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ファーストコンタクト
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「えぇーーー!! ミサと離れちゃったよぉ…」
新しいクラス表を見たユミが嘆く…大袈裟ではなく本気で嘆いてるように見える
「ミサだけが頼りだったのにな… 大丈夫かな、わたし…不安…」
「大袈裟だよー、ユミ! わたしだってユミと離れるの寂しいけどユミには佐伯いるじゃん!」
「別に同じクラスじゃないし… ミサのこと本気で頼りにしてたのになー…」
同じ学校内にいるし、いつまでも友だちじゃん?とわたしはユミをなだめた まぁしばらくは朝も一緒に登校するだろうしとユミの肩を抱いた
(あった⋯)
わたしは横目で自分のクラス表を確認し、そこにある大泉《おおいずみ》眞紀《まき》の名前を確認していた
◇
落ち込むユミを新しい教室まで送ったあと、わたしは自分のクラスへ一人で向かった
一年生の時のクラスメイトも教室に何人かはいたけど一番の気がかりと言えばマキだった
ザワつく教室に入って黒板に書かれた席順の席に座る
まだ前のクラス同士や部活の仲間みたいな塊があちこちに見受けられる
わたしはの席は教室の後ろの方の窓際
マキは黒板よりの前の方の席だ
どうやらマキはまだ席にはついていないようだった
ー あー ここだここだー!!
少しすると賑やかに話しながら入ってくる数人の男女
その中にマキはいた
「おい、マキー、おまえの席ここだってよ!」
名前は知らないけど見たことある男子が黒板からマキの席を見つけて指さす
「サンキュー! えーここぉー? めっちゃ黒板近いじゃん! やだなぁ~」
「まじめにお勉強しろってこったろ??」
マキに席を教えた男子が茶化す
ワハハと一緒に入ってきた数人が一斉に笑う
うっせーと言いつつマキが席につく
ー キーンコーンカーンコーン ー
チャイムと同時にあちこちに散らばってた生徒も席に着く それぞれが席に着くだけでさっきまでの喧騒が嘘のように消える
さすがに二年生初日から先生に注意されたくもないだろうし、なによりみんなそんなクラスを様子見してるように見えた
担任の先生が入ってきていよいよ新しいクラス2年生D組が始まった
先生の挨拶の後、軽い自己紹介がおこなわれクラスメイトの顔と名前が一致していく
覚えてる子、すっかり忘れてた子、薄情だなと自分で思いつつもそんなもんだと思う
どれだけ仲良くしていようと、まだまだ17歳だとこれから積み上げて行く時間の方が圧倒的に長い
次から次へと記憶は更新され続け、また上書きもされていく
自分の記憶になにが刻みつけられるかなんてほんとにわからない
あ、そっか…だから一瞬一瞬を大事にしなきゃいけないんだ、なんてわかったふりもする
わたしが自己紹介をしている間、マキがわたしのことじっと見つめていた…
その後、始業式も終わり明日からの予定を聞いたところで今日の学校は終わりになった
始業式はお昼までだったのでお弁当もなく、学校は午前中に終わる
とりあえずユミの様子でも見に行くか、なんて考えながら帰りの支度をしていると…
「重綱《しげなが》さん? だったよね?」
たくさんのプリントをカバンの中にかたしていた手を止め声のした方へ振り返る
声をかけてきたのはマキだった…
「え、うん、そうだよ、重綱《しげなが》美紗緒《みさお》 あなたはたしか…」
「大泉《おおいずみ》眞紀《まき》…よろしく」
え?なんで?どうしてマキがわたしに声をかけてくるの? マキとの出会いってこんなだっけ…?
「こちらこそよろしく… どうかした?」
わたしは冷静さを装いながらマキを観察する
朝見た男子も今はいなくてマキ一人だ
面識はなかったはずなのにどうしたんだろう
「こないださ、男子と一緒にバス停にいたよね?」
こないだ、こないだ…? あー!! 春休みの森下先輩の時!? わたしはマキに気づいてたけどマキもわたしのこと覚えてたの!?
「男子と…? もしかして、それって春休みのこと?」
「やっぱり重綱さんだったんだ? わたし向かいのバス停から見てたんだよね、うちの制服だから気になって見てたんだ!」
よく覚えてたね…
マキはそういう話し大好きだもんね
確かに、誰と誰がつき合ってるとか敏感だったわ
「あれね、茶道部の先輩 部活帰りに帰る方向一緒だったからね」
「そうなの?彼氏じゃないんだ?」
「まさか? ちがうちがう! 先輩にも失礼だよ」
わたしはくすくすと笑いながらもしっかりと否定する
きっちりと否定しておかないと話しがおかしくなる案件だ
「ふーん… なーんだ、てっきり彼氏かと思った」
つまんなさそうなマキ
きっと過去《いぜん》はこんなことなかったんだろう
だって森下先輩との仲だって違うんだから
「ていうか、茶道部なんだ? 根暗《ねくら》ちゃんなんだ?」
「は? はぁー????」
キャハハ!と、笑い声が聞こえたかと思うとクルリとわたしに背を向けて去ってくマキ
言い返すヒマすらなかった
「ごめんごめん!茶道部ってテニスコートから見るといつも日陰《ひかげ》になってるから… そんでみんな根暗なのかなー?って」
捨てゼリフにしても聞き捨てならないマキの言葉
言いたいことだけ言ってマキは教室を出てった
なんなのよ… なにしに来たわけ?
思いもよらぬマキとのファーストコンタクトにわたしは戸惑いを隠せなかった…
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