その温もりを感じていたくて。

胡桃澪

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Chapter12. 今も変わらないもの。

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「成瀬さん、待ってください! ファンなんです、私! 」
「ごめんなさい。また今度。カロリーフレンド食べたくなったんだ」

 私は琥珀と一緒にいちゃいけない人間だ。だってすごくすごく弱いから。

「優愛……? 」

 えっ? 聞き覚えのある声が聞こえて下を向いて歩いていた私は顔を上げる。

 琥珀!?気付いたら、目の前には琥珀が。

「どうして……」
「さ、さっきまでトークショーやってて、今終わったとこ」
「そ、そう。偶然だね。じゃあ、私はあっちだから」
「待って! 」

 琥珀は私の腕を掴む。

「は、離して。私、はっきり振ったでしょ? なのに、あんな絵描くとか意味分かんない……」
「見に行ったんだ? 」
「私は琥珀の事、好きじゃない! 早く忘れてよ! 重いの! 」

 こんな事言いたくない。けど、琥珀と私は一緒には……。

「俺に忘れて欲しいならどうして個展、見に来るんだよ」
「それは……」
「どうして、そんな泣きそうな顔しながら言うんだ」
「琥珀、私は……」
「俺の為だったんだよね? 俺が留学行くのやめたって聞いたから」
「えっ……」
「確かに俺は留学行かないつもりだった。俺が留学行ったら優愛との関係が終わるって思ったら行こうだなんて思えなかった。確かに留学行って俺の人生は変わった。けど、俺はそれでも満たされはしないんだ。ずっとずっと辛いんだ。どんな国に行っても優愛と行きたかったって考える。3年経ってもずっと忘れられないんだ」
「琥珀……」
「俺、3年前よりは強くなったよ。優愛に甘えてばかりにはならない。俺は優愛じゃなきゃだめなんだ。優愛に側にいて欲しい。優愛がいない人生なんていらない」
「バカだよ。私よりずっと素敵な人はたくさんいるんだよ? 琥珀」
「今更忘れろって言われても無理。3年も忘れられないんだもん。優愛だって同じ、でしょ? 」
「うん……」

