人外魔力を有する者の異世界冒険記

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異世界転移

異世界転移

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周りには洋風な建物が並び、通りには人外じんがいの人型生物が歩き回り馬車も走っている。
「いったいここはどこなんだ・・・」

数分前、天上てんじょう りゅうは15歳の夏休みを満喫まんきつしていた。
「やっぱり夏休みは冷えた部屋でこもるにかぎるね~」
「あなたは夏休みも何も、ずっと引き籠ってるじゃない」
扉の向こうから突っ込みを入れてきたのは姉だった。
「働いたら負けって聞いたことない?」
「うっさい!さっさと出てこい!」
俺が出すために優しい言葉づかいをしていたようだが怒りっぽい姉がそう長く続けれる訳がない。
今回は俺の戦略勝ちだ。
「よし!じゃあネトゲの続きをするか」
そもそも俺が引き籠りになったのも理由がある。
俺は別に過去にトラウマがあったり、いじめられているわけでもない。
アニメ化された異世界転生いせかいてんせい異世界転移いせかいてんいものって主人公が引き籠りの事が多かった。
なら!俺も引き籠りになれば異世界へ行けるのでは!
というわけで絶賛引き籠り中。
「は~、のど乾いた」
俺はペットボトルを手に取り、飲み干した。
「あれ?そういえばこんなところに飲み物を置いたっけ?」
すると視界がゆがんできた。
「え?ちょっと待ってすごく困る。まだゲームを全クリしてな・・・・」
言い終わる前に意識は途切れ、気が付くと知らない街にいた。
ってことで今に至るんだけど。
「やっぱりここって異世界だよな」
やっと念願ねんがんの異世界に来ることが出来た!
だけど・・・
「実際に来ることが出来たら結構困るな」
数分前の俺を殴ってやりたい。
「え~と、まず手に入れないといけないのは食糧しょくりょう住居じゅうきょ武器ぶき
武器を手に入れないといけない理由は当然ながら冒険者をするためだ。
そのためにこの世界に来たわけだし、冒険者にならないと異世界転移ものの主人公っぽくない。
でもそのためにはまず金だ。
金がないと、何にもできない。
とりあえず所持品確認しょじひんかくにん
結局ポケットティッシュと一円玉が五枚しかなかった。
とりあえず換金かんきんしに行こう、もしかしたら異世界では高価なものとして使われているかもしれないし。
「あの、換金所かんきんじょまでの道を教えてくれませんか?」
50代と思われる女性に話かけた。
地球なら50代は化粧けしょうで多少若く見えるものなのだが、異世界には化粧がないのかいが見た目ですぐに分かってしまう。
「何を言ってるんだい?換金ならどこでもできるじゃないか」
どこでもできる?
何を言っているんだろうこの人は。
「ああ、もしかして換金魔法の使い方を知らないのかい?しょうがないから教えてあげるよ」
「ありがとうございます!」
異世界に来て初めて魔法が換金っていうのも残念だけどしょうがない。
「換金魔法はスキルポイントも消費しないし初級魔法しょきゅうまほうより使いやすい、だから安心して。絶対に使えるようになるから」
「はい」
「まずは魔力を感じて、皮膚ひふの下らへんにあるから」
え~と、魔力を感じるっと。
うわ、すごい速さで体中をめぐっているのが分かる。
「どう?魔力がゆっくりと動いていることがわかるでしょ」
ゆっくり?
俺の感覚がくるっているだけかな?
まあ、話を合わせておこう。
「はい」
「あとは、自分の所持品から換金したいものを想像そうぞうしながら『換金』ってとなえるだけ。やってみて」
「はい、ありがとうございました。『換金』」
俺はポケットティッシュと一円玉五枚を想像しながらそう唱えた。
刹那、俺の目の前に黒い穴が現れ、どっさりとした袋を落としていった。
俺はその袋を拾い上げ、中身を確認した。
「これって金貨きんかだよな」
さっきの50代の女性は魔法を教えてくれたあと、すぐに去って行ったので価値の確認はできないが、これだけは言える。
俺、間違いなく大金持ちになったな。
辺りを見回すと、もう夕方になっており宿屋を探すため俺は動き始めた。
俺はまた、人に聞くことにした。
「ああ、宿屋ならそこの裏路地をまっすぐ行くと見えるよ」
「ありがとうございます」
俺は後ろを向くと教えてもらった裏路地を進み始めた。
あれから数分後、そろそろ裏路地を半分進んだだろうか。
というか、この裏路地異様いように長い。
なんでこんなに長いんだと思うのもこれで4回目、もう疲れた。
元々もやしっ子だったうえに引き籠ったりをしていたせいなのか体力が無く、自分でも驚いていた。
そんなことを考えていると裏路地がかさなった場所が見えた。
そこにあゆっていくと左から来た人とぶつかった。
ぶつかったと言っても軽く当たった程度だ。
だが、俺にぶつかった相手は倒れていた。
よく見ると14歳くらいの顔だちで成長途上せいちょうとじょうの小さな胸を持った桃色髪の少女が裸で倒れていた。
気を失っているのか、目を閉じ、俺が少女の裸をガン見しても少しも動かない。
少女の髪は長く、腰の近くまで伸びていた。
少女の秘部ひぶはその長い髪により守られていた。
う、あとちょっと。あとちょっとで見えそうなのに!
「はっ!ダメだダメだ!」
俺は理性を取り戻し、いつの間にか大きくなっていた息子をしずめようと頑張った。
「うー!は~」
少女が起き上がってきた。
やばい。
これはどう考えても理不尽りふじんな暴力をくらうパターンだ。
と、とりあえず落ち着いて話し合おう。
「ど、どうも。気が付きましたか?俺は天上 流です。よろしくお願いします」
そんなことを震え声で言った俺に少女は、
「む~、敬語むかつく。普通にしゃべって!」
「ちょっと待とうか。初対面の少女にため口はきつい」
「いいから!」
「わかったよ、それで、何で裸なの?」
「ひどい事してきたおじさんから逃げてきた」
ひどいことって何?と聞くほど俺は残酷ざんこくな性格ではない。
太ももを伝っている白い液体が何かなんて、俺は聞いたりしない。
「とりあえず服を買ってくるから、ここで待ってて」
「うん、待ってる」

