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Too late
7:種火6
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神殿都市への巡礼の旅。十二の齢を重ねたものは洗礼を受けるため、あるものは親に連れられ、或いは一人でこの神殿都市を目指す。
日々の生活に窮するものは洗礼を受けない場合もあるが、巡礼の月ともなれば、国内だけでなく、隣国である公国からも多くの若者たちがキャラバンを組んで巡礼に訪れる。僅かな蓄えを子供に握らせ、キャラバンに子供を預けるのは一般的な姿である。
十二歳で洗礼を受けることで子供たちは大人とみなされ、社会の一員となる。
巡礼者を狙う野党も少なくはなく、道々では野生の獣も襲ってくる。
家門の宗家の一人娘として、少女は一人で過酷な旅に出た。
伴もつけず、着の身着のままでの旅、野宿をし獣を狩り夜露で喉を潤す。
そして、辿り着いた神殿。
家門の名を告げ、フードを脱ぎ特徴のある青銀の髪を見せる。辺りの巡礼者が騒めきをあげる。
恭しく神官が礼をし、奥から神官長が穏やかな笑みを浮かべ言葉をかけてくる。
「おかえりなさいませ」
家門のものに対して、神官達は特別な意味を込めて同じ言葉を発する。
「我々は、ここを発祥の地としている。」
嘗て、兄の洗礼に立ち会った三年前、父のそう語っていた。
神殿都市の神官長は柔和な女性だった、齢にして40過ぎであろうか。
現神殿騎士団長の洗礼者と聞き及んでいる。私の洗礼を担当するなら、洗礼上の兄妹となり、図らずとも皇国と公国、二つの国の政治的な駆け引きに巻き込まれることになるのだろう。未だ独身と聞く第二皇子と、継承権はあれど次期当主は別に決まっている公爵家の一人娘である私、政治の道具に使われるのは必然とも言える。その思いに至り、口元にうっすらと笑みが浮かぶ。
ふた周りも歳の差があるという事は慮外なのでしょうね、父は。
出発の際に、身なりやお供について大分小言を言ってきたのは、そういうことなのだろう。
「洗礼日は何時を予定されていますか」
「今日は宿に、明日、お願いできると幸いです」
淑女然として答える。作法上の間違いはないはず。神官長は頷く。
「それではまた明日」
神官長が奥に下がっていくのを見送り、正殿をゆっくりと歩いて行く。
正殿の中央、聖遺物、宙に浮く正方体。
ここが聖地であり、私たちの発祥の地と呼ばれる理由。
聖遺物を覗き込む、半透明のそれは天窓から差し込む光で淡い光を湛えている。
明日はこの前で洗礼か。
公都に戻れば、軍に入隊し兵役が勤め終わるまでは軍属となる。公爵家に課せられた、義務の一つ、力を持つものの役目。この旅は私にとって最後の自由でもあった。それも折り返し地点を迎えようとしている。
もっとも、女の場合は子が出来れば免除もある。先の考えに引きずられているのを感じる。場合によっては、私の子供が皇帝か。
それは女の野望としては大きな野望なのかもしれない、豪華な服を着て皇帝の母として君臨する自分の姿を想像し、失笑する。
ないな、私はよくて将軍だ。
聖遺物から踵を返し、正殿を後にする。
宿への道すがら、視線を感じる。珍しい赤毛の女性がこちらを見ている。
あの色は他の家門のものだろうか、フードを脱いだままなのに気付き、被り直す。
「さて、湯浴みの出来る宿があるといいか」
道中殆ど使ってないため、路銀に余裕はあった。
木銭宿でも問題はないが、流石に塵垢に塗れた姿で洗礼は家門の名に泥を塗る。
マルバスは大きくため息をつく、騎士としての鎧ではなく皇子としての礼服を纏い正殿に立つ。
「よりによって今日か」
この日はエミリア神官長から地下神殿と司祭の拝借を依頼された日だった、副団長であるバルド等と共に地下神殿入り口に詰める予定が、この予定外の来客によってそうはいかなくなった。他の洗礼希望者は宿代を肩代わりし明日以降にとお願いしたが、この者についてはそうはいかない。
「お嫁さま候補の前なのですから、しっかりと」
