1 / 83
プロローグ:魔女は夜空であやしい実験をする
「……せ、先輩。本当にいいんですか……?」
モチコはまだ悩んでいた。
ミライア先輩が、また変なことを要求してきたからだ。
魔女のミライアは、ホウキに乗って夜空を飛んでいる。
モチコは、そのホウキの後ろに二人乗りをしていた。
目の前にあるミライアの背中をどんなにジッと見つめても、この変な先輩が何を考えているかは、全く読み取れない。
「問題ないよ。早く実験しよう」
ミライアの答えに、小さくため息をついたモチコは、仕方なく『実験』を始めることにした。
まずは、途中でメガネが飛んでいかないように、黒ぶちメガネを両手でしっかりとかけなおす。
そのあと、前にいるミライアの背中に後ろから抱きつくようにして、身体をぴったりと密着させた。
緊張で冷たくなった手を、スカートの上でこすって温かくする。
すう、と息を吸った。
意を決して、小さく深呼吸する。
モチコは前に出した両手を、ミライアの制服の上着の裾から、ゆっくりと制服の内側へすべり込ませていった。
モチコの手が、ミライアのお腹のあたりの肌に触れる。
そこはあたたかくて、なめらかだった。
「……こ、こんな感じで、どうでしょうか?」
おそるおそる触れた手を少し動かすと、ミライアがふいにビクッと身体をこわばらせる。
「モチコ、触り方がいやらしい」
「せっ、先輩が変なことをさせるからじゃないですか!」
必死の弁解をするモチコに、ミライアはいつもと変わらない様子で言う。
「もっとしっかり触っていいよ。優しくされると、くすぐったい」
「わ……わかりました」
今度は、もう少し力を込めて触れていく。
人の肌にこんなふうに触れたことなんてないので、加減がよく分からない。
「……これならどうですか?」
「ん。いい感じ。もっと上も触って」
ミライアの要望に応じて、モチコは手を少しずつ上へ移動させていく。
手のひらにおへそのへこみを感じた。
さらに上へ進むと、そこから身体が丘のように盛り上がっていく。
……これより上は気まずい。
そう考えたとき、ふと違和感に気づく。
「先輩……し、下着はどうしたんですか……?」
「ん? 洗濯が間に合わなかったから、着けてない」
「えっ!?」
「気にしないで、触っていいよ」
「な、なに言ってるんですか! 触りませんよ!!」
この変な魔女は、いったい何を考えているんだろうか。
本当に困った先輩だ。
モチコの動揺をよそに、ミライアは『実験』を続ける。
「じゃあ、そのまま触ってて。始めるよ」
ミライアはそう言うと、魔力を練り始めた。
黄金色のオーラがミライアの身体を包む。
次の瞬間、ホウキは猛スピードで前に飛び始めた。
闇夜を切り裂くように飛ぶホウキが、黄金色の尾を引きながら空を翔けていく。
スピードが最高潮に達し、しばらく飛んだあとで、ホウキは元の速さに戻った。
「うーん、あんまり変わらないかな。オーラを直で肌に当てれば、もっと速く飛べるかと思ったんだけど」
ミライアが『実験』の結果をそう分析する。
モチコも、ミライアの制服の中に入れていた手を外へ出した。
「先輩、今回も失敗ですね」
「実験に失敗はつきものさ。次に活かそう。うーん……やはり、肌が接する面積が関係するのか……?」
先輩がまた、なんだか怪しいことをつぶやいている。
変なことを言い出さなければいいのだが……。
「モチコ、次は裸で抱き合ってみようか」
「……ダメです!! こんなところで裸になったら、ただの変態です!」
やっぱり先輩はろくなことを言い出さなかった。
「こんなところじゃダメなら、モチコの家のベッドならいいの?」
「いっ、いいわけないでしょがー! 先輩のヘンタイ!!」
「いや実験だし。ヘンタイと思う方が変態だと思うけど」
モチコはミライアの背中をグーで殴っておいた。
ホウキはあーだこーだ言うふたりを乗せて、真夏の夜空を翔けていく。
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べないメガネの後輩。
ふたりの『実験』はこうして続いていく。
まずは少し時間を戻して、ふたりの出会いから話していこう。
先輩は出会った初日から、本当に困った先輩だったのだ――。
モチコはまだ悩んでいた。
