すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ

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第五章 恋人編

お正月 2

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「俺も、夢みたいだと……まさか、こうして……悠介さんとニャーと一緒に……年越しできるなんて……」
 
 柊一郎が言い終わると同時に、重く胸に響くような鐘の音が鳴り響いた。
 今まで聞いてきたものより大きい音で、近くに寺があるのだろうか、と頭の片隅で思う。
 
「っ! あ、あの……柊一郎、さん……明けまして、おめでと、ございます」
 
 柊一郎に手を握られたまま悠介はそう言って、ペコリと頭を下げた。その姿に可愛い、と思ったが、すぐにハッとした柊一郎は悠介の手を解放すると、姿勢を正して悠介を見つめた。
 
「明けまして、おめでとうございます」
「ニャニャニャー!」
 
 柊一郎がそう言って深々と頭を下げると、ニャーが突然声を上げた。
 柊一郎は驚いて頭を上げると、ニャーが悠介と柊一郎の間から頭を出している。
 
「あ、ニャーも。明けましておめでとう。今年もよろしくね」
 
 なるほど、ニャーも新年の挨拶をしたのか、そう思った柊一郎は今度はニャーに視線を向けた。
 
「ニャー、明けましておめでとう。今年は去年以上にお世話になると思うけど。よろしくな」
 
 そう言ってニャーの頭を優しく撫でる。悠介とこうして一緒にいられるのも、全部ニャーのおかげだ。
 ニャーがいなければ、出会うことはできなかった。
 
「ニャニャー」
 
 ニャーは柊一郎に言葉(?)を返えす――おそらく新年の挨拶を終えて満足したのだろう――と、寒かったのか、さっさと炬燵の中へと潜っていってしまった。
 
「いつの間にか、こんな時間に……なってたんですね」
「そうですね。悠介さんと、一緒に年越しができて本当によかった」
 
 炬燵に潜っていったニャーに笑いながら、悠介は時計に視線を向けた。
 柊一郎もつられるように時計を見ながら、いくら仲良くしていても片思いのままでは一緒にこうして新しい年を迎えることは難しかったかもしれない、と思った。そう思うと、この一緒にいられる時間が特別で大切な時間だと思えてくる。
 
「俺……こんなに幸せな年越しは、初めてです」
 
 悠介の言葉に柊一郎の胸が高鳴る。それは俺のセリフです、心の中でそう言うと再び悠介の手を握った。

 先ほどとは違い、今は饅頭を持っていないその手は冷たくて。柊一郎は温めるように自分の手で悠介の手を覆った。
 
「寒いですか?」
「あ……すみません、冷たい、ですよね……俺、すっごく寒がりで……すぐ、手足が冷えちゃうん、です」
 
 女子みたいで嫌なんですけどね、と言って照れたように笑う。
 悠介はそう言いながら手を離そうとしたが、柊一郎が握った手は解かれない。
 
「……俺が、いつでもあたためますよ」
「っ、しゅ、いちろう……さん……っ」
 
 柊一郎は悠介の手を引き寄せながら体を悠介に近付ける。
 悠介は引き寄せられるまま体勢を崩した。

 柊一郎は悠介の体を自分の体で支えるようにしながら、掠めるように悠介の小さな唇に自分の唇を重ねた。
 
「……っ!」
 
 手は握ったまま体を元の体勢に戻すと、愛情のこもった瞳で悠介を見つめる。
 悠介は驚いたような表情だったが、柊一郎に視線を向けるとボンッと音が鳴りそうなくらい顔を真っ赤にさせた。
 
「いきなりすみません……でも、好きだから……したくなりました……」
「っ、つ、付き合ってます、からっ……だいじょ、ぶですけど……っ、お、驚きまし、た」
 
 悠介が嫌がっていないことが嬉しくて、本当に好き合っているんだと思えた。唇を軽く重ねただけだったが、これまで感じなことがないくらいに幸せな気持ちになった。

 今まで、キスをしても、その先をしても、こんな気持ちになったことなどない。
 悠介だから、初めて心から好きになった悠介だから、ただこれだけのスキンシップでもこんなにも満たされたような温かくなるような気持ちになるのだと思った。
 
「悠介さん……大好きです」
 
 ギュッと手を強めに、しかし痛くならないように握りしめて、もう一度、今度はゆっくりと近付いて唇を重ねた。
 
 悠介は逃げるでもなく、避けるでもなく、瞼を閉じて柊一郎の唇を受け止めた。
 そして、先ほどより長めに口付けて、またゆっくり離れた。
 
 柊一郎は瞼を開けて潤んだキレイな見つめてくる悠介を見つめかえしながら、無意識に微笑んでいた。

 ***

 夜が明けたら一緒に初詣に行くために、そのまま泊まることになった柊一郎は悠介に進められるままに風呂に入った。が、シャンプーの匂いが悠介から香る匂いと同じで、先ほどのキスを思い出し少しだけ興奮したのは柊一郎だけの秘密。

 
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みんなの感想(35件)

Mチョコ
2026.01.01 Mチョコ

少しずつ仲の深まる二人の様子が微笑ましくて、希望に満ちた新しい年が始まりそうでとても良かったです😌🌸💕それにニャーちゃんの新年のご挨拶が凄く可愛かったです🍀

2026.01.02 ドラマチカ

いつもありがとうございます✨
幸せな年越しをした悠柊ちゃんとニャーでした☺
愛らしいニャーは炬燵の中でもちゃんと二人を見守っています✨

解除
Mチョコ
2025.12.31 Mチョコ

大晦日の夜に訪ねてくる人物とは恋人しかいませんよね💖💝💗
炬燵に座る付き合いたての二人に可愛いニャーちゃん心温まる風景ですよね🍀明日はお正月で初詣デートでしょうか?ワクワクが止まりません🥰続きがとても楽しみです✨

2025.12.31 ドラマチカ

いつもありがとうございます✨
悠ちゃんは分からなかったんです笑 まさか来るわけないと思っていたんですね☺
ニャーは炬燵で丸くなってます笑 
明日も楽しんでいただけると幸いです✨

解除
Mチョコ
2025.11.03 Mチョコ

悠柊ちゃんのハロウィン🎃はとても楽しそうでしたね、こんな風に日常を積み重ねて二人の気持ちもどんどん深まって二人とニャーちゃんの楽しい日々は、続いていくのでしょうね😸

2025.11.03 ドラマチカ

いつもありがとうございます✨
小さな触れ合いも幸せだと感じる二人とニャーは素敵ですよね🍀
これからも二人と一匹の生活は続いていきますので、温かく見守っていただけると嬉しいです✨

解除

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