ワームワームワーム

蒼キるり

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5.不必要な情の話

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 昔を思い出しながら語る俺の言葉をそいつは遮らなかった。


「俺はな、ものすごく好奇心の強い興味があることはやられずにはいられないって人が欲しがってできた子どもなんだ。よく覚えてるよ。瞳がいつも爛々と輝いている人だった。俺がだいぶ大きくなるまでは日々忙しない子育てに興味を持ってたみたいだったよ。途中で飽きてそれからは俺の世話はほとんどロボットに移行されたけどさ。どうせなら生後何ヶ月とかで飽きて欲しかったよ、それなら覚えてなかったのに。中途半端に与えられた愛情みたいなもの、覚えると欲しくて欲しくてさ、でもあの人は俺のことなんか見ないんだもん。泣けてくるよ。しっかり子ども育てられる人しか審査通らないようになってんだけどな。外面はいいし興味あることはめちゃくちゃ覚えがいいから、運良く通ったんだろうな。最悪だよ」


 俺が少し自嘲気味に笑うとまるで、聞いているよとでも言うようにそいつが動くのがわかった。
 慰められているようだと思った。


「それでやめとけば、それなりに不幸なのは俺だけで済んだよ。近くにある集合教育部屋に通うのは楽しかったしさ、もう俺は諦めてたからよかったんだよ。それなのにあの保護者ときたら、今度は自分の身体で産んでみたいってさ。馬鹿じゃねえのって話だよ。法律違反だし、誰が協力してくれるんだよ。人工的に作れるようになったのは産む人間の負担が凄すぎるって理由もあるからだろうがって。頼むからやめてくれ、死んだらどうするんだって」


 やめてやめてと馬鹿の一つ覚えのように言ったのを覚えている。あの人は不思議そうな顔をしていた。「どうしてあんたにそんなことを言われなきゃいけないの」と淡々とした声で言っていた。
 あの人の中で俺は子どもですらなかったのかもしれない。仕方なく家に置いてやっている居候でしかなかったのかもしれない。
 俺はあの人に死んでほしくないと思うくらいには情があったのに。


「でも聞かねえの。絶対産むって。自分で勉強するけど、一人では難しいからあんたも覚えてって。いつも放っておいてるくせに、そんな時だけ言うなよって話だよな。でも俺、馬鹿だからさ、嬉しくなったんだよ、ちょっとだけ。頼られてるって思ってさ。今思えばその時通報してればよかったよな、俺も保護されただろうし。でもそうはならなかったよ。俺は馬鹿みたいに昔の電子書籍読み漁って勉強したし、あの人は政府から支給される薬をやめた。ああ、この薬っていうのは一定の年齢が来たらほぼ全員が飲む妊娠関連のことを排除する薬な。それやめてその辺の人誑かして子ども作って帰って来たよ。悲劇通り越して喜劇かよ、くすりとも笑えねえ」


 多分これで成功したと思う、とどうしてあんなにあの人に自信があったのかは今でもわからない。
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