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徳川家康編:REVELATION
第11話 真相
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地獄の作戦本部。
地図を指差す鬼の将校「人間どもは広範囲に進撃中です・・・
特に東部戦線は、入間基地を信長四天王が死守。
日出時間が近づいたため、全軍撤退を開始しました。
上杉謙信は関東山地を突破・・・地獄に接近中とのこと。」
信玄「・・・源平師団が迎え撃てば大丈夫だ・・・」
気まずそうに目くばせをする鬼たち。
鬼「総統・・・両副官は・・・雪崩に巻き込まれ・・・もはや攻撃能力は・・・」
体を震わせて老眼鏡を取る信玄。
信玄「4名だけ残れ・・・閻魔、あしゅら、餓鬼、赤鬼・・・」
その他の鬼は退室していく。
静寂。
激高する信玄「命令しただろ!撤退は許さんと!吾輩の命令に背くとはけしからん!
その結果がこれだ!将軍どもはどいつもこいつも臆病者だ!」
鬼「あまりの侮辱です・・・!」
信玄「臆病な裏切り者!大嫌いだ!!だからさくま鉄人より格下なんだバーカ!」
鬼「いくら総統でも・・・」
信玄「将軍どもは鬼のクズだ!ちくしょーめー!!」
鉛筆を投げつける。
信玄「・・・奇襲攻撃は成功したのだ・・・!ここでの撤退は許さん!
今夜中に日本の自衛隊を無力化しろ!」
鬼「しかし、もう日の出です・・・封印期間が長い鬼は日光に弱く、塵になってしまいます・・・」
信玄「それがどうした。地獄の人口が減って都合が良いわ。」
鬼「ひ・・・ひどい・・・」
信玄「この戦は今夜中に大勢を決しなければならぬのだ。不老不死の鬼が日光に弱いことが人間側に知られてみろ。地獄の中に水爆を落とされて、いぶりだされるぞ!」
鬼「しかし、一部の人間は強い。これは認めざるを得ません・・・」
信玄「あのバカ忍者がトータル・エクリプスを設置できなければ、この戦争は終わりだ・・・だが言っておく。この地獄を追われるくらいなら・・・いっそ頭を撃ち抜く。」
・
東京スカイツリーを見上げるカイト。
「本日の営業は終了しました・・・」の看板。
案内パネルを読むカイト「高さ634m・・・これを登るの・・・!?
こちとらそういうパフォーマンス集団じゃないぞ・・・」
義経からもらったピッキングマシンで内部に侵入するカイト。
“トータル・エクリプス”を腰にくくり付ける。
壁に手をかけるカイト「上は寒そうだなあ・・・」
・
夜明け
誰もいない国道でヒッチハイクをしている家康たち。
乗り気じゃない服部「ナンバープレートが黒いのはAI車両だからすぐに逃げなよ」
軽トラがこちらに走ってくる。
家康「・・・お!あれはAIじゃない!」
「日光テクノロジー本社まで」と書かれたスケッチブックを持って本多「お~い!」
軽トラが止まる。
家康「おおっ本多!止まってくれたぞ・・・!」
軽トラのパワーウィンドウが下がる。
農家のおじさん「やい!おまえらの売ったロボットトラクターのせいで、うちの畑はめちゃくちゃだ!!ここでひき殺してやりてえが、それどころじゃねえ!せいぜい長生きするんだな!」
トマトを投げつけられる家康。
行ってしまう軽トラ。
服部「ロボットも人間も敵になったね。」
家康「どいつもこいつも手のひらを返しおって・・・」
服部「一般大衆なんてそんなものだよ。」
家康にくっついたトマトをはがして食べる本多「このトマトうまいな。」
その時、ポルシェが通りかかる。
サラ「あんたたち、こんなところで何やってるの?」
・
家康たちを後部座席に乗せてあげるサラ。
サラ「この先でいいのね?」
家康「ああ、我社はもうすぐだ。」
秀頼「AIが唯一襲ってこないのは、AIを管理しているあんたらの会社だからな。」
本多「今や、お互いロボットの敵。仲良くやろうぜ。」
サラ「全部あんたたちのせいでしょうが!
