俺の幼馴染はよく溶ける

蒼キるり

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7.溶けなくなるには

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 とはいえ教室から脱走すれば終わりというわけではない。
 覗かれたら一巻の終わりである。


「しょうや」

「もうちょい待て!」


 涙声の由那に声をかけ続けながら空き教室に飛び込む。鍵が開いていてラッキーだった。
 人がいないところにたどり着いたと分かった瞬間、由那が溶け始める。

 なんとか由那の秘密が公にならずに済んだぞ、と俺は大きく息を吐いた。
 今回ばかりはダメかと思った。本当に良かった。
 由那が元に戻ったら元気になりました!と教室に入るのがいいか偽装の為に保健室に行くべきか果たしてどちらだろう。

 デロンデロンの由那が少しずつ元に戻り始めた辺りで俺は腰を落としながら気になっていたことを口にする。


「由那のお母さんも溶けてたって言ってたよな?」

「うん、言ったよ」


 デロデロと姿が人間に戻って行く。服まで一緒に戻るのがいつ見ても不思議だ。


「今は溶けねえの?」

「溶けないよ」

「なんで?」


 成長すれば溶けないようになんのか?と首を傾げると、由那がうーんと恥ずかしそうに唸った。いやなんでだよ。


「そりゃあ、お父さんと結婚したから、かなぁ」

「は?」


 一体どの辺りに因果関係があるんだよ、それ。古事記か何かか?
 俺が意味わからねえとはてなマークを飛ばしていると、何故か知らねえが由那が顔を赤くする。意味が分からん。
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