文学フリマ京都10に向けた作品

枝浬菰文庫

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第1作品「君の隣にいたい」

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❁あらすじ
 僕は汚いΩだ。でも僕には大好きな王子様がいる。
 六歳の頃までずっと一緒だった颯斗に会いたい。
 そんな願いも叶わないのに、それに僕にはもう子宮がない。もし颯斗に出会ったとしてもなにもかも終わっている。だから会いたいけど会いたくない。
 そんな中僕が働いているお店に颯斗は来た。立派になった颯斗はかっこよかった。見とれちゃうくらい。
 お願い僕だと気がつかないで……。


❁試し読み 10ページ
 僕には好きな人がいた。
 でもそれはもう叶わない。
 だって僕バース性Ωになってしまったから。
 君の隣にはいられない。


 この世界はオメガバースという第三の性がある。α・β、そしてΩ。
 Ωは男でも子どもを授かることができる神秘的な性なのに。
 世の中はそんなΩを蔑んでいた。


 捕まえて嬲って子どもを産ませようとするやつもいれば性欲処理だけに行為を繰り返すやつもいる。

 大抵がαなんだけど、言い訳はだいたいΩである僕が誘ったと言うのだ。

 三ヶ月にくる発情期はαを誘惑する魔の匂い。  

 だから薬を使って抑えないといけない。

 そんな世の中にどうしてΩという第三の性を神様は作ってしまったのか。

 僕には理解ができない。できないけど好きな人と繋がれて子どもを授かることができるのは少し嬉しいと思う。
 でも優秀なαこそΩは毒となる。
 僕の好きな人は優秀なαだ。
 もう叶わないのかな。僕の大事な人の傍にいることは……。

 歌舞伎町 繁華街
「おいおい動かなくなったぞ」
 ベッドで横たわる僕にそう問いかけた。
 残念ながらまだ気絶してないです。
 それでも動くことはできなかった。
 数人の男に嬲られ限界を迎えた僕はぼーっと世界が歪むのを見ていた。
 まだタイマーは鳴らない、行為は終わらないというわけだ。

「威勢が良いのは最初だけか?」
「まぁ気絶したところで入れるけどな」ギャハハハと耳障りな声が聞こえ、再度体に激痛が走る。
「いっ……」

「起きたか、こっちもお酌しろよ」
「はぁ……はぁ……んぐっ」

 ぼんやりと視界が歪む中男の膨れ上がった性器は僕の口へと挿入された。
 腰を持っている男は音を立てながら皮膚同士を打ち付け体の中を出入りする。
 これがΩの仕事。
「はぁ……はぁ……中トロトロだぞ」
 ぐいっと腕を引かれ唇を重ねながら男は突き上げた。
「んっあんふぁっ」

 突き上げられるたびにビクビクと体が震え、痙攣と共に射精を繰り返す。
「あんあんっああっく」
「さぁてご褒美だぞ」そう言うともう一人の男は僕を倒しまだ男の性器が入っているにも関わらず挿入をしてきたのだ。
「まっ……いっ……」

 僕の制止の言葉なんてここでは通らない。
 体が裂けそうなほどの痛みを味わう。
「やばいなっ入っちゃうよ、さすがΩだな、本当に中トロトロだ」
 ぐっと押し込まれ激痛もあるが呼吸もしづらくなる。
 パンパンと激しい音が部屋に木霊し追い込まれる。
「はぁ……はぁ……んぐっ…あんあんあんああああああああ」
 僕の叫びと共に男達の欲望は中に吐き出された。


「はぁーたまんないな、Ωちゃんは」
 痙攣しガクガクと体が揺れ僕は暗い世界へと落ちていく寸前にピピピピピピとタイマーが鳴り響き男達は立ち上がり身支度をした。

「はぁ……はぁ……おわった」
 ベッドに仰向けになり呼吸を整える。
「はぁ……はぁ……さすがに二輪は痛いって……」
 すーっと目を閉じようとしたが清掃の人がきた。

「お疲れ様っす、乃亜のあさん店長が呼んでいましたよ」
 そう、僕の名前は乃亜だ。
 名字はない。
「ああーちょっと待って無理動けない」
「あー俺たちも仕事があるので」
 清掃員はβだ、僕たちが身を犠牲にして働いたお金で暮らしている。

 まぁでも清掃してくれるのはありがたいから文句も言えない。

 でも見て見ぬ振りは少し切なくなるからやめてほしいんだよね。
 体を起こしドロッと体の奥から出てきた白い液体を触り見つめてしまう。
 僕の体に精液を流し込んでも妊娠ができないことは分かりきっていた。


