平等不平等

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それでも俺は孤独でいい

1.誰とも関わりたくない

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2026/5/26



誰とも関わりたくない。

関わったら俺は幸福を感じてしまうかもしれない。

死ぬのが怖い、不幸に襲われるのが怖い

そんな思いをするくらいなら、人と関わらない方がいい



俺は中学生の頃からずっと独りだ

別に珍しくもない、死ぬのが怖くない人
などいるわけがない

幸福を感じれば寿命が縮むのならば
誰とも関わらないと選択をする人間は
特別少なくない、いや多いいとも言えよう

こんな世の中になってしまったのに
義務教育が無くなることは無い

そりゃそうだ、国としては死ぬまでに
税金を払ってもらわなくてはならない

世界各国で平均寿命が急激に下がってしまったのだから、


稼ぐ能力を身につけさせ、短期で多くの税金を払わせよう、と考えているのだろう

俺はそれでいい、誰とも関わらず、
虚無ながらも長い余生を細々と生きていく

それでいいんだ

俺は自分の頭の上に出ているホログラム
を見上げため息を漏らす

こんな世界になる前までは自分がいつ死ぬのか気が気ではなかったが

ここまで正確に自分がいつ死ぬか分かってしまうのは、怖いものなのだな……と


たまにクラスメイトが遊びの約束をしている所を見かける、男子生徒の数値が普通とは違う速度で減っていく

やはり、俺は怖い、無理だ

あいつはなんで平常心でいれるんだ

意味がわからない


だが、たまに


たまに、だが


羨ましく思うこともある


寿命の1日や2日ほどなら捨ててでも
幸せを感じてもいいのではないか、と…

だめだ、脳が侵されている


こんな世の中じゃなければ、
友達が出来たのだろうか

好きな子と恋を成就させ、彼女が
できることはあったのだろうか


そんなことを考えても、既に世界は形を
変えた。


こんな世界じゃなければ、などと考えても……

そんなことを考えても、意味は、無い



俺だって初恋はあった


こんな世界に変わってしまったのは
俺が小学生4年生だった時

幼なじみだった女の子、元気でいつでも
笑顔がはち切れんばかりの

俺とは正反対の明るい女の子

俺はいつでもこの子と一緒にいた

好きだった


俺の恋は告白もなく、何も起こらず


終わることとなる……


俺は机に突っ伏し、友達と幸せそうに、
あの変わらないはち切れんばかりの笑顔
で笑っている少女の頭上を見上げた


残り31年4ヶ月16日


この子はこれからもこの数字を
減らしていくのだろう


やはり俺は




誰とも関わらなくていい

自分の数字を再認識しながら
そう、言葉を漏らすのだった


残り77年9ヶ月21日


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