 私が知らない間にこんなに変わったんだ、琥珀。昔よりずっと大人で男っぽい。

「優愛……ずっとずっと会いたかった」

 琥珀は私を優しく抱きしめ、言う。

「わ、私も……」

 本当は会いたくて会いたくてずっと苦しかった。私も琥珀も同じだった。

「髪、随分とさっぱりしたね」
「美容院頑張って克服したからさ」
「偉いね、琥珀。しかも、今日スーツだ」
「トークショーだったから」

 もうあの頃の琥珀とは違うんだなぁ。

 私と琥珀は手を繋いで歩く。

「ねぇ、私は? 雰囲気変わった? 」
「変わんないかな」
「えー? ひどーい! 」
「あ……」
「琥珀? 」

 話しながら歩いていたら、ホテル街に迷い込んでしまっていた。

「俺、カロリーフレンドあるコンビニ探すんだった……」
「琥珀っ」
「優愛? 」
「良いよ……私」
「えっ? 」
「私は大丈夫だから……」
「うん……」

 私達は側にあったホテルの中へ。

「二階だって」
「あ、ありがとう。琥珀」

 琥珀、緊張した顔してる。初めて、なんだろうな。

 エレベーターの中で私達は緊張した面持ちをする。

 私自身もそういう事には3年以上縁が無かったから緊張感はかなりある。

「ここだね」
「うん」

 中に入ると、私は安心する。部屋の中は意外とリゾートホテルと変わらないな。回転するベッドがあるイメージだったから。

「へ、へぇ。結構広いんだな」

 気持ちに余裕出て来たかも、私。

「琥珀、一緒にシャワー浴びる? 」

 私が聞くと、琥珀は飲んでいたお茶を吹き出す。

「じょ、冗談のつもりで言ったんだけど」
「そ、そういう冗談はやめて」

 意地悪しすぎたな。

「ごめんね」
「じゃあ、優愛が先にシャワー使って。バスローブがあるみたいだし」
「う、うん」

 私、琥珀とキスは一回あるけど……それ以上は初めてなんだよね。緊張する。

「夢みたい」

 まさか琥珀とまた会って想いを伝え合う事になるなんて。

「上がったよ」
「あ、ああ! 」

 バスローブ落ち着かないな。ブラつけないで着ちゃったから違和感があるし。

 ベッドで琥珀を待つ時間がやたらと長く感じるのは緊張もあるだろう。

 初めて会った時は弟みたいな感覚だったのにな。今はしっかり男として意識しているから不思議。

「ゆ、優愛っ」
「琥珀! あ、髪まだちゃんと乾いてないじゃない……きゃっ……」

 琥珀は上がって来ると、突然私をベッドに押し倒した。

「だめだよ、琥珀。髪、乾かさないと……」
「やだ。今すぐしたいから」
「エッチ……」
「誘ったのは優愛。ごめん、優しくできないかもしんない」
「良いよ。琥珀になら何されても」

 私が言うと、琥珀はにっこりと笑い、私の唇を奪う。

「んっ……」

 舌が絡み合うキスを何度もしながら琥珀はバスローブを脱がしていく。

「琥珀……は、恥ずかしい……」
「だーめ。見せて? 」

 露わになった胸を隠す私の手を琥珀は片手で掴み、もう片方の手で胸を愛撫し始めた。

「琥珀……やだぁ……」
「優愛、どうして嫌なの? そんなに気持ち良さそうなのに」
「は、恥ずかしいんだもん……」
「本当可愛いな、優愛は」
「こ、琥珀……そんなに吸っちゃ……やだぁ……」
「優愛、すげぇやらしい」
「だ、だめ……やっ…あっ……琥珀……」

 私は必死に琥珀の背中にしがみつく。

 初めてとは思えないほど、琥珀はどんどん私が感じやすいところばかり責めていく。

「琥珀っ……やっ……あっ……だめぇ……」

 琥珀のこんな強引で男らしい部分知らなかった。

「ま、待って! 琥珀……」
「結構濡れてる」

 琥珀は片手で私の胸を愛撫しながらもう片方の手でパンツの中に手を入れ、秘部をひたすら弄る。

「琥珀っ……あっ……やだっ……やっ……」

 気持ち良すぎて身体がおかしくなりそうだ。

「優愛、良い……? 」
「うん……」
「好きだ、優愛」

 やっぱり無理だった。琥珀から離れるのは。こんなにも好きで好きで仕方ないと思うから。

 こんなにも愛しいと思えたのは琥珀だけだったんだ。

「優愛、ごめん。痛かった? 」
「大丈夫だよ」
「ずっとこうしたかった、優愛と。本当、夢じゃないんだ」
「うん。ねぇ、琥珀」
「ん? 」
「私、琥珀が本当に本当に大好きだよ。ずっと言えなくてごめんね」
「優愛……」
「ずっと一緒にいたい。私、琥珀と離れたくないよ……」
「大丈夫。俺は絶対優愛を離さないから」

 昔より頼もしくなった彼に私は嬉しくなる。

「優愛、スーパー寄って行っても良い? 夕飯の材料買いたいから」

 ホテルを出ると、私達はスーパーに向かう事に。

「やった。久々に琥珀の手料理。何作るの? 」
「ボロネーズだ」
「あははっ」
「ゆ、優愛!? 」
「やっぱり琥珀は琥珀だね」
「えっ! どういう意味? 優愛! 」
「ふふっ。なーいしょ」

 3年前の私達は一人になるのが怖くて傷を舐め合うような関係だった。

 でも、今は違う。だから、きっと大丈夫。

「あ、成瀬琥珀だ! 本物! 」
「優愛、ダッシュ! 」
「ちょっと! 琥珀ー!? 」
 
 私達は琥珀ファンから逃げながらスーパーへと向かった。

(END)
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