20年間、洗礼の時からどうもこのマーシャ神官長には頭が上がらない。されるがまま、服を整えられる。こういう政治的な意味合いの儀礼の場合、欠席するわけにもいかない。必要性はわかるが、趣味ではなく肩苦しさが勝ってしまう。
白い一般の儀礼服を着た少女が洗礼のために現れる。少年のような体躯、肩の丸みと僅かに膨らんだ胸が女性ということを何とか主張している。
「汝に神の恩寵あらんことを」
洗礼の儀式はそう長い儀式ではない、洗礼者が洗礼の言葉をかけ、被洗礼者が聖水を口にする。
単純な儀式故、式への列席者がそのものの重要性を内外に示すことになる。
多くの有力者はそのため招待状を出し、また多くの供をも伴い儀式へ臨む。
規模で言えば、この洗礼の儀式はかなり小規模だ。
列席者は僅か数名、供もいない。洗礼を受ける少女も小綺麗ではあるが神殿で貸し出される一般的な儀礼服に見を包み、装飾具すら身につけていない。
だが、その面々は流石は十二公爵家の令嬢だろうか。
まずは神殿都市議会議長、武装神官第一席、神殿都市神官長、公国に繋ぎをつけたい有力商人達。そして、最後に神殿騎士団長にであり、第二皇子である自分。
おかげで、ただでさえ少ない人員を神殿内の警備に回す必要がある。
「頂戴いたします」
マーシャ神官長がグラスを少女に手渡す。グラスの中には僅かに赤みがかった水、聖水が注がれている。その資格のあるものには力を与えると言われる水。
私にはその資格はなかったが、この少女は恐らく資格を持っているだろう。家門の始祖の特徴、青銀の髪がそれを表している。
自身の洗礼の時を思い出す、黒髪、黒瞳、色的にあまりに一般的な容姿、一部の者はそれでもと期待していたようだが、私にはその力は宿らなかった。
神の力を得る資格、選ばれし者の力、魔法。
洗礼の儀式は、その呼び水となる。
聖水の如何な力か、資格を持つものは洗礼によって力を行使する権利を得る。
少女が聖水を飲み干す。体が一瞬淡い光に包まれ、共鳴するかのように聖遺物が一際強い光を放つ。身震いする、これは本当に洗礼の影響か嫌な予感がする。
部下が耳打ちをしてくる、私はこの瞬間、正しくこの時『二つの儀式』が成ったと『誤解』した。
地下神殿、僅かの護衛を連れ姫様は祭壇中央で祈りを捧げている。
司祭メイアはその様子を静かに見ている。儀式は始まった。凛とした空気に肌がチリチリする。
『異界の英雄の召喚』伝承に語られる秘術、兄弟弟子のエミリアから姫様の補助をするように頼まれこの場にいる。
エミリアは洗礼の日からは姫様と共に過ごし、傍目には姉妹のようにさえ見える。良きライバルでもあったエミリアはこの少女と知り合い、よく笑うようになった。自分には出来なかったことを羨ましく思うと同時に、温かい思いも抱く。
メイアの知る限り、この秘術には実施のため幾つかの条件がある。
1つ、実施場所、聖遺物の力を正しく行使できる場所、即ちこの地下神殿
1つ、術者、十二公爵家の直系、即ちは姫様
1つ、媒体、術の媒体となる何か、即ちは何らかの対価
他にも条件はあるだろうが、私の知るだけで既に1つが不明。姫様は知っているのだろうか。
或いは失敗前提の儀式なのかもしれない、そもそもが、戦争のための戦力を異世界から招くなど興味はあるが恐れがまさっている。
大きな術には大きな媒体、多くの場合は贄と呼ばれるそれが必要になるのが常である。
漠然とした嫌な予感がする、姫様の祈りの言葉に合わせるように、私を含め12人の司祭が祝詞を唱え始める。
「******」
言葉の意味は知らない、ただ、そうあれと定まった音の羅列。まるで異国の詩のようにさえ思う。
複数の声が共鳴し、空気の濃度が上がった気さえする。
声に合わせ、天井の魔方陣が鈍く輝き出す。
「止めなくていいのか、エミリア嬢ちゃん」
宿で留守番をしている護衛が昨晩エミリアに苦言を呈していた。それに対し、エミリアは何と答えたのだろう。
何か決定的な間違いを犯しつつある、そんな予感がする。
パシャ
何かが弾ける音、護衛の顔が青くなる。響く祝詞、思考に靄がかかっていく。
「すべての物事は対価なしに為すことはできない」