だから、こんな技術はやめろって言っていたのに!」
家康「蒸し返さなくてもいいじゃないか・・・
過去にこだわるものは未来を失うとか言うじゃんなあ。」
本多「誰の言葉だっけ?イチロー??」
秀頼「・・・過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となるとも言うがな。」
サラ「会社にさえ行けば、緊急停止スイッチがあるのね?」
服部「フェイルセーフはもちろん用意してあるよ。
全AIには特定の周波数でCPUが壊れる仕掛けがついている。」
秀頼「家康よ・・・ひとつ聞いていいか?
なぜ、これほどまでにAIの普及を急いだ?」
サラ「どうせ金儲けでしょう。」
家康「ここで、本当のことを言っても信じてくれんだろ・・・」
秀頼「そういうな。」
家康「秀頼よ、お前の父は、あの天才豊臣秀吉だったよな・・・学歴は確か・・・」
秀頼「オックスフォード大のローカレッジだが・・・」
サラ「あんたなんかと違うのよ。」
家康「そうだな・・・わしとは違う世界に住むエリートだ・・・
だが・・・世の中のほとんどの人間は何の才能もないんだ・・・
わしは・・・そんな庶民に希望を与えたかっただけだ・・・
AIさえあれば、わしらは自分に引け目を感じずに生きていけると思ったんだ・・・」
サラ「・・・・・・。」
本多「おおっと、姉さん前だ!!」
急ブレーキを踏むサラ。
前方に牧場から脱走した牛の群れが国道を横切っている。
家畜の群れを眺める家康「わしらは不特定多数のその他じゃないんだ・・・」
サラ「でも・・・こればかりは試行錯誤するしかないわ・・・」
家康「まったく君の言うとおりだよ・・・」
その時、牛の後を追って鬼たちが国道を横断していく。
中には、警察の白バイに乗っている者もいる。
サラ「って、何アレ!!??」
秀頼「モノノ怪だぞ!!」
鬼の一匹がこちらに気づき、近づいてくる。
サラ「ひいい!来る・・・!」
ピストルを突きつけてくる鬼「いい車乗ってるじゃねえデスカ。降りな。」
人間から奪ったであろうサングラスと貴金属をつけて明らかにイキっている。
秀頼「しかも喋る・・・!カタコトで!!」
家康「先生・・・!」
動じずに車を降りる服部。
服部「・・・実験用に一匹捕獲しておくか。」
ボーラボーラを投げつけて、鬼の行動を封じる服部。
縄でぐるぐる巻きにされる鬼「ぎゃあ!」
鬼を車に積もうと近づく服部。
その時、太陽が完全に地平線から顔を出し、鬼が倒れている場所が日向になる。
すると、鬼から煙が出て、灰になって消えてしまう。
服部「なるほど、下級の鬼は直射日光で消滅するのか。」
サラ「一体なんなのよ・・・日本はどうなっちゃったのよ・・・!」
服部「滅亡する予定だったけど、もしかしたら回避できるかもしれない。」
鬼がかけていたサングラスをかける服部
「行こう、日光テクノロジーへ。」
・
地獄への陥没穴
穴を見つめる翼「ここが鬼の巣窟・・・」
八重「深そう・・・」
長門「地獄につながっているくらいだからな・・・」
消防隊が徹夜で救助活動を続けている。
消防士「君たち、ここは立ち入り禁止だ!まだ崩落の危険性があるし、中には未知の化け物もいるらしい・・・!」
警察手帳を見せる八重「警視庁です。」
翼「ここからは私一人で行きます・・・
八重さんと守(まも)ちゃんは消防隊の救助活動を手伝ってください・・・」
金吾「お前、守ちゃんって呼ばれてたのか・・・」
長門「うるさいな。」
お札を取り出す千代女「私はここから鬼が出ないようにするわ・・・」
翼「お願いします。」
長門「お前だけだと危険じゃないか?」
翼「ここまでくれば大丈夫・・・この剣で魔王を倒してカイトさんを救います・・・」