「しょうがないのに、人助けをしただけなのに」
「よしよし、泣かなくてもいいんだよ」
助けようとした少女になぐさめてもらうのって恥ずかしい。
どうしてこうなったかというと、俺は服を買いに行った。
すると当然、下着したぎも買わなくてはならなくなったのだが、
「なんだよおまわりさんこいつですって、しかも本当に来たしさ」
結局少女には青と白で構成された清楚せいそな服をあげた。
俺も泣き終わり宿屋の前に立っていた。
扉を開け、前に進む。
「いらっしゃいませー、何泊しますか?」
カウンターには女性が無愛想な顔で立っていた。
「とりあえず5泊、二部屋でおねがいしま」
「一部屋がいい」
俺が言い終わる前に少女が
「え、今なんて?」
「だから、一部屋がいい!」
「分かりました一部屋ですね。ごゆっくりどうぞ」
俺はカウンターの女性がニヤニヤしていることに気が付いた。
俺は年下の少女をおかしたりしないからな。たぶん。
俺たちは二階へ続く階段を上がり、借りた部屋に入った。
俺は椅子、少女はベッドに座り、話し合い始めた。
「えーと、聞くのを忘れてたんだけど、名前はなんて言うの?」
「名前はない、親の顔も知らない。物心ついた頃からずっと、知らないおじさんに体をいじられながら育った」
「ごめん」
今のは間違いなく踏み入ってはいけない領域だった。
つまり、少女は幼いころに売られたかさらわれたかで、親の顔も知らないし、自分の名前も知らないと。
「あ、でもおじさんに呼ばれるときは毎回、肉便k」
「オーケー分かった、もう何も言わなくていいよ。もうそのおじさんの事は忘れろ。そしてこれからお前の名前は天上てんじょう りんだ」
「でも確か、天上ってりゅうの」
「そう苗字みょうじだ。だからお前は俺の妹だ。拒否は許さん」
「・・・嬉しい、新しい名前をくれた上に家族に入れてくれるなんて」
鈴は今にも泣きそうなその顔で、
「お兄ちゃん、大好き!」
笑顔でその言葉を発した。
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