嘗て師事した、先代神官長の言葉がよぎる。あの頃のエミリアは無愛想で可愛げがなかった。
「努力という対価で成果を得るように、魔法や儀式にも必ず対価が必要となります」
魔法の師匠でもあった彼は、必ず訓練の前にそう告げたものだった。私と違いエミリアには才能があった。
私が倍努力しても、追いかけていくのがやっとだった。
「単純な魔法なら精神力、あるいは体力といったもので対価を担うことができるでしょう」
エミリアは皇都の神官長、私はしがない司祭。時折聞こえて来るエミリアの噂話。吾が事のように嬉しく、また妬ましかった。
パシャ、パシャ、パシャ
弾ける音が続く、足が動かない。見えてるもの、起こっていることの認識を本能が拒否する。
「もし、魔法や儀式が大きなものであるならば、然るべき対価を払うことになるでしょう」
そう言って、見せてくれた右腕は付け根から消え去っていた。
パシャ、パシャ、パシャ、パシャ
声が出ない、『異世界の英雄の召喚』それは即ち、『異世界』との扉の構築。
世界をまたぐ事が神ならぬ身に可能であるのだろうか、可能であるのなら如何程の対価が必要となるか。
それ以上の思考ができない、何かに阻まれるように結論にたどり着けない。
パシャ
隣の司祭の体がまた1つ弾ける。大音量で唱えられていた祝詞もいつの間にか静かになっている。
残った司祭の顔には次は自分の番かもしれないというのに、喜色が浮かんでいる。
私の顔もきっと笑みに染まっている。
霞みがかった思考の中、とりとめない思いが浮かんで消える。
もう一度、エミリアとお茶でもしたいな。
それが私の最後だった。
パシャ
彼女の体が弾ける。
エルムは既にその儀式を構成する1つの部品と化していた。遥か遠くにあった主の御技がそこにあった。
十二の司祭の血と肉と魂で紡がれた儀式。弾けた体と魂は、宙に浮き肉色の泡と化している。
聖遺物から流れ出る何かが、魔方陣とエルムの体を経路として儀式によって形作られる。
黒い扉が魔方陣に浮かび上がる。
エルムの赤い瞳から、血色の涙が流れ落ちる。
その口からは細々と、詩が流れ続けている。
一際強い光を魔方陣から放たれ、宙に浮く肉色の泡が扉に吸い込まれていく。
護衛の顔に恐怖が浮かぶ、扉がゆっくりと開いていく。
僅かな隙間、放たれる光。
光が収まったとき、祭壇には対価と同じ数の異界人が現れていた。
洗礼の日、私は拾い物をした。少々嵩張るが間違いなく奇貨ではあろう。
昨晩から止まっている宿に、拾い物・・・彼を伴い戻る。
「一人、追加を頼めるか」
宿の主人に断りを入れる。
「ん、連れ込むのか。元々二人部屋を貸し出してる、値段は据え置きでいいからほどほどにな。周りから寝不足の苦情は受けたくない」
宿のカウンターと酒場を兼ねた一階、周囲の不躾な視線が私と彼に向けられる。下卑た笑みが向けられる。
やはりこの青銀の髪は目立つな、ため息をつく。
「頼まれてくれないか、巡礼服を一式、あとは男物の普段着の替えを2着お願いできないか。あとで持ってきてくれればいい、2階の一番奥だ」
小間使の男に声をかける。宿屋の下人、銀貨を握らすと媚びた笑みを浮かべ去って行く。
「悪いな」
彼が静かに答える、意外に律儀だ。
「いい、何か苦手なものはあるか」
「あの薬より不味くないと助かる」
手頃な席に座り、オススメの料理を頼む。ウサギの丸焼きにエール、サラダが出てくる。
「フードは脱いでいいか」
頷く、問題なのはローブの下の異界の服だ。1口エールを飲む、乾いた喉に苦みが染みる。
彼もエールを飲み顔をしかめる。
「酒か、お前飲める歳なのか」
そう問いつつ、フォークとナイフで器用に丸焼きを切り分けていく。
しっかりとした教育を受けてきているのだろう、その動きに無駄がない、彼に対する評価を改める。
彼はただの戦士ではないのか。
「こう見えても今年12だ、洗礼も終わっている」
一瞬、彼は怪訝な表情を浮かべる。なにかおかしな事を言っただろうか。
自分の体を見るが、確かに同年代にくらべ丸みは足りてない気はする。
しかも、旅の後で多少は痩せこけてもいるだろう。
