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⑦ 第二王子の有り様
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校庭で動く小さな人々を校舎の二階から眺めている私に「兄上と何を話していたんですか」って言ったのは第二王子の渡辺 蒼だ。
第一王子の兄、樹を持つ蒼は国立霊能高等学校で指折りの有名人だ。
そんな蒼から樹と何を話していたのかって事を聞かれるのは初めてじゃない。怠惰な私を嫌っている兄と違い、弟の方は私を嫌っていないらしい。それは蒼が王子らしくないから、なのかも知れない。
国王になろうと勉学や交友を真面目に行っている樹と違って、勉強は最低限で不良と交流している蒼からは国王になろうって気概を感じられない。
本人は『不自由な王様なんて御免だ』って言っていたけど、それとは別に兄と争うことを避けているって理由もあるような気がする。
蒼は側室の子供だから、樹が健在だったら、国王になる可能性は低い。けど、樹次第で蒼が国王に推薦される可能性はある。
霊力がC位だって事にコンプレックスを抱いている樹は、霊力の高い高橋 紬を仲間にしようと目論んでいるのか、何かと紬に同行している。誰かに紬がとられるんじゃないかって恐れている様子だ。
そんな樹を好ましく思わない権力者たちが居るらしい。その人たちが霊力に固執しない蒼を次期国王にって考えていないとは言い切れない。
霊力の高さだけで人の価値を計るべきではないって価値観が根強い千王国で霊力に囚われるのは好ましくないって考えるのは当然かもしれない。
霊力に固執する樹と比較された際、霊力に固執しないって理由で相対的に蒼の評価が高くなる。それを理由に樹よりはマシって感じで、蒼が次期国王に推薦される可能性はないって言い切れない、のかなーって考えた事もあるけど、それは、このまま樹が成長しなかった場合にあり得るって程度の想像だ。
蒼は交友に霊力の程度を意識していないのか、高い人から低い人まで、幅広い人脈を持っている。と言っても蒼の人脈は勉強や将来の為に築いたモノじゃなくて、今を楽しんでいたら出来ていたモノらしいから、次代の国王に相応しいかって考えると疑問だ。
それでも、霊力の高い人を重んじる傾向の樹は、今のまま国王になるって事は難しいと思う。
もし、蒼が本気で国王になろうと思えば、側室の子供だからって理由だけじゃ、無理って言い切れない状況になるのかも知れない。でも、それは、権力者たちや民衆が保守的ならって話だけど。
王位を継承したくないのか、蒼は容易に頭を下げて、王族の品位を軽んじている言動を度々している。
そんな、蒼だから、私は蒼を拒絶しないで済んでいる。でも、もし、蒼が次期国王を目指していたら、私は蒼の仲間だって思われないように、距離を置かなくちゃいけないから。そうなって欲しくはない。
私に話しかけてくれる人は少ないから。
王位を継承したい樹は私と交友している蒼を警戒しているらしい。
なんでも『蒼が霊力の高い私を仲間に引き入れて王位を狙っている』なんて、私の視点では可能性の低い理由を真面目に考えているのか、蒼が私と一緒に居る時に樹と遭遇したら『霊力だけが取り柄の不良と関わって品格を下げるな』なんて苦言を蒼に呈している。
理由の根拠は樹を嫌っている生徒がしていた噂話だから、信頼性は高くないけど、王位の継承に固執しながら霊力を重く見過ぎている樹なら無いとは言い切れないって思ってしまう。
一応、弟だからなのか、蒼には助言する程度なんだけど、私には『蒼をたぶらかすな』って感じで原因を押し付けてくる。
私が攻撃されて兄弟の仲が悪化しないなら、それはそれで良いんだけど、少しは手加減して欲しい。私だって傷つく心があるんだから。
それから、私が反撃しないからなのか、昔に比べて樹が私へ放つ言葉が鋭くなっている様な気がする。勘違いかも知れないけど。
樹から言葉の暴力を受ける私を、助けたり慰めたりしない蒼は、兄からの助言を受け流している。まるで樹と真っ向から対立する事を避けているかの様に。
蒼が樹と敵対したくないように見えてしまうのは、蒼から兄の愚痴を聞かされた事はあっても、侮辱しているって感じがしない。
側室から生まれた弟と正室から生まれた兄の間にどの様な関係が築かれたのか、私は知らないけど、たぶん、弟の方は兄が大好きなんだと思う。だって、そうじゃなきゃ、嬉しそうに兄の話をする事なんてないと思うから。
今の蒼は私の霊力を求めていないから友達でいられる。私は、私の霊力を頼る人と友好な関係は結びたくないから、もし蒼が私の霊力を頼って来たら、私は蒼を拒絶すると思う。それを察しているのか、蒼から何度か言われた言葉がある。
それは『王位に興味はない』って言葉。