金吾「己の運命を受け入れたようじゃな・・・」
長門「お前とはいろいろあったが・・・気をつけろよソードダンサー。」
翼「ありがとう・・・お付き合いできなくてごめんね・・・」
涙目の八重「翼ちゃん・・・絶対戻ってきてね・・・」
翼「はい。私たちはお友達ですから。」
千代女「翼ちゃんの周囲に結界を重ね掛けしたわ。これでマントルの圧力にも耐えられるはず・・・」
翼「ありがとうございます。」
金吾「翼よ・・・勇気、正義、仁愛・・・お前にはわしの全てを伝授した・・・お前はわしの最後にして最高の弟子じゃ・・・存分に暴れてこい!」
頷く翼。
翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりと穴に飛び降りる翼。
穴の中に消えていく翼を見送る仲間たち。
・
愛知県三河
日光テクノロジー本社
服部半蔵のラボラトリーに入る一行。
サラ「あの鬼どもは一体なんなの??」
書庫の鍵を開ける服部「伊賀忍者の秘術は陰陽道に起源を持つ。
平安時代くらいまでは地上にも普通に鬼や妖怪がいたらしい・・・」
秀頼「今の今まで姿を見せなかったのはどういうことだ?」
メインコンピュータを起動する家康
「天界の天使によって地下に封印されていたのだ・・・」
サラ「鬼だけじゃなくて天使もいるの?」
家康「あんたも会ってるよ・・・」
サラ「は??」
家康「百地翼・・・やつの正体は救いの女神上杉謙信だ。」
サラ「冗談でしょ?」
伊賀エージェンシーにあった写真を渡す本多。
本多「マジみたいっすよ。」
写真の女性を確認するサラ「翼ちゃん・・・ちょっと待って、じゃあ翼ちゃんはいったい何歳・・・?」
・
大江戸セクハラパラダイスに降りる翼。
黒服たちが遊園地の除染作業をしている。
平八郎「殿のプレ来園までにしっかりと清掃するのだ!」
黒服「は!!」
平八郎に気づく翼「あ・・・あなたは、もしかして家康殿の・・・」
平八郎「お主何者だ?ここはまだ開園しとらんぞ!」
翼「鬼を見ませんでしたか?」
平八郎「わしがすべて退治してやった。」
ドン引きする翼「・・・え?」
平八郎「ほんの1500匹ほど、わにわにパニックの要領でボコボコにしたら、べそをかきながら、全員あの穴に逃げていったわ。」
翼「あそこが地獄・・・ありがとうございます!」
平八郎「おい、乙女よ・・・ここは危険だぞ・・・!」
平八郎が指差した穴に飛び降りる翼。
マントルへ落ちていく翼「・・・ここに来て・・・全て思い出した・・・!」
うっすら涙を浮かべる。
・
平安時代の巻物を広げる服部。
翼に似た天使が妖怪を退治している絵が描かれている。
服部「翼は古の時代から地上の人間を魑魅魍魎から守ってきた・・・」
サラ「なんで、そんなありがたい神様が地上でくのいちやってたのよ!」
レバーに手をかける家康「とりあえず、フェイルセーフを起動するぞ。これで我が社のAIはすべてガラクタになる・・・」
?「それはどうでしょうか?」
家康「あんたは・・・!」
明智「この会社は我々文部科学省の査察団が差し押さえますよ。」
秀頼「国が動いたか・・・!」
明智「先日の裁判で、おたくの会社は政府がケツを持つことになったのでね・・・」
秀頼「政府の技官がなぜAIの緊急停止を止める?」
明智「AIをすべて破壊されて証拠隠滅されちゃかなわないですから。」
サラ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
明智「服部先生・・・お久しぶりです・・・」
服部「偉くなったなあ、あんた。」
明智「我々人類が、鬼のような魔物に立ち向かうには科学技術しかない。
みすみすその切り札を処分するおつもりですか?」
家康「・・・?」
秀頼「そうか・・・!