「それは悪い、気にしているなら忘れてくれ」
私の視線の動きに気づいたのか、申し訳無さそうに言う。敢えては言うな、言外に示しウサギの肉に齧りつく。
「聞いていいか」
エールを一気に飲み干した彼がいう。顔色一つ変わってない。
「なんだ、追加なら自由にしていいぞ、酒でも肉でもな」
幸い旅費に大分余裕がある。母が言っていた、男を捕まえるにはまず胃袋を捕まえろと。
「そう、その肉だ、これは何の肉だ」
一切れを口に運ぶ。
「ウサギの肉だがそれがどうした」
暫しの沈黙。
「そうか、同じということか」
何か気になるところがあったのか、彼は頷く。彼は給仕の女と幾つか言葉をかわし、給仕の女が笑みを浮かべる。
「口説いているのか?」
「ああ、そういう違いを確認するのもありだな。だが、とりあえずは追加の料理を頼んだ」
要領を得ない回答に首を傾げる。
「何を頼んだ」
「言葉通り自由にさせてもらった、とりあえず食べ物一式だな、ここの食べ物が気になる」
給仕も笑顔になるわけだ、ただの宿屋とはいえ巡礼客が来ることも多い。各地の郷土料理の要望に応えるためこの手の店のメニューは味はともかく数だけはある。
「豚、牛、羊、ワニ、鳥、魚なかなか壮観だな」
「そうだな」
彼は何か物思いにふけながら一切れずつ食べ、そのあとは早かった。
テーブルの上の山積みの料理が流れるように彼の胃へと消えいく。
「酒はいいのか」
呆れつつ尋ねる、食べ物はともかく飲み物に頓着はないようだ、追加で頼んだ水で食べ物を流し込んでいく。
「ああ、どうせ酔えないからな」
強がりかどうかはわからない、私はその光景に胸焼けを覚えチビチビとエールに口をつける。
巡礼の旅の途中、行商からエールを買い求めて以来、この酒という飲み物が気に入っている。体が暖かくなり、心地良い。
母が父と兄に自制を求めるのもよく分かる話だ、寄り道がてら南の名産という葡萄酒を土産にするのも悪く無い。
「酔ってるのか、大分顔が赤いぞ」
彼は手を止め、私の額に手を当てる。ひんやりとした手が心地よい。
「ああ、かもしれんな」
一番の土産はこの男だ、上手くいけば我が国の大きな戦力となるだろう。
難点は、少々化け物じみているところか。思い出し、酔いが少し覚める。
あの傷の治りは尋常ではない、私は知らないが『神の癒やし』の家門のものかもしれない。
あの家門の宗家に同年代の子弟はいないはずだから、庶子か或いはどこかの分家筋から先祖返りをしたのかもしれない。
違和感はあるが、ありえない話ではない。テーブルの上の皿は綺麗に片付き、彼の血色も心なしか良くなっているように見える。
「よく食ったな」
半ば以上は呆れが占める。
「血と肉を大分失ったからな」
なるほど、彼の魔法の・・・おそらくは治癒に関する術の対価はがそれか。
この時の私が、都合よく勘違いしたのを誰か責められるだろうか。
後に私は知ることとなる、彼は『体質的な理由』により、単純に生物的に自己治癒したのだということを。
シロウは肩まで湯船に浸かり、血と汚れを落としていた。
「この宿の利点は、値段の割に個室に風呂があるところだな。まあ、代わりと言っては何だが使いたければ一人でも二人部屋以上に止まる必要があるが」
薄い扉越しに少女の声が聞こえる。地下の源泉からから引いているという温泉が心地よい。血まみれの制服は金を払い、一般的な男の服と引き換えに小間使いに処分を頼んだ。
腹を見る、傷跡は綺麗に消えている。一時はザクロのようになっていた顔も、おそらく傷一つないだろう。
湯を救い、顔を洗う。
「相変わらず巫山戯た体だ」
自らの身体とは言え、気持ち悪い。生まれた時からこの体である以上、仕方ないとはいえため息が出る。
「ここはどこだ」
ウサギ、豚、牛、羊、ワニ、鳥、魚と多くの生き物が存在し、同じ味である事は確認した。
現在使われている知るかぎりの言語のいずれとも異なる言語を使う人々、中世の時代を思わせる鎧を着た騎士。2つの太陽。1つの月。
少なくとも日本ではない、それだけはわかる。
湯船に顔をつけ目を閉じる。手を強く握ってきた少女の顔が浮かぶ。
