、見覚えのある黒フードの男たちが歩いてきた。その様子はまるで『眠っている』また、『操られている』ようにも見える。それを見て、あの夢のことを思い出した夢魔は、とっさに「龍、逃げよう!」と言った。龍は「あ……夢の…………」と言って夢魔と一緒に走り出した。二人は逃げた。ずっと走り続けた。だが、相手も手強い。すぐに追いつかれてしまった。
「待って下さい。私は怪しい者ではありません」
と言って、夢魔の腕をつかむ和服のロン毛男。紫がかった長い、腰よりもある髪をポニーテールでまとめている。女っぽい顔つきだが、整っていて、女にも滅多にない美形で、まさに「イケメン」だ。
(いや、充分怪しいです!)
内心こんなことを思いつつ、夢魔は恐る恐る聞いた。
「じゃあ、あなたは誰?」
「私はあなたの婚約者です」
夢魔と龍は目を見開いた。ーーなぜ私(夢魔)の婚約者がここに!?ーー夢魔と龍は同時に思った。そして、和服のロン毛男は続ける。
「本当に怪しい者ではありません。どうか逃げないで下さい。あなた方に、全てを教えるために来ました。あ、私は桂木 秀魔といいます。とにかく、話は私の屋敷で。皆さん、待ちくたびれていますよ」
夢魔たちは迷った。見るから怪しい黒フードの男たちを従わせながら、「私は怪しくありません」なんていっても信じがたい。だが、男がいう『全て』とはなんだろう。ーーー知りたい。ーーーそう思った夢魔はもう頷いていた。それを見た龍も頷いていた。
「では、向かいましょう。…………電柱に隠れている人。あなたもですよ?ーーさあ。ついてきて下さい」
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