41 / 41
第二幕 変転のコリンヴェルト
エピローグ 〜新たな旅立ち
しおりを挟む
そして別れの時が訪れる――
「本当にいただいてしまってよろしいのですか?」
コリンヴェルトの町の玄関口となっている広場で、ヤンからひとつの巾着袋を渡されたララが、驚きと戸惑いの声を上げる。
巾着袋の中身は、吸血衝動を抑える効果のある青い薬であり、袋の中にはまだその膠嚢が十粒以上収まっていた。
「たしか、一粒あたり百金でしたわよね? わたくしはこれ以外にもヤン殿から多大な援助を受けておりますのに……」
「私はララ殿に期待して装備と薬も投資させていただいたのです。気にすることなど何もありません」
遠慮がちにためらうララに、ヤンは小さくかぶりを振る。
「ですが……」
「それに、ララ殿はレン殿とも契約を結んだのです。『吸血者』二人分の血、それを賄わなければならないのはララ殿なのですよ」
「ッ!!」
その言葉にハッと目を剥くララ。
たしかにその通りだった。
通常の『聖痕使い』であれば、『吸血者』を何人抱えていようとも血の需要と供給のサイクルは成立するのだが、ララの場合は彼女自身が吸血衝動を持っているために、ひとりの『吸血者』を養うのも困難な状態なのだ。
実際、それで過去に暴走を起こしてしまい、ヤンによって救われたのだから。
自身の吸血衝動は自身で補わなければならない。
それは、ララが正式な『聖痕使い』となるまでずっと付きまとう使命でもあった。
「そう……ですわね。その通りですわ。これはありがたく頂戴いたしますわ」
ララは深々と腰を折り、感謝の意を示す。
「それで良いのですよ」
ヤンは満足げにうなずくと、荷馬車の馬に跨る。
「どちらへ参られるんですの?」
「そうですね。このまま南下してエスペラント王国へ向かおうかと思っております」
「そうですの……。これまで本当にお世話になりましたわ。どうか、お元気で!!」
「ええ。ララ殿たちもお元気で」
そう言い残し、ヤンは馬を駆る。
従者たちと隊列を組んだヤン商会は、宣言通り南へと進路を取り、やがてその後ろ姿は見えなくなる。
「……最後まで不思議なお方でしたわね」
ララがポツリとつぶやく。
「そうですね。商人の中でもかなり異質な存在ですからね、彼は」
「そうだね。でも、最高の飲み仲間だったよ。また、会えるとイイね」
「会えますわよ」
前を見据え、ララが答える。
「きっとまた、世界のどこかで」
「ああ、そうだね」
ミレーヌとレンが同調してうなずく。
「それで、ララ様。次はどちらへ参られますか?」
「そうですわね……」
レンの問いにララはおもむろに空を見上げ、
「王都に……ルテティアにおもむこうかと思います」
そっと目を伏せ、涼やかな声で言った。
「王都に?」
「ええ。あまり気は進みませんが、国王陛下に一応生存報告くらいはしておかないとなりませんので」
ララは憂鬱そうな口調でそう言うと、今度は首を垂れてため息を吐く。
「そっか。ララは国王陛下の姪御なんだもんね」
ミレーヌの言葉に、ララは力なくうなずく。
「ですが、ララ様は何だか気が乗らないみたいですね?」
「ええ。いろいろと辛いことになりなので……」
そう言って再びため息を吐くララだったが、すぐにかぶりを振ると、
「行く前からこんな弱気ではいけませんわ!」
自らを奮い立たせるように言った。
「王都にいけば――国王陛下であればご存知かも知れません。なぜ、戦況を一変させてしまうような強大な力を持った『八紘の宝珠』を母が持っていたのか。なぜ、母はそれをわたくしに授けたのか。その答えを」
そしてララは固く握りしめた右手を見つめ、
「『八紘の宝珠』の由来や伝承を知れば、わたくしが求める乳白色の宝珠の手掛かりも得られるかも知れませんわ。 だから参りましょう!」
決意を新たにする。
「ああ、行こう!」
ミレーヌがララの右手を握りしめる。
「喜んでお供いたします」
レンがララの左手を握りしめる。
そして三人はコクリと大きくうなずき、コリンヴェルトの町を背に歩き出した。
季節は寒風吹き荒ぶ冬へと変転を迎えようとしている。
これからどんなに厳しい寒さに見舞われようとも、身を裂くような風に吹かれようとも、少女はその手の中にある温もりがある限り乗り越えられるはずだ、と信じられるのだった。
昏い――
