学校迷宮と若返りドーナツ

クリヤ

文字の大きさ
22 / 31

(22)図工室の試練だって、クリアだ!

しおりを挟む
 ボクの持ってた赤色絵の具を使ってね。
 ボクらは、最後の仕上げをした。
 『赤色』の指定の場所に、しっかり絵の具をぬって。

 「いやぁ、10枚ってのは案外、大変だったなぁ!」
 「うん。でも、楽しかった!」
 「そうだな。ますます、絵を描きたくなった」
 「ここから帰ったら、絶対、一緒に描こうね」
 「約束だな」
 「うん」
 「それにしても、こんなの作らせてどうするつもりかなぁ?」
 「さぁ? 適当なんじゃない?」
 「そっかぁ?」
 「だって、今までの試練、全然関係ないみたいだもん」

 アルコールランプに『うらしまたろう』。
 フルーツポンチにゾンビの板。
 ボクには、関係が分からなくてさ。
 【迷宮】の気まぐれにしか、思えないよ。


 パンパカパーン! パンパンパン! パンパカパーン!

 またあの大きな音。
 バッとボクが振り返ると、やっぱり黒板に文字が浮かぶ。


 ☆ミッションクリア☆

 図工室の試練をクリアしました。
 次の試練に進むことができます。

 ⬅︎出口は、あちら


 ボクらは、今回も無事に試練をクリアできたみたい。
 もうそろそろ、終わってもいいんじゃないかなぁ?
 じーちゃんとの迷宮攻略は、結構楽しいんだけどさ。
 ボクは、やっぱり帰りたくなってきたよ。
 帰ったら、じーちゃんとやりたいことがたくさんできたからね!

 廊下を進むじーちゃんは、また肩を押さえてる。
 「イテテテッ」ってたまに言う。
 さっきの試練をがんばって、肩が悪くなっちゃったのかなぁ?

 「じーちゃん、肩が痛い?」
 「うん。まぁ、こういうのは、すぐに治るもんでもないしな」
 「ボクさ、ここを出たら肩もんであげるよ!」
 「ありがとな」
 「そういえばさ、今年の夏休みってじーちゃんは忙しいの?」
 「いつもと一緒だと思うけど、なんでだ?」
 「う~ん、考えてみたんだけど。
  ボク、いっつも夏休みになったらじーちゃんちに行くでしょ?」
 「そうだな」
 「ママもパパもお仕事だからさ。じーちゃんちは楽しいし」
 「そっか。そりゃ、嬉しいなぁ」
 「だけどね、今年は行かないってママが」
 「どうして?」
 「聞いても教えてくれなかった」
 「んん? それは変だな。……イテテテッ!」
 「じーちゃん、また肩?」
 「いや……、頭が急に痛くなって……」
 「え? 大丈夫?」
 「あ、ああ。もう治まった」

 じーちゃんの調子があんまり良くないみたい。
 ちょっと、【迷宮】!
 早くこっから出してよ!
 じーちゃんが心配だよ!


 少し元気じゃないじーちゃんとボクは、それでも長い長い廊下を歩いた。
 やっとたどり着いた先にあったのは、なんとプール!

 「あれ? 今度は、教室じゃないのか?」
 「ね! プールなんかで、なにするんだろ?」
 「泳ぐ、とかだったら、マズいなぁ」
 「じーちゃん、泳げないの?」
 「いや、泳げたはずだけど、今は肩がなぁ……」
 「そっか。ボクはね、平泳ぎもできるようになったんだよ!」
 「おお! すごいじゃないか!」
 「うん! だからさ、安心してよ。泳ぐならボクにまかせて!」
 「ははっ。すっかり頼もしくなったもんだ」

 そう言って、じーちゃんはボクの頭をポンポンとなでてくれた。
 じーちゃんにほめられると、ボクは勇気が出る。

 「じーちゃん、こっち!」
 「うん、行こう!」

 扉をバーンッと開け放つ。
 まぶしい太陽、ムシムシする空気。
 塩素の匂い。
 あっつくなったプールサイド。
 たっぷりの水が入った水色のプール。

 午後に泳いでたプールのはずなのに。
 人がだれもいないってだけで、少し違って見える。
 光が反射する水を見ていると、吸い込まれそうでさ。
 ちょっとだけ怖くなる。

 「おお~! プールなんて懐かしいなぁ!」

 じーちゃんは、少し嬉しそう。
 【迷宮】は、ボクたちにプールでなにをさせるんだろ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

野良犬ぽちの冒険

KAORUwithAI
児童書・童話
――ぼくの名前、まだおぼえてる? ぽちは、むかし だれかに かわいがられていた犬。 だけど、ひっこしの日に うっかり わすれられてしまって、 気がついたら、ひとりぼっちの「のらいぬ」に なっていた。 やさしい人もいれば、こわい人もいる。 あめの日も、さむい夜も、ぽちは がんばって生きていく。 それでも、ぽちは 思っている。 ──また だれかが「ぽち」ってよんでくれる日が、くるんじゃないかって。 すこし さみしくて、すこし あたたかい、 のらいぬ・ぽちの ぼうけんが はじまります。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

アリアさんの幽閉教室

柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。 「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」 招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。 招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。 『恋の以心伝心ゲーム』 私たちならこんなの楽勝! 夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。 アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。 心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……?? 『呪いの人形』 この人形、何度捨てても戻ってくる 体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。 人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。 陽菜にずっと付き纏う理由とは――。 『恐怖の鬼ごっこ』 アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。 突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。 仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――? 『招かれざる人』 新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。 アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。 強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。 しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。 ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。 最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

処理中です...