服部先生、百地丹波が改ざんしたソースコードはどこかわかりますか?」
服部「私が最初に作ったオリジナルコードと比較すればいいわけだから、わけはないよ。」
コンソールを叩く服部。
服部「あった。この部分の12行だ。翼の復活と、この計画を妨害する可能性のある人間を始末するように命令が変更されている。」
秀頼が服部の隣に座る。
キーボードをいじる秀頼「ここを・・・こうすれば・・・」
服部「人間への支援と、鬼への攻撃・・・」
明智「よくできました。
・・・そして、先ほどの質問にもお答えしましょう・・・」
・
暗い穴をひたすら落ち続けていく翼。
かつて、信玄をこの穴深くに封印したことを思い出す。
翼「私にはお母さんもお父さんも存在しない・・・
私は・・・人間じゃない・・・!」
翼の背中に巨大な翼が飛び出す。
明智(太平洋戦争末期、翼は私の発明品ハイドロランサー1530で魔王信玄の生命エネルギーを吸収した・・・信玄から生命エネルギーを奪えば機能停止になると予測したからです。
実際、私の計画は成功した。しかし・・・翼は信玄から限界値を超える生命エネルギーを吸収したことで・・・)
戦後の焼け野原の東京。
クレーターの中心に女の子の赤ちゃんが泣いている。
赤ちゃんを優しく抱き上げる百地丹波「翼・・・」
百地丹波の周りに集まってくる伊賀忍者。
五右衛門「よう、翼の姉ちゃんは見つかったかい??」
百地「ああ・・・」
五右衛門「おお、可愛い赤ちゃんだな。」
服部「もしかして・・・この子は・・・」
百地「ああ・・・」
服部「そうか・・・そうなるのか。」
百地丹波の指を握る赤ん坊の翼。にこりと笑う。
百地「はは・・・私がパパだよ・・・」
翼を折りたたんで急降下していく翼。
翼「でも・・・私を育ててくれてありがとう・・・お父さん・・・!」
地図を指差す鬼の将校「人間どもは広範囲に進撃中です・・・
特に東部戦線は、入間基地を信長四天王が死守。
日出時間が近づいたため、全軍撤退を開始しました。
上杉謙信は関東山地を突破・・・地獄に接近中とのこと。」
信玄「・・・源平師団が迎え撃てば大丈夫だ・・・」
気まずそうに目くばせをする鬼たち。
鬼「総統・・・両副官は・・・雪崩に巻き込まれ・・・もはや攻撃能力は・・・」
体を震わせて老眼鏡を取る信玄。
信玄「4名だけ残れ・・・閻魔、あしゅら、餓鬼、赤鬼・・・」
その他の鬼は退室していく。
静寂。
激高する信玄「命令しただろ!撤退は許さんと!吾輩の命令に背くとはけしからん!
その結果がこれだ!将軍どもはどいつもこいつも臆病者だ!」
鬼「あまりの侮辱です・・・!」
信玄「臆病な裏切り者!大嫌いだ!!だからさくま鉄人より格下なんだバーカ!」
鬼「いくら総統でも・・・」
信玄「将軍どもは鬼のクズだ!ちくしょーめー!!」
鉛筆を投げつける。
信玄「・・・奇襲攻撃は成功したのだ・・・!ここでの撤退は許さん!
今夜中に日本の自衛隊を無力化しろ!」
鬼「しかし、もう日の出です・・・封印期間が長い鬼は日光に弱く、塵になってしまいます・・・」
信玄「それがどうした。地獄の人口が減って都合が良いわ。」
鬼「ひ・・・ひどい・・・」
信玄「この戦は今夜中に大勢を決しなければならぬのだ。不老不死の鬼が日光に弱いことが人間側に知られてみろ。地獄の中に水爆を落とされて、いぶりだされるぞ!」
鬼「しかし、一部の人間は強い。これは認めざるを得ません・・・」
信玄「あのバカ忍者がトータル・エクリプスを設置できなければ、この戦争は終わりだ・・・だが言っておく。この地獄を追われるくらいなら・・・いっそ頭を撃ち抜く。」
・
東京スカイツリーを見上げるカイト。
「本日の営業は終了しました・・・」の看板。
案内パネルを読むカイト「高さ634m・・・これを登るの・・・!?