蒼は私と友達でいたいって考えて居るんじゃないかなってのは私の勝手な期待なのかもしれないけど、そうだったら良いなって思いを抱くのは、私が交友に飢えているから、なのかもしれない。
第一王子の兄、樹を持つ蒼は国立霊能高等学校で指折りの有名人だ。
そんな蒼から樹と何を話していたのかって事を聞かれるのは初めてじゃない。怠惰な私を嫌っている兄と違い、弟の方は私を嫌っていないらしい。それは蒼が王子らしくないから、なのかも知れない。
国王になろうと勉学や交友を真面目に行っている樹と違って、勉強は最低限で不良と交流している蒼からは国王になろうって気概を感じられない。
本人は『不自由な王様なんて御免だ』って言っていたけど、それとは別に兄と争うことを避けているって理由もあるような気がする。
蒼は側室の子供だから、樹が健在だったら、国王になる可能性は低い。けど、樹次第で蒼が国王に推薦される可能性はある。
霊力がC位だって事にコンプレックスを抱いている樹は、霊力の高い高橋 紬を仲間にしようと目論んでいるのか、何かと紬に同行している。誰かに紬がとられるんじゃないかって恐れている様子だ。
そんな樹を好ましく思わない権力者たちが居るらしい。その人たちが霊力に固執しない蒼を次期国王にって考えていないとは言い切れない。
霊力の高さだけで人の価値を計るべきではないって価値観が根強い千王国で霊力に囚われるのは好ましくないって考えるのは当然かもしれない。
霊力に固執する樹と比較された際、霊力に固執しないって理由で相対的に蒼の評価が高くなる。それを理由に樹よりはマシって感じで、蒼が次期国王に推薦される可能性はないって言い切れない、のかなーって考えた事もあるけど、それは、このまま樹が成長しなかった場合にあり得るって程度の想像だ。
蒼は交友に霊力の程度を意識していないのか、高い人から低い人まで、幅広い人脈を持っている。と言っても蒼の人脈は勉強や将来の為に築いたモノじゃなくて、今を楽しんでいたら出来ていたモノらしいから、次代の国王に相応しいかって考えると疑問だ。
それでも、霊力の高い人を重んじる傾向の樹は、今のまま国王になるって事は難しいと思う。
もし、蒼が本気で国王になろうと思えば、側室の子供だからって理由だけじゃ、無理って言い切れない状況になるのかも知れない。でも、それは、権力者たちや民衆が保守的ならって話だけど。
王位を継承したくないのか、蒼は容易に頭を下げて、王族の品位を軽んじている言動を度々している。
そんな、蒼だから、私は蒼を拒絶しないで済んでいる。でも、もし、蒼が次期国王を目指していたら、私は蒼の仲間だって思われないように、距離を置かなくちゃいけないから。そうなって欲しくはない。
私に話しかけてくれる人は少ないから。
王位を継承したい樹は私と交友している蒼を警戒しているらしい。
なんでも『蒼が霊力の高い私を仲間に引き入れて王位を狙っている』なんて、私の視点では可能性の低い理由を真面目に考えているのか、蒼が私と一緒に居る時に樹と遭遇したら『霊力だけが取り柄の不良と関わって品格を下げるな』なんて苦言を蒼に呈している。
理由の根拠は樹を嫌っている生徒がしていた噂話だから、信頼性は高くないけど、王位の継承に固執しながら霊力を重く見過ぎている樹なら無いとは言い切れないって思ってしまう。
一応、弟だからなのか、蒼には助言する程度なんだけど、私には『蒼をたぶらかすな』って感じで原因を押し付けてくる。
私が攻撃されて兄弟の仲が悪化しないなら、それはそれで良いんだけど、少しは手加減して欲しい。私だって傷つく心があるんだから。
それから、私が反撃しないからなのか、昔に比べて樹が私へ放つ言葉が鋭くなっている様な気がする。勘違いかも知れないけど。
樹から言葉の暴力を受ける私を、助けたり慰めたりしない蒼は、兄からの助言を受け流している。まるで樹と真っ向から対立する事を避けているかの様に。
蒼が樹と敵対したくないように見えてしまうのは、蒼から兄の愚痴を聞かされた事はあっても、侮辱しているって感じがしない。
側室から生まれた弟と正室から生まれた兄の間にどの様な関係が築かれたのか、私は知らないけど、たぶん、弟の方は兄が大好きなんだと思う。だって、そうじゃなきゃ、嬉しそうに兄の話をする事なんてないと思うから。
今の蒼は私の霊力を求めていないから友達でいられる。私は、私の霊力を頼る人と友好な関係は結びたくないから、もし蒼が私の霊力を頼って来たら、私は蒼を拒絶すると思う。それを察しているのか、蒼から何度か言われた言葉がある。
それは『王位に興味はない』って言葉。
蒼は私と友達でいたいって考えて居るんじゃないかなってのは私の勝手な期待なのかもしれないけど、そうだったら良いなって思いを抱くのは、私が交友に飢えているから、なのかもしれない。
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