短い付き合いとはいえ、少女とクラスメイト達は誰かまだ生きているのだろうか。
軽く心臓が止まっただけで死んでしまう、あの生き物たちは。
日々の生活に窮するものは洗礼を受けない場合もあるが、巡礼の月ともなれば、国内だけでなく、隣国である公国からも多くの若者たちがキャラバンを組んで巡礼に訪れる。僅かな蓄えを子供に握らせ、キャラバンに子供を預けるのは一般的な姿である。
十二歳で洗礼を受けることで子供たちは大人とみなされ、社会の一員となる。
巡礼者を狙う野党も少なくはなく、道々では野生の獣も襲ってくる。
家門の宗家の一人娘として、少女は一人で過酷な旅に出た。
伴もつけず、着の身着のままでの旅、野宿をし獣を狩り夜露で喉を潤す。
そして、辿り着いた神殿。
家門の名を告げ、フードを脱ぎ特徴のある青銀の髪を見せる。辺りの巡礼者が騒めきをあげる。
恭しく神官が礼をし、奥から神官長が穏やかな笑みを浮かべ言葉をかけてくる。
「おかえりなさいませ」
家門のものに対して、神官達は特別な意味を込めて同じ言葉を発する。
「我々は、ここを発祥の地としている。」
嘗て、兄の洗礼に立ち会った三年前、父のそう語っていた。
神殿都市の神官長は柔和な女性だった、齢にして40過ぎであろうか。
現神殿騎士団長の洗礼者と聞き及んでいる。私の洗礼を担当するなら、洗礼上の兄妹となり、図らずとも皇国と公国、二つの国の政治的な駆け引きに巻き込まれることになるのだろう。未だ独身と聞く第二皇子と、継承権はあれど次期当主は別に決まっている公爵家の一人娘である私、政治の道具に使われるのは必然とも言える。その思いに至り、口元にうっすらと笑みが浮かぶ。
ふた周りも歳の差があるという事は慮外なのでしょうね、父は。
出発の際に、身なりやお供について大分小言を言ってきたのは、そういうことなのだろう。
「洗礼日は何時を予定されていますか」
「今日は宿に、明日、お願いできると幸いです」
淑女然として答える。作法上の間違いはないはず。神官長は頷く。
「それではまた明日」
神官長が奥に下がっていくのを見送り、正殿をゆっくりと歩いて行く。
正殿の中央、聖遺物、宙に浮く正方体。
ここが聖地であり、私たちの発祥の地と呼ばれる理由。
聖遺物を覗き込む、半透明のそれは天窓から差し込む光で淡い光を湛えている。
明日はこの前で洗礼か。
公都に戻れば、軍に入隊し兵役が勤め終わるまでは軍属となる。公爵家に課せられた、義務の一つ、力を持つものの役目。この旅は私にとって最後の自由でもあった。それも折り返し地点を迎えようとしている。
もっとも、女の場合は子が出来れば免除もある。先の考えに引きずられているのを感じる。場合によっては、私の子供が皇帝か。
それは女の野望としては大きな野望なのかもしれない、豪華な服を着て皇帝の母として君臨する自分の姿を想像し、失笑する。
ないな、私はよくて将軍だ。
聖遺物から踵を返し、正殿を後にする。
宿への道すがら、視線を感じる。珍しい赤毛の女性がこちらを見ている。
あの色は他の家門のものだろうか、フードを脱いだままなのに気付き、被り直す。
「さて、湯浴みの出来る宿があるといいか」
道中殆ど使ってないため、路銀に余裕はあった。
木銭宿でも問題はないが、流石に塵垢に塗れた姿で洗礼は家門の名に泥を塗る。
マルバスは大きくため息をつく、騎士としての鎧ではなく皇子としての礼服を纏い正殿に立つ。
「よりによって今日か」
この日はエミリア神官長から地下神殿と司祭の拝借を依頼された日だった、副団長であるバルド等と共に地下神殿入り口に詰める予定が、この予定外の来客によってそうはいかなくなった。他の洗礼希望者は宿代を肩代わりし明日以降にとお願いしたが、この者についてはそうはいかない。
「お嫁さま候補の前なのですから、しっかりと」
20年間、洗礼の時からどうもこのマーシャ神官長には頭が上がらない。されるがまま、服を整えられる。こういう政治的な意味合いの儀礼の場合、欠席するわけにもいかない。必要性はわかるが、趣味ではなく肩苦しさが勝ってしまう。