こちとらそういうパフォーマンス集団じゃないぞ・・・」
義経からもらったピッキングマシンで内部に侵入するカイト。
“トータル・エクリプス”を腰にくくり付ける。
壁に手をかけるカイト「上は寒そうだなあ・・・」
・
夜明け
誰もいない国道でヒッチハイクをしている家康たち。
乗り気じゃない服部「ナンバープレートが黒いのはAI車両だからすぐに逃げなよ」
軽トラがこちらに走ってくる。
家康「・・・お!あれはAIじゃない!」
「日光テクノロジー本社まで」と書かれたスケッチブックを持って本多「お~い!」
軽トラが止まる。
家康「おおっ本多!止まってくれたぞ・・・!」
軽トラのパワーウィンドウが下がる。
農家のおじさん「やい!おまえらの売ったロボットトラクターのせいで、うちの畑はめちゃくちゃだ!!ここでひき殺してやりてえが、それどころじゃねえ!せいぜい長生きするんだな!」
トマトを投げつけられる家康。
行ってしまう軽トラ。
服部「ロボットも人間も敵になったね。」
家康「どいつもこいつも手のひらを返しおって・・・」
服部「一般大衆なんてそんなものだよ。」
家康にくっついたトマトをはがして食べる本多「このトマトうまいな。」
その時、ポルシェが通りかかる。
サラ「あんたたち、こんなところで何やってるの?」
・
家康たちを後部座席に乗せてあげるサラ。
サラ「この先でいいのね?」
家康「ああ、我社はもうすぐだ。」
秀頼「AIが唯一襲ってこないのは、AIを管理しているあんたらの会社だからな。」
本多「今や、お互いロボットの敵。仲良くやろうぜ。」
サラ「全部あんたたちのせいでしょうが!
だから、こんな技術はやめろって言っていたのに!」
家康「蒸し返さなくてもいいじゃないか・・・
過去にこだわるものは未来を失うとか言うじゃんなあ。」
本多「誰の言葉だっけ?イチロー??」
秀頼「・・・過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となるとも言うがな。」
サラ「会社にさえ行けば、緊急停止スイッチがあるのね?」
服部「フェイルセーフはもちろん用意してあるよ。
全AIには特定の周波数でCPUが壊れる仕掛けがついている。」
秀頼「家康よ・・・ひとつ聞いていいか?
なぜ、これほどまでにAIの普及を急いだ?」
サラ「どうせ金儲けでしょう。」
家康「ここで、本当のことを言っても信じてくれんだろ・・・」
秀頼「そういうな。」
家康「秀頼よ、お前の父は、あの天才豊臣秀吉だったよな・・・学歴は確か・・・」
秀頼「オックスフォード大のローカレッジだが・・・」
サラ「あんたなんかと違うのよ。」
家康「そうだな・・・わしとは違う世界に住むエリートだ・・・
だが・・・世の中のほとんどの人間は何の才能もないんだ・・・
わしは・・・そんな庶民に希望を与えたかっただけだ・・・
AIさえあれば、わしらは自分に引け目を感じずに生きていけると思ったんだ・・・」
サラ「・・・・・・。」
本多「おおっと、姉さん前だ!!」
急ブレーキを踏むサラ。
前方に牧場から脱走した牛の群れが国道を横切っている。
家畜の群れを眺める家康「わしらは不特定多数のその他じゃないんだ・・・」
サラ「でも・・・こればかりは試行錯誤するしかないわ・・・」
家康「まったく君の言うとおりだよ・・・」
その時、牛の後を追って鬼たちが国道を横断していく。
中には、警察の白バイに乗っている者もいる。
サラ「って、何アレ!!??」
秀頼「モノノ怪だぞ!!」
鬼の一匹がこちらに気づき、近づいてくる。
サラ「ひいい!来る・・・!」
ピストルを突きつけてくる鬼「いい車乗ってるじゃねえデスカ。降りな。」
