恋に落ちて

むぎむぎ

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意外性

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準備室から帰ってきた由紀は黙って自分の席に付いた

田代の前ではあんな余裕ぶっていたが、実際にはそんな余裕などなく、寧ろ緊張していた

髪の毛を結ばず、垂らしていたから耳は見えなかったし、自分で赤くなっていることはわかっていたからそれがバレず良かったと安堵した



『今日も…    かっこよかった…』




「あのさ」



と、誰かが話しかけて来た

声のする方に顔を向けると、同じクラスの山田が立っていた



「…はい?」

「はい?じゃないし    さっさと掃除せろよ」

「        あ、そうか」



由紀は掃除時間だったのをすっかり忘れていた

今日の掃除場所は教室だったのを思い出した



「ごめんね    今机下げるから」



慌てて立ち上がったはいいが、由紀は元々貧血持ちだったせいか 目眩を起こしてよろけてしまう



「あっ…」

「!?     おぃっ!」



ガシリと腕を掴まれ、なんとか転けずに済んだ



「ありがと…」

「いいからさっさと立ってくんねぇかな」

「ごっ…ごめんっ!」




結構乱暴な言い方だけど この人以外といい人なんだなぁ と思った





『私がちゃんと立つまで支えてくれるとか…』



「…何?」


ボソッ…   「以外と優しんだ…」




と、いつの間にか口に出して鬼のような形相で睨まれた事を一生忘れないだろう







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