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第二章
きっと、強くなれる
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バガン、というものすごい音があたりに轟き、初心者狩りの吉田は広場の端にあった建物にめり込んでいた。おお、と見物人から歓声があがる。
「あいつが……覇王か! 噂には聞いていたが、初めて見た!」
「すげえ、殴られて壁にめり込んでいる! どんだけ強かったら、ああなるんだ!」
「あのマントも、その下の装備も、全部激レアアイテムだぞ! 一体、どれだけ課金したというんだ!」
驚きと賞賛の声が、次々と覇王に投げかけられた。覇王はゆっくり振り返ると、背中ごしに決め台詞を放った。
「弱いものを虐げる、卑怯な男……。貴様には、PKすら、なまぬるい。」
「どうもありがとうございます! 助けて頂いて!」
ショートボブの女性が、いそいそと駆け寄ってきて。言った。南里は地面から上体を起こしながら、あれ、自分も助けにいったけど、お礼を言ってもらえないんだと、密かに思った。
「卑怯者を倒しただけだ……。お前を助けたつもりはない……。」
覇王のそっけない返事に、ショートボブは少し驚いたような表情をした。それから、何も言わずにもう一度、丁寧なおじぎをした。
「覇王さん、すごく強いんですね! びっくりしました!」
青海ひかるが、ニコニコと声をかけた。純粋に、感心したという顔をしている。
「こんなに強くなるまでは、だいぶ時間もかかったんじゃないですか?」
「何かを手に入れるのに、犠牲はつきものだ……。それが手に入りにくいものなら、なおさらな。」
覇王が、キリッとした顔で答えた。なんだか、人生の成功者のような風格がある。それからおもむろに、歩いてどこかに立ち去ろうとした。ショートボブの女性が、名残惜しそうに、後姿に向かって呼びかけた。
「あの、覇王さん。私も、努力したら……いつか、覇王さんみたいに強くなれますか?」
覇王はピタリ、と足を止めると、少しだけ顔をこちらに向けて、静かに言った。
「夢に向かって進むとき、必ず成功する方法が一つだけある……。それは、『夢が叶うまでやめない』ということだ。あきらめなければ……」
それから、向こうを向いて、歩き始めた。
「……きっと、強くなれるさ。」
南里と青海は、互いに顔を見合わせていた。なんだか、この雁野という会員は、ゲーム内ではだいぶ人格が違う。それだけはよく分かった。
「南里主任、なんだかすごいですね……。」
「ええ、正直驚きました……。」
「この感じで女性と接したら、ひょっとして、上手くいくんじゃないですか?」
「そうですね……。ヴァーチャル世界での自信を、現実世界にも持ち込むように、努力しないと。」
去り行く覇王の後ろ姿を見つめながら、南里とひかるは、ヒソヒソと相談を続けていた。
「あいつが……覇王か! 噂には聞いていたが、初めて見た!」
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「どうもありがとうございます! 助けて頂いて!」
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「こんなに強くなるまでは、だいぶ時間もかかったんじゃないですか?」
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「夢に向かって進むとき、必ず成功する方法が一つだけある……。それは、『夢が叶うまでやめない』ということだ。あきらめなければ……」
それから、向こうを向いて、歩き始めた。
「……きっと、強くなれるさ。」
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「南里主任、なんだかすごいですね……。」
「ええ、正直驚きました……。」
「この感じで女性と接したら、ひょっとして、上手くいくんじゃないですか?」
「そうですね……。ヴァーチャル世界での自信を、現実世界にも持ち込むように、努力しないと。」
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