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2/9開催!〈文学フリマ広島7〉試し読み
第1作品「僕の思い通り」
しおりを挟む❁あらすじ
進藤綾と田中裕二は家のしきたりで主従関係だった。それが大学では自由に生きなさいとそれから祐二は綾の元を離れる。しかし綾は祐二を追いかけるように毎日熱い視線を送っていた。祐二は女男構わずに行為をしていると噂になり綾は気を落とす。それを見た鮫島崇は綾を誘い傍にいた。そんな中祐二はEDになってしまった。それもまた噂で広まり綾は祐二を助けるために動く。
❁登場人物
・進藤綾
・田中裕二
・鮫島崇
❁試し読み 10ページ
「あーやちゃん♡」
少し寂れた校舎に男の声は木霊していた。
僕はその男を無視して一人廊下を歩く……。
「え、無視かよ、相変わらずの愛想ないなぁ」
どうとでもいい男に振り向くほど僕は優しくない。しかしこの男鮫島崇は諦めない。
背の高い彼は僕の周りをうろうろとしていた。
「ねぇねぇ、もう祐二なんかやめて俺にしたら??」
祐二というのは僕の幼馴染みの田中裕二。
高校生までずっと傍にいてくれた男の名前だ。
僕は祐二のことが大好きだ。
でも振り向いてもらえない。
男同士が気持ち悪いってわけでもないらしいが……。
とそこに目の前を通る煌びやかな集団、その中心に祐二はいた。
チャラチャラした女や男と共に歩いて行く祐二。
ドックン。はぁ……好き。
でも今の祐二は僕が知っている祐二とはほど遠い。
高校卒業の日に言われた言葉『もう綾の騎士気取りはやめるね、俺は俺の生きたいように生きるから』
そう言葉をもらってから祐二は僕との行動をやめた。
そして見た目も印象も変わってしまった。
それでも僕の中には優しくて大人な雰囲気の祐二がいる。
祐二に触れられるだけで僕は嬉しい……嬉しいのに……。
もう遠い存在だ。
崇の言うとおりに祐二ではなくこの男に切り替えることなんて簡単だろ、でも僕は祐二が好き。
「もう進藤綾聞いてる?」
「フルネームで呼ばないで」
「あ、答えた、次の授業被ってるだろ」
「あーもう五月蠅いな」
僕は崇を突っぱねる。
彼曰く僕の【顔】が好きなようだ。
聞けば美形男子をトロ顔にして傍に置きたいらしい……。
そんなの僕も望んでいない。
僕は祐二の傍にいたかったのに……。
階段教室は相変わらず前のほうは空いている、そこに座り授業を聞く。
「であるから、おいそこ五月蠅いぞ授業を受けないなら出て行ってくれ」
先生は怒っていた。ちらっと後ろを向くと祐二がいた。
「先生すんません」と聞こえた。
本当は祐二僕と一緒で真面目グループなのに、あんなチャラチャラしてる人と付き合いたかったのかな……。本当の祐二ってなんなんだろう。
授業が終わり昼休み、相変わらず崇はまとわりついていた。
「祐二の最近の噂聞きたくない?」
「祐二の?」
「綾ちゃん、祐二のことならちゃんと返事するよね……」
「噂ってなんだよ」
「女とセックスしてるらしい」
「!? ま、まぁ祐二に彼女がいるのは普通だろ、高校生の時もモテてたし」
「ふーんでもとっかえひっかえって聞いたぞ、それも何人も」
ドックン、別に女とセックスしたところでそれは男の性欲の問題だ。
普通普通。
「綾ちゃんもう一つ噂、男とも寝てるらしいよ」
そう崇が言っていた。
心の奥底でどうして僕が選ばれないのかと思ってしまった。
「綾ちゃんその顔いいね、俺とセックスしようよ、いっぱい気持ちいいことしてあげるよ♡」
顔を覗き込まれた。
慌てて立ち上がろうとしたら後ろの人にぶつかってしまった。
「綾」
そう呼んだのは
「祐二……」
「祐二誰その子」
「真面目くんじゃんぼっちの」
ギャハハハと笑う声、そんな声も今僕と祐二が向き合っているだけで世界は静まりかえっていた。
「大丈夫?」
「あ、ごめっ大丈夫」
僕は目をそらすと崇は「うぉ怖っ」と漏らしていた。
「じゃぁまたね、綾」
優しい声と優しい表情、大人びたその顔は僕が知っている顔だった。
どうして僕から離れて他の人を抱いてしまうのか……。
僕は手を伸ばそうとするが祐二は知らない顔へと顔を変えた。
「んじゃいこっか」と食堂を後にしていた。
「あーやちゃん大丈夫?」
……。
僕も立ち上がり食べ終わっていないトレーを戻しに行く。
次の授業は崇がとっていない、小さな教室は二十人ほどしか入れない、前の席をとり教科書を広げた。とそこに
「ここいい?」と知っている声に顔を向けると祐二だった。
「ど、どうぞ」
僕は素直にそう答えた。
見た目はチャラさがない真面目な祐二だ。
「たまには綾と授業を受けてもいいかなって思って、それに悪い虫がつくのも嫌だしな」
それならずっと一緒にいてほしい。
そう思ったけど僕はあえて言わなかった。
「崇は一緒じゃないの?」
「ああ、うんこの授業はね、難しくて頭痛くなるって履修登録やめてた」
「そっか、なら俺と二人きりだな」
「うっ……」きゅーんってなるじゃんか、それでも祐二は僕と一緒にいることを望んでくれないの?
