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ルートF(フェアリー)
十三話 死闘、チヘ・ド・ハーク!
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「フレイムスフィア!」
ボクはレアルを放すと両手からフレイムスフィアを出し、犬の化け物に押し込む。
「グゴゴゴォォォ!!」
犬の化け物は既に飛び出している目を更に飛び出し充血させて苦しそうに叫ぶ。
犬の化け物の体は赤く染まり、体毛はメラメラと燃え始めた。
「グガハッ!!」
犬の化け物は口から大量の血飛沫を上げた。
異常な光景。
ボクの攻撃によってそうなったわけじゃない。
この犬の化け物はボクの攻撃への対抗策として血を使っていた。
血の噴水によってフレイムスフィアが齎した火だるま状態は鎮火された。
「知性があるのか反射的なものか……どっちにしろ厄介なワンちゃんだ! でも、血は無限ってわけじゃないよね!?」
ボクは再びフレイムスフィアを作り、今度はブラスターを発動させ、両手で「フレイムブラスター」を犬の化け物目掛けて発射する。
火炙りにされた犬の化け物は再び血の噴水での鎮火を試みた。
「体から力が抜けていく……でも、ここで止めるわけにはいかないんだ!! ボクが守るんだあああああああっ!!」
ボクはフレイムブラスターを噴射し続けたまま踏ん張る。
ボクは目の前の敵の体力を削る事に成功している。
敵は干からびかけている。
でもボクの体の中で何かがブチブチと千切れてゆく。
それと同時にボクの体は急速に熱を失っていった。
両手が悲鳴をあげている。
誰かに両手を切り落として欲しいほどの痛みがボクを襲う。
気持ち悪い。
今すぐに体に手を突っ込んで自分の中にあるモノ全てを引きずり出してしまいたいほどの吐き気。
逃げ出したい。
投げ出したい。
楽になりたい……!
その時ふと脳裏にミルクウィードさんの言葉が浮かび上がった。
──「帰りたいと願えばいつでも帰ることができます」
本当に元の世界に帰れる?
この辛い今から逃げ出す事が出来る?
何もかも投げ出して、あの幸せな生活に……?
ダメだッ!!
ボクは逃げない、投げ出さない。
ボクはレアルを守る。
幸せの妖精として、負けるわけにはいかない。
みんなに笑顔でいて欲しい。
レアルにも、受付のおじさんにも、街で優しくしてくれた人たちにも、アオノにも。
暗い顔も、悲しい顔も、君たちには似合わない。
君たちに似合うのは幸せな笑顔だ。
ボクにもっと見せてよ。
その幸せが、ボクの生きる意味だッ!!
両手なんかくれてやる。
ありったけの魔力を搾り出せ。
無くなっても根性を魔力に変えろ。
足りない分は他のいらないもので補え。
今までの甘え切ったボク、必要なし!
これから先の情けないボク、必要なし!
痛みや苦しみに怖気付くボク、必要なし!
「全部出し切れえええええええええええええええええぇぇーーーーーーっ!!!」
ボクの目は黒から白へと変わる。
一際大きなフレイムブラスターが犬の化け物を包み、一瞬にして灰へと変えた。
灰は赤い光を帯びて宙を舞う。
なんて幻想的な風景なのだろうか。
でもボクにはもう殆ど見えない。
視界は色褪せモノクロになった。
そして徐々に輪郭すらも曖昧になり、ボクの目はついに何も映さなくなった。
ボクの手は作るのに失敗したクッキーのようにボロボロと崩れ落ちる。
いっそ気持ちがいい。
その崩壊は身体中に広がり、頭と胴の繋がる部分が失われ、ボクの頭は地面に落ち、砂と化した。
「うさぎさん……ぼくを守るために……死んで──」
「ませんよ」
レアルの言葉の続きを奪ったのはミルクウィードさんだった。
「幸せの妖精サラに祝福あれ!」
ミルクウィードさんの掛け声に合わせ、ボクの残骸が集まり、形を成す。
ボクは元のかわいいうさぎのぬいぐるみの姿に戻った。
「これは……!」
「だから死ぬ事はないんですよ。死ぬほど苦しくても死にはしません」
「うさぎさん……! よかった!」
レアルは再びボクに抱きついてきた。
「あらあらあらあらチヘ・ド・ハークを倒しちまったわねえ。あらあらあらあらマティココックですら逃げるしか無かったこの魔獣を。あらあらあらあら幸せの妖精ってのは伊達じゃないみたいだね。あらあらあらあらこれは魔王様に報告しなきゃねえ。あらあらあらあら」
地上でのボクの戦闘の様子は上空五百メートルから桃色の飛竜──ワイバーンの背中に乗る何者かによって見られていた。
その何者かはボクの戦闘が終わったのを確認するとワイバーンの背中にナイフを刺し、帰還よ、と命令する。
