アストロノミー~星火燎原~

リオン・アルバーン

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0等星・入学式とオリンピア参加権

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桜が入学を祝福するかのように花弁を散らす。

‘星河一天学園’

能力があれば誰でも入れる、学校に行けず成人した人でも通うことができる。
この学園の1番面倒なことは血の気が多い者ばかり集まることでも有名。

「面倒な事がなければいいな」

教室に向かう少女はそう呟いた。

_______

俺っちは烏野 羽白からすの しゅう、今日は高校の入学式で教室に向かっている。
クラスメイトはどんな奴が居るんだろうな~、楽しみ過ぎるぜ!

「確か俺っちは1-αアルファ、おっ、ここだ」

教室の前で深呼吸をして、いつものテンションでドアを開ける。

「おっはよう!俺っちは烏野羽白、皆仲良くして...くれ...」

周りを見ると机と椅子が3つずつ横に並べられて、教室が寂しく感じた。
教室を間違えたのかと思い、廊下の教室の表札を確認するも1-αとなっていた。

「おいおい、3人だけってどんな理由があるんだよ」

教室に戻り、考えているとドアが勢い良く開けられる。
後ろを振り返ろうとした次の瞬間、大声で挨拶される。

「おはよう!俺は五角 英理空ごかく えりくだ!」

「英理空!?」

大声で叫んだ男、五角英理空はこの学園の中学部に通っていた友人だ。
英理空も驚いた顔をしていたが、すぐに嬉しそうに俺っちの手を握り上下に振る。

「羽白!お前も同じクラスだったのか!」

「そうだ、ところでこの教室に変なとこあるよな」

英理空は止まり教室を見渡す、そして大きい声で机と椅子が3つしかない!と言った。
こいつと一緒なのはともかく、1番嫌な事が頭を過る。

「俺っち、野郎だけでこのクラスになれって言われたらお断りだ!」

「もう1人は一体誰だろうな!」

ドアを開けて入って来たのはスーツ姿の男、俺っちはがっかりして膝を着く。
この教室に華がないのかと悲しくなっていると、スーツの男に心配された。

「大丈夫?私はこのクラスの担任・ホメロス」

「担任なのか...」

「ああ、初めて自分のクラスを持てるなんて嬉しいな」

顔を上げれば、ホメロス先生はニコニコと笑っていた。
この人が担任だってことはともかく、女子がここに来る期待はないかもしれねぇと呟く。
英理空は誰が来るんだろうと子供のようにわくわくしていた。すると、さっきよりドアが静かに開く。

「!羽白、英理空」

水色の髪を揺らし、俺っちたちを見るなり駆け寄る女子。

「「オリオン!?」」

同じ学園の中学部に通っていた親友、女だからと言って侮っちゃならねぇ、俺っちと戦って能力を使わずに倒した。
それ以降、英理空とも知り合い、俺っち3人組が誕生した。

「お前等もαだったんだな、それにしても」

この教室は3人だけなんだなと言うと、英理空が嬉しそうに手を握る。

「やっぱりオリオンも一緒だったか!俺は嬉しいぞ!」

「私もだ、お前等が居て安心した」

俺っちたちは中学の時に能力使って、喧嘩を売ってきた高校生たちを病院送りにしたことを思い出す。

「ひょっとしてこのクラス、去年問題を起こした奴等だけの教室か?」

「そうじゃないよ」

「はい!それじゃあ何ですか!」

俺っちが聞くと違うらしい。
英理空はなんで楽しそうに聞けるんだよと心の中で思いながら、ホメロス先生の返答を待った。

「実は私も知らないんだ!」

俺っちは知らねぇのかよ!!とツッコみ、英理空はそうなんですね!と笑っていた、オリオンは初めてクラスを受け持つ人が知ってるわけないだろと冷静に言う。
言われてみればそうか、ましてや問題児(仮)かもしれないおれっちたちを相手することになる。

「ホメロス先生は俺っちたちのこと知らねぇのか?」

「ん?ああ、噂で高校生を病院送りにした中学生が居たって...えぇっ!」

君だったのと驚くホメロス先生に悪戯を仕掛けてやろうと考え、合ってるけど俺っち1人じゃねぇしと言えば。
まさか君もと言い英理空を見る、そうです!あともう1人居ます!と答えた。

