復讐のナイトメア

はれのいち

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第二 天敵 風間一心

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それは小春が、この世で一番苦手な蟻が部

屋中に入ってきた悪夢だそうだ。

『もう今日はおっんだよ……』と彼女は、

ため息まじりで囁き、一心におん

ぶをせがむのであった。

そんな元気な小春が、次の日から学校に来なく

なった……。

「一心君ごめんね。小春は体調が悪くて学校を

休ませるの」

「そうですか……お大事に」

その小春の母も寝不足の感じであった。

ーー今日も小春は休みか……これで三日目じゃ。
 
一心は頭をポリポリかきながら、ゆっくりと歩き出した。

何故か一心は、幼い頃から不安を感じた時、頭

をかく癖があるようだ。

「風間君、おはよう。良かったら一緒に登

校しませんか? 」

少し聞き覚えのある女の声が一心の背中の方か

ら聞こえてきた。

そのまま聞こえないふりをして行こうと 

したが、あまりにも、しつこく名を呼ぶので一心はチラッと後ろを見た。

『やはりお前だったのか……』

最近あまり話しかけられないので諦めたと

思っていたのだが……。

一心は相手にするのが、とても面倒くさいの

で、時間に余裕がなく急いでいる感じを最大に

アピールした表情で振り向きざまに言う。


「申し訳ないが、今は少し急いでいるので……」

その女は背筋をピンとし腰から傾け、まる

で一流ホテルで働くホテリエ風なお辞儀

をし、更に口を大きく開け、舞台俳優の様な口

調で女は答えるのであった。

「何度か、お会いしたかと思いますが、風音君

の隣のクラスの松木秀子と申します。

宜しければ、お話をしながら一緒に学校まで行

きませんか?」

一心は即答した。

「悪いが……遠慮する」と簡単に誘いを断った。

何故なら以前から、彼女に度々声を掛けられる

が、小春に対して、たまに見せる悪魔の様な冷

酷な表情が苦手で、何故か一心は拒絶反応をお

こすのであった。
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