ワイバーンはその命令通り翼を羽ばたかせ空気を泳いでその場を後にした。
ボクはレアルを放すと両手からフレイムスフィアを出し、犬の化け物に押し込む。
「グゴゴゴォォォ!!」
犬の化け物は既に飛び出している目を更に飛び出し充血させて苦しそうに叫ぶ。
犬の化け物の体は赤く染まり、体毛はメラメラと燃え始めた。
「グガハッ!!」
犬の化け物は口から大量の血飛沫を上げた。
異常な光景。
ボクの攻撃によってそうなったわけじゃない。
この犬の化け物はボクの攻撃への対抗策として血を使っていた。
血の噴水によってフレイムスフィアが齎した火だるま状態は鎮火された。
「知性があるのか反射的なものか……どっちにしろ厄介なワンちゃんだ! でも、血は無限ってわけじゃないよね!?」
ボクは再びフレイムスフィアを作り、今度はブラスターを発動させ、両手で「フレイムブラスター」を犬の化け物目掛けて発射する。
火炙りにされた犬の化け物は再び血の噴水での鎮火を試みた。
「体から力が抜けていく……でも、ここで止めるわけにはいかないんだ!! ボクが守るんだあああああああっ!!」
ボクはフレイムブラスターを噴射し続けたまま踏ん張る。
ボクは目の前の敵の体力を削る事に成功している。
敵は干からびかけている。
でもボクの体の中で何かがブチブチと千切れてゆく。
それと同時にボクの体は急速に熱を失っていった。
両手が悲鳴をあげている。
誰かに両手を切り落として欲しいほどの痛みがボクを襲う。
気持ち悪い。
今すぐに体に手を突っ込んで自分の中にあるモノ全てを引きずり出してしまいたいほどの吐き気。
逃げ出したい。
投げ出したい。
楽になりたい……!
その時ふと脳裏にミルクウィードさんの言葉が浮かび上がった。
──「帰りたいと願えばいつでも帰ることができます」
本当に元の世界に帰れる?
この辛い今から逃げ出す事が出来る?
何もかも投げ出して、あの幸せな生活に……?
ダメだッ!!
ボクは逃げない、投げ出さない。
ボクはレアルを守る。
幸せの妖精として、負けるわけにはいかない。
みんなに笑顔でいて欲しい。
レアルにも、受付のおじさんにも、街で優しくしてくれた人たちにも、アオノにも。
暗い顔も、悲しい顔も、君たちには似合わない。
君たちに似合うのは幸せな笑顔だ。
ボクにもっと見せてよ。
その幸せが、ボクの生きる意味だッ!!
両手なんかくれてやる。
ありったけの魔力を搾り出せ。
無くなっても根性を魔力に変えろ。
足りない分は他のいらないもので補え。
今までの甘え切ったボク、必要なし!
これから先の情けないボク、必要なし!
痛みや苦しみに怖気付くボク、必要なし!
「全部出し切れえええええええええええええええええぇぇーーーーーーっ!!!」
ボクの目は黒から白へと変わる。
一際大きなフレイムブラスターが犬の化け物を包み、一瞬にして灰へと変えた。
灰は赤い光を帯びて宙を舞う。
なんて幻想的な風景なのだろうか。
でもボクにはもう殆ど見えない。
視界は色褪せモノクロになった。
そして徐々に輪郭すらも曖昧になり、ボクの目はついに何も映さなくなった。
ボクの手は作るのに失敗したクッキーのようにボロボロと崩れ落ちる。
いっそ気持ちがいい。
その崩壊は身体中に広がり、頭と胴の繋がる部分が失われ、ボクの頭は地面に落ち、砂と化した。
「うさぎさん……ぼくを守るために……死んで──」
「ませんよ」
レアルの言葉の続きを奪ったのはミルクウィードさんだった。
「幸せの妖精サラに祝福あれ!」
ミルクウィードさんの掛け声に合わせ、ボクの残骸が集まり、形を成す。
ボクは元のかわいいうさぎのぬいぐるみの姿に戻った。
「これは……!」
「だから死ぬ事はないんですよ。死ぬほど苦しくても死にはしません」
「うさぎさん……! よかった!」
レアルは再びボクに抱きついてきた。
「あらあらあらあらチヘ・ド・ハークを倒しちまったわねえ。あらあらあらあらマティココックですら逃げるしか無かったこの魔獣を。あらあらあらあら幸せの妖精ってのは伊達じゃないみたいだね。あらあらあらあらこれは魔王様に報告しなきゃねえ。あらあらあらあら」
地上でのボクの戦闘の様子は上空五百メートルから桃色の飛竜──ワイバーンの背中に乗る何者かによって見られていた。
その何者かはボクの戦闘が終わったのを確認するとワイバーンの背中にナイフを刺し、帰還よ、と命令する。
ワイバーンはその命令通り翼を羽ばたかせ空気を泳いでその場を後にした。
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