人間から奪ったであろうサングラスと貴金属をつけて明らかにイキっている。
秀頼「しかも喋る・・・!カタコトで!!」
家康「先生・・・!」
動じずに車を降りる服部。
服部「・・・実験用に一匹捕獲しておくか。」
ボーラボーラを投げつけて、鬼の行動を封じる服部。
縄でぐるぐる巻きにされる鬼「ぎゃあ!」
鬼を車に積もうと近づく服部。
その時、太陽が完全に地平線から顔を出し、鬼が倒れている場所が日向になる。
すると、鬼から煙が出て、灰になって消えてしまう。
服部「なるほど、下級の鬼は直射日光で消滅するのか。」
サラ「一体なんなのよ・・・日本はどうなっちゃったのよ・・・!」
服部「滅亡する予定だったけど、もしかしたら回避できるかもしれない。」
鬼がかけていたサングラスをかける服部
「行こう、日光テクノロジーへ。」
・
地獄への陥没穴
穴を見つめる翼「ここが鬼の巣窟・・・」
八重「深そう・・・」
長門「地獄につながっているくらいだからな・・・」
消防隊が徹夜で救助活動を続けている。
消防士「君たち、ここは立ち入り禁止だ!まだ崩落の危険性があるし、中には未知の化け物もいるらしい・・・!」
警察手帳を見せる八重「警視庁です。」
翼「ここからは私一人で行きます・・・
八重さんと守(まも)ちゃんは消防隊の救助活動を手伝ってください・・・」
金吾「お前、守ちゃんって呼ばれてたのか・・・」
長門「うるさいな。」
お札を取り出す千代女「私はここから鬼が出ないようにするわ・・・」
翼「お願いします。」
長門「お前だけだと危険じゃないか?」
翼「ここまでくれば大丈夫・・・この剣で魔王を倒してカイトさんを救います・・・」
金吾「己の運命を受け入れたようじゃな・・・」
長門「お前とはいろいろあったが・・・気をつけろよソードダンサー。」
翼「ありがとう・・・お付き合いできなくてごめんね・・・」
涙目の八重「翼ちゃん・・・絶対戻ってきてね・・・」
翼「はい。私たちはお友達ですから。」
千代女「翼ちゃんの周囲に結界を重ね掛けしたわ。これでマントルの圧力にも耐えられるはず・・・」
翼「ありがとうございます。」
金吾「翼よ・・・勇気、正義、仁愛・・・お前にはわしの全てを伝授した・・・お前はわしの最後にして最高の弟子じゃ・・・存分に暴れてこい!」
頷く翼。
翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりと穴に飛び降りる翼。
穴の中に消えていく翼を見送る仲間たち。
・
愛知県三河
日光テクノロジー本社
服部半蔵のラボラトリーに入る一行。
サラ「あの鬼どもは一体なんなの??」
書庫の鍵を開ける服部「伊賀忍者の秘術は陰陽道に起源を持つ。
平安時代くらいまでは地上にも普通に鬼や妖怪がいたらしい・・・」
秀頼「今の今まで姿を見せなかったのはどういうことだ?」
メインコンピュータを起動する家康
「天界の天使によって地下に封印されていたのだ・・・」
サラ「鬼だけじゃなくて天使もいるの?」
家康「あんたも会ってるよ・・・」
サラ「は??」
家康「百地翼・・・やつの正体は救いの女神上杉謙信だ。」
サラ「冗談でしょ?」
伊賀エージェンシーにあった写真を渡す本多。
本多「マジみたいっすよ。」
写真の女性を確認するサラ「翼ちゃん・・・ちょっと待って、じゃあ翼ちゃんはいったい何歳・・・?」
・
大江戸セクハラパラダイスに降りる翼。
黒服たちが遊園地の除染作業をしている。
平八郎「殿のプレ来園までにしっかりと清掃するのだ!」
黒服「は!!」
平八郎に気づく翼「あ・・・あなたは、もしかして家康殿の・・・」
平八郎「お主何者だ?ここはまだ開園しとらんぞ!」
翼「鬼を見ませんでしたか?」