まだ昼間だというのに、その部屋の窓はすべて厚いカーテンに覆われているため、光がまったく届かない暗澹である。
ギシィ
暗闇の中で椅子の軋む音が、渇いた空気の中でやけに大きく響く。
背もたれと肘掛けのついた、アンティークな椅子。
それに腰掛けているのは、獣の貌を象った面で顔を覆い、白い法衣をまとった者。
その面はたしかに獣と呼べるものであるのだが、獅子のようでもあり、狼のようでもあり、あるいは雄牛のような角もあり、具体的に何の獣なのか判別がつかない。
ジャリ ジャリ
獣面の者の手の中で、何かが擦れる音が発せられる。
まるで何かをこねくり回すような音。
「主……」
ふと、暗闇の中から声が発せられる。
声高から、どうやら女性のもののようだ。
「『白狐』ですか……?」
主と呼ばれた獣面の者は、身じろぎひとつせず、中性的な声色で闇に向かって問う。
『白狐』――獣面の者からそう呼ばれた女性は、はい、と小さく答え、すぅっ、と音も立てずその姿を現す。
白い――すべてが白に染まった服をまとい、顔は狐の貌を象った面に覆われ、頭の先からつま先まですべてが白かった。
「例の娘ですが、コリンヴェルトにて大ブリタニア軍との戦に参加し、その総大将を撃退。その際、再び『聖痕使い』の力を開花させたとのことです」
「ほう……」
獣面の者の声色にわずかな抑揚が現出する。
「前はエイレンヌ。今度はコリンヴェルトですか……。私の予想を遥かに超えた可能性を示してくれてますね、彼女は」
実に興味深い、と獣面の者はどこか愉悦を帯びた口調で言う。
「これからいかがなさいますか?」
「そうですね。そろそろ具体的なデータが欲しいところですが……今回はアナタに一任しましょう」
「……かしこまりました、主」
『観察者』――
最後に白い影はそう言い残し、再び闇の中へと溶けていった。
「……さて、この先彼女はどのような輝きを見せてくれるのでしょうかね?」
獣面の者は手の中にあったものを掴み、掲げ上げてひとりごちた。
暗澹の暗闇の中で、そのコの字型をした乳白色の宝珠がキラリと怪しく煌めき放つのだった。
「本当にいただいてしまってよろしいのですか?」
コリンヴェルトの町の玄関口となっている広場で、ヤンからひとつの巾着袋を渡されたララが、驚きと戸惑いの声を上げる。
巾着袋の中身は、吸血衝動を抑える効果のある青い薬であり、袋の中にはまだその膠嚢が十粒以上収まっていた。
「たしか、一粒あたり百金でしたわよね? わたくしはこれ以外にもヤン殿から多大な援助を受けておりますのに……」
「私はララ殿に期待して装備と薬も投資させていただいたのです。気にすることなど何もありません」
遠慮がちにためらうララに、ヤンは小さくかぶりを振る。
「ですが……」
「それに、ララ殿はレン殿とも契約を結んだのです。『吸血者』二人分の血、それを賄わなければならないのはララ殿なのですよ」
「ッ!!」
その言葉にハッと目を剥くララ。
たしかにその通りだった。
通常の『聖痕使い』であれば、『吸血者』を何人抱えていようとも血の需要と供給のサイクルは成立するのだが、ララの場合は彼女自身が吸血衝動を持っているために、ひとりの『吸血者』を養うのも困難な状態なのだ。
実際、それで過去に暴走を起こしてしまい、ヤンによって救われたのだから。
自身の吸血衝動は自身で補わなければならない。
それは、ララが正式な『聖痕使い』となるまでずっと付きまとう使命でもあった。
「そう……ですわね。その通りですわ。これはありがたく頂戴いたしますわ」
ララは深々と腰を折り、感謝の意を示す。
「それで良いのですよ」
ヤンは満足げにうなずくと、荷馬車の馬に跨る。
「どちらへ参られるんですの?」
「そうですね。このまま南下してエスペラント王国へ向かおうかと思っております」
「そうですの……。これまで本当にお世話になりましたわ。どうか、お元気で!!」
「ええ。ララ殿たちもお元気で」
そう言い残し、ヤンは馬を駆る。
従者たちと隊列を組んだヤン商会は、宣言通り南へと進路を取り、やがてその後ろ姿は見えなくなる。
「……最後まで不思議なお方でしたわね」
ララがポツリとつぶやく。
「そうですね。商人の中でもかなり異質な存在ですからね、彼は」
「そうだね。でも、最高の飲み仲間だったよ。また、会えるとイイね」
「会えますわよ」
前を見据え、ララが答える。