授業が始まり相変わらずの頭の良さには僕もついていくのに必死だった。
今の祐二は真面目な僕と連んでいてもおかしくない格好をしていた。
むしろ誰だこいつってくらい周りからみたら違う人に見える。そんな彼のことが僕は大好きだ。
授業が終わった。
「じゃぁ、またね」と頭に手を置かれ、それだけでも僕の心はきゅんきゅんしている。
もっと祐二の顔が見たい。
傍にいてほしい。
今の頭ポンだけでも癒やされたけど。
はぁー好き♡
「なぁなぁさっき進藤の横にいた男って誰だろうな」
「あんな、ツンケンしてるやつに話しかけるやつとか頭おかしいんじゃね」
そう聞こえるのは僕の後ろの後ろの席のやつだった。
僕は友達を作らない。
そもそも作りたいとも思ったことはない。
ただ一人を除いて……。
「少しは大人になれよって話し」
「だよな」
おまえらも同罪だけどな。
と思い立ち上がり次の教室に移動した。
祐二との出会いは家のしきたりがあったからだ。
僕の家が本家で祐二の家は従者の役割をしている家だった。
だから祐二は高校生まで僕を守る騎士の役割を果たしていた。
伝統だからと強制的ではあったけど僕は祐二を独り占めできるのは嬉しかった。
なのに高校卒業したらもう伝統行事は守らなくていい、二人とも生きたいように生きなさいとか父さんが言い出したから……。僕と祐二の関係は終わってしまった。
そうなる前に告白していたら良かったのかな。
でも従者だからといって祐二は受け入れてくれないのかな。はぁー大好きなのに……。
--
授業を真面目に聞く綾がいた。
俺はすかさず隣の席を確保する。
耳まで赤くなって本当に可愛いな。
お前をぐちゃぐちゃにしてあげたいよ。
でも家のしきたりがあったから俺は手を出せないでいる。
それなのにあの崇って男は綾の周りをうろうろと……。
食堂で一睨みしたが効果はあったのか。
早く綾にも素敵な友達ができればいいのにと思うが高校まで俺としか連んでこなかったから逆に友達作るの難しいと思ってるのかもしれない。俺のせいか……。
大学に入って高校でできなかったことを一通りしてみた。
女も男も抱いた。それでもやはり綾を抱きたいと思う。綾の視線は痛いほど伝わってくるのは分かっているしその視線が気分いいのも分かっている。
俺ってちょっと性癖おかしいとこあるんだよな。
だから離れたってのもある。
もう一度綾と向き合いたいから。
今日はクラスで集まっていた。合同合宿に行くらしい。大学生にもなってこういうイベントはいるのかと思ってしまう。
仲良くするためとか伝統行事に触れようとかそんなイベントだ。
「グループは先生が決めたからな、出席番号順だ」
「まじかよ、チャラいのとは嫌だ」
祐二も崇もいてさらには祐二のセフレたちもいる。
そんなクラスにはちゃらちゃらしている人が多かった。
続きは文学フリマ広島7にて!
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