冷酷魔法騎士と見習い学士

枝浬菰文庫

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ドゥーラ王国

競技大会~剣術大会④~

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「って言ってほしいか?」
「は?」

すっと立ち上がった俺はアオの困惑した表情を見ていた。

会場もどよめきが隠せない。

「トリックは簡単だな、試合前に俺に触れ呪いをその人形にかける、そして火の玉魔法で気を紛らわせておいて呪いが完成したかのように思わせる、そうだろ?」

「ぐっお前いったい何者だ?」
「通りすがりの魔法国出身のものですとでも今は言っておこうか」

「は?」

「アオ先輩魔法ではなく剣で戦いましょうよ」
剣を構え煽る。

「いいだろ、俺は貴族騎士の子息だぞ」
「はい、ぜひ手合わせ願いたいです」
とさらに涼しげな表情で言う。

「少し黙らせようか」

シュっと走りこちらに向かってきた。
ガキーンと剣が重なる音が響いた。

〈おおっと!! これは剣術大会らしい!!〉

「いい構えだな」
「どうも」

「俺を怒らせたこと後悔させてやるからな!!」
「はい」

----------------------------
ドコドコドコドコ
土が盛り上がる音が聞こえる。
----------------------------
王室

「あの剣術捌きまるでルイス様を見ているようだな」
「たしかに、しなやかで美しい」

「でもまぁまさかドゥーラ王国にいらっしゃるわけないな」
「ハハハっ」
----------------------------
なんだこやついくら打ち込んでもビクともしない、腕力だけでここまでなるのに一体どれくらいの時間が必要なんだ?

シルヴィーの目の色は黒いたって普通の魔力を秘めている、でもアルゴ様に魔力の鍛え方を教えていたということは瞳以外になにか解決策があるということか?

「おいよそ見してていいのか?」
ゾクっと思った瞬間俺は後ろに投げ飛ばされていた。

、こいつには、と誰かの声が聞こえる。
大けがをする前に棄権をしたほうがいいのではないか

「き……棄権します」と手をあげた。

会場がどよめく中
「逃げるのか?」

逃げる? そうだ俺はこいつからこの場所から

「あきれたそれでも魔法学院の生徒会長か、見損なう生徒も多いんじゃないか?」

「……お前に何がわかる」
「わかりますよ、俺も似たような立場だったので」
「は?」

「強い相手を求めるのと裏腹に周りは弱いものが多いそんな時の自分の心境はつらい」
「うっ」
なんでそんなこと知って、もしかして魔法国の学院でもシルヴィーは成績優秀者だったのか?


〈えっと、アオは棄権するのかな?〉
「いえ、間違えました」

〈よかった、試合続行してください〉

俺は立ち上がりシルヴィーに向き合う。
そうだ、俺が求めていた者、やっと強者に巡り合えた。

なのに俺は自ら逃げようとしていた。
そんなの絶対に後で後悔する。


剣を構え一息つく。



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