 ここで働く前に男に嬲られ子宮にこれでもかと精液を流し込まれ妊娠して赤ちゃんを卸した。
 それに後遺症でもう孕むことはできない。
 だからもし好きな人ができても、もうΩとしての価値は発情期に来る甘い匂いのセックスだけだ。

 そんな僕に誰が手を差し伸べくれるのか。

「あのぉーベッドから降りていただけませんか?」
「ああ、ごめんね、すぐにどくよ」

 立ち上がるもガクッと床に膝をつき近くにあった杖でなんとか上体をおこし部屋を出る。
 廊下を歩くと聞こえてくるのは喘ぎ声だった。たまに罵声も聞こえる。
 ゾクッと身震いし早めに地下を出た。
 店長の部屋は重いドアの先だ。
 体を扉におき全体重で開けた。
「お疲れ、乃亜こちらにおいで」
 すぐさま声をかけられ部屋の中に入る。

「店長……」と声をかけるも返ってくる言葉はない、ただただ体を触られ内側に指が入る。

「んぐっんんっ」
「たくさん出されたね、トップクラスに迷惑かけないようにシャワー室を借りなさい。それと避妊薬、君には意味がないかもしれないけどね」
「ありがとうございます」
 これだけのことに事後呼ばないでほしいと常々思ってしまう。
 店長の部屋を出てゆっくりとトップクラスの身支度室に向かう。

 あまりここには近づきたくないが店長の命令には従うしかない。
 トップクラスはオーナーのお気に入りメンバーが揃っている。
 美しいΩから勉学が優秀なΩ、それでも身売りをしないかぎり生きていくのは難しい世の中。

 僕たち下っ端Ωと違いとてつもなく優遇されている。
 豪華な装飾がされた扉を抜けると甘い香りがした。

 そして廊下を歩きシャワー室と書かれた部屋を見つけ中に入るとすでに一人トップクラスがいた。

 許可を取らないとここは使えない。
「君、どうしてここに?」

 後ろに立たれたことにすら気がつかなかった。

 振り向くと薄いキャミソールを着て番防止のカラーをはめて声をかけてきた。
 それに比べ僕たち下っ端は服さえ着る許可がおりない。
陽姫ようひめ様、申し訳ございません、店長の命によりトップクラスのシャワー室をお借りしろとご助言をいただきました」

「へぇーで、君、名前は?」
「乃亜と申します」失礼がないようにできるだけ頭を下げて物を言う。

「乃亜、いい名前だね」そう言われ顎を持ちキスをされた。

「んっ!?」
 思わず驚き後ろに体が倒れそうになった時……。

「やぁ陽姫、この子はなんだい? こんな可愛い子が下っ端にいるなんてオーナーも意地悪だね」
 後ろで支えてくれた男、姫にしては体付きがいいような気がする。がっしりとした体型はΩでも珍しいタイプだろう。
「この子は乃亜だよ、僕もねすっごい可愛いなぁって思ったのだから食べちゃわない?」

 食べる? 僕を?
 よく分からない状況に頭がついていかないし先ほどキスされた時ほんのり甘い薬を盛られたみたいだ。
 ぐらっと倒れそうになり後ろの男に抱き抱えられた。

 そのまま陽姫様の部屋のベッドでおろされた。

「で、どうするの? この子シャワー室に用事があったんじゃないの?」
「どうするのって陽姫が気になっていた子じゃないの?」
「気にはなっていたけど、でもこの子αに抱かれた後よね?」
「そうだな」
「はぁ……はぁ……ひぐっ…」

「どうしたの? 体が痛いのかしら?」
「なら、確認をしないといけないね」

 ぐっと仰向けの状態でM字開脚からお尻を持ち上げられ穴を拡げられる。
 これは所謂お医者さんごっこなのだ。

 今やトップクラスで流行中の下っ端いじめにあたるらしい。
「はぁ……はぁ……あの、僕はシャワー室に」と声をかけるも
「大変! お注射の準備をしないと」などと言っていた。

 そして持ってきたお注射は自らの性器でぬちゅっと体内に入ってきた。
「んぐっ」もう限界の限界を迎えていたので苦しい。

「はぁ……はぁ……陽姫様……」
「なぁに、安心してすぐに楽にさせてあげるからね」と陽姫様の気が済むまで僕は犠牲になった。


 解放されたのは朝の九時頃だった。気がつけば自分のベッドの上で寝ていた。

 続きは文学フリマ京都9にて!
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