白い一般の儀礼服を着た少女が洗礼のために現れる。少年のような体躯、肩の丸みと僅かに膨らんだ胸が女性ということを何とか主張している。
「汝に神の恩寵あらんことを」
洗礼の儀式はそう長い儀式ではない、洗礼者が洗礼の言葉をかけ、被洗礼者が聖水を口にする。
単純な儀式故、式への列席者がそのものの重要性を内外に示すことになる。
多くの有力者はそのため招待状を出し、また多くの供をも伴い儀式へ臨む。
規模で言えば、この洗礼の儀式はかなり小規模だ。
列席者は僅か数名、供もいない。洗礼を受ける少女も小綺麗ではあるが神殿で貸し出される一般的な儀礼服に見を包み、装飾具すら身につけていない。
だが、その面々は流石は十二公爵家の令嬢だろうか。
まずは神殿都市議会議長、武装神官第一席、神殿都市神官長、公国に繋ぎをつけたい有力商人達。そして、最後に神殿騎士団長にであり、第二皇子である自分。
おかげで、ただでさえ少ない人員を神殿内の警備に回す必要がある。
「頂戴いたします」
マーシャ神官長がグラスを少女に手渡す。グラスの中には僅かに赤みがかった水、聖水が注がれている。その資格のあるものには力を与えると言われる水。
私にはその資格はなかったが、この少女は恐らく資格を持っているだろう。家門の始祖の特徴、青銀の髪がそれを表している。
自身の洗礼の時を思い出す、黒髪、黒瞳、色的にあまりに一般的な容姿、一部の者はそれでもと期待していたようだが、私にはその力は宿らなかった。
神の力を得る資格、選ばれし者の力、魔法。
洗礼の儀式は、その呼び水となる。
聖水の如何な力か、資格を持つものは洗礼によって力を行使する権利を得る。
少女が聖水を飲み干す。体が一瞬淡い光に包まれ、共鳴するかのように聖遺物が一際強い光を放つ。身震いする、これは本当に洗礼の影響か嫌な予感がする。
部下が耳打ちをしてくる、私はこの瞬間、正しくこの時『二つの儀式』が成ったと『誤解』した。
地下神殿、僅かの護衛を連れ姫様は祭壇中央で祈りを捧げている。
司祭メイアはその様子を静かに見ている。儀式は始まった。凛とした空気に肌がチリチリする。
『異界の英雄の召喚』伝承に語られる秘術、兄弟弟子のエミリアから姫様の補助をするように頼まれこの場にいる。
エミリアは洗礼の日からは姫様と共に過ごし、傍目には姉妹のようにさえ見える。良きライバルでもあったエミリアはこの少女と知り合い、よく笑うようになった。自分には出来なかったことを羨ましく思うと同時に、温かい思いも抱く。
メイアの知る限り、この秘術には実施のため幾つかの条件がある。
1つ、実施場所、聖遺物の力を正しく行使できる場所、即ちこの地下神殿
1つ、術者、十二公爵家の直系、即ちは姫様
1つ、媒体、術の媒体となる何か、即ちは何らかの対価
他にも条件はあるだろうが、私の知るだけで既に1つが不明。姫様は知っているのだろうか。
或いは失敗前提の儀式なのかもしれない、そもそもが、戦争のための戦力を異世界から招くなど興味はあるが恐れがまさっている。
大きな術には大きな媒体、多くの場合は贄と呼ばれるそれが必要になるのが常である。
漠然とした嫌な予感がする、姫様の祈りの言葉に合わせるように、私を含め12人の司祭が祝詞を唱え始める。
「******」
言葉の意味は知らない、ただ、そうあれと定まった音の羅列。まるで異国の詩のようにさえ思う。
複数の声が共鳴し、空気の濃度が上がった気さえする。
声に合わせ、天井の魔方陣が鈍く輝き出す。
「止めなくていいのか、エミリア嬢ちゃん」
宿で留守番をしている護衛が昨晩エミリアに苦言を呈していた。それに対し、エミリアは何と答えたのだろう。
何か決定的な間違いを犯しつつある、そんな予感がする。
パシャ
何かが弾ける音、護衛の顔が青くなる。響く祝詞、思考に靄がかかっていく。
「すべての物事は対価なしに為すことはできない」
嘗て師事した、先代神官長の言葉がよぎる。あの頃のエミリアは無愛想で可愛げがなかった。
「努力という対価で成果を得るように、魔法や儀式にも必ず対価が必要となります」
魔法の師匠でもあった彼は、必ず訓練の前にそう告げたものだった。私と違いエミリアには才能があった。