ミライア先輩が、また変なことを要求してきたからだ。
魔女のミライアは、ホウキに乗って夜空を飛んでいる。
モチコは、そのホウキの後ろに二人乗りをしていた。
目の前にあるミライアの背中をどんなにジッと見つめても、この変な先輩が何を考えているかは、全く読み取れない。
「問題ないよ。早く実験しよう」
ミライアの答えに、小さくため息をついたモチコは、仕方なく『実験』を始めることにした。
まずは、途中でメガネが飛んでいかないように、黒ぶちメガネを両手でしっかりとかけなおす。
そのあと、前にいるミライアの背中に後ろから抱きつくようにして、身体をぴったりと密着させた。
緊張で冷たくなった手を、スカートの上でこすって温かくする。
すう、と息を吸った。
意を決して、小さく深呼吸する。
モチコは前に出した両手を、ミライアの制服の上着の裾から、ゆっくりと制服の内側へすべり込ませていった。
モチコの手が、ミライアのお腹のあたりの肌に触れる。
そこはあたたかくて、なめらかだった。
「……こ、こんな感じで、どうでしょうか?」
おそるおそる触れた手を少し動かすと、ミライアがふいにビクッと身体をこわばらせる。
「モチコ、触り方がいやらしい」
「せっ、先輩が変なことをさせるからじゃないですか!」
必死の弁解をするモチコに、ミライアはいつもと変わらない様子で言う。
「もっとしっかり触っていいよ。優しくされると、くすぐったい」
「わ……わかりました」
今度は、もう少し力を込めて触れていく。
人の肌にこんなふうに触れたことなんてないので、加減がよく分からない。
「……これならどうですか?」
「ん。いい感じ。もっと上も触って」
ミライアの要望に応じて、モチコは手を少しずつ上へ移動させていく。
手のひらにおへそのへこみを感じた。
さらに上へ進むと、そこから身体が丘のように盛り上がっていく。
……これより上は気まずい。
そう考えたとき、ふと違和感に気づく。
「先輩……し、下着はどうしたんですか……?」
「ん? 洗濯が間に合わなかったから、着けてない」
「えっ!?」
「気にしないで、触っていいよ」
「な、なに言ってるんですか! 触りませんよ!!」
この変な魔女は、いったい何を考えているんだろうか。
本当に困った先輩だ。
モチコの動揺をよそに、ミライアは『実験』を続ける。
「じゃあ、そのまま触ってて。始めるよ」
ミライアはそう言うと、魔力を練り始めた。
黄金色のオーラがミライアの身体を包む。
次の瞬間、ホウキは猛スピードで前に飛び始めた。
闇夜を切り裂くように飛ぶホウキが、黄金色の尾を引きながら空を翔けていく。
スピードが最高潮に達し、しばらく飛んだあとで、ホウキは元の速さに戻った。
「うーん、あんまり変わらないかな。オーラを直で肌に当てれば、もっと速く飛べるかと思ったんだけど」
ミライアが『実験』の結果をそう分析する。
モチコも、ミライアの制服の中に入れていた手を外へ出した。
「先輩、今回も失敗ですね」
「実験に失敗はつきものさ。次に活かそう。うーん……やはり、肌が接する面積が関係するのか……?」
先輩がまた、なんだか怪しいことをつぶやいている。
変なことを言い出さなければいいのだが……。
「モチコ、次は裸で抱き合ってみようか」
「……ダメです!! こんなところで裸になったら、ただの変態です!」
やっぱり先輩はろくなことを言い出さなかった。
「こんなところじゃダメなら、モチコの家のベッドならいいの?」
「いっ、いいわけないでしょがー! 先輩のヘンタイ!!」
「いや実験だし。ヘンタイと思う方が変態だと思うけど」
モチコはミライアの背中をグーで殴っておいた。
ホウキはあーだこーだ言うふたりを乗せて、真夏の夜空を翔けていく。
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べないメガネの後輩。
ふたりの『実験』はこうして続いていく。
まずは少し時間を戻して、ふたりの出会いから話していこう。
先輩は出会った初日から、本当に困った先輩だったのだ――。
あなたにおすすめの小説
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています