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教室へ
しおりを挟む教室へ向かう間もユミは新しいクラスについて知り得た情報をわたしに話してくる
誰々も同じクラスだったよとか、一年生は旧校舎なんだとか、担任は『澤口』って名前だったとか、わたしはユミの話しに相槌をうつ暇すら与えてもらえないほど圧倒されてた
わたしと同じクラスだったことが安心感に繋がって ユミを更に饒舌にさせているんだろうと思った
ユミには申し訳なかったけどわたしの頭の中はマキと、この学校のどこかにいるであろう『あの人』のことを考えていた
不思議なもので当時は意識してなかったってのもあるけどマキとはどうやって仲良くなったのか思い出せない ユミやサッチは確か『ヤマト』がキッカケだったハズ… なんとなくわたしたちの接点として認識してる
もっと言うなら わたしは最初の頃マキに対して良い印象を持っていなかったように思える
思い返してもマキのイメージはどっちかって言うと男子に好かれそうな少し軽いイメージで 男子の前だけぶりっ子するようなキャラだったような…
キョロキョロしながら探してはみたけど 教室に着くまでにマキを見つけることはできなかった
「ここだよ!ここ!ここ!一年E組!!」
教室に入ると休みの間に引かれたであろう油のにおいが鼻をつく そのにおいがわたしの記憶を少し呼び覚ます
ー あ~、そうそうこんなだった… ー
辺りを見回し懐かしさを感じる
黒板の前に教壇があって、その教壇は床より一段高いところにある
上手く言えないけど 黒板に行くには一段上がらなきゃいけないみたいになってた
『最初の頃は黒板に書くとき みんな緊張してよく躓いてたよね…』
旧校舎の大きな窓から見える景色が好きだったことも思い出した
あの頃は席替えの度に窓際に行きたいとか思ってたんだよね
ユミは…、よほど気になるのか真っ先に黒板に書かれた席順を見ていた
「出席番号順だってー 離れ離れなっちゃうね… 先生来るまで一緒にいよ!!」
少しの間でも一人になりたくないのかユミは自分の机に荷物を降ろすとわたしの机の方まで着いてきた
キョロキョロとこれからクラスメイトになる他校の生徒を見ているユミ
数名は見覚えのある同じ中学出身の生徒も見える
まだ誰が誰ともわからない教室、そわそわしちゃうのも無理はない
かくいうわたしも実はそわそわしてた
ある考えがわたしの中に頭をもたげて来ていたから…
今まで考えなかったことはない『もし?』に対して わたしがアクションを起こしたとしたら…?
もし、わたしが文芸部に入部したりしたら…
どうなっちゃうんだろう…
以前のわたしは高校生の間は継人との接点はなかった
でも、今のわたしは継人の存在を知ってる
もし、わたしが継人と接触したとしたら マキとの関係はどうなっちゃうんだろう…
中学生の時以上にわたしへの誘惑が多くなってる高校生のわたし⋯
「どうしたの?ミサ?怖い顔して?」
「えっ? ううん、なんでもない!なんでもない!」
心配そうにわたしの顔を覗き込むユミ
またやってしまってたみたい…
ユミはなにか言ってたみたいだけどわたしの耳には届いてなかった… 悪いことしちゃったな
でも、今はこのユミの存在がわたしを繋ぎ止めてくれてるような気がする
ユミがわたしを頼ってるように わたしもユミを頼ってたんだ
二年になってクラスが離れちゃうまで、ずっと仲良しだったユミ… ユミには大切な人が出来て少しずつ距離が開いていったんだよね
それは誰にでもあることだから
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