魔女の涙

れい

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魔女のなみだ

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 あるところに小さな村がありました。みどりいっぱいのきれいな村でしたが、そこにはおそろしい魔女の伝説とかなしいおきてがありました。100年ごとに魔女たちに村にすむこどもを1人ささげないと雨が永遠にふりつづくというものでした。魔女の涙があれば、村人はたすかるけれど、魔女をみた人はだれもいませんでした。そして、100年がたち、村の人は誰をささげたらいいか相談していました。こどもたちは誰がえらばれてしまうのかとおもうとこわかったので、おとなしくしていました。
 「ねえ、ノアちゃん、今日もあそぼうよ。」ノアの友達のミリが今日も遊びにきました。ミリはいつも一人でいたノアと友達になった女の子です。おとなしいノアとはちがって、おてんばであかるい女の子でした。でも、二人はとてもなかよしでした。魔女たちにささげられるこどもの話はこわかったけれど、ミリがいれば、そんなことをわすれられていました。
「ノアちゃん、森にきれいなお花がさいてたから、つんできたよ。」ミリはノアの家にくると、白やきいろのお花を見せました。
「ありがとう。ほんとにきれいだね。でも森はあぶないから行かないように大人たちにいわれてるでしょ?」
「そうだけど、いつもあの森には行ってるし、まよわないって。」ノアはそんなミリのことが心配で、森に行ったと聞くたびにもうやめるように言っていました。でもミリは大丈夫と一言だけ言ってすぐにその話からちがう話にかえようとしてました。いつもノアはそれで話をおわらせますが、今日はちがいました。
「ミリちゃん、わたしほんとに心配だから、もういかないで。」ノアがそう言ってもミリはいつものようにわらって言いました。
「大丈夫だって。なにもないよ。」するとノアは大きなこえでどなりました。
「やめてよ。もしミリちゃんになにかあったらわたし、どうしたらいいかわからない。大切な友達だから。」なきそうになっていたノアをみて、ミリはちいさなこえで言いました。
「ごめん。こんどから行かないよ。」
「ありがとう。やくそくね。」二人は顔をみあわせてわらいました。
 二人があそびつかれていたとき、ノアのお母さんが部屋にはいってきました。かなしそうな顔をしています。
「ノア、魔女にささげるこどもがきまったわ。」悪いよかんがしたノアは聞きたくなかったけれど聞きました。
「だれ?」お母さんはなきそうになりながら言いました。
「あなたよノア。」それにノアもないてしまいました。
「ミリちゃん、今までノアと遊んでくれてありがとう。準備をするわ。今日は帰ってちょうだい。」二人のないているすがたがかなしくてミリは1つ聞きました。
「明日、きてもいいですか?ノアちゃんに話したいことがあるんです。」お母さんはなみだをふきながら言いました。
「いいわよ。」それを聞くと、ミリははしって帰りました。
 つぎの日にいつもの時間にミリはノアの家に遊びにきました。
「ノアちゃん、きたよ。」ノアは白いふくをきてミリをむかえました。
「まってたよ。このふく、昨日もらったの。これは魔女たちにささげられるあかしなんだって。この色、魔女たちがすきなんだって。」ミリはほんとにちいさなこえでつぶやきました。
「むだだよ。」聞き取れなかったノアが聞こうとすると、ミリは大きなこえでいいました。
「むだだよ。魔女がすきな色が白いなんてうそだよ。だれかがかってに言ってるだけ。」ノアはふだんやさしいミリが大きな声をだしたからおどろきました。
「ミリちゃん?どうしたの?」おどろいたノアが聞きました。
「ノアちゃん、わたしがどうして森にはいってたかおしえるね。」ミリははなしだしました。
「わたしが森に行ったのはわたしが魔女だから。ささげられるこどもをむかえるための準備をしてたの。そして今日、ノアちゃんとわたしはおわかれ。わたしは、ノアちゃんやそのさき魔女にささげられる人たちをたすけるためにここにきたの。魔女はわたしがささげられたらこのさきもずっと村の人になにもしないってやくそくしてくれたわ。」ノアはミリが魔女だったこともおどろいたけれど、ミリが死ぬとしっておどろきました。
「いやだ。行かないで。」
「ノアちゃん、最後に魔女がしてくれたやくそくの話をみんなにして。あと、これをうけとって。」ミリは透明ないれものにはいった水をノアにわたしました。
「わたしのなみだよ。これがあれば、大丈夫。」そういうとミリはきえました。
 それからノアはたすかり、ミリがのこしたなみだを大切にしていました。
森は、いつのまにかみんなのあつまる場所になりました。
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