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1 ティータイム
しおりを挟む「さて、そろそろ休憩にしましょう」
独り言をぼそりと呟きながら立ち上がる。
キッチンへ向かい木製の棚を開けると中には、色とりどりの葉や花が入った瓶が並べられている。
「んー。今日の気分は白ね」
そう言い棚にかけていた手を、青い葉の入った瓶と白い花が入った瓶を棚から取り出す。
机に置き、青い葉の入った瓶の蓋を開けて、白い陶器で出来たポットの中に青い葉を一枚入れる。
ポットを手で二度ポンポンと叩くと、青い葉から水が溢れ始め、葉は少しずつ色が薄くなりながら水の上でゆらゆらと揺れている。
葉が、青から白へと色を変えた頃にはポットの中には水がなみなみと注がれていた。
白くなった葉を取り出しゴミ箱へ捨て、
ポットをレンガで組み上げられている台の上に置く。
台の上には網が敷かれており、網の下の空間には、赤い花が咲いている。
赤い花の葉を叩いてやると、花が火をポット目掛けて吹き出した。
「ちょっと火が弱いわね」
また、独り言を言いながらもう一度赤い花の葉を叩く。
そうすると、花が少し膨らんでさっきよりも強い勢いで火を吹きだす。
ポットの中の水がグラグラと泡を立て始めた所で火から外し、花に水を掛け火を吹くのをやめさせる。
先程取り出した白い花の入った瓶を開け、花を無造作にポットの中へ入れ、しばし待つ。
カモミールのいい匂いがただよい始めたら完成だ。
「さてさて、クッキーを持って庭で優雅なひと時を過ごしましょうか」
腰に挿していた杖を一振りして、ポット、お菓子、ティーカップを宙に浮かせながら庭へと歩いていく。
庭は緑に囲まれ、新緑が綺麗に映えている。
杖を一振りし、部屋から1人掛けソファと机を綺麗に咲いた花の近くにセットする。
ソファに座り、杖をさらに一振りしクッキー、ティーカップ、ポットを机に置く。
紅茶をポットから注ぐと、いい匂いに包まれ疲れがほぐされていくように思う。
カモミールティーを一口飲み、ふぅーと息をついた後のことだった。
ーガサガサッ
少し離れた所にある茂みを何かが揺らしている。
カモミールティーを飲みながら、様子を伺い見る。
ーガサガサガサガサッ!
勢いよく茂みから出てきたのは、人間の子供のようだ。
オスかメスかは、ここからでは判断できないが少々面倒なことになったなと思いながら、クッキーに手を伸ばす。
子供は、キョロキョロと左右を見渡している。
あっ。私に気づいたわ
こちらを見て、目をまんまると見開いて見ている。
クッキーを食べ終え、口の水分がなくなったので、カモミールティーに口をつけると子供が口を開いた。
「うさぎ?」
失礼な子供ね。
この立派な耳とキュートなグレーの毛並みを見ておきながら疑問符をつけるとは。
はてさて、この侵入者はなにがお望みかしら。
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