アストロノミー~星火燎原~

リオン・アルバーン

文字の大きさ
14 / 32

13等星・別れと迷路

しおりを挟む
翌朝、オリオンはすぐに羽白を起こして診察する。
出血はなく、翼が動かせるかが問題だった。

「羽白、動かせるか?」

「やってみる」

翼を動かせば、痛みはなく、飛ぶのも問題なかった。
大丈夫だと言えば、オリオンは安心した。

「無理はするな、痛みがあったら私に言え」

「大丈夫だっつうの、それより俺っちよりお前が心配だ」

「心配?」

「…昨日、寝てないだろ」

すっげぇ眠そうな顔してると言えば、そうか?普通だったがと言うオリオン。
後ろで英理空が木にぶつかり、額を擦っていた。

「いってーっ!」

「英理空の方が寝てないぞ」

「見たらわかる、あんなことしたらな」

「烏、怪我は平気か?」

「悪魔王子!」

俺っちは平気だぜ、心配してくれてありがとなと言えばギリアムは溜息をついた。
なんか俺っち言ったか?と考える羽白。

「俺はギリアム、覚えろ烏」

「俺っちは烏野羽白だ!」

「俺は五角英理空だ!」

お前は言われてねぇだろ!と羽白にツッコまれる。
ギリアムは飯にするかと言い、その場を去る。
果物を持って来たオリオン、それを見て驚く英理空。

「オリオン、それは…」

「安心しろ、魔木からできた実じゃない」

「魔木ってなんだ?」

それはまた後で説明してやる、食べろと言いわれて果物を渡される。
オリオンは果物を口にした、羽白たちも食べ始めた。

果物を食べ終えて、ギリアムたちの所に行く。
ギリアムたちは行く支度をしていた。

「オリオン、行けるか?」

「ああ、いつでも」

それじゃあ、行くぞと言いギリアムたちと一緒に次の難関に向かった。

_______

歩き続けていると、森を抜けると壁が目の前に現れた。

「なんだこれ」

「これが次の難関だ」

オリオンが空を見上げる、雲の形が変わり第3の難関と描かれた。
壁が動き道が現れる、ギリアムがオリオンの横に立った。

「どうやらここまでのようだな」

「そうらしい」

オリオンの手を取り、ギリアムが真剣な表情で言った。

「オリオン、全ての難関を乗り越えてまた会おう」

ギリアムが手の甲にキスをする、その行動に驚くオリオンたち。
悪魔約2名が叫んだが、気にせずに先に行くぞ!と言い進むギリアム。
次はないから覚えとけ!といいギリアムを追いかけた悪魔約2名。
ギリアムたちが行った後、壁が動いて道が無くなった。

「相変わらずだな」

「オリオン、頼むから少し危機感を持ってくれ」

あれぐらい普通だ、私たちも先に進むぞと言うオリオン。
先に進むといっても壁があっていけないだろと言えば、安心しろ、すぐに出るという。
その言葉に困惑していると、壁が動き出して、再び道が現れた。

「どうしてわかったんだ!」

「一チームがこの道に入る度に、道が変わる仕組みなのだろう」

「成程、それにしてもよくわかったな」

「何故か見覚えがあるんだ」

何だったかは思い出せないが…と言い、歩き始めるオリオン。
羽白たちはオリオンの後ろをついて行くと、壁が動いて戻れない状態になった。

「おい、大丈夫なのか」

「平気だ、ここをクリアすれば次の難関に辿り着ける」

「よーしっ!頑張るぞ!」

英理空が両腕を上げた時、赤い光に照らされた。
すると、警告音が響き渡り、地面が揺れる。

「なんだっ、この音!」

「分かることは嫌な予感しかしないと言うことだけ」

「俺、何かしたか?」

ザァーッと水の音がし始め、徐々に近くなってきた。
後ろから涼しい感じの風が来たと同時に、激流のような水が押し寄せてきた。

「みみみっ、水っ!?」

「逃げろーっっ!?」

羽白、飛べ!と言われオリオンに掴まれ投げられる。
すぐに翼を広げて英理空たちを助けようとしたが、激流に飲まれてしまった。

「オリオンっ、英理空っ!」

ヤバいっ、オリオンは泳げるとしてもこの激流では無理だ。
問題は英理空だ、彼奴、泳げないんだ。
どうする、このままだと俺っちだけになってしまうと考えていると…

「ぷはっ、しっかりしろ英理空」

「げほっげほっ、済まない…オリオン」

オリオンが水の中から顔を出し、英理空の腕を肩に掛けて水面に立ち上がる。
羽白が慌ててオリオンたちに近寄る。

「大丈夫か!?」

「ああ、しかし英理空が」

「俺は大丈夫だ…」

何処かに休める所はないか?と言われ、羽白は羽ばたいて上空を見下ろす。
しかし、どこも水没して、他のチームもあちこちで対策していた。

「駄目だ、全部水没してる。他の奴等も流されてたりしてる」

「そうか…羽白、英理空を抱えてくれ」

ああ、任せろと言い英理空を鉤爪で掴む。
オリオンは水の流れを見ていた、そして今更だが…

「オリオン、お前…なんで立てるんだ?」

「…あの人の能力だ」

まさかこの能力がここで役に立つとはな…と溜息をつく。
バシャバシャと流されてきた人、オリオンはすぐに助けた。

「ぷはっ、けほっけほっ」

「…」

助けた男を見るなり、激流に戻そうとするオリオン。
それに慌てて待って!と言う茶褐色の肌をした緑髪の男。

「私を忘れてしまったのかい?」

「何故お前が流されているんだ…オシリス」

セべクはどうしたと聞くと、それが道を間違えてしまってと言うオシリス。
でも…と言い、オリオンを見つめていった。

「こうやってオリオンと会えたのはやっぱり…」

ザバァンッ

何かを言いかけていたオシリスを激流に放り投げた。
それを見て羽白は開いた口が塞がらなかった。

「オリオンっ!?」

「安心しろ、彼奴は自力で何とかする」

「いやいやいや、知り合いを助けたと思ったら放り投げたんだぞ!」

それに安心しろってどういうことだよとツッコんでいると、水流が軽やかになった。
水中に植物の根が伸びて、それに驚いていると真上に影ができる。
見上げるとそこには巨大な木が中央にできていた。

第3の難関・激流迷路
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

クロワッサン物語

コダーマ
歴史・時代
 1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。  第二次ウィーン包囲である。  戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。  彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。  敵の数は三十万。  戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。  ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。  内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。  彼らをウィーンの切り札とするのだ。  戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。  そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。  オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。  そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。  もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。  戦闘、策略、裏切り、絶望──。  シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。  第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...