私が倍努力しても、追いかけていくのがやっとだった。
「単純な魔法なら精神力、あるいは体力といったもので対価を担うことができるでしょう」
エミリアは皇都の神官長、私はしがない司祭。時折聞こえて来るエミリアの噂話。吾が事のように嬉しく、また妬ましかった。
パシャ、パシャ、パシャ
弾ける音が続く、足が動かない。見えてるもの、起こっていることの認識を本能が拒否する。
「もし、魔法や儀式が大きなものであるならば、然るべき対価を払うことになるでしょう」
そう言って、見せてくれた右腕は付け根から消え去っていた。
パシャ、パシャ、パシャ、パシャ
声が出ない、『異世界の英雄の召喚』それは即ち、『異世界』との扉の構築。
世界をまたぐ事が神ならぬ身に可能であるのだろうか、可能であるのなら如何程の対価が必要となるか。
それ以上の思考ができない、何かに阻まれるように結論にたどり着けない。
パシャ
隣の司祭の体がまた1つ弾ける。大音量で唱えられていた祝詞もいつの間にか静かになっている。
残った司祭の顔には次は自分の番かもしれないというのに、喜色が浮かんでいる。
私の顔もきっと笑みに染まっている。
霞みがかった思考の中、とりとめない思いが浮かんで消える。
もう一度、エミリアとお茶でもしたいな。
それが私の最後だった。
パシャ
彼女の体が弾ける。
エルムは既にその儀式を構成する1つの部品と化していた。遥か遠くにあった主の御技がそこにあった。
十二の司祭の血と肉と魂で紡がれた儀式。弾けた体と魂は、宙に浮き肉色の泡と化している。
聖遺物から流れ出る何かが、魔方陣とエルムの体を経路として儀式によって形作られる。
黒い扉が魔方陣に浮かび上がる。
エルムの赤い瞳から、血色の涙が流れ落ちる。
その口からは細々と、詩が流れ続けている。
一際強い光を魔方陣から放たれ、宙に浮く肉色の泡が扉に吸い込まれていく。
護衛の顔に恐怖が浮かぶ、扉がゆっくりと開いていく。
僅かな隙間、放たれる光。
光が収まったとき、祭壇には対価と同じ数の異界人が現れていた。
洗礼の日、私は拾い物をした。少々嵩張るが間違いなく奇貨ではあろう。
昨晩から止まっている宿に、拾い物・・・彼を伴い戻る。
「一人、追加を頼めるか」
宿の主人に断りを入れる。
「ん、連れ込むのか。元々二人部屋を貸し出してる、値段は据え置きでいいからほどほどにな。周りから寝不足の苦情は受けたくない」
宿のカウンターと酒場を兼ねた一階、周囲の不躾な視線が私と彼に向けられる。下卑た笑みが向けられる。
やはりこの青銀の髪は目立つな、ため息をつく。
「頼まれてくれないか、巡礼服を一式、あとは男物の普段着の替えを2着お願いできないか。あとで持ってきてくれればいい、2階の一番奥だ」
小間使の男に声をかける。宿屋の下人、銀貨を握らすと媚びた笑みを浮かべ去って行く。
「悪いな」
彼が静かに答える、意外に律儀だ。
「いい、何か苦手なものはあるか」
「あの薬より不味くないと助かる」
手頃な席に座り、オススメの料理を頼む。ウサギの丸焼きにエール、サラダが出てくる。
「フードは脱いでいいか」
頷く、問題なのはローブの下の異界の服だ。1口エールを飲む、乾いた喉に苦みが染みる。
彼もエールを飲み顔をしかめる。
「酒か、お前飲める歳なのか」
そう問いつつ、フォークとナイフで器用に丸焼きを切り分けていく。
しっかりとした教育を受けてきているのだろう、その動きに無駄がない、彼に対する評価を改める。
彼はただの戦士ではないのか。
「こう見えても今年12だ、洗礼も終わっている」
一瞬、彼は怪訝な表情を浮かべる。なにかおかしな事を言っただろうか。
自分の体を見るが、確かに同年代にくらべ丸みは足りてない気はする。
しかも、旅の後で多少は痩せこけてもいるだろう。
「それは悪い、気にしているなら忘れてくれ」
私の視線の動きに気づいたのか、申し訳無さそうに言う。敢えては言うな、言外に示しウサギの肉に齧りつく。
「聞いていいか」
エールを一気に飲み干した彼がいう。顔色一つ変わってない。
