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しおりを挟むポチのスマホに登録されたジェリーの電話番号をタップした。
丁度5コール目のところでジェリーの焦ったような声が聞こえてきた
「もしもしリューコちゃんっ!?
今どこにいるの!?」
ジェリーの様子が明らかにおかしい
「どうしようジェリー…ポチが爆発テロをおこした義獣人の所に行っちゃった……。
相手は複数人集まった義獣人のチームだよ!
ブーストアイテムのコーヒーを飲んでないポチが勝てるわけないよ!」
「ポチさんが!?
わかった…リューコちゃんは安全な所に避難するんだ!
僕もニュースを見たから急いでそっちに向かってる!」
よかった…ジェリーが急いでここに来てくれる
だけどどの位の時間がかかる?
もし車で来たとしても周囲見ればわかるこの混乱ようだ
渋滞してるに決まってる
それに他の交通機関だってストップしてるだろう
仮にジェリーが走ってここまでくるとなってもそれはそれで時間がかかる…
「…私なら何とかなるかもしれない」
でも未成年である私は戦闘許可が降りてない
ポチにも言われている
_____リューコはまだ戦っちゃダメだ、もちろん獣人化もだ
でも…だからといって複数人いる義獣人の対処をポチが一人で出来るわけが無い
だからジェリーが急いでここまで向かっているんだ
私に何が出来る?
戦うこともダメ…獣人化をすればポチが責任を負うことになる
私は…どうすれば
「……なんなのこの匂い?」
ふと私の鼻を掠ったこの匂いはなんだろう
それを辿るように足を動かすとそこにあったのは問屋さん
こんな時代遅れのお店があったのかなんて今は思うべきでは無い
しかしそこにある匂いのきつい液体
他にも使えるものがある
「これも知ってる…
これも、これも!」
何とかなるかもしれない…!
私ならなんとか出来るかもしれない!
「……試してみる価値はある」
私が戦闘せずに、獣人化せずにポチを助ける方法ならある!
ここに来てやっと勉強してきた事が役に立つ
魔法のような義獣人の力なんて使わなくてもここには化学の力があるんだ
やってやる
それでポチが……いや、お母さんの助けになるのなら
被っていた帽子を深く被り直して靴紐を固く結び直した。
腰に巻いていたスカーフに挟むように武器を持つと半壊した雑居ビルに視線を移した。
「今行くからねポチ…!」
強く決意をしながら軽く膝の屈伸をして勢いよく走り出すと自慢の脚力を使って軽々とビルに登っていった。
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