ケミカルロード〜薬学はRPGで最強だと思うんです〜

オオカミサツキ

文字の大きさ
10 / 14
2章:どん底からのスタート

10:癒しの花

しおりを挟む
そして俺たちは、探索を続行した。この森にはまだ、そこまで強い魔物が居ないからよかった。

この森には、色々な薬草があるらしい。この森はある程度の広さがあるから、取りすぎたりしても、すぐにまた生えてくるだろう。これからはしばらくここで調達を続けよう。

そんなことを考えていながら、森を探索していると、ある花を見つけた。俺はそれをみて驚いた。その花はお父さんが言っていた花と外見と一致していたのである。お父さんの言った通りであるならば、この花を使えば、多くの人を助けることができる。

「この花は何か特別なんですか、カズアキさん?」

ルナが目を光らせながら聞いてきた。

「ああ。この花が一つあるだけで多くの人を助けることができると聞いたことがあるんだ。」

ルナは少し不思議そうな顔をしながら言った。

「そうなのですか。でもこの小さい花が多くの人を助けられる物というのは到底思えないです。」

俺もその言葉を聞いて、改めて疑問に感じた。確かにこんな小さい花で多くの人を助けられるのだろうか、でもお父さんが嘘をつくとは思えない。

「確かにそれは疑問だけど、俺は本当だと信じる。」

ルナは最初、驚いていたが

「そうですね。もしかしたらこの花には特別の力があって本当に多くの人を助けられるのかもしれません。」

「そうだな。」

俺は早速、その花を拾いその花の情報を確認した。



・ムゲンの花~癒~(1個)


・効果
    この花はあらゆる力によっても壊される           
    ことはなく、消費するとこの花の種を手 
    ことができる。種は植えるとどんな状況
    にあっても二日後には花が咲く。
    
    この花を消費するとあらゆる回復薬(状態   
    回復薬を含む)を作ることができる。
    
     
・説明
    この花は幻として語り継がれた花の一
    つ。
    花は所有者に永遠の幸福をもたらすと言     
    われている。


なんだろう…このものすごいチート感のある花は…。

「どうでしたか、カズアキさん。」

「それが…」


「ええっ!?何ですかその花!確かにその花さえあれば多くの人を助けられますね。
…いえ、その花とあなたさえいれば。」

そうか、そうだな。俺には材料さえあればあらゆる薬を作ることができる。

「そうですよ。あなたは凄い力を持っているのでそれを使えば 世界を救うのは難しいことではないです。」

ルナのその言葉で俺は自信が湧き上がった。

「確かに。この力、案外悪いものではないかもしれないな。…少し気になるんだが幻として語り継がれた花の『一つ』ということは他にもこのような花があるということだろうか?」

「わたしにも全然わかりませんが、その文章から推定すれば、その可能性は十分ありますね。」

もしそうならば、何としても欲しいものだな。世界を救うため、少しでも力が欲しい。

そうこう話していると俺のお腹が鳴り、ルナが笑う。

「一旦帰りましょうか。お腹も空いてきたことでしょうし。」

「そ、そうだな。」

そうして俺たちは町へと戻った。

太陽は真上にあり、大地の広い範囲に光を放出している。その光は強すぎて、暑苦しささえ感じる。

町へ戻ったが、何やら騒がしい。町の中央で何かが起こっているようだ。

その異変に気付いた俺とルナは中央の方へと向かう。

中央へ行くとすぐにその異変の原因がわかった。

町には…竜がいた。町の人はその竜に殺されないよう、我先にと逃げ回っている。そして、その竜と戦っているのは町長と1人の青年だった。

「そんな!?この辺りに竜なんて出たことなんてないのに!」

ルナが焦った様子で言う。

「こんな状態で聞くのは悪いと思うけど、あの町長と一緒に戦っている男は誰なんだ?」

ルナは少し落ち着いてから言った。

「あの方はこの町の英雄ですよ。」

あの青年がこの町の英雄か。まだ俺くらいの歳なのに凄いな。今、俺にできるのは…被害を最小限にするということだ。

「ルナ、被害をなるべく減らすぞ。」

「はい!」

そうして俺は町の人を安全な場所へと誘導した。

しばらく経ち、町の中に静寂が訪れた。どうやらあの二人が竜を倒したようだ。

「よかった…。」

俺は安堵のため息をついた。なんとか死者は出なかった。でも傷を負った人は出てしまった。

「なんとか、竜を倒すことができたようですね。」

「ああ。でも怪我人がいるから落ち着くのはまだ早い。重傷を負っている人がいるかもしれない。」

俺は、急いでさっき探索して取ってきた薬草を使い、できるだけ多くの傷薬を作った。

俺はルナと手分けして、その傷薬を配った。

「傷薬、いりませんか~。」

傷を負った人が俺たちの方へと集まってくる。

しばらく経ち、俺たちの周りには人が段々居なくなっていた。そこへ、一人の少年が走りこんでくる。

「あの、僕のお母さんが…」

「竜にやられたのか?」

少年は黙って頷く。

「お母さんのところへ連れて行ってくれるか?」

「う、うん。」

俺は少年に着いて行き、さっき竜が暴れていた場所へと来た。

少年は黙って一人の女性の側に座る。その女性はひどい火傷を覆っており、意識をなくしたまま倒れていた。

「お母さん…」

「ひどい火傷だな…。助けられるかどうか…。」

少しの間、沈黙が流れる。

しばらく経ち、ルナが沈黙を破るように口を開く。

「カズアキさん、今、私たちには|花(ムゲンの花)があるじゃないですか。」

そうだった!あの花にはどんな異常状態も治す力があるんだった。

俺は急いで薬学セットを出し、異常状態回復薬を作った。

「さあ、これを飲ましてあげるんだ。」

そう言って少年にその薬を渡した。

少年がその薬を女性に飲ませると、火傷がすっかり消えて女性は意識を取り戻し、起き上がった。

 ルナは何故か少し驚いた様子だった。

「一体何が…。確か町の中央にいて急に竜に襲われて…」

「お母さん、さっきね…」

少年が状況を説明する。

「そんなことがあったのですか。ありがとうございます。なんとお礼をすればいいのか…」

「お礼なんていらないよ。」

「いえ、それは悪いですよ。どんなことでもいいですから何か欲しいものはありませんか?」

「うーん、じゃあ。今じゃなくてもいいけど、薬物が少し欲しいかな?」

「わかりました。私、薬などの材料を売っているので、欲しいものがあれば言ってください。それをあげます。」

「いいのか?ありがとう。」

そうして俺は、二人を見送りルナの家へと向かった。

日はもうすっかり傾き、美しい夕焼けが西の空に見えている。

「もう夕方か…。」

「色々あって疲れましたね。」

「昼食も食べてないし、お腹も結構空いてきたな。今日もいいか?」

「構いませんよ。今日は豚肉を使った料理を作りますよ。」

「おお、いいね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...