「きっとまた、世界のどこかで」
「ああ、そうだね」
ミレーヌとレンが同調してうなずく。
「それで、ララ様。次はどちらへ参られますか?」
「そうですわね……」
レンの問いにララはおもむろに空を見上げ、
「王都に……ルテティアにおもむこうかと思います」
そっと目を伏せ、涼やかな声で言った。
「王都に?」
「ええ。あまり気は進みませんが、国王陛下に一応生存報告くらいはしておかないとなりませんので」
ララは憂鬱そうな口調でそう言うと、今度は首を垂れてため息を吐く。
「そっか。ララは国王陛下の姪御なんだもんね」
ミレーヌの言葉に、ララは力なくうなずく。
「ですが、ララ様は何だか気が乗らないみたいですね?」
「ええ。いろいろと辛いことになりなので……」
そう言って再びため息を吐くララだったが、すぐにかぶりを振ると、
「行く前からこんな弱気ではいけませんわ!」
自らを奮い立たせるように言った。
「王都にいけば――国王陛下であればご存知かも知れません。なぜ、戦況を一変させてしまうような強大な力を持った『八紘の宝珠』を母が持っていたのか。なぜ、母はそれをわたくしに授けたのか。その答えを」
そしてララは固く握りしめた右手を見つめ、
「『八紘の宝珠』の由来や伝承を知れば、わたくしが求める乳白色の宝珠の手掛かりも得られるかも知れませんわ。 だから参りましょう!」
決意を新たにする。
「ああ、行こう!」
ミレーヌがララの右手を握りしめる。
「喜んでお供いたします」
レンがララの左手を握りしめる。
そして三人はコクリと大きくうなずき、コリンヴェルトの町を背に歩き出した。
季節は寒風吹き荒ぶ冬へと変転を迎えようとしている。
これからどんなに厳しい寒さに見舞われようとも、身を裂くような風に吹かれようとも、少女はその手の中にある温もりがある限り乗り越えられるはずだ、と信じられるのだった。
昏い――
まだ昼間だというのに、その部屋の窓はすべて厚いカーテンに覆われているため、光がまったく届かない暗澹である。
ギシィ
暗闇の中で椅子の軋む音が、渇いた空気の中でやけに大きく響く。
背もたれと肘掛けのついた、アンティークな椅子。
それに腰掛けているのは、獣の貌を象った面で顔を覆い、白い法衣をまとった者。
その面はたしかに獣と呼べるものであるのだが、獅子のようでもあり、狼のようでもあり、あるいは雄牛のような角もあり、具体的に何の獣なのか判別がつかない。
ジャリ ジャリ
獣面の者の手の中で、何かが擦れる音が発せられる。
まるで何かをこねくり回すような音。
「主……」
ふと、暗闇の中から声が発せられる。
声高から、どうやら女性のもののようだ。
「『白狐』ですか……?」
主と呼ばれた獣面の者は、身じろぎひとつせず、中性的な声色で闇に向かって問う。
『白狐』――獣面の者からそう呼ばれた女性は、はい、と小さく答え、すぅっ、と音も立てずその姿を現す。
白い――すべてが白に染まった服をまとい、顔は狐の貌を象った面に覆われ、頭の先からつま先まですべてが白かった。
「例の娘ですが、コリンヴェルトにて大ブリタニア軍との戦に参加し、その総大将を撃退。その際、再び『聖痕使い』の力を開花させたとのことです」
「ほう……」
獣面の者の声色にわずかな抑揚が現出する。
「前はエイレンヌ。今度はコリンヴェルトですか……。私の予想を遥かに超えた可能性を示してくれてますね、彼女は」
実に興味深い、と獣面の者はどこか愉悦を帯びた口調で言う。
「これからいかがなさいますか?」
「そうですね。そろそろ具体的なデータが欲しいところですが……今回はアナタに一任しましょう」
「……かしこまりました、主」
『観察者』――
最後に白い影はそう言い残し、再び闇の中へと溶けていった。
「……さて、この先彼女はどのような輝きを見せてくれるのでしょうかね?」
獣面の者は手の中にあったものを掴み、掲げ上げてひとりごちた。
暗澹の暗闇の中で、そのコの字型をした乳白色の宝珠がキラリと怪しく煌めき放つのだった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
良い作品なのでお気に入り登録しました!お互い頑張りましょう!
蒼月丸様。
お気に入り登録していただき、ありがとうございます!
お互い頑張りましょう!!