「なんだ、追加なら自由にしていいぞ、酒でも肉でもな」
幸い旅費に大分余裕がある。母が言っていた、男を捕まえるにはまず胃袋を捕まえろと。
「そう、その肉だ、これは何の肉だ」
一切れを口に運ぶ。
「ウサギの肉だがそれがどうした」
暫しの沈黙。
「そうか、同じということか」
何か気になるところがあったのか、彼は頷く。彼は給仕の女と幾つか言葉をかわし、給仕の女が笑みを浮かべる。
「口説いているのか?」
「ああ、そういう違いを確認するのもありだな。だが、とりあえずは追加の料理を頼んだ」
要領を得ない回答に首を傾げる。
「何を頼んだ」
「言葉通り自由にさせてもらった、とりあえず食べ物一式だな、ここの食べ物が気になる」
給仕も笑顔になるわけだ、ただの宿屋とはいえ巡礼客が来ることも多い。各地の郷土料理の要望に応えるためこの手の店のメニューは味はともかく数だけはある。
「豚、牛、羊、ワニ、鳥、魚なかなか壮観だな」
「そうだな」
彼は何か物思いにふけながら一切れずつ食べ、そのあとは早かった。
テーブルの上の山積みの料理が流れるように彼の胃へと消えいく。
「酒はいいのか」
呆れつつ尋ねる、食べ物はともかく飲み物に頓着はないようだ、追加で頼んだ水で食べ物を流し込んでいく。
「ああ、どうせ酔えないからな」
強がりかどうかはわからない、私はその光景に胸焼けを覚えチビチビとエールに口をつける。
巡礼の旅の途中、行商からエールを買い求めて以来、この酒という飲み物が気に入っている。体が暖かくなり、心地良い。
母が父と兄に自制を求めるのもよく分かる話だ、寄り道がてら南の名産という葡萄酒を土産にするのも悪く無い。
「酔ってるのか、大分顔が赤いぞ」
彼は手を止め、私の額に手を当てる。ひんやりとした手が心地よい。
「ああ、かもしれんな」
一番の土産はこの男だ、上手くいけば我が国の大きな戦力となるだろう。
難点は、少々化け物じみているところか。思い出し、酔いが少し覚める。
あの傷の治りは尋常ではない、私は知らないが『神の癒やし』の家門のものかもしれない。
あの家門の宗家に同年代の子弟はいないはずだから、庶子か或いはどこかの分家筋から先祖返りをしたのかもしれない。
違和感はあるが、ありえない話ではない。テーブルの上の皿は綺麗に片付き、彼の血色も心なしか良くなっているように見える。
「よく食ったな」
半ば以上は呆れが占める。
「血と肉を大分失ったからな」
なるほど、彼の魔法の・・・おそらくは治癒に関する術の対価はがそれか。
この時の私が、都合よく勘違いしたのを誰か責められるだろうか。
後に私は知ることとなる、彼は『体質的な理由』により、単純に生物的に自己治癒したのだということを。
シロウは肩まで湯船に浸かり、血と汚れを落としていた。
「この宿の利点は、値段の割に個室に風呂があるところだな。まあ、代わりと言っては何だが使いたければ一人でも二人部屋以上に止まる必要があるが」
薄い扉越しに少女の声が聞こえる。地下の源泉からから引いているという温泉が心地よい。血まみれの制服は金を払い、一般的な男の服と引き換えに小間使いに処分を頼んだ。
腹を見る、傷跡は綺麗に消えている。一時はザクロのようになっていた顔も、おそらく傷一つないだろう。
湯を救い、顔を洗う。
「相変わらず巫山戯た体だ」
自らの身体とは言え、気持ち悪い。生まれた時からこの体である以上、仕方ないとはいえため息が出る。
「ここはどこだ」
ウサギ、豚、牛、羊、ワニ、鳥、魚と多くの生き物が存在し、同じ味である事は確認した。
現在使われている知るかぎりの言語のいずれとも異なる言語を使う人々、中世の時代を思わせる鎧を着た騎士。2つの太陽。1つの月。
少なくとも日本ではない、それだけはわかる。
湯船に顔をつけ目を閉じる。手を強く握ってきた少女の顔が浮かぶ。
短い付き合いとはいえ、少女とクラスメイト達は誰かまだ生きているのだろうか。
軽く心臓が止まっただけで死んでしまう、あの生き物たちは。
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