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結果根性論
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「メルか。進捗はどうだ?」
「ゾルムディア様、あたし、もう心が折れそうです」
ズームで現れたゾル様に、あたしは正直な気持ちをぶつけた。上司がゾル様でなければ、退職代行サービスでも使ってバックれたいぐらい。
「何があったんだ」
ゾル様が顔をしかめる。銀髪の貴公子。やっぱりこの世界で一番カッコいい。いや、そうじゃなくて。
あたしは素直に何があったかを話した。夜這いの件はさすがにちょっと脚色したけど、あのギガンテスがたった一撃で真っ二つにされたことはゾル様にとってそれなりに深刻さを感じさせるものだったみたい。
「そうか。このまま生かしておけばやはり危険だな」
「はい。……どうしましょう?」
それがダメなのは十分に分かっているけど、あそこまで圧倒的な強さを見せられると、あたしもゾル様に解決策を丸投げせざるをえない。
あたしにはゾル様と結ばれるという大事なお仕事がある。そうしてたくさん愛し合って、たくさんの子供を作って、ラブラブで家族もたくさんいる生活を(以下略)
「とにかく、アルフォンソは高慢で隙だらけだ。それで生きているのはデタラメな力を持っているからにすぎない」
「ええ」
「だから、隙をついてなんとかしろ。君の魅力があればどうにかなるはずだ。もう一度アルフォンソを誘い出し、淫魔の紋を刻んでやれ」
ゾル様との通信が途絶える。時間差で、ふとあることに気が付く。
――ねえ、それって……もしかして根性論じゃない?
そんなこと魔王様には言えないけどさ、もうどうしたらいいのか分からないよ。
ゾル様、もう世界が勇者に支配されたっていいからさ、あたしとどこかへ逃げようよ。
現実逃避で、絶対に口にされることのない本音がテロップのように脳裏を流れていく。
なんか報告というか、ゾル様をカウンセラー代わりに使った上に動揺だけを与えて終わった気がする。最低だ。あたしは最低の部下だ。魔性の女はどこへ行ったの。
でも、それでもあたしには勇者たちを崩壊させる使命がある。きっと何か方法があるはず。……あるはずなんだ。
「ゾルムディア様、あたし、もう心が折れそうです」
ズームで現れたゾル様に、あたしは正直な気持ちをぶつけた。上司がゾル様でなければ、退職代行サービスでも使ってバックれたいぐらい。
「何があったんだ」
ゾル様が顔をしかめる。銀髪の貴公子。やっぱりこの世界で一番カッコいい。いや、そうじゃなくて。
あたしは素直に何があったかを話した。夜這いの件はさすがにちょっと脚色したけど、あのギガンテスがたった一撃で真っ二つにされたことはゾル様にとってそれなりに深刻さを感じさせるものだったみたい。
「そうか。このまま生かしておけばやはり危険だな」
「はい。……どうしましょう?」
それがダメなのは十分に分かっているけど、あそこまで圧倒的な強さを見せられると、あたしもゾル様に解決策を丸投げせざるをえない。
あたしにはゾル様と結ばれるという大事なお仕事がある。そうしてたくさん愛し合って、たくさんの子供を作って、ラブラブで家族もたくさんいる生活を(以下略)
「とにかく、アルフォンソは高慢で隙だらけだ。それで生きているのはデタラメな力を持っているからにすぎない」
「ええ」
「だから、隙をついてなんとかしろ。君の魅力があればどうにかなるはずだ。もう一度アルフォンソを誘い出し、淫魔の紋を刻んでやれ」
ゾル様との通信が途絶える。時間差で、ふとあることに気が付く。
――ねえ、それって……もしかして根性論じゃない?
そんなこと魔王様には言えないけどさ、もうどうしたらいいのか分からないよ。
ゾル様、もう世界が勇者に支配されたっていいからさ、あたしとどこかへ逃げようよ。
現実逃避で、絶対に口にされることのない本音がテロップのように脳裏を流れていく。
なんか報告というか、ゾル様をカウンセラー代わりに使った上に動揺だけを与えて終わった気がする。最低だ。あたしは最低の部下だ。魔性の女はどこへ行ったの。
でも、それでもあたしには勇者たちを崩壊させる使命がある。きっと何か方法があるはず。……あるはずなんだ。
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