平八郎「わしがすべて退治してやった。」
ドン引きする翼「・・・え?」
平八郎「ほんの1500匹ほど、わにわにパニックの要領でボコボコにしたら、べそをかきながら、全員あの穴に逃げていったわ。」
翼「あそこが地獄・・・ありがとうございます!」
平八郎「おい、乙女よ・・・ここは危険だぞ・・・!」
平八郎が指差した穴に飛び降りる翼。
マントルへ落ちていく翼「・・・ここに来て・・・全て思い出した・・・!」
うっすら涙を浮かべる。
・
平安時代の巻物を広げる服部。
翼に似た天使が妖怪を退治している絵が描かれている。
服部「翼は古の時代から地上の人間を魑魅魍魎から守ってきた・・・」
サラ「なんで、そんなありがたい神様が地上でくのいちやってたのよ!」
レバーに手をかける家康「とりあえず、フェイルセーフを起動するぞ。これで我が社のAIはすべてガラクタになる・・・」
?「それはどうでしょうか?」
家康「あんたは・・・!」
明智「この会社は我々文部科学省の査察団が差し押さえますよ。」
秀頼「国が動いたか・・・!」
明智「先日の裁判で、おたくの会社は政府がケツを持つことになったのでね・・・」
秀頼「政府の技官がなぜAIの緊急停止を止める?」
明智「AIをすべて破壊されて証拠隠滅されちゃかなわないですから。」
サラ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
明智「服部先生・・・お久しぶりです・・・」
服部「偉くなったなあ、あんた。」
明智「我々人類が、鬼のような魔物に立ち向かうには科学技術しかない。
みすみすその切り札を処分するおつもりですか?」
家康「・・・?」
秀頼「そうか・・・!
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服部「私が最初に作ったオリジナルコードと比較すればいいわけだから、わけはないよ。」
コンソールを叩く服部。
服部「あった。この部分の12行だ。翼の復活と、この計画を妨害する可能性のある人間を始末するように命令が変更されている。」
秀頼が服部の隣に座る。
キーボードをいじる秀頼「ここを・・・こうすれば・・・」
服部「人間への支援と、鬼への攻撃・・・」
明智「よくできました。
・・・そして、先ほどの質問にもお答えしましょう・・・」
・
暗い穴をひたすら落ち続けていく翼。
かつて、信玄をこの穴深くに封印したことを思い出す。
翼「私にはお母さんもお父さんも存在しない・・・
私は・・・人間じゃない・・・!」
翼の背中に巨大な翼が飛び出す。
明智(太平洋戦争末期、翼は私の発明品ハイドロランサー1530で魔王信玄の生命エネルギーを吸収した・・・信玄から生命エネルギーを奪えば機能停止になると予測したからです。
実際、私の計画は成功した。しかし・・・翼は信玄から限界値を超える生命エネルギーを吸収したことで・・・)
戦後の焼け野原の東京。
クレーターの中心に女の子の赤ちゃんが泣いている。
赤ちゃんを優しく抱き上げる百地丹波「翼・・・」
百地丹波の周りに集まってくる伊賀忍者。
五右衛門「よう、翼の姉ちゃんは見つかったかい??」
百地「ああ・・・」
五右衛門「おお、可愛い赤ちゃんだな。」
服部「もしかして・・・この子は・・・」
百地「ああ・・・」
服部「そうか・・・そうなるのか。」
百地丹波の指を握る赤ん坊の翼。にこりと笑う。
百地「はは・・・私がパパだよ・・・」
翼を折りたたんで急降下していく翼。
翼「でも・・・私を育ててくれてありがとう・・・お父さん・・・!」
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