「それじゃあ...君も...」

無言で立っていたオリオンが溜息をついて答えた。

「元々私が売られた喧嘩を買って、それを見た2人が助けに入ってくれた」

ただそれだけと言う、これで確実に俺っちたちを怖がるだろうと笑みを浮かべていた。
ホメロス先生は何故か嬉しそうな顔をして俺っちを見る。

「私は君たちに逢いたかったんだよ!」

まさか初めてクラスを受け持つ生徒が、私の逢いたかった子たちだなんてと笑って言う。
思っていたことの斜め上をいく反応ありがとう、俺っちはそれを聞いて逆に引いた。
英理空に関しては、俺もです!と隣で熱く返す。オリオンはそうですかと一言。

「しかし、なんで学園長は君たちだけにしたのだろう」

マジかよ、あの学園長ゼウスが俺っちたちだけのクラスにしたのは、何か裏があるなと察する。
横でオリオンは嫌そうな顔をしていた。こいつの父親は海神・ポセイドンで、ゼウスは叔父さんらしい。

「とりあえず、闘技場に行こうか!」

そろそろ入学式が始まると言いホメロス先生が教室のドアを開けて出ようとした、何故か転ぶ。
全員その場で立ち尽くしていると、体を起こしてこけちゃったと笑って言う。オリオンは手を前に出す。

「あっ、ごめんね」

手を引いて立ち上がるホメロス先生、オリオンが怪我は?と聞くと平気だよと返す。
それじゃあ気を取り直して行こうといい闘技場に向かった。

_______

ホメロス先生が持っていたパスを使い、中に入る。
少し歩くと闘技場内に着いた。

「結構広いな、ここで入学式をするのか」

「凄いな!」

「…」

オリオンは別のクラスを見ると、何かに気付いたらしい。
俺っちがどうした?と聞く、他の生徒を見て違和感はないかと言われた。
確かに他の奴は制服じゃなくて体操着だった。

「おいおい、俺っちたちだけ制服だぜ」

「ホメロス先生、学園長から何か言われてませんか」

「?いや、特に言われていないけど」

私はあっちに居るから、また後でねと言い行ってしまった。
すると、雲の上に乗っている全知全能の神・ゼウスが現れる。
さっきまで喋っていた生徒全員、一瞬で静かになった。
咳払いをしてマイクを持つ、誰もが緊張していると第一声が...

「おっはよー新入生諸君!我はゼウス、この学園の学園長をしているぞ!」

俺っちたち以外は全員ポカンとしていた、そりゃそうだ、あの全知全能の神がこんなおちゃらけな神だからな。
オリオンはまたやってると、横で溜息をついていた。

「今回も沢山の生徒が入って来たね~、我も嬉しいよ!」

「学園長、お話は手短に」

ゼウスの横に立って言う男にいわれ、残念そうにわかった~と返す。
どんだけ話すつもりだったんだよ。

「それじゃあ、そんな新入生諸君にゲームをしてもらおう!」

「ゲーム?」

「ただのゲームとは違うぞ、今回企画しているオリンピアの参加資格を獲得できる!」

その言葉を聞いて新入生はざわついた、まさかあのオリンピアに出れる。

分からない奴に説明しよう、オリンピアとはゼウスの思いつきで始まった大会。
4年に1度と開催されるはずだったが、最近になっては稀にしかやらない。
理由は簡単だ、死者が出たとも噂されているからだ。

「しかし、出れるのは代表して9人だけだ。それじゃあゲーム説明をしよう!」

ルールは簡単、我の妻・ヘラが喜ぶ花を探してくれと言いだした。
その言葉に全員驚きが隠せなかった、自分の奥さんに贈る花を探せだなんてな...

「制限時間は45分、それじゃあ...スタート!」

周りの奴等は闘技場を出て行く。俺っちたちも行こうと能力を使おうとしたら、オリオンに止められる。

「なんでだよ、急がねぇと先越されちまうぞ」

「私たち・・に話すことがあるのではないですか、学園長」

オリオンが振り返ると、雲の上からいつの間にか降